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第7話 接触

長くなったので、途中で切りました。


訂正

自治区→自治州

索敵→探知


に変更しました。よろしくお願いします。

 第10自治州、その州都に存在する建物のとある一室にてーー

 

 「やばい。ヤツらが全滅した……」


 --男たちが話し合いを行っていた。


 人数は、全部で十五人。

 それぞれバラバラの服装だが、共通して右手の甲に五芒星とその上に鳥のツメらしきものが象られたタトゥーが彫られている。

 

 そして彼らの表情もまた共通していた。

 それはーー激しい焦燥。いまこの瞬間にもどこか遠くへ逃げ出したい、そんな顔である。


 「リッド、やられたってどういうことだ!? あそこでは、これで大丈夫だって言ってたじゃないか!」

 「そうだぞ! この数のアンデッドに不意打ちを受けて、生き残れるはずがないと得意げに語っていたじゃないか!」


 そんな中、他の男たちから激しく責められている男が居た。

 他の男たちからリッドと呼ばれた男は、黒髪で丸縁の眼鏡をかけ白衣を着ており一見すると学者風の男だった。


 しかし、仲間のハズの男たちから責められているのが原因か、はたまた別の要因かは分からないが、真っ白であったはずの白衣には至るところに汗がにじみ、その黒髪は大量に流れ出る汗のせいで額にべったりとくっついてしまっている。


 「いや、そんなはずはない。常識的に考えてあの数のアンデッドに不意を打たれたら助かるはずがないんだ」

 「しかし、今、全滅したと言ったじゃないか!」

 「だからそれが、おかしいんだ。ありえないんだ! これは俺のせいじゃない。頼む、分かってくれ!」


 責められている男は、同じことを繰りかえしながらも必死に仲間に訴える。


 彼らは〝試しの森〟での騒動を起こした張本人達だった。

 あの時、彼らは自らが行っていた実験の成果を試そうとしてーーしかしながら、それは失敗。


 おまけに何かヤバい予感がした彼らは、早々に逃亡を決意した。

 だが、そのためにはねぐらにしていた洞窟の最奥に自らの手で掘ったあの部屋の中を処分しなければいけない。中を探られれば全ての情報が漏れてしまうからだ。


 しかし、〝試しの森〟は自分達の起こした騒ぎにより厳戒態勢になっていて、しばらくは近づけず、やっと忍び込めたと思ったら、次の問題が浮上した。


 それが大量の魔物の死体。自分たちが、とある実験のために世界各地で集めてきたものだったが逃げる際には邪魔でしかない。とはいえ、むやみやたらに捨てれば気づかれる恐れもあるし、なにより運ぶのに時間がかかる。そんな悠長なことはしてられない。

 一瞬燃やそうかと思ったが、魔物の死体の中には火に耐性を持つものも多くやむなく断念。

 

 そこでリッドが提案したのが、自身の能力を用いたトラップにすること。

 うまくいけば、魔物の死体を処分する時間を省ける上に自分たちを追ってきた追跡者を片づけられる、まさに一石二鳥になると熱弁をふるったのだ。


 その結果、彼の案は採用されたため早速アンデッド化を行い、アンデッド達に命令ーー死体のふりをして、誰かが来たら問答無用で襲うーーを下した。 


 これで安心だ、とりあえずは一旦隠れて用意が出来次第、すぐに遠くの州へと逃げよう……ということになり今の隠れ家に身を潜めて、逃げる用意を整え、ようやく明日逃げれるっという時に感じ取ったのがアンデッド達の全滅だった。


 それを感じた瞬間、彼は震えた。やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい、いくらなんでもおかしい、あり得ない、異常だ、と。


 それと同時に、アンデッド全滅(そのこと)が何を差し示すのかを理解し彼の顔を青くさせていく。

 そして、とにかく伝えなくてはと意を決し、他の男たちに話したところで冒頭の部分に戻る。


 「い、今は、そんな時じゃないんだ。あの数のアンデッドを殲滅できるような化け物が俺達を追ってきてる。早く逃げないと!!」

 「そんなこと言って、責任を逃れようとしているだけじゃないのか?」

 「ち、違うに決まってるだろう。ヤバいんだ! とにかく早k……うっ!!」


 早く逃げよう、そう言おうとしたリッドの背に突如仲間の男から電撃が飛んできて、その意識を刈り取った。


 「うるさい奴は黙らせたぜ」

 「ナイスだ、琉人。……さて、こいつの慌てようからアンデッドが倒されたのは事実なんだろう。ついでに、こいつの魔力パターンもばれた可能性が高い。が、それが分かった程度ですぐにここへたどり着けるはずはねえ。少なくとも、もう2、3日は大丈夫だろう。予定通り、今日はこのままここで休んで明日出発する。……それと、そいつは置いていく。もう用済みだからな。それからミンガ、こいつの記憶を封じておけ(・・・・・)


 おそらくは、男たちのリーダーであろう男がそう決定を下すと周りの男たちも頷き同意した。その顔からは、もう焦燥は伝わってこない。リーダーの言葉に安心したのだろう。

 そして、結局彼らはリッドを縛り放置すると何事もなかったかのように、それぞれおもいおもいに過ごし始めた。


 しかし、それは大きな、いや、大きすぎる間違いであったことを彼らはすぐに知ることになる。


~~~


 それは唐突に起こった。


 リッドからの報告を発端に起こった騒ぎから2時間が過ぎた頃。


 自由に過ごしていた彼らの耳に、突如ーー


 「見~つけた」


 --聞き覚えのない男の声が届いた。


 「!! だれだ、どこにいやがる!!」


 リーダーと思われる男がその声に跳ね起き、近くに置いてあった自身の愛剣を手に取ると周囲をくまなく探った。


 しかし、その目に映るのは困惑した表情で辺りを見回す自身の仲間たちのみ。

 謎の声の主はどこにもいない。


 「どこを見てるんだ? 外だよ、外」


 その声に勢いよく振り返ったリーダーの目に入ったのは。ベランダの手すりに腰掛けるフードをかぶった男だった。


~~~


 〝不死者使い〟能力者の居場所をつかんだ俺達は、早速行動に移した。


 といっても、〝転移〟で目的地まで跳んだだけなんだが。


 で、向かった先というのが第10自治州の州都の端にあるさびれたマンションの一室。

 

 ちなみに州都というのは、その州の中心となる都市であり州政府や裁判所、州警察本部といった重要拠点が集まっている場所だ。


 端といえど人目をさけるため、マンションの屋上に跳んだ俺達はそこでまた風による〝探知〟を行い中の様子を確認した。


 [どう、風? 気づかれてない?]

 [大丈夫だ。数は15人。ほぼ全員のんきにくつろいでるよ]

 [ほぼ?]

 [一人だけ拘束されている奴がいる]

 [! 大丈夫なの、その人!? まさか、人質……]

 [いや、どうやらそいつが〝不死者使い〟みたいだ。魔力パターンが一致してるから間違いない]

 [……どういうこと? 仲間割れ?]

 [それか、無理矢理連れまわされてるかだな。能力目当で。まあ、どちらにせよここで悩んでも分からないし、直接聞いてくる]

 [へっ? ちょ、ちょっと風!? 聞いてくるって、どういう……]

 [良いから、とりあえず氷は待機しててくれ。応援が必要なら連絡するから]


 そう氷に言い残すと、俺はフードを被り屋上から奴らがいる部屋のベランダ目がけ飛び降りた。


~~~


 「貴様、一体何者だ!!」

 「ん、俺か? さて誰だろうな?」


 何者か、と問いかけてきた男に対し、手始めにそう答えてみる。


 「てめえ、ふざけてるのか?」


 ありゃ、意外。もうキレかかってるな。

 一番最初に反応した奴だし、もうちょっと出来るやつかと思ったんだが。


 「ハッ、そうキレんなよ」

 「てめえ、やっぱりバカにしてやがるな」


 おお、額に青筋たてる奴初めてみた。漫画なんかでは良くあるんだけどな。実際ではなかなか居ない。


 と、このままだと話が進まないし、本題に入るか。


 「だから、そうキレんなって。……それより、そっちの奴はどうしたんだ?」


 そう言って、俺は縛られている男を指さし、聞いてみた。


 「あ? あいつはただの捨て駒だ。というかてめえにゃ関係ねえだろ」

 

 捨て駒ねえ。

 ……とりあえず、無関係な人間が人質に、とか、無理矢理能力を使わされてます、とかじゃなさそうだな。


 男の言葉を考慮しての判断だが、もちろんそれ以外にもそう判断する材料があった。


 それが右手の甲のタトゥー。ちらっとだが、拘束されている男にも彫られているのは確認済みだ。

 

 そして、それを見た瞬間に相手の素性もおのずと分かった。


 「ふ~ん、捨て駒か。やっぱり厳しいんだなあ」

 「あ? 何を言って……」

 「まあ、そりゃそうか。だってお前たちは〝鷹のツメ〟のメンバーなんだもんな」

 「!! ……なんのことだ?」

 「取り繕ってもバレバレだぞ。150年前、≪統一政府≫成立の最大にして最後の難関となった国≪ヴァルク帝国≫。彼の国が有したのが当時のユールニシア大陸一と謳われた秘密工作機関≪鷹の爪(ヴァルク・ナヒュル)≫ーーそしてあんたらの右甲に彫られたそれこそがこの機関のシンボル。違うか?」


 俺の言葉を聞く内に、リーダーと思われる男から発せられる空気がどんどんと変わっていく。


 やはり当たりか。……しかし、これはめんどくさいことになりそうだな。

 

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