自己研鑽 その3
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スーアがふたりを送って行くことに
ではでは~
夜風が心地よかった。
イシュグダは、火照った顔を冷ませることできた。
年下の少年に惚れてしまいそうな自分に少し戸惑い、冷静になるように自分に言い聞かせていた。
ちらりと視線を向けた先ですぐ横を歩く少年は、あと数年で精悍な青年になる素養を見て取れた。
自惚れない程度に容姿には自信があった。
両親に感謝している。
ギルドの職員は堅い職業として人気がある。
能力主義であっても、採用するとなれば、見た目も無関係ではないと思う。
窓口を訪れるのは、ほとんど男性と言っていい。
そして、何回か会うことになると世間話もしないこともない。
その中で食事に誘われることから、交際を申し込まれることまである。
そして、だんだん男の下心というものが見えてくる。
婚約者がいるというのに火遊びをする最低野郎も何人か見てきた。
ほぼ全員に天罰が下り、女を甘く見ていたことを後悔する。
そうして、ギルドの窓口業務に携わって培った観察眼には、多少なりとも自信があった。
性格や身元、整いつつある容姿、素質充分だと確信している。
そう、言い方は悪いが、彼は優良物件なのだ。
早く両親を安心させてあげたい。
何より心が揺れ動いている。
「スーア様は、これからどうされますか?よろしければ、仕事の依頼を見繕っておきますが?」
つい、仕事の話をしてしまったイシュグダは、言ってしまったことを後悔した。
(わたしのバカ。もっと、男女の会話に誘わないといけないじゃない)
「そうですねぇ。できるだけ、人の役に立つ仕事をお願いします。まだまだ未熟ですから、パーティに入っても迷惑かけちゃうし」
情けなさそうにハハハと笑ってみせるスーアに謙遜はみられなかった。
(ぴょーーーー、きゃ、きゃわいーーー。おねえさん、もうメロメロになっちゃうー)
年上の窓口嬢は、はしたなく心の雌たけびを上げるのだった。
「ねぇねぇ。わたしたちのパーティに入らない。わたしとふたりで前衛っていいと思うんだ」
少女は、半ば強引に会話に加わってきた。
イシュグダには、わかっていた。
(わざとだ。もうすぐ女子寮だから、もう少し譲ってくれてもいいじゃない)
ただ、少女の身元が予想通りかもしれないと考えると、躊躇して何も言えなかった。
「俺、装備も貧弱だし、まだまだ先になるよ」
「えーー、大丈夫だよ」
「考えておくよ。イシュグダさん、仕事の斡旋、よろしくお願いいたします」
「ひゃい!」
思いがけず話を振られたおかげで、舞い上がってしまったイシュグダは、声が裏返ってしまった。
「変な声ー」
少女は、快諾されなかったことで不機嫌だった。
スーアは仕事について、加熱気味のイシュグダからアドバイス受けられた。
高報酬の場所や移動手段は言うに及ばず、回復ポイント、名物グルメ、挙句は観光スポットまで。
「そんなにいい眺めなんですかぁ」
「はい、訪れた方が必ず口にします」
「行かれたことはないんですか?」
「ギルドの職員じゃあ、護衛を雇わないと無理みたいです」
「じゃあ、俺がそのうち連れて行ってあげますよ」
スーアの何気ない一言は、イシュグダのハートを鷲掴みにした。
寮の自室に帰ってきた乙女は、バクバクと鼓動する自分の心臓の音で眠れなかった。
= = = = =
「スーア君」
「何?」
少女は、スーアの名前を呼ぶ。
「君のことは、スーア君って呼ぶ」
「ああ、いいよ」
「スーア君」
「はい?」
「何でもない」
「そう」
少女とスーアは並んで歩いていた。
張り合う相手が居なくなると会話が続かなくなった。
そのまま、歩き続けていて少女の使う宿に到着する。
もっぱら駆け出し冒険者が利用する安宿とは違い高級宿だった。
スーアはその宿代を値踏みする。
(ここって、今日の報酬じゃ、赤字になるんじゃないか?)
「あ、あの」
「何?」
少女は、もじもじしながら、スーアに語り掛ける。
スーアは、少し考える。
スーアは、閃いたかのように表情を変えると少女から視線を外し、言った。
「花を摘みに行って来たら?」
≪ポクッ≫
スーアの顎に拳が見舞われた。
=いいもの持ってるじゃねえか=
= = = = =
「ねぇねぇ、まだ、いい?お茶を飲んでいかない?奢るよ」
「そうだなぁ」
スーアは、上等な宿に入る機会があまりなかった。
父親に連れられている間は、ラヒトのような知り合い宅に泊まる。
貴族の屋敷に招待されることも珍しくなかったが、高級宿に泊まったことは記憶にない。
路銀を節約して、基本的には質素倹約な旅しかしたことがない。
少女に連れられ宿に入ると正面にフロントがあった。
受付の男性がカウンター越しのお辞儀をしてくる。
「こっちだよ」
案内された先にはラウンジがあり、数人がソファに座っていた。
スーアと少女がふたり席に座ると女給が注文を取りに来た。
「ご注文お決まりでしたらお伺いいたします」
居酒屋などのさばけた感じと違って、しっとりと落ち着いた感じだった。
「わたしは果実茶を。スーア君は?」
「白湯・・・は、無いかな」
「温度はどうされますか?」
女給は微笑みスーアの注文の確認する。
「あ、熱いをの!」
「畏まりました」
女給はお辞儀をすると部屋の奥に歩いて行った。
スーアはその後姿を見て、やにわにドキッとした。
エプロンにロングスカート、いわゆる家政婦姿だと思っていた。
ロングスカートの生地が柔らかくお尻の形が判る。
おまけに後ろには、腰のあたりまでスリットが入っていて、歩調に合わせて太ももが見え隠れする。
ギリギリ下着が見えそうだった。
家族が肌の露出が多い服装が当たり前の少年には、逆に刺激が強かった。
「スーア君、いやらしい目」
スーアの正面には、頬を膨らませた少女が不貞腐れていた。
いかがでしたか?
なかなか積極的な女性陣です。
次話をお待ちください。




