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自己研鑽 その2

ここまでお読みいただいてありがとうございます。


ラヒト工房でお夕飯です。


ではでは~


「ただいまー。あれっ?お義父さん、お客さん?」

「おおぅ。おかえり。スーアのお客さんだ」

買い物から帰ってきたヴェルンは、居間に緊張した女性ふたりを見つけた。

鍛冶師バスム・ラヒトは、珍しそうにする義娘(むすめ)に説明する。


「へぇー、いきなりふたりかぁ。スーア君も隅に置けへんね」

冗談を言いながら、台所で食事の準備に取り掛かる。


「おかえり」

「ただいま、あのふたりも夕飯食べて行くんやね?」

何かをいい(にく)そうにするスーアを見透かすヴェルン。


「うん、いいかな?」

「連れてきておいて、いいかなは、ないわ」

ヴェルンは、やっぱりとばかりにテーブル一杯に食材諸々の荷物を持く。

ハーフドワーフは母親譲りの力持ちだった。


台所で新鮮なウサギの肉を見つけたヴェルンは機嫌が良くなった。

「ウサギじゃない。スーア君お手柄」

「明日も獲ってくるけど」

「しばらくウサギ三昧やね。腕をふるったげる。そうそう、お客さんも歓迎やよ」

腕まくりし、調理にかかる。


「俺、毛皮に手を入れてくるから」

「ほいほーい」

スーアは、居間のふたりに合図を送ると階段を降りて行った。


≪ダダダッ≫

「あ、あの手伝います」

「み、水汲んできます」

イシュグダさんと少女は、大慌てで台所に飛び込んできた。


「な、なんやなんや!」

その迫力に図らずも驚くヴェルン。


「あ、いえ」

「う、すみません」

「ええよ、ええよ。で、どっちから誘ったん?」

勢いが付き過ぎた二人にいたずらっぽく質問する。


「スーア様をお誘いしたら、ご招待いただきました」

「ふふん。わたしは、彼から誘ってもらったもん」

窓口嬢に勝ち誇る冒険者。


「そっかぁ。こりゃ、料理対決かな」

「「!!」」

「胃袋を掴んだほうが勝ちなのかなーーーー」

この後、ヴェルンは、キッチンでお茶を飲みながら食事ができるのを待つことになった。


 = = = = =


「なんじゃあ、今日はスーアの初仕事の祝いかぁ」

「お義父さん、今日は、ね?」

義娘のウインクにある程度理解した鍛冶匠は、おとなしくテーブルに着いた。

目の前に家じゅうの器を使って、料理が並んでいた。


「あー腹減った。い、お、わぁー、すごいなぁ」

生皮を洗い、毛皮にするための下準備が終わったスーアが居間に戻ってきた。


「むー。スーア君、ケモノ臭い。洗ってきて」

石鹸を渡されるとスーアは、後ろ髪をひかれるように階段を下りていく。


「我が義娘ながら、厳しいのうぉ」

「いいんや、気を遣うくらいやないと女心に気が付かへんやもん」

料理を作ったふたりに目を向ける。


面接会場の就職希望者のようにかしこまっているふたり。


ラヒトは、つまみ食いをしようとした手をヴェルンに叩かれ、木杯の酒だけ飲んでいた。


「お待たせぇ。ゴメン、待たせちゃって」

「うんうん、今のは、点数高いで」

「何の点数だよ」

スーアとヴェルンの軽いやり取りであっけにとられる客ふたり。


誤解してしまった。

スーアとヴェルンはできている(・・・・・)


がっくりとするふたり。


いつもよりふたり増えたのにいつもより静かな晩餐だった。


 = = = = =


「ささ、お嬢さまふたりを無事に送ってくるんよ」

「ハイハイ」

「ハイは一回」

「ハーイ」

「短ーくー」

「ハイ」

「もう、聞き分けないとお姉さんに言いつけるよ」

「それは勘弁して」


再び、他人同士とは思えないやり取りを見せつけられるふたり。

ラヒトが眺めても明らかに元気がなかった。


ヴェルンは、スーアとのやり取りでどうやら誤解されていることを確信した。

これでは、張り切って料理番を変わってくれたふたりに申し訳ない。

かといって、安直に説明しても疑われるだけだと結論した。


「今日は、おいしかったなぁ。どうや、スーア君の感想は?」

「あ、うん。種類がいっぱいで、どれもおいしかったよ」

ヴェルンの問いかけに受けごたえするスーア。


そのやり取りを注視するふたり。


「ウチももっと頑張って、旦那(・・)に喜んでもらえるようにせんとなあぁ。ねぇ、お義父さん」

「そうだな。旦那は、口が肥えてるからな。不味くても文句は言わないだろうが」

さりげなく【旦那】を口にするヴェルン。


「スーア君も旦那みたいにええ(おとこ)になりそうやから、楽しみやな」

キシシと笑って見せるヴェルンの態度にふたりに何か伝わった。


「スーア様、わたし、そろそろお(いとま)しようと思います」

「スーア君、わたしも宿に帰るから、送ってね。ああ、ふたりともお願いできるかな」

「お任せください、お嬢様がた」

恭しく挨拶してみせるスーア。

両親たちに連れられてあったことのある貴族の仕草を真似してみせた。


「はぅ」

「あ、ありがと」

照れるふたり。


「んじゃ、また(・・)明日ねぇ」

さりげないヴェルン。


「ひゃっひゃい」

思ってもいなかったイシュグダさんは声を裏替える

何も言わずコクコクうなずく少女。


ふたりとひとりは、イシュグダさんの暮らすギルドの女子寮に向かった。

いかがでしたか?


無事(?)お夕飯が終わりました。

しばらくスーア君の周りはピンク色かもしれません。


次話をお待ちください。

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