ミーハー
「とうとう異世界移動マシーンが完成したぞ。」
「やりましたね、博士。」
イコシカ博士と助手のルテケヌは、異世界移動マシーンの前で完成の喜びを分かち合った。
イコシカ博士が開発した異世界移動マシーンと呼ばれるそのマシーンは、巨大な卵型に丸い窓が四つ付いたフォルムをしており、中に二人乗り込める作りとなっていた。
「よし、ではさっそく異世界の旅に出発じゃ。」
二人は異世界移動マシーンに乗り込むと、異世界へと旅立っていった。
比較的男前の、だがあくまでごく普通の高校生、冴木誠が異世界にやってきて一ヶ月程が過ぎていた。
その間、エルフや一国の女王といった様々な仲間に出逢い、様々な冒険を繰り広げてきたのだが、ここでは割愛する。
誠がエルフのティナに言った。
「ティナ…、今までお前がいたからこの冒険を続ける事が出来た…。ありがとな…。」
「バ、バカ…。あんたこんな時にいきなり何言ってんのよ。場所わきまえなさいよね。」
ティナは頬を赤らめながら照れくさそうに答えた。
「ちょっとお二人さん、いちゃつくならザグロスの馬鹿を倒した後にしてくれよ。」
「そうですわよ、ティナさん。」
と、賞金稼ぎのバンと女王のリリアが言った。
「別れの挨拶はすんだか。では行くぞ!!」
魔王ザグロスが手のひらから炎の玉を出そうとする。
「来るぞ!!」
誠達が戦闘体制に入る。
その時、対峙した誠達とザグロスのちょうど中間辺りに巨大な卵が出現した。それは、イコシカ博士と助手のルテケヌが乗った異世界移動マシーンだった。
突然出現した巨大な卵に、何事かと動きが止まる五人。
卵からイコシカ博士とルテケヌが出てきて言った。
「ここが異世界ですか、博士?」
「うむ、よく『小説家になろう』で好まれる世界じゃ。」
「あ、博士見てください!!グラマラスな女性がいますよ!!あっちには魔王っぽいのもいる!!すげー!!」
ルテケヌはスマホで写真を撮り始めた。
「一体こいつら何なのよ、誠。」
「俺に聞かれても知らないよ。お前の仲間か!?ザグロス!!」
「いや、こんな奴ら知らない。」
そんな五人を他所に、イコシカ博士とルテケヌは構わずスマホで写真を撮り続ける。最後に五人、一人一人と握手をするとマシーンへ乗り込み帰っていった。
「博士、今度は光るライトサーベルとかダークサイドに落ちた騎士が出てくる、宇宙戦争的な世界へ行きましょう。」
「そうじゃな。最近最新作が上映されたようじゃしな。」
二人は楽しみでいっぱいだった。