最終話
目を開けると、机の影に隠れて泣いているサラがいた。彼女は白いうさぎのような、はかないもののように見えた・・。
横には二人の身体が転がっている。
僕はもう全て知っていた。ケイを一人ぼっちにしたのは僕だ・。
僕は怯える彼女に近寄り、抱き締めた・・。
ハッピーエンド・・・。
僕は彼女を食べようとしなかった・・。
出来なかった・・。
もう一人の僕が、そうさせなかった・・。
確かではない・。
けれど、彼は彼女を・・
・・・愛してる。
ケイ【・・僕はサラが好きだ。】彼女は僕を見て、微笑んだ・・。
それはどこか淋しそうだった・・。
そして僕が再び彼女を見ると、口が動いていた・。
【はっ・・ぴ・・・えんど・・。】
サラは震える手で、床に落ちていた血まみれのカッターを持ち、僕の胸に指した。僕は意識の薄れていく中で、彼女の言葉を聞いた・・。【私・・嬉しかった・。ケイと会えて・・・。】
僕はもう、目を覚ますことはなかった・・。
僕、としても・・・。
そして、ケイ・。としても・・・。全ての終わりから二年・。美野 幸子は、まだ刑務所にいた。暗くて狭い、ゴミ置場のような汚い床・・・。
幸子は面会をしに来た、ある男にこう、話す・・。
【私は・・・結局、ケイを救えなかったんです。・・そして、こうするしかなかった・・。・・・ケイを守ること・・・諦めちゃった・。・・ケイには・・・私しかいなかったのに・。
・・ケイを見てること・・つらくて・・
苦しくて・・・。
・・・。】
男は頷きながら、彼女の話を聞いている。
【私・・・生きます・・。ケイ・・と・・・ケイが殺した・・・皆の命・・生き・・・ます・・から・。
だから・・・
演劇部を・・返してください・。】 彼女の潤んだ涙に歪んで見えたのは、二年間南高校演劇部の舞台監督を努めた、長山 詠司・・・
ウタ・。だった・・・。