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苦くない珈琲が飲みたい  作者: 夢呂
【第二章】優木梨花目線
6/20

私がラブレターを多治さんに渡して3日が経った。


――――私は家でも学校でも、ため息しか出ない。


「もしかして、無視(スルー)されてるんじゃない?」


奈緒ちゃんが見かねて言った。

でもそれ、私の心を更にえぐってますよ、奈緒ちゃん。



「だよね…。」

今ので9999回目の、ため息をつきながら私は奈緒ちゃんの言葉を受け入れる。


(オージさん、お店にも来なくなってしまったし、明らかに避けられている。

このままじゃ、何も出来ないままもう会えなくなってしまう。)


「あぁ…っ、どうしよう…」

(せっかく出逢えたと思ったのに…ーーー)


「とりあえず、lineの連絡先教えたんなら待つしかないんじゃない?」

奈緒ちゃんが私の前の席に椅子の向きを逆にして座って、頬杖をついたまま冷静に言う。


「…うん」

(あぁ、失敗した。携帯番号も書くべきだった…。)

lineのIDだけじゃうまく探せなかったのかもしれない。

浅はかだったわ…。




「優木さん?悩み事?」


「赤坂くん」

顔をあげると、同じクラスの赤坂新(あかさかしん)くんがすぐ横に立っていた。


「悩み事でも、君の出番は無いから。ご心配なく」

私の代わりに、奈緒ちゃんが言う。


「怖…」

「奈緒ちゃん、怖いって」

私と赤坂くんが同時に反応する。

奈緒ちゃんの眼光が鋭すぎて、私も赤坂くんも黙った。


「あんな下心丸出しのやつに、相談なんてするわけないでしょ?」

逃げるように離れていった赤坂くんの背中を睨みながら、奈緒ちゃんが言った。


「…―――」

(これは、ありがとうと言うべきなのかな?)

私はハハハ…と苦笑いしながら誤魔化す。


と、急にあの日のことを思い出した!


「本屋さん!」

勢いよく椅子から立つと、ガガッと椅子が鳴った。


(お店が無理なら、次は!)


「駅前の本屋さんで一度会ったの!今日からそっちで探してみるよ!」


希望を胸に、私は鞄を持って走る。


「そう…程々にね」

聞き違いかもしれないけど、教室から出るとき奈緒ちゃんが、ため息混じりにそう言ったような気がした。


(あぁオージさん…、今日こそ逢えますように…ーーー)

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