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「おはようございます」
翌朝、彼女の笑顔を見たとき、俺の疑問は解けた。
(どこかで見たことあると…思ったのは、気のせいじゃなかったーーー)
「…カフェオレ、ひとつ」
そう言うのと同時に、昨日『カフェオレ好きなんですか?』と言った彼女の言葉が脳裏をよぎる。
「かしこまりました!」
彼女はニコッと微笑んで、カフェオレを淹れる。
そんな、コーヒーショップの店員である彼女を無意識のうちに俺はじっと見ていた。
(毎日通ってるくせに、今まで気付かなかった…ーーー)
コーヒーショップの制服は落ち着いたブラウンのシャツに黒のエプロン。
昨日見かけた高校の制服とは違い、彼女は実年齢より大人びてみえた。
「お待たせいたしました、カフェオレです」
そう言って、店員の女の子が俺の前にカフェオレの入った紙袋を手渡す。
「ありがとうございました」
彼女の声を背中で聞きながら、俺はコーヒーショップを出た。
時刻は6時45分、いつもと同じ通勤時間だ。
(可愛い子だったな…ーー――)
いつもより軽い足取りで俺は会社へと向かった。