13/20
1
「最近どうなの?」
「ん?」
奈緒ちゃんにそう聞かれたとき、ギクリとした。
“どうなの?”と聞く話題といったら、あれしかない。だけど私はここ数日、その話題をずっと避けてきたから、今日もなんだか逃げたかったんだ。
「“友達の”多治さんと」
しらばっくれた私に、容赦なく奈緒ちゃんが質問を投げてくる。
「ええっと…音信不通、かな」
乾いた笑いでハハハと笑っていると、奈緒ちゃんが呆れたようにため息をついた。
「ほらやっぱり!完全に相手にされてないじゃない!!」
言われて改めてそうなのかと痛感する。
「…友達なら、イケるかなと思ったんだけどな…」
諦めたくないんだけどな。初めてこんな情熱が溢れ出てくるから。
「その人のことは諦めて、次探しなよ、次!」
奈緒ちゃんが簡単にそう言って、気持ちの切換を提案してくる。
「年上が良いなら大学生とかでいいじゃん!!」
「別に、年上が良い訳じゃないよ」
(“多治さん”だから。“多治さん”がいいんだよ…)
私が真顔でそう言うと、奈緒ちゃんが不思議そうに言った。
「なんでそんなにその人に執着してるの?」