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苦くない珈琲が飲みたい  作者: 夢呂
【第三章】多治大輔目線
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夜の8時、残業をしていた俺のところにlineの着信音が鳴った。

スーツのポケットから取り出して確認してみると、今日連絡先を教えたばかりの女子高生、優木梨花からだった。


『お仕事終わりましたか?』


「いや、まだ仕事してる」

俺はささっとそれだけ送って、また仕事に取り掛かる。


するとすぐに、『頑張ってください』というメッセージの書かれた可愛らしいキャラクターのスタンプがすぐに送られてきた。


(レスポンス、早っ)


まるで会話しているようなテンポで、返ってくる彼女からの文字。



「多治くん、もうすぐ終わりそう?」


隣の席の鈴木優那(すずきゆうな)さんが、パソコンをシャットダウンさせながら声をかけてくる。


「あ。はい…もう少しです」

携帯電話をデスクの隅に置き、俺はパソコンのキーボードの上に置いた手を急いで動かす。


「何、嬉しそうに携帯電話なんて見ちゃって。彼女?」

見たわよーと優那さんがニヤニヤしながら俺の顔を見てくる。


「嬉しそうになんて見てないし!」

(彼女じゃないです!)


俺が必死に否定すると、優那さんが盛大に笑う。

「心の声の方が口から出てるわよ、多治くん」


(わー、俺アホすぎる!!)


「まずは仕事に集中しなさいねー。お疲れ様」

笑いが止まらないのかヒーヒーお腹を押さえながら優那さんは帰っていった。


(“彼女”…か)


彼女と呼べる人がいたのは、何年前だったろう…。

思い出すことを吹っ切るために、俺はまた仕事を片付けることに専念した。



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