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苦くない珈琲が飲みたい  作者: 夢呂
【第一章】多治大輔目線
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「あ!カフェオレの…」


何気なく寄った駅前の書店で、俺はそんな呟きを耳にした。

驚いたような、気付けて嬉しいような、そんな女の子の声。


―――まさか、その言葉が俺に向けられているなんて、思うはずがなかった。


「あの!カフェオレ好きなんですか?」


―――だから袖を引っ張られたとき、俺はビビった。


「…はい?」

(俺に言ってるんだよな…めちゃめちゃ俺の方見てるし)


ビビりながらも振り返った俺は、こちらをじっと見つめているその女の子に見覚えがあった。


腰辺りまである長い黒髪、真っ直ぐに整っている前髪、

二重で大きめな目に、黒くて大きな瞳。


背は低めだが俺が178だから、きっと155くらいか?

見た目幼いが、多分着ている制服はどこかの高校のものだろう。

―――つまりこの子は、現役の女子高生だ。



「あの…失礼ですが…。どこかでお会いしましたか?」

俺は今年27歳。

なのに、10歳ほど年の離れている女の子にこんな口調で話したのには、理由がある。


一つは、“変ないちゃもん”つけられたら怖いから。

もう一つは周囲の人間に、 “この子とはなんの関係もない”と分かって欲しかったから。


やってもないのに“変態発言”とかされて会社をクビになったらどうしよう…、俺の頭の中にはそんな不安しかなかったのだ。


(俺は、何もしてない!女子高生に知り合いなんているはずがないんだ!)


「私、分かりませんか?」


――――だから、そんな(ふう)にガッカリされる筋合いは全くないはずなんだよ、お嬢さん。


とりあえず、俺のシャツから手を離してくれませんかね、

色々と、怖いんで。

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