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新入部員は不良っぽい!? 2

宮本「不良がいっぱいでた。終わり」

駒人「だからやる気だしてくださいって!」

 結局昨日はスケバン女子生徒との邂逅いらいは何もなかった。あの後のモヤモヤ感は今でも続いている。

 そのせいで家に帰った後も親には元気ないねと心配されるわ、妹には跳び蹴りをくらうわと散々である。

 

 なんなんだろうなぁ……このモヤモヤ感……。

 

 これはどこかで会ったことがあるけど思い出せない、というよりは不可解、といったモヤモヤ感に近い。

 あのスケバン、何か違和感を感じたんだが……何だ?

 

 もう強くなりはじめた陽気と涼しげに吹く5月の風を肌で感じながら、俺は学校への登校中、そんなことを考えていた。


 【新入部員はワルっぽい? 2】



「モヤモヤモヤモヤモヤモヤモヤモヤモヤモヤ――――――――――――――――――――――――――――――」

「どうしたんだ!? まさか俺の宿題を押しつけすぎて脳に疾患が!?」

 オーノー! というジャスチャーと共に驚きを露わにする桂木は無視し、俺は考え事を続ける。

 

 昨日出会ったスケバン女子生徒、あれはただ者じゃない。

 部員にするならアレくらいのほうがカスミも喜ぶだろう。それに俺のモヤモヤも突き止めたい。


「あぁーもう! 昨日は駄目だったけど今日こそ絶対パーフェクトに捕まえてやる!」

 

 またロフトで寝ていたカスミは突如大声で叫ぶと、ロフトから飛び降りその勢いで部室を飛び出していった。バシューン! という効果音がするくらいの勢いだった。ばしゅーん。


 さて、俺もそろそろ動くか。

 体育館裏に行くわけにはいかないから、その辺りに近づかずに校舎を探索することにしよう。


「なんか忙しそうだな、お前ら」

「お前はとっとと宿題終わらせろ。

 ――まったく、要領が悪いヤツだ。まぁ不器用男の子として売り出していくならそれも悪くは」

「誰に売り出すってんだよ! 速く行け!」

「へいへい」


 桂木に追い出された形となった俺は、また校舎を探索し始めるのだった。

 

 

 






 しかし放課後はいろんな部活がひしめきあっていて、俺のような制服で一人でぶらぶら校舎を歩き回っている生徒は少し珍しい。  

 なので結構ジロジロと見られる。少し歩きにくい。


 そんな周囲の目から逃げるためにも、はやくそのスケバンに出会いたかったが、なかなか見つからない。

 

 もしかして家に帰ったんじゃないだろうな……。

 スケバンなんだからありえる。部活には行ってないんだし。


 結局そのあとも校舎内を歩き回ったが、それらしい人物すら見つけることなくただ時間を潰しただけとなってしまった。




 ◇◇◇


 新入部員勧誘3日目、カスミは珍しくまだやる気をみせており今日も部室に全員が集まったとたんに飛び出していった。


「今日は見つかる! そんな気がする!」

 

 少々カスミの発言は不安だったが。




「じゃあ俺も行ってくるわ」

「あ、今日は俺も行きたいんだけど」

「宿題しろ」

「終わったし! 宿題終わったし!」

「じゃあこれでもやってろ!」


 桂木には適当に物理と生物のワークを与えて部室に置いてくることにした。

 たぶん来ても役に立たないからな。








今日は昨日のように、フラフラ歩いて何も収穫無し、という悲惨な一日を送りたくないのでしっかりと行く場所を決めておいた。

 部活の始まりの場所、そして不良がよく行く場所。

 

 屋上である。


 あそこに行けば出会えるきがする。そんな気がするのだ。




 そして、彼女はいた。



 前とかわらず同じロングスカートに同じ髪型。

 グラウンドを見下ろしている姿はとても凛々しい。

 

「良い天気だな」


 俺は前から考えてあった言葉を投げかけ、その女子生徒の横に立つ。

 ほのかに、カスミと同じ香りがした。


「またお前か。一体何の用だ」

「よく来るんだよ。ここ。

 君も好きなのか? この屋上」

「どうだろうね…………」


 スケバン女子生徒は気だるそうにしながらも、会話を続けてくれる。

 やはり、悪い人ではなさそうだ。

 それに、近くで話してみるとスケバンらしいと感じられない。


 俺はアタックしてみることにした。


「そうそう。実は俺たち、部活をやってるんだ。

 まぁ最近出来た部活なんだけど……」

「あぁ、あの何してるか分からん部な」

「まぁそうだ。

 ――――君も入らないか?」

「…………ッ! ハハハハハハハ!!」

 

 突如、屋上に笑い声が響く。

 楽しそうに、スケバンは笑った。笑っていた。


「私に? 勧誘? ハハハハハハ! 舐められたものだなアタシも!」

「そうかな? ハハハッ」

 

 俺もつられて笑う。

 ここが正念場だ。


「どう? 入らない?」

「…………面白そうだけど、遠慮しておこう。アタシが入っても邪魔だろう」

「そんなことないって。どう?」

「……気が変わったら入らせて貰うよ」

「じゃあせめて名前だけでも! 俺は1年、長良川駒人、駒人って呼んでくれ!」

「……アスカ。……飛ぶ鳥と書いてアスカだ。フルネームは土井どい飛鳥あすか

 あと1つ言っておくが、アタシは2年だ。君の1つ年上だな」

 

 へ? 2年…………?

 てことは、俺は今まで先輩にタメ口だったのか? しかもスケバンに?

 なんて笑えない冗談だ。


「先輩! すいませんでしたっ!」

「いいんだいいんだ。ため口のほうがアタシとしても助かる。敬語なんて背中がムズムズするからね」

「そう……か?」

「そうそう。まぁ、君と次に関わるのはいつか分からないけどね」

「いや、やっぱり入部してください! じゃなくて入部して!」

「いいよ。アタシは不良だ。足手まといになるだけさ」

「それ……本心なんですか?」

「ん?」

「いや…………いいです」

「そ? じゃあアタシはもう行くから」


 結局、彼女は屋上から姿を消し、この日も部員獲得とはいかなかった。


 

 前書きにもあるとおり宮本センセが出てきません。

 出す場所が無かったのです。ごめんねセンセ……。

 

 少し短いですが次回がこの章最後です。

 では、心の片隅でご期待ください。

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