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厄介な部活勧誘に捕まったっぽい 5

 前回のあらすじ


 別に、桂木との間接キスなんか気にしてないんだからなっ!!


 あと今回はシリアス回になりそうな予感がする……。

 なんだかんだで金曜日、カスミ2号こと宮本先生の助言? 通り俺とカオルはカスミの後をつけていた。

 今日も案の定部室に顔をだしたあと、部長カスミは校舎に戻っていったからだ。

 

「おい駒人、ホントにいいのか? こんなことして……」

「もっと静かにしろ。ばれちまうだろ……」


 他の生徒にストーカー扱いされないよう、一定の距離を保ちつつ堂々と後をつける。これぞ尾行の極意。

 どこへ向かうのだろうかと後をつけていたが、行き先は特に意外な場所ではなかった。


 職員室、カスミはそのドアを開けるとなにやら誰かを呼んでいる。

 そして数分、カスミは出てきた先生を引き連れて、……あろうことか職員室の手前にある生徒指導室に入っていった。

 しかも引き連れた先生は1年学年主任、多河たがわ先生である。指導で有名、野球部顧問、熱血硬派なガチムチ教師だ。


「これは…………」

 桂木も驚きの呟きを漏らしている。


「何か事情がありそうだな……」

「事情って何だよ」

「分かってたら尾行してない」


 桂木の疑問を一蹴しつつも俺は思考する。

 入学して5日目で指導となると、なにか事件を起こしたのかあるいは……嫌な予感がする。


「ちょっと中の会話聞いてみるから、見張り頼んだ」


 桂木に指示を出しながら、俺はすぐに指導室の扉に耳を当てる。


『盤仲、そろそろ諦めたらどうだ。いくら頼もうがその要求は呑めんぞ』

『無理ね。私はこの案を押し通す。それがこの学校を選んだ理由であり、目標だからよ』

『一点張りか……。しかし盤仲、それを実行してどうするつもりだ』

『愚問ね。さっきも言ったはず、私はこの部活・・を絶対に創立してみせる。誰になんと言われようと、ね』

 

 なん……だと……?


「カオル、帰ろう」

「? なんでだ?」

「部室で話す。まずは一旦帰ろう」


 一気に押し寄せてきた納得と新たな疑問。

 俺はそれらにたとえようのないやるせなさを感じつつ、部室へと帰った。


 【厄介な部活勧誘に捕まったっぽい 5】


「先生は知ってたんですよね」


 部屋に入るなり俺は問いただした。その答えを聞かなければ気が済まなかった。


「まぁね」

「知ってて俺たちには教えなかったんですか……。

 この部活が正式に発足していないことも」

「おい駒人……どういうことなんだ?」


 桂木が疑問を浮かべているようだが、俺はそんなことは気にしていられなかった。

 今はただ、カスミの真意を知りたかった。


「知ったら、君はどうしたの? この部活を抜けた?」

「それは……」

「彼女はそれを恐れたのよ。せっかく部員が2人も集まったんだものね」

「それは……」


 分からない。カスミは一体、何がしたいんだ。


「駒人……」


 一体どうすればいい。俺はどうすればいいんだ……。


「駒人っ!!」

「………………カオル?」


 いつの間にか目の前にいた桂木が、俺の肩をつかみ叫んだ。


「事情はよく分からないけど……相当ヤバイ状況なんだな」

「…………カオル………」

「アイツが困ってるんだろ!? 僕たちに頼らずに一人で!!」

「じゃあ俺達に何が出来るって言うんだ!」


「逃げんなっ!!」

「っ!!」


 顔を真っ赤にしながら桂木は肩を震わせている。

 桂木がこんなに本気なのに……俺は……っ!


「熱くなってるところ申し訳ないけど、ここで私のアドバイス、聞きたい?」


そのときだった。

 冷めた声で宮本先生が横やりを入れてきた。アドバイス、だと?


「どういう意味ですか……?」

「桂木君、そう焦らない。

 新しく部活を作る場合、部員3名に加えて署名が必要なのよ」

「署名?」

「そう、後は分かるわね?」


 先生はそう言うと口を紡ぎ扉へと歩き、ドアノブをひねった。

 そして何も告げることなく部屋を出て行った。


「駒人……」

「…………行くか」


 さすがに躊躇する理由は無くなった。

 署名? 書いてやるさ。

 まだ出会って日も浅いが、だからやらないという理由にはならない。

 

 俺はカオルと一緒に、また指導室へと向かった。


 ◇◇◇


「失礼します!!」


 指導室の引き戸を思いっきり開放し、俺は一応声をかける。


「何だお前ら。俺にようか?」

「新規部活動のことで話があります!」

「アンタ達……どうしたの?」


 唖然としているカスミは尻目に、俺は多河先生に署名を2枚、突きつけた。

 俺と桂木のものだ。


「カスミはもう提出してあるんだろ?」

「え? まぁ、その通りだけど……一体どうしたのよ」

「先生、これでは署名、足りませんか」


 多河先生は数秒うなった後、口を開いた。


「ダメだ」

「どうしてですか!」

「新規部活動作成に必要な署名は部員の数プラスワンだ。いわば仲介だな」

「じゃあ今から探してきます! だからそれまでしばしお待ちを!」


 俺がそう言い部屋から飛び出ると、

 トンッ

 軽い衝撃が俺の体に響いた。


「いったーい。腕折れたわー。腰も折れたわー。慰謝料請求できるレベルだわー」

「……宮本先生?」


 ぶつかった人物は、白いブラウスに黒いスラックスパンツ、ふざけたセリフをスラスラと棒読みする宮本先生だった。


「まぁ慰謝料はパフェ一食分で我慢しておいてあげる。今は急いでるからね。

 ……コホン、多河先生。少々話したいことが」

「宮本先生、何です?」

「コレを受け取ってください!」


 恥ずかしそうに封筒を差し出す宮本先生。告白でもするつもりかアンタは。


「これは?」

「一生懸命書いたんですよ? もう手が震えるくらい」


 多河先生が訝しげに封筒から取り出したものは、署名・・だった。


「顧問は部員じゃないですよね。まぁ合法な感じがしないでもないですけど」

「先生、ふざけるのはいい加減に……」

「生徒がやりたがってる事を見守るのが教師の役割だと思ってますから。キリッ」


 キリッ、と口で言いながらも真面目に多河先生を説得する先生。


「ですが、教師が署名をだすというのは前例がないんですよ」

「前例は作るためにあります。しかもこの系統の部活の前例がないわけではありません」


 そういうと宮本先生は頭を下げた。5度くらい。

 それはもはや会釈ですらねぇ!、というツッコミをこらえる俺。


「お願いします。この部活動、絶対この学校の為になりますから」

「そこまで言われるなら……」


 多河先生は観念したように呟くと、俺たちのほうを振り向いた。


「校長は俺が説得しておく。まぁ部活動が正式に始まる前に、部活動名くらいは考えとけよ」

「先生……」

「まったく、最近の子どもはだらしがないなんていうのは迷信だな。

 こんなにしゃっきりしてやがる」


 そう笑いながら、熱血硬派なガチムチ教師は部屋から出て行った。

 残された俺たちは互いに顔を見合わせると、失笑を漏らした。




 ◇◇◇


 後日談だが、部活動は正式に活動を認められた。

 結局部員は増えることはなく、3人プラス顧問一人の少人数制である。だがそれがいい。

 

 放課後に校庭の一角、少し汚れは落ちた部室に行くといつも出迎えてくれるのだ。


【部!!】

 

 乱雑に書かれたプレートが一枚、扉にガムテープで。


『活動内容は追って説明するわ。何をするかは私の気分次第ね』


 やっと教えてもらった部活動方針は、とんでもなく雑で部長の身勝手さを具現化したようなものだった。でもいい。

 きっとこの部活は、それくらいが似合っている。まぁ、まだ何をしたわけでもないがな。

 自分でもよく分からない高揚感を抱えつつ、今日は何をしようかと思いを巡らせながら、俺は部室の扉をゆっくりと開けた。

 

「お、やっと来たわねー。じゃあ今日の活動、始めますかー!」


 

 一章完結ですね。嬉しいです。

 ただちょっとドタバタ、というよりグダグダ感が否めない気もしますが、ポジティブシンキングに捉えましょう。きっと未来の糧になる。

 

 では、2章もありますので今後ともよろしくお願いします!

 では、次回お会いしましょう! 心の片隅でご期待ください!。



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