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プロローグ&第一話 急速に始まる新しい世界は

仕事帰りのことだった。

ふらふらと夜道を歩いていると後ろに気配を感じた。

後ろを振り向くとピカッと何かが輝いたかと思うと俺は意識を失っていた。

気がつくとそこは、日本の面影はまったくないほどの異世界であった。


「は?」


思わず声が漏れ出る。


「お嬢ちゃん、もうすぐ魔物がくるぞっ!家の中に避難しろ!おい、大丈夫?お嬢ちゃん」


四十代くらいのおじさんの声が聞こえてきた。

魔物か、ほんとにテンプレ通りの展開だ。

その前にまず状況を整理しないと…。


「お嬢ちゃん!」


肩を揺さぶられようやく俺に話しかけているのだと分かった。

振り向くと筋肉質の男がいた。


「お嬢ちゃん…?俺のことか?」


思わず聞き返した。

その声はとても高く男には出せる声ではなかった。


は????他の誰かと言ってることが被ったのか?


「そうだよ、お嬢ちゃん早く魔物が来るから避難しな!あ…お嬢ちゃんサキュバス種だったのか!?なら大丈夫だな。声をかけてしまってすまない!」


情報量が多い、


「あ、」


何か言おうとしたがその男は走り去ってしまった。

どうしよう…。

落ち着いてあたりを見回す。

水たまりがあったから思わず覗き込むと、


「なんだこれ、」


そこには、美少女がいた。

少しだけ赤みを帯びた黒色の長い髪、獰猛の開いた赤い瞳。

どこからどう見ても男には見えない。

それに胸部にある大きな膨らみ、これは…確実に女体化している。

これから、どうすれば良いんだよ、そんな事を考えていると後ろから唸り声が聞こえる。

慌てて後ろを振り向くと俺の身長の二倍はありそうなでっかい狼がいた。

これがさっき男が言ってた魔物…。


「……う、うわああああああああああああああ」


思わず叫んでしまうのも無理はないはずだ。

そんな呑気なことを言ってられる暇もない。

このままだと、確実に…死ぬ。本能がそう告げている。

なにか、なにか手は…、さっきの男、俺のことをサキュバスだと言っていたな…。

サキュバス…サキュバス…魅了か…?

使えるかはわからんが一か八かだ!


「グルルルルルル」

「魅了魅了魅了みりょうううううううううう!!!」


頼む使えてくれ!


「がうっ!」


恐る恐る目を開けると見事に狼は仰向けになり服従のポーズをしていた。


「やった、やった、やったああああああ」


安堵で力が抜ける。

地面にへたり込む。

しばらくすると、キラキラと金色の蝶が周りを舞いはじめる。


「…なんだ?」


その蝶はその狼の首の周りに集まっていき形を変えていく。

あっという間に赤色の首輪に変化した。


「は?…こ、これが、支配下に置けたということか…?」


その時耳元で音がした。

『レベルアップミッションー初級編ーの「スキル『魅了』を使う」「魔物と交戦する」「レベル100の魔物を従える」「魔物の信頼度を10…エラーエラー…合計で23個のミッションを達成。レベル53に進化します。』


え、ミッション?わけがわからない。

呆然と固まっているとまた声が聞こえてくる。


『レベル50達成、進化を開始します』


進化…?


「進化ってなんだよ、」


あっという間に体が膜の中に閉じ込められる。


「いったっ…いでででぇ、いてぇよ、」


痛い…痛い痛い、背中とおしりがすごく痛い。

その痛みは30秒ほどたつとなくなった。

そして、殻が割れ地面に投げ出される。

全裸で。

服ぅうううううう!?

すると、服がぽんっと爽快な音を立て体の周りに生成された。

すごい露出が激しいやつ。

そう、あのサキュバスといえばの初期衣装。

もっとマシなやつなかったのかよおい!心のなかでそう悪態をつく。

ふと我に返る。


「ここからどうしようか、」


あたりを見回すが、魔物を恐れて皆、家の中に閉じ籠もってしまってる。


「あ、あの、皆!魔物はもういないから、安心してでてこい!」


そう言ったが、声が小さい。

女のせいか甲高い声になっていて正直男だった俺にはすごく辛い。というか、気持ちが悪い。


「わおーーーーーーん」


従えた狼が大きく遠吠えをする。

こいつ、これから仲間になるんだし名前つけないと不便だろうなぁ。


「よし、お前、お前の名前は今からタロウだ!」

「くぅぅん」


お気に召さないのか狼はしょぼんと下を向く。くそ、ネームセンス0の俺に名付けを求めるなよ…!

…なにかいい名前は……。


「お前…お前の名前は、クロだ、ただの色の名前と思うかもしれない!けどなクロはブラックだ!つまりかっこいいんだ!どうだ気に入っただろう?」

「わうっっ!」


上手いこと俺の口車に乗せられ納得してくれた。

周りがどんどん騒がしくなる。きっとクロの遠吠えを聞いて集まってきたんだろう。

くるりと後ろを振り向いて言う。


「お前ら!この魔物は俺が従えた。だから安心しろ。」


うおおおおおおお!と、あたりから歓声が沸き上がる。

そして次々と俺のところに押し寄せてくる。


「お前さん、美人なのに魔物従えるとかすごいな!」

「おい、今夜俺とデートしようぜ」

「おいおい、そんなやつほっといて俺と…」

「その、魔物、もふらせてくれぇええええええええ!!」


んん…最後変なやつがいたな。

どう断ろうか悩んでるうちに、騒ぎを聞きつけた女性が家から出てきて、俺に群がっていた男たちを引きずって家の中につれてく。

堂々と浮気しようとしてたと同じだもんなぁ…。


「そこのアンタ、うちの男どもが迷惑かけてすまないねぇ、ほれ、うちは宿屋をやってるから今夜泊まっていきな」

「良いのか?あ、だが、俺は、金を持ってなくてな…。」

「ん?金かい?そんなの心配いらないさ。街を救ってくれた英雄に金なんか請求したらバチが当たってしまうからね」

「助かる。」


宿も確保。

今日一日は大丈夫そうだな。

今後はどうやって金を稼ぐのかも決めなければ…。


そうして、俺の異世界転移生活は開幕したのであった。


ーーーーー魔物に魅了がかからなかったときの世界ではーーーーー


「ガルルルルル」

「うわぁあぁああぁあああ」

近くの家に逃げ込み一命を取り止める。

だが、しかし、みんなからの信頼も得られず路地裏でひっそり死…


BAD END…

______________________________

別の世界線はゲーム感覚で書いてますが、この物語の中はまったくゲームの世界などではないので…()

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こーゆーの待ってた! 自分でも一応書いてみてるんですけど、うまくいかなくて、出来ればで良いんですけど同族化とかお願いします!自分のでは胸の隙間に大きな口があってそれで頭部に噛み付いて返しのついた尻尾を…
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