そろそろ暇になってきた
「·····めっちゃくちゃ暇だ」
私は海水実験施設の床にスク水で寝転がりながら、ダラダラと休んでいた。
·····いや、床というか、砂浜の上に置かれたビーチチェアなんだけどね!
さっきまで私はこの部屋の改造をしていて、直径10kmに広げて、砂浜やら磯やらリアス式海岸····· いま式って付けないの!?
お、おほん!私はこの海水実験室を自然現象までちゃんと再現するように魔法を組み込んだりしていた。
そしてひと泳ぎして磯遊びしたりして遊んでいたが、いい加減飽きた。
「はぁ、みんな遊んでくれないしなぁ·····」
私がこんなに暇してるのには理由がある。
ココ最近、みんなは各々の用事で忙しいらしくて私と遊んでくれないのだ。
「次は何しよっかなぁ·····」
◇
私はサングラスを掛け、ビーチチェアに寝転んでパラソルでできた影の中でオシャレなジュースを飲みながら考え事をしていた。
「むぅ····· なんか兵器でも作ろっかなぁ·····」
普通の少女が絶対に考えないであろう考え事だ。
まぁ、結論から言うと無理か無駄だ。
戦闘機は滑走路はおろかマトモに舗装された道さえ無いから飛び立てないし、私がそのまま飛べるのでヘリコプターやVTOL機(垂直離着陸機)も利点があまり無い。
多分作ってもドラゴンに撃ち落とされる。
前ドローン作ったら速攻で壊されたもん。
銃に関しても、マジックバレットを改造すれば何でもできるから別に必要ないし、魔法の方が無茶できるから利点は薄い。
でも物理的な攻撃って言う点ではかなり利点はあるし、兵器のシステムを魔法に流用して強化したりと、色々な事に役立っている。
「うん、武器の作成に関しては必要ないかな」
私は思考を一旦リセットするため、ジュースを1口飲んだ。
「あっ、うまっ····· トロピカルソーダ味のジュースうっま·····」
はぁ、砂浜はいいねぇ·····
こういう砂浜は前世では山派だった私はあんまり来なかったからなぁ·····
砂利だらけの糸魚川の海岸で翡翠拾いくらいしか·····
「砂浜をバイクで爆走したら楽しそう·····いやいや、砂に車輪が取られて動けなくなるかぁ·····」
はぁ、砂浜でもどこでも走れる万能兵器とか·····
砂浜
走る
兵器
その瞬間、私の頭にバグパイプのスコットランドな音楽が流れ始め、頭がパンジャンした。
「来た!天啓きたっ!!」
◇
海水実験室の砂浜に、奇妙な物体と私が並んでたっていた。
「という訳で、魔力推進式安定化パンジャンドラムや、このパンジャンはロケットを魔力推進式にすることで出力の向上を計り、無属性魔法や重力魔法でひっくり返らないようにした改良型パンジャンや、それじゃ早速転がしていくで」
私はパンジャンドラムこと奇妙な物体を作動させ、ロケット推進機構をONにした。
ぱしゅぅぅうううううう!!!
「おおー!!転がったー!!」
伝説級の珍兵器、パンジャンドラムは砂浜の上をゆっくりと転がりはじめ、加速して中々な速度で砂浜を転がって行った。
「これなら実践に····· あれ、あれ?操作が····· えっ、ちょっと!操作効かないんだけど!?」
私がパンジャンドラムを旋回させようと片方の車輪の出力を落とそうとしたが·····
暴走しちゃった☆
異世界に降臨した伝説の珍兵器は、この世界でも猛威を振るい始めた。
「いやぁぁぁああっ!!とまってーー!!」
シュバァァァアアアッ!!
私は止まらないパンジャンを追いかけて走っているが、追いつけない。
ゴッ!!
「あっ、岩に乗り上げ·····ってこっち来たー!!いやぁあああっ!!こないでー!!」
今度は私が岩に激突して急に方向転換したパンジャンドラムに追いかけられるという状況になってしまった。
「ああぁー!!!助けてー!!」
後ろを振り返ると、車輪から火柱を拭きあげて突撃してくる恐ろしい兵器が迫ってきていた。
私の足じゃ、追いつかれる!!
「あびゃっ!?ひいぃぃぃ·····」
走り慣れてない砂浜で足を取られた私は、顔面からビッターン!と倒れてしまった。
あぁ、もうだめだ、ノルマンディーの悪魔が私を吹き飛ばしに来ている。
もうだめだ、おしまいだァ·····
私は死を覚悟し、目をギュッと瞑って爆裂の瞬間に備えたが、それは無かった。
シュルルルル·····
「·····あれ?」
どうやら、パンジャンドラムの爆薬を搭載した中央部分をくぐり抜けてしまったようだ。
「小柄で良かった·····小さくてよかった·····」
ッダァァアアアアン!!!
「おっ!爆発·····」
後方からパンジャンドラムの爆発音が聞こえて、振り返るとそこには·····
「あぁぁぁああああぁぁああああああっ!!私の、私のバカンス用のビーチチェアがっ!!」
パンジャンドラムは砂浜に置いてあったビーチチェアなどを巻き込んで自爆、跡形もなく消し飛ばしてしまった。
「こ、この····· このクソ珍兵器がァァァアアアッ!」
私はもう二度とパンジャンドラムを使わないと心の底から誓った。
◇
あれから砂上移動について色々考えたが、私はひとつの結論に行き着いた。
ズザーーーー
「·····」
私はなんか開発に成功しちゃった人工プラスチック製のソリに乗って、それを無属性魔法「サイコキネシス」で引っ張って砂浜の上を高速で滑っていた。
ぶっちゃけこれがたぶん1番早いと思う。
「はぁ、今度乗り物でも開発しよっかなぁ·····」
ただ、この世界って道の整備がほとんど進んでないから、普通の車両だと走行はまず不可能だ。
だったらオフロードトラックとかオフロードバイクがいいんじゃないかって思うけど、そんなんじゃ無理なくらい大荒れしてるし、まず私にはハワイで色々教えてくれる親父も居なかったからトラックの操縦もできない。
となると、ホバーか無限軌道しか無いが、ホバーするくらいならもう自分で浮いた方が早いし、無限軌道に関しては戦車とか重機だから動かすのは無理だ。
って事で詰んだ。
「はぁぁ····· 男のロマン····· 仕方ない、珍兵器にお願いするかぁ」
◇
という訳で、戦車が完成した。
私はその戦車の上に体育座りをして、砂浜をノロノロと進んでいた。
「うん、珍兵器はやっぱり珍兵器だわ」
私が作ったのは、ドイツ軍が作った珍兵器『ゴリアテ』だ。
名前からして超巨大な戦車っぽく聞こえるが、その実態は全長1mほどのラジコンみたいな可愛いオモチャ的な見た目の戦車だ。
走行時速10km、段差に関しては12cmくらいまでしか登れない珍兵器だ。
「だめだぁ·····もうあとはトリープフリューゲルとかハウニブくらいしか·····」
珍兵器脳になった私の脳みそには、パンジャンドラムみたいにジェットエンジンで羽を回転させて飛ぶ珍兵器や、もはやオカルトの領域のUFOとかが飛び交い、地面に墜落して爆発していた。
「あぁ、パンジャンが進軍してきた·····」
私の脳内はもうめちゃくちゃだ。
·····ん?
おい、そこのソレなんだ?
ヘルメット銃を身につけた兵隊をパンジャンドラムの隊列が爆破している私の脳内イメージの隅っこで、変なものが動いていた。
なんていうか、こう、前がバイクで後ろが戦車の、戦車バイク的な感じの·····
思い出せ私、あれどっかで·····
「思い出したっ!!『Kettenkrad』だ!!」
日本語読みで『ケッテンクラート』と呼ばれるその車両は、前方にバイクの前輪と操縦桿、後方が戦車の無限軌道になっているという半装軌車と呼ばれる車両だ。
これは珍兵器ではなく、珍しい兵器という意味での珍兵器に近い乗り物なのだ。
「·····いける、行けるぞこれ」
この車両は荒地や泥濘を走破したり、兵器の牽引を目的で開発された車両だ。
これなら、この世界でも使えるっ!!
という訳で、私は魔法を駆使して『ケッテンクラート』の開発に取り掛かった。
ちなみに、アカシックレコードには外見しか残ってなかったので開発はめちゃくちゃ難航した。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:6才
ひと言コメント
「そろそろみんなと遊びたいのに、みんな遊んでくれなくて悲しい、もうすぐ誕生日なのに·····」
名前:『なかよし組』
平均年齢:7才
ひと言コメント
ア「よし!私の方はOKだよ!」
フィ「なんとか僕も終わったよ」
グ「明日には行けるわ、準備を整えておきましょ」
ウ1「ウェア〜、そろそろ交代して〜」
ウ2「まかせて〜!バリバリ働くよ〜!」
エ「ちょっと魔王城まで行ってくるのじゃ」




