ソフィ・シュテインとフシ町のチビ団
ある日の事·····
私たちは街の出入り口付近にある馬車乗り場にみんなでやって来ていた。
「帰るの久しぶりだなぁ····· みんな元気かなぁ·····」
「あれ?フィーロ君は手紙とか送ってないの?ワタシはよく送ってたけど·····」
「いや送ってるけどさ、やっぱりさ、直接会いたいから·····」
「うん····· ソフィちゃんもそう思う?」
「えっ!?あっ、うん、やっぱり直接会うのが1番だともおうよ!」
そう、私たちはこの夏休みを利用して、入学後初めての里帰りをしようとしているのだ!
·····けど。
実は私、実家には月イチくらいで転移で帰ってたりするんだ。
でも町民にバレたらまずいので外出はせず、家族だけの秘密にしてるんだ·····
まぁ今回は乗合馬車に乗っていくから初めての正式な里帰りだったりするので、久しぶりにフシ町を歩けるから楽しみだ!
ちなみに移動で4日滞在が1日の予定だ。
ちなみに今日は同郷のフィーロ君とアルムちゃんもついてきているけど·····
「うむ!ソフィたちの故郷楽しみなのじゃ!」
·····エビちゃんは既に故郷が滅んでいるとこの事で、何故か知らないけど付いてきた。
◇
·····で、旅路だけど、全カットだ。
理由?マジで何も無かったからだよ。
という訳で馬車は私たち(1名除く)の故郷フシ町の馬車乗り場に到着して、馬車乗り場にはみんなの家族が集まっていて、私たちは散開してそれぞれ家族の元へと走っていった。
「お母さんお父さんお兄ちゃんルーベさん!ただいまっ!」
「ただいまなのじゃ!」
『『おかえりなさい!』』
「じゃあ家にいこっ!」
「うむ!早く家でダラダラするのじゃ!」
「ただしエビちゃん、テメーはダメだ」
「ええええええ!?!?」
◇
結局行くところがないエビちゃんは私の家に来ることになった。
「という訳で、ワシは魔族のエヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシスなのじゃ!ふふふ、ワシは悪い魔族じゃないのじゃ!」
「魔族なんて珍しいわね·····でも歓迎するわ」
「だな、まぁソフィに比べたらマシか·····」
「·····かわいい」
「·····なんかワシに対する扱い酷いのじゃ」
まぁ、私の家族はもう私の魔法のせいで大分感覚が狂ってきてるからねっ☆
魔族が来た程度じゃ屁とも思わないようになっちゃったよっ☆
「まぁ、とりあえずいつも通り近況報告するねー」
「ええ、また何かやらかした····· あっ、ソフィ、あなた花火の件」
「あーあーあー!きこえなーいー!!なにもしらないよーー!!!」
「あの一件の処理、物凄く大変だったんだぞ····· 貴族からのお見合いの手紙が30通届いてるんだがどれが」
「やーー!!絶対やだ!無理!ファイアーボール!」
「あっ!こら!燃やすな燃やすなっ!!」
ちっ·····
お盆で弾かれた·····
ほんと面倒な事になったなぁ·····
◇
その後、エビちゃんの紹介をしたり手紙をこっそり燃やしたりして家族団欒やエビちゃんに家を案内してダラダラしたあと、私たちは久しぶりに町の探索へと出かけた。
「みんなー!やっほー!」
「あっ!ソフィちゃんとエビちゃんだ!こっちこっちー!」
「じゃあ久しぶりに町でも歩いて散策しよ·····ってそれ誰?」
「む?お主も付いてきたんか?」
「うん、ぼくも街に行きたかったからね」
町の広場に到着すると、アルムちゃんとフィーロ君が既に来ていた。
そして何故かお兄ちゃんも付いてきた。
「まぁいいや、お兄ちゃんも一緒にいこー!」
『『おーー!』』
◇
私たちは町中をぶらぶらと歩いて探索していると、突然フィーロ君が先導しはじめ、ひとつの店の前に到着した。
「ここが僕のおとーさんのお店、アルス錬金術店だよ!学校に行く前まではお手伝いしてたんだ!」
「へぇ····· フィーロ君ってここの錬金術店の子だったんだ」
アルス錬金術店はフシ町唯一の錬金術店で、魔法のポーションとか魔道具とかを扱っている、魔法の雑貨屋みたいな感じのお店だ。
ちなみに魔道具店も兼業としてやってて·····
あっ、魔道具は魔力で動く道具の事ね!
そんな訳でフィーロ君の実家の店は割と規模の大きいお店で、ウチにあるコンロとか明かり用の魔道具のメンテナンスに来てくれていたお店だから覚えてる。
「あれ?ソフィちゃんは知ってた?」
「んにゃ、フィーロ君がここのお店の子ってのは知らなかったけど、このお店は私の家でもお世話になってたから覚えてた」
「ワタシもお店は知ってたー」
「当然じゃがワシは知らぬのじゃ」
「あー····· そういえばぼくは会ったことあるかも·····」
「うぅ····· お手伝いといっても裏方作業だったから知らなくて当然だよね·····」
なんかフィーロ君が落ち込んでいたけど、気にせず私たちはフィーロ君のお店に入った。
◇
うん、先に言ってしまおう。
特に面白いものは無かった。
「子供向けの物、無かったね」
「うん····· お菓子とかは取り扱ってないからね·····」
「だったらワタシのお父さんの店にいこっ!ワタシの家はお菓子とか食材とか扱ってるから!」
『『おおー!』』
という訳で、私たちはフィーロ君のお店から離れ、アルムちゃんのお店に向かって出発した。
「おっ?あそこにいるの町長の息子と娘じゃねえか?あと魔道具店の息子と商店の娘も居るぞ」
「ん?あの角生えた子って魔族か?珍しいな·····」
「というかあれって魔法学校に行ったチビ団じゃねぇのか?帰ってきたのか·····」
そこの町民Cさん!チビ団の呼び方いいね!
というわけで、我々『フシ町のチビ団』はアルムちゃんのお店に向けて出発した。
◇
「ふふーん、ここがワタシのお家のゴルド商店だよ!お菓子とかも置いてるから買っていってねー!」
「おおー!アルムちゃんってこのお店の子だったんだ!ここもよく私の家でお世話になってた!」
「うんうん!ソフィちゃんのお家はお得意様だからねっ!あったことは無かったけどソフィちゃんの事は知ってたよっ!」
·····ごめんね、私はしらなかった☆
お父さんとお母さんがほとんど外で遊ばせてくれなかったからさ·····
会う機会が無かったのよ·····
◇
「いやー買った買った!じゃあ次は私の家でお菓子でもたべる?」
『『さんせー!』』
という訳で、私たちは町長宅、つまり私の実家へと向かった。
◇
そして私の実家に到着した。
久しぶりに来たとはいえ、見慣れた故郷だから道中では特に何も無かったからね。
「ただいまー!みんな連れてきたよ!庭でみんなでお菓子食べてもいい!?」
「おかえりなさい····· あぁ、アルス錬金術店とゴルド商店の所の子か····· ソフィ、ちゃんと許可を得たのか?」
「·····ぽひゅ〜♪ぷぴゅ〜♪」
「下手な口笛を吹くな、許可取ってないのはわかったから····· はぁ、どちらも顔見知りだから問題を起こさなければ構わないぞ」
「はーいっ!じゃあみんな庭にいくよー!」
私はみんなを引き連れて庭に行くと、レジャーシートを敷いてみんなで座り、お菓子を食べてお喋りをし始めた。
「ソフィちゃんの家、初めて来たけど大きいね····· さすがは町長さんの家だなぁ·····」
「うんうん、でも大きいから掃除が大変そう」
「あー、それならお手伝いさんが居るから大丈夫だよ、それでも結構大変みたいだけどね」
ちなみに私の部屋は魔法で綺麗にしてたりする。
「ワタシの家もそこそこ大きいけどソフィちゃんの家程じゃないからなぁ····· 年末の大掃除は従業員さんたちに手伝ってもらうくらいには大きいけど」
「あっ、僕の家もそんな感じ!」
·····薄々気がついてたけど、フィーロ君とアルムちゃんの実家も相当なお金持ちだよね。
まぁそりゃあんな超エリート校に通ってるんだから当然か。
あのアホ男子な····· リットン調査団じゃなくて、リッ〇パーティーじゃなくて·····
思い出した、リクレス君もああ見えて実家は裕福だからね。
「あのさ、エヴィリンちゃん、その·····ぼく·····」
「む?どうしたのじゃ?」
およ?リッ····· リリ····· リス·····
名前忘れたしもういいや·····
私が名前思い出してる間に、お兄ちゃんがエビちゃんになんかモジモジしながら話しかけてるぞ?
おやぁ·····?
「その、えっと·····」
「さっさと言わんか、ワシはこのコロッケを堪能するのに忙しいのじゃ」
「その、エヴィリンちゃんって可愛いよね·····」
ガタッ!
ガタッ!
ガタッ!
ガタッ!
恋バナに敏感なアルムちゃんと、普通に気持ち悪くてビビった私と、様子を見に来てたお母さんとお父さんが反応した。
おや?
おやおやおやおやおや?
「·····狙いは何じゃ?」
「その····· エヴィリンちゃんのツノ、触らせてくれないかな·····」
『『はぁ·····』』
そっちかー·····
「断るっ!!絶対にダメなのじゃ!!」
「ええ·····残念·····」
「ふんっ!ワシの角は絶対に触らせひゃんっ♡」
「ほらほらエビちゃん、ここが弱いんでしょ?」
「ひぅっ♡ひゃんっ♡らめっ♡そこはっ♡よわいのじゃっ♡」
エビちゃんがお兄ちゃんのお願いを強く拒否した理由はコレだ。
実はエビちゃんのツノ、めちゃくちゃ敏感なのだ。
というか性感帯だ。
このツノはかなり堅くて釘も打てるくらいには硬いし、物にぶつかる程度じゃ何も感じないんだとか。
だが、このツノは魔力レーダー的な役割があって、普段は空気中の魔力を感じ取るため魔力に対してかなり敏感になっているらしい。
なので、魔力がある物で直接触られるとこんな事になってしまうそうだ。
「はひゃぅぅぅ♡」
ちなみに、エビちゃんは角の捻れに沿って魔力を込めた指を這わせると物凄くフニャフニャになる
あと、エビちゃんには翼としっぽも生えている。
この2つ、普段は絶対に出さないよう隠してるし、洗う時か本気の時か本当に機嫌が良いときしか出さない。
そしてこの2つは角より弱い、前に私がお風呂に入ってるときフリフリしてて気になって、尻尾をキュッと握ったらとんでもない事になった。
マジギレされて前が見えなくなるくらい顔面を執拗に殴られた。
「って訳で、エビちゃんは角を触られると気持ちよくなっちゃうから触っちゃダメなんだよ?」
「はなせぇ♡もうらめなのじゃぁ♡あっ♡」
「ほらほら、ここが良いんでしょ?しっぽ出しなよ」
「ひゃうんっ♡ ·····てめぇいい加減にするのじゃ!!」
ばぎゃっ!!
「とらぶるっ!?」
エビちゃんはブチキレた。
◇
そんでまたしても顔を執拗に殴られた。
「くっそー、顔面が岡本太郎作品みたいになるまで殴りやがって·····」
「やっぱりソフィちゃんってアホだよね·····」
「うんうん、頭はいいけど行動がアホだと思う」
「はひー·····はひー····· ヤバかったのじゃ····· あとちょっとでヤバかったのじゃ·····」
「ぼ、ぼく、ちょっとトイレ·····」
「今回はソフィが悪いわ、ごめんねエヴィリンちゃん?ウチのソフィがイタズラしちゃって····· 後でキツく叱っておくわ」
「あぁ、こんな年端もいかない子にこんな顔をさせるなんて····· はぁ、学校に行けば多少はマシになると思ったんだがな·····」
「ソフィちゃんって学校に行く前からこんな感じだったんですか?」
「あっ!それワタシも興味ある!」
「ワシも興味あるのじゃ、ソフィへの罰として恥ずかしい話も聞かせてくれぬか?」
「やめてぇ!!みんなやめてぇぇえーー!!!」
『『断るっ!!』』
「あひぃん·····」
その後は私の昔話とかヘマとかを洗いざらい話されて死ぬほど恥ずかしい思いをさせられた。
ちくせう·····
◇
そして時間はあっという間に過ぎて、フィーロ君とアルムちゃんは自分の家に帰ってしまった。
エビちゃんは行く所がないので、今日は私の部屋に泊まることになった。
ちなみに夜ご飯もエビちゃんと一緒に食べた。
そして町の温泉を巡って泉質のサンプルを片っ端から回収して、今は私の部屋でエビちゃんと一緒にのんびりしているところだ。
「はぁ····· 恥ずかしかった·····」
「ワシもじゃ····· あのような痴態を『なかよし組』以外に晒してしまうとは····· これも全部ソフィのせいなのじゃ·····」
今日は酷い目にあった·····
みんなに私の生まれてからの恥ずかしい話とかを片っ端からバラされた·····
オネショした話とかしないでよ·····
「話変えよっと、どう?私の部屋、割とオシャレでしょ!結構頑張ったんだ!」
「ソフィ好みな部屋じゃのう····· ワシも中々好きなのじゃ、めちゃくちゃ凝っておるのぅ·····」
「うんうん、そりゃ私ですもの!」
「そうか·····はぁ·····ワシは疲れてらもう寝るのじゃ·····おやすみ·····」
「ええー·····じゃあ私も寝よっと····· おやすみー」
今日も今日とて大はしゃぎした私たちは眠りに付いた。
·····夜中になってトイレの場所が分からなかったエビちゃんが漏らすハプニングが起きたけど、それは言わないでおこう。
·····さっきの仕返しじゃないからね?
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:6才
ひと言コメント
「·····お兄ちゃんのエビちゃんを見る目が怪しいんだけど、とりあえず子供のフリして股間殴るべきかな?」
名前:アルム
年齢:7才
ひと言コメント
「お父さんとお母さんとお兄ちゃんたちとお姉ちゃんたちと妹たちと弟たちがプチ誕生日パーティーしてくれてうれしかった!!」
名前:フィーロ
年齢:7才
ひと言コメント
「やっぱり家族といると落ち着くなぁ·····」
名前:グラちゃん
年齢:6才
ひと言コメント
「私は今回出てこなかったけれど、実は私も実家に帰っていたわ、あと久しぶりにアビュースに罵倒されたわ·····」
名前:ウナちゃん
年齢:7才
ひと言コメント
「おじいちゃんたちに誕生日おめでとうって言われたー!うれしー!」
名前:エビちゃん
年齢:7才
「なんかソフィの兄からやたら視線を感じるのじゃが、ワシそんな珍しいかのぅ?マグウェル街じゃと魔族も時々見かけるんじゃが」




