今日はなんにも無いすばらしい1日だった。
「ああぁっつぅ〜·····」
私はディメンションルームにある日本を再現した米どころ、『瑞穂の里』にてタンクトップに短パン姿というだらしない格好で畳の上に転がりながら、汗をダラダラと流しながら魔道具の扇風機を浴びていた。
私はぐでくでしたまま、新鮮採りたての夏野菜が冷やされてる氷水入りの桶に手を突っ込み、キュウリを1本取り出した。
「はぁ、夏といえばこれだよね·····」
キュウリに齧り付くと、ポキッと子気味よい音を立てて折れ、カリカリとした食感とみずみずしさが身体中に染み渡る。
が、私の体は意思に反してキュウリの香りを嫌がって体がぞわっとした。
「『味噌』」
だから私は魔法で味噌を生み出して、キュウリにちょっとつけて齧る。
するとキュウリの香りに味噌の香りと旨みと塩分が追加され、夏の暑さで流れ出た塩分が補充されて体が生き返る感じがする。
·····おこちゃま舌になった私の身体は、キュウリそのままだとちょっぴり青臭さに抵抗があるから、味噌は必須だ。
「はぁぁ····· この前は散々な目にあった·····」
花火大会で調子に乗りすぎた私は、色々な方面の方から怒られて、しかも実力の一部がバレて、授業で手を抜いてたのがバレてさらに怒られて·····
そこから1週間くらいはもう大騒ぎで、爆音で怯えた魔物が街を襲ってきたり、私の魔法の実力を知って息子とか自分の嫁にと狙う貴族から手紙が結構沢山届いたり、魔法学校最強クラスの少女として持て囃されたり、空からカエルが落ちてきて口の中に入っちゃったり·····
そりゃもう激動の1週間だったのだ。
「はぁ·····もう生のカエルなんて食べたくない·····」
そして、いい加減に疲れた私は校長先生の圧力で色々何とかしてもらって、こうして休暇を楽しんでいるという訳だ。
ちなみに、みんなも今日は各自自由に行動する日にしてあるから、特にどこかに行く予定もない。
「あっちぃ·····」
「暑いなら涼しくしたらどうでしょう?ソフィ様であれば涼しく出来るのでしょう?」
「んにゃ〜····· 暑いのをたのしんでるの〜」
「·····そうですか」
『ぶにゃぁ·····』
あまりの暑さで私の愛猫『もっふす』もダラけてしまっている。
でもこんな感じで暑いのはいいなぁ·····
私は、暑いのは嫌いだけど好きなんだよね·····
ここの部屋は吹き抜け的な感じで外と直結してるから、たまに風が吹き込んできて涼しくて気持ちいい。
「あぁもうソフィ様、汗だくじゃないですか····· 汗で服が透けてますよ?ソフィ様はもう少し女性としての自覚をですね·····」
「あーあーあー!わかってるよー····· でもたまにはだらけたい日もあるのよー·····」
「はぁ····· 分かりました、でしたら強制的に」
「ッ取引しよう!キンキンに冷えたビールといい感じに海鮮系でビールに合いそうな食材と、それを焼くセットがここにある」
「·····ごくり」
「アキさんは雇い主公認で今から休暇で、暑い中美味しい海鮮を1人用の七輪で好きに焼いて食べてそれをキンキンに冷えたビールをキュッと流し込みたいんじゃないかな?そして私は誰にも説教されず、こうしてダラダラしてたい」
「·····」
「·····わかった、じゃあ採れたて夏野菜もセットで付けよう」
「仕方ないですね····· 今日は休暇を頂きます、では」
そう言うとアキさんは私が用意したセットを持ってキッチリと頭を下げると、そさくさと自分の部屋に帰って行ってしまった。
計画通り·····
ちなみにアキさんは凄く真面目な性格だけど、本性はかなりな酒豪で、割とダメ人間的な性格だったりする。
「まぁそんなことどうでもいいやー·····あー扇風機が気持ちいいぃ〜」
私は暑い夏の一日を悠々自適に楽しんでいった。
◇
「んぁ····· 寝てた·····」
私はいつの間にか寝ていたようだ。
しかも外を見るまでもなく部屋は真っ暗で、外を見れば満天の星空が広がる時間だった。
「ふぇ····· ふぇ····· ぺくちっ!ぺくちんっ!」
ううぅ·····
さすがに汗を拭かないで寝たら冷えてきた·····
「こういう時はお風呂に入るに限るよね!」
私はサンダルを引っ掛けて外に出ると、納屋からドラム缶風呂2号、横向きドラム缶風呂を転がしてきて、魔法で水を入れて、下に火の玉を作ってお湯を沸かしておく。
そのうちに私は服を脱いで、汗を吸ったタンクトップと短パンを洗濯するためインベントリの『洗濯物』エリアに入れて、全裸待機する。
「ふぇっ、ぺくちっっ!!」
くしゃみが止まらん·····
さむっ·····
暫くするとお湯がいい感じになったので、火の玉の火力を下げて中に入る。
「っっはああぁぁぁぁぁぁ·····♡」
あったかぁい·····
この風呂、底にすのこを敷く事が出来なかったので、色々工夫をして魔法を駆使して何とかすのこ無しで直接入っても火傷しないように調整した、超スグレモノなのだ。
それに、まだ小さい私なら足を伸ばして入れるから、移動式のお風呂としては最強の性能だ。
「星空を眺めながら、和風な空気を感じながら入るお風呂はサイコーだなぁ·····」
·····あっ、これから私はマジで虚無るからカットするねっ☆
◇
湯上りの私は、祭りに着ていったのとは別の、リラックス専用の浴衣を着て、縁側で団扇を扇ぎながらのんびりと夕涼みをしている。
「·····はぁ、いい雰囲気だ」
『ぶにゃ·····』
私の周囲には、何故かここで暮らしてもらってる田舎っぽい雰囲気の魔物たちが集まっていた。
もっふすに聞いたら、私からのんびりした優しい魔力が流れ出てきて気持ちいいんだとさ。
·····私、アロマディフューザーなのかな?
◇
時刻は21時30分
私は和室の畳の上に布団を敷いて寝る準備を整えて、ちょっとだけ縁側で空を眺めていた。
「私も、変わっちゃったなぁ·····」
この前、私が大荒れしてフィーロ君に慰められたあとから、私は変わってしまった。
「ソフィの石·····かぁ」
·····そろそろわかってきている。
このスキルは、私の中身がどうなっているのかを示しているのだろう。
スキルの名前が、完全に『ソフィ』になったとき、私が私になるのだ。
理由もわかっている。
あのキノコと戦ったときはみんなを、友達を守るために覚醒したんだと思う。
その時は限定的に私が出てきたけど、そこから賢人の石が変わった。
この時は振り仮名が付いて賢人の石に変化していた。
そして、次の変化はフィーロ君の誕生日の時だ。
私がフィーロ君が嫌がったと早とちりして大荒れして、怪我をしていじけて風呂に入ってたとき、フィーロ君が抱きしめてくれた事で変化した。
「·····たぶん、フィーロ君から抱きつかれて、安心したのが原因かなぁ」
昔は『男と付き合うなんて有り得ない』とか思ってたけど、少し抵抗は無くなってきた気がする。
·····私は誰のお嫁さんになるのかな。
誰かが好きになって、誰かと付き合うのかな·····
フィーロ君····· は違う気がする。
友達って感じだし、幼なじみだし、一緒にいると楽しいし、心がポカポカする····· のはみんなと同じだ。
それに、まだ男と付き合うのとかは抵抗がある。
でも、フィーロ君に抱きつかれたとき凄く安心したんだよね·····
そんな感じだったら、あんまり悪くないかも·····
「まぁ、まだ考えるのは早いかな·····」
なんか、頭がぽわぽわする。
不安とは違うモヤモヤが私の心の中に立ち込めてる。
普段考えないようなことを考えてしまう。
たぶん日々の疲れで頭が疲れているんだろう。
こんな日はフィーロ君にでも抱きついて寝たいけど、今日は『瑞穂の里』で寝たい気分なので、私は布団に潜って寝てしまった。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:6才
ひと言コメント
「ちなみに私って瑞穂の里みたいな感じの田舎な場所出身とかじゃないし、まず行ったことも無いんだよね····· でもこの田舎な雰囲気は大好きだから気にしないよっ☆」




