ほんね
深夜0時過ぎ
わたしはみんなに会わないよう、夜中に1人でお風呂にきていた。
·····ほんとはこのまま寝たかった。
でも、血が出てる手で、頭を掻きむしって、自分を殴っていたから、血でよごれてた。
でも、血濡れになるはずの純白のワンピースは、私を嘲笑うかのように真っ白なままだった。
わたしはそれを脱ぎ捨て、パンツも捨てるように脱ぎ散らかすと、鏡の前に立った。
「·····醜い」
脱衣場の鏡には、血塗れで、泣いて目が赤くなって、腫れて、ボサボサで血がついた髪で、死んだ目をした裸の少女が写った。
手から垂れていた血はもう止まったけど、手は血で赤黒くなってた。
「·····はぁ」
わたしは、よろよろと覚束無い足取りで風呂場のドアを開けて中に入った。
そして、いつもの席に座り、シャワーを掛けた。
「づっ·····」
針が刺さったところに水が当たって痛んだ。
まだ傷口が完全に塞がってなくて、固まってた血が溶けて、また血が滲んできた。
「·····」
目を瞑ると色々思い出すけど、もう涙が出てくることはない。
散々泣いて泣いて泣き続けたから、もう枯れた。
わたしは痛む手を庇いながら、血のついた所を洗って、髪も綺麗にして、温泉に入った。
「·····」
露天風呂からは、満天の星空が見えた。
·····空はもう見たくない。
月もみたくない。
何も見たくない。
わたしは目を瞑って、温泉の端っこで蹲った。
◇
ガラガラッ
「·····」
ひたひた
「·····」
ちゃぽん
「·····」
「っ····· なんで、来たの」
「心配、だったから」
「·····」
「横、いい?」
「·····こないで、変態」
「いいよ、変態っていわれても」
「·····わたしの体、見ないで」
「見てないよ」
「裸、見せんな」
「自分はよくやるのに?」
「·····さい」
「なに?」
「うるさい」
「そうかな?」
「うるさい!」
「じゃあ喋るよ」
「うるさいっ!このバカ!アホ!」
「·····うん」
「帰って!」
「やだ」
「死ね!」
「ソフィちゃんより長生きする」
「うざい!」
「僕もそう思う」
「チラチラ裸見てきてウザい」
「んぐっ、それは、ごめんね·····」
「帰れ」
「嫌だ」
「いいから帰って!わたしを1人にさせてよっ!」
「やだよ」
「パーティーで嫌な顔した奴なんて死んじゃえ!」
「アレは·····」
「わたしがあげた人形も喜ばなかったクセにっ!」
「だから·····」
「みんなに、よろこんでほしいから、がんばって、がんばって、がんばってたのに、がんばったのに!痛くても我慢したのに!沢山ケガしても我慢したのに!!少しくらいよろこんでよ!嫌いだったら嫌いって言ってよ!要らないなら受け取らないでよ!捨ててよ!ゴミにしてよ!あんな汚い人形なんかっ!!」
「違うっ!」
バシャッ!
「ひっ····· やめて····· 離して·····抱きつかないで·····」
「絶対に離さないっ!」
「やだやだやだやだやだやだやだやだ!離してっ!やだ!やぁぁああ!!」
「·····さっきは嫌な顔して、ごめんね」
「ぅう····· ッッッうぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああぁぁぁぁああぁぁあっ!!!フィーロくんのバカ!アホ!クズ!変態!死ね!死ね!消えろ!くそ!どじ!まぬけ!しね!ばかっ!ばかっ!!ばかぁぁぁあああぁぁぁぁぁあああっ!!!」
「ソフィちゃん!ちゃんと聞いてよ!」
「う゛ぁぁああっ!やあ゛あ゛あ゛!!」
「·····ソフィちゃん、もうこのまま話すよ ·····僕はソフィちゃんがお祝いしてくれてすっごく嬉しかったんだ」
「ふーっ、ふーっ」
「ソフィちゃんから人形を貰った時ね、ほんとにすっごく嬉しくて、嬉しすぎて、なんて言えばいいか分からなかったんだ」
「·····うん」
「それにね、僕は嫌な顔なんてしてないよ?僕ね、その·····ウナちゃんみたいに、ソフィちゃんにお礼言って抱きつこうと思ってたんだ、いろいろ言いたかったんだ、でも恥ずかしくってやろうか悩んでたらさ、タイミングを逃しちゃって、悲しかっただけなんだ」
「わたし·····」
「だから、今抱きつかせて貰ったよ、ありがとう、ソフィちゃん」
「·····ん」
「もう1つだけ、あの時言おうと思ってたことがあるんだ」
「·····」
「·····ソフィちゃん、僕はソフィちゃんの事が大好きだよ、だから·····
「·····」
「·····すぅ」
「·····あれ?寝ちゃった?疲れちゃったのかな·····
ソフィちゃん、お疲れ様、告白はいつかちゃんとソフィちゃんが起きてる時にするよ、·····今日はありがとうね、これからもよろしくね」
《通知》
《スキル変化》
名称:ソフィ・シュテインが一定条件を達成したため、スキルが変化します
ユニークスキル『賢人の石』
↓
ユニークスキル『ソフィの石』




