第1回定期テスト 放課後
寮に帰ってきた私たちは、一旦寮の自分の部屋で準備をして、ディメンションルームへと集合していた。
今日集まった場所は前にエビちゃん歓迎会をやった草原が広がる屋外風の部屋だ。
「それじゃ、みんな杖は持った?」
「うん!持ったよ!」
「僕も準備OKだよ」
「私も大丈夫よ、杖も活性化してあるわ」
「わたしもー!」
「ワシも準備おっけーなのじゃ!」
「よし!じゃあみんな的に目掛けてテストで指定された『マジックボール』か『マジックバレット』を撃ってみて!」
今回のテストのメイン課題は『10m離れたところにある大きさ1mの的に10発中3回以上魔法を当てる』という物で、使用する魔法は属性に指定は無いけど『〇〇ボール』か『〇〇アロー』が推奨されてる。
まぁ、基本的には『マジックボール』だろう。
ちなみに私は『マジックバレット』で挑むつもりだ、だってそっちの方が直進安定性が高いし狙いやすいからね!
そして私の合図と共にみんなが同時に詠唱を開始し、バラバラなタイミングで魔法を放った。
「むむむ····· 精度が下がっておる·····」
まず最初に終わったのはエビちゃん。
元魔王と言うだけあって魔法の並列発動でほぼ同じ場所、的のど真ん中を9発の弾丸が貫いて行った。
ちなみに1発だけちょっとズレた位置に当たった。
まぁテストでは確実に100点だろう。
「ちと緊張したかのぅ、本番が不安なのじゃ·····」
·····なんか自分でフラグ立ててるけど気にしない、ミスっても自業自得だし。
「まぁこんなものかしら?」
続いてグラちゃんが終わった。
さすがにエビちゃんよりは遅いが、そこは伝説の魔導師の血を引いてるだけあってかなり早かった。
記録は7発命中、この年齢ではかなり高い命中精度だろう。
「あたったー!」
その次はウナちゃん。
ウナちゃんは5発命中····· なのだが、この5発は寸分たがわず的の中心を穿ち、ほかの5発はてんでばらばらな方向にすっ飛んで行ってしまった。
何故だ·····
「よし命中っ!」
少し遅れてアルムちゃんが終了
結果はギリギリ3発命中と言ったところ。
これでもかなり甘い判定で、3発中2発は的の端をカスっただけだ。
厳しい先生なら当たってない判定だろう。
厳しめに判断するならちゃんと的に当たったのは1発だけだ。
「うううう····· あたらない·····」
ドベはフィーロ君
結果はなんと1発カスっただけ。
大半は的に当たる前に落下してしまった。
「ソフィ、お主はやらんのか?」
「えっ私?しょーがないなぁ·····」
『マギ・機関銃』
タイプ:マジックバレット
装填数:500
「っと、反動による誤差補正····· 発射」
ヴァァァァァァァアアアァァァアアアァァアッ!!
「500発、全弾命中」
私の放った機関銃は500発の弾丸を数秒で撃ち尽くした。
うん、500発撃ってもひとつしか的に穴があかないよ?
ドヤァ·····
「んぶっふw」
エビちゃんが『( ゜д゜)』みたいな顔になってるw
◇
「それじゃ、みんなの魔法に対して個別に指導していくね!」
『『はーい』』
「まずはエビちゃん、文句なし!他の子教えるの手伝って!」
「うむ!この程度楽勝なのじゃっ!」
「続いてグラちゃんとウナちゃん!とにかく練習あるのみ!·····まぁ、攻略方法はあるけど練習した方が良いよ!ってことでエビちゃんお願い☆」
「分かった、2人ともこっちで練習するのじゃ!」
「「はーい!」」
「·····さて、最後に2人」
「「·····」」
「アルムちゃんは力任せすぎ、フィーロ君は弱すぎ」
「むぐぐ·····」
「ううぅ·····」
こうして、私による2人の特訓が始まった。
◇
まず2人の問題点は、魔法の詠唱だ。
はっきり言って2人とも魔法の詠唱が雑すぎる。
まぁ、魔法って最初は素人が野球でボールを投げるみたいな感じだから外れて当然なんだけどね?
「アルムちゃんの問題点はさっきも言った通り力任せ過ぎるんだよ、アルムちゃん、威力上げたいからってかなり魔力込めてたでしょ?」
「えっ、だって強い方が良くない?」
「·····小さいコップにさ、バケツをひっくり返してジュースを入れたらどうなると思う?」
「沢山飲める!!!」
「·····」
「·····えーっと、えへへ?こぼれちゃうよね!」
「アルムちゃんのはソレだよ、魔力の込め方も入れる量も適当で、とりあえず撃てればいいや!って感じだから当たらないんだ」
「·····たしかに、じゃあ注ぐのを蛇口みたいに細くしたらいいの?」
「うんうん、でも思いっきり捻っちゃダメだよ?溜まってきたら弱めて丁度いい量にしてみて!·····欲張ったらこぼれるからね?」
「うん!じゃあ····· 魔力よ我が元に集い球となりて撃ち出されよ『マジックボール』っ!!」
アルムちゃんはゆっくりと丁寧に詠唱をすると、歪では無い綺麗な形の魔力のボールが出来て、綺麗に真っ直ぐ飛び·····
的から外れた。
「やった!真っ直ぐ飛んだ!」
「·····あとは狙いをちゃんと出来ればOKかな?」
というワケでアルムちゃん一旦はOK。
狙いが定まらないならまた手伝う感じで。
◇
「はぁ·····」
「·····ぼくそんなに酷い?」
「ぶっちゃけかなり·····」
「ううぅ·····」
フィーロ君はかなり酷かった。
まず詠唱にうまく魔力が籠らず、テンプレートを呼び出せて居なくて形にさえならない場合もあった。
「よし、とりあえずイチから解決していこう、まずはその杖!ダメダメ!貸して!魔改造する!」
「えっ、ちょっ!たしかに安いの使ってるけど·····」
問題その1 フィーロ君の杖
これはかなり酷い、詐欺ってレベルの代物だ。
まず魔石、これ魔道具でかなり使い古したランク高めな魔物の魔石を流用している粗悪品だ、電池の絞りカスなんかじゃマトモに魔法が使えるワケない。
それに杖身、これも酷い、そこら辺の木の枝に穴を開けて魔物の魔力を通す毛を入れてるだけだ。
しかもこの毛と魔石がほとんど魔力的に繋がってないどころか物理的にも繋がってないってか切れてる。
これじゃただのオモチャだ。
「·····ダメだこれ、1から作り直すしかないわ」
「えええ·····そんなに?」
「そんなに、とりあえずコレ使って魔法撃ってて」
「えっちょっ、重っ!?」
私はフィーロ君の杖を魔改造····· いや、もう新規作成している間の代替案として『星核合金』でできた草苅り鎌を渡しておく。
実はコレも杖になる、というか普通にそこら辺の杖よりも強い。
「魔力通せば軽くなるよ」
「あっ、ほんとだ、すごく軽い·····ふぅ、魔力よ我が元に集い球となりて撃ち出されよ『マジックボール』」
フィーロ君が草苅り鎌で魔法を発射すると、やはり魔力の球は歪な形で出てきてフラフラと飛び、的の手前で落下した。
「うん、詠唱も問題あり」
「ううぅ·····」
◇
さて、さっさとフィーロ君用にチューニングした杖を作らなくちゃな·····
まずは形状、当然のことだけどワンド型で持ち手は何かしらの木材か『星核合金』だけど、出来れば木材、先端は私の作った魔結晶かな。
そうだ!
「世界を見守る清き大樹よ生えろ『グロウツリー』」
私はだだっ広い屋外風の部屋のど真ん中の地面に、この前エビちゃんと魔力くらべをした時に出来た『白い魔結晶』を埋めて樹木魔法を発動、すると地面からニョキニョキと高さ50m、直径5mはありそうな立派な大木が生えてきた。
「『世界樹』さん、めっちゃいい感じの枝1本ちょーだいっ!\スコンッ/あいたっ!?」
そう、生やしたのはファンタジーではド定番の『世界樹』だ、この世界樹は生やしたばかりだけど性能は変わらないはずっ!
そして1番良い枝を催促したら頭の上にスコッと落っこちてきた。
「いてて····· 狙って落とせるもんなのかな、まぁいいや!ありがと!」
よし、これと魔結晶を結んで魔力流路を作って、フィーロ君の魔力を使って魔力流路を開通とチューニングしたら·····
いやまてよ?
ここまで来たら魔結晶も拘りたい。
まずは小さい『星核合金』を粉にして、そこに私が『賢人の石』で粉を混ぜ込みながら魔結晶を作る事で·····
「よし、青くなった、あとは·····」
私が作る水色の結晶は濃い青色になり、光沢がサファイア等と同じガラス光沢からダイヤモンドに近い金剛光沢へと変化してきた。
結晶構造が変化してるのかな?
あとはまだ混ざりきってない粉を均等に混ぜて·····
「できた!名付けて『星核結晶』!」
蒼い美しい結晶の中に星が瞬く不思議な魔結晶が完成した。
あとはコレと『世界樹の枝』をくっつけて星核合金を線に加工して魔力の流路を構築して色々加工して杖にして·····
「フィーロ君できたよー!」
「ほんと!?」
あと1つだけ作業をやったら完成!
◇
「はい、これが今作った杖ね、形はワンド型で性能はたぶん神話級」
「えっ、し、神話級?」
「だって世界樹の枝と星の核を凝縮したような結晶だよ?強いに決まってんじゃん」
「ふわぁ·····すごい·····」
「それじゃ仕上げをするからフィーロ君、その杖を持って魔法の詠唱する感じになって」
「えっと、こんな感じ?」
「違う、こんな感じ」
私はフィーロ君の背中側から抱きつき、前に手を回して杖を掴んでポーズを固定する。
ええと、フィーロ君の手ごと的に狙いを付けて·····
「じゃあフィーロ君に私の魔力を流して杖のチューニングをするね、ちょっとくすぐったいよ?」
「ひゃうっ!?」
フィーロ君の耳元でそう言うと、私は身体をフィーロ君にピタリとくっつけて、フィーロ君の魔力流路に私の魔力流路を干渉させて魔力を操作する。
私の魔力をフィーロ君の魔力に変換して、杖をフィーロ君の魔力波に合わせた物に変更していく。
やっぱり本人の魔力を使った方が杖の性能が向上してる気がするなぁ·····
向上というより、より本人にフィットした杖に変わっていってる感じだ。
·····ん?
なんか、私の魔力が引っ張られるっていうか、互いの魔力が磁石でくっつくみたいな感じがするんだけどなんだろ?
まぁ魔力の性質なんて意味わかんない事ばっかりだから気にするだけ無駄かな。
「よし、杖は完成したから、このまま魔法を撃ってみるよ?」
「あっ、ちょっ、は、はなれっ」
「ちゃんと自分の魔力の流れを感じ取ってね?魔力よ我が元に集い球となりて撃ち出されよ『マジックボール』!」
「ひゃんっ!?」
私とフィーロ君の合体魔法は真球の魔法の球となり、的のど真ん中をブチ抜いた。
「よし命中!フィーロ君今の感じを覚えてて·····あれ?フィーロ君!?大丈夫なの!?フィーロ君、フィーロくーーーーーん!!!」
「うぅ·····」
フィーロ君は全身をのぼせたように真っ赤にして、ガクッと気絶してしまった。
と、というか重っ、おもいっ!?
「きゃっ!?」
バタッ
うぐぇっ·····
フィーロ君に押し倒された·····
意外とフィーロ君って重いんだなぁ·····
と思ったら、魔法の練習をやっていたみんなが集まってきた。
「ソフィちゃんとフィーロ君なにしてんの?」
「あらあらあらあら?フィーロったら大胆ね·····」
「うわぁ·····ソフィちゃん重そう·····」
「むっ?まったく、お主らこんな所で····· ヤるなら自分の部屋でやった方が良いのではないか?」
「うっさいっ!新しい杖のチューニングしてたらフィーロ君が気絶して倒れてきたのっ!私じゃ重くてどかせないから手伝って!!」
『『は〜い』』
なに生暖かい目でみてんの?
うぐぐ·····重い·····
程なくして、気絶から覚めたフィーロは新たな杖を使って魔法の練習をして、何とか10発中5発は魔法が当たるようになったところで今日は明日に備えて寝ることにした。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:6才
ひと言コメント
「そりゃフィーロ君も一応男の子だから重いよね」
名前:アルム
年齢:6才、誕生日が楽しみ
ひと言コメント
「誕生日プレゼントはソフィちゃんが作った杖がいいなぁ····· フィーロ君羨ましい·····」
名前:フィーロ
年齢:6才
ひと言コメント
「ソフィちゃんが大胆すぎて困る····· 別に嫌じゃないけどさ····· 他の男の子にもやってたら嫌かも·····」
名前:グラちゃん
年齢:6才
ひと言コメント
「安定して全弾命中するようにしたいわ、でもソフィやエビちゃんみたいなのは無理ね·····」
名前:ウナちゃん
年齢:6才
ひと言コメント
「魔法つかうのたのしい!」
名前:エビちゃん
年齢:6才じゃが間違ってる気がしてきたのじゃ
ひと言コメント
「フィーロの奴も苦労しておるのぅ····· ワシも負けてはおれぬのじゃ·····」




