第1回定期テスト 〜筆記試験〜
学校で嫌な行事と言われてみんなは何を思い出す?
運動会?
音楽発表会?
授業参観?
いやいや、必ずみんなが口を揃えて『キライ』と言う行事がある。
それは·····
「うあぁぁぁああぁぁぁ····· テストやだなぁ·····」
「ううう、ドキドキする·····」
「魔法の詠唱····· 魔力は····· ミスリル·····」
「ふっ、私は完璧よ?」
「·····むりだったら覗き見しよ」
「む?テストなんぞちょちょいのちょいじゃろ?」
今日は私たちが入学してから初めてのテストだ。
あと今日あるテストは国語、数学、魔法筆記の3個。
ぶっちゃけ私ならこの程度の問題楽勝だ。
でもテストという響きが恐ろしすぎてやる気が全く出ない。
テストという言葉はアレか、死の魔法か何かか。
アバ〇ケダブラとかザラキ〇マか?
だが、私たちがなんと言おうともテストは消えてなくならない、私が校長先生に米を使って交渉しても無理だと思う。
「はぁぁぁぁ····· やだなぁ·····」
「そ、ソフィちゃんがこんな事になるくらい難しいのかな?」
「いや、アレは単純に嫌がってるだけだと思うよ、たぶん100点取るでしょ····· すっごくあたま良いし」
はいはい、100点100点、がんばりますよー
今日は寄り道もせず、私たちは学校へ直行した。
ちなみに今日はエビちゃんと話をしてから2週間後で、1週間後がアルムちゃんの誕生日だったりする。
あぁ、テストが終わったらそっちの準備もしなきゃいけないなぁ·····
◇
学校に到着して教室に入ると、クラスのみんなの様子がいつもと違った。
やっぱりピリピリした感じがする。
みんな緊張してるんだなぁ·····
そして私たちは自分の席に座ると、早速最後の追い込みの勉強を始めた。
·····私を除いて。
「お腹空いた·····」
どうやら私は緊張するとお腹が空く体質らしい、我慢できないのでリュックの中(の中に展開したインベントリ)からおにぎりとお茶の入った水筒を取り出す。
水筒は新規開発した、蓋をコップに出来るアレだ。
ちなみに、あの水筒の内蓋についたボタンを押して注ぐようにするあの仕組みは魔導障壁で再現した。
内蓋部分の半分を魔導障壁にして完全密封、そして残り半分に障壁の一部を打ち消すプログラムを入れた魔結晶を付けて、これが倒しても零れないがボタンを押した時だけお茶を出せるし保温もできる水筒の仕組みだ。
もちろんおにぎりの包装もただの包装では無い、熱を遮断する魔導障壁で包んでいるのでいつまでも出来たてアッツアツだ、ついでに殺菌機能付きだから腐らない優れ物だったりする。
「いただきまーす·····」
私は小声でいただきますと言い、お茶を蓋コップに注いで1口飲
ベチコンッ!!
「カテキンッ!?」
「ソフィちゃん?また早弁かしら?」
「あっ、せ、先生·····?」
「(無言でドアの外を指さす)」
「せ、先生、今はまだ自由時間ですよ?校則には『授業開始前に弁当を食べてはいけない』とは書いてませんっ!」
「えっ?ちょっとまってて····· 本当ね、うーん····· 皆ピリピリしてるから、周囲に迷惑を掛けなければいいわ·····」
「(よし!説教部屋回避!)」
珍しく説教を回避した私は、悠々とおにぎりとお茶を楽しんだ。
ちなみに今日の具はニジマス(本当に虹色の鱒)と梅干しにしてみた。
早くシャケも見つけたいけど、ニジマスでも十分かなと思い始めた今日この頃·····
いや、皮の色がキモいからシャケがいいわ。
◇
「それじゃ、テスト始め!」
1時間目のテストは国語だ。
私はおなかいっぱいで眠いので、さっさと終わらせて寝てしまおう。
ちなみに国語と私は言ってるけど、正確には『統一人類語』だ。
なんでも3600年前の戦争で人類と魔族が大戦争を巻き起こした時、人間の国家同士が意思疎通を素早く行うために共通言語を作った事が始まりだとか。
そんでこの国は戦後に出来た国だから、独自の言語はなくてこの言語が国語になっているらしい。
ちなみに戦後も使われるようになった理由は、普通に便利だったからだそうで、軍人や戦争関係者の間だけで使われていたのが商人によって広められて一般市民にまで普及したらしい。
·····実は私、ぶっちゃけこれが割と苦手でこの5年半でかなり慣れたけどまだ難しい。
でも『アカシックレコード』でカンニングしながらやって何とか開始10分で終わらせた。
おやすみなさい·····
「すやぁ·····」
「·····」
べチンッ
「カフェインッ!?」
「起きなさい、まだ全部終わって····· る!?」
また私の頭が無駄に出席簿で引っぱかれた·····
終わらせたら寝てる方が騒ぐよりマシじゃんか·····
「静かにしてるんで、あらためておやすみなさい·····」
「くっ····· 今日は何かソフィちゃんが強いわ·····」
◇
「はい、次は算数です、早く終わった人は騒がず突っ伏して寝てて下さいね、でもソフィちゃんみたいにほっぺたに寝跡がつかないよう気を付けてね、ヨダレを垂らすのもダメよ?」
『『はーーい!』』
「むぐぐ·····」
さっきはセルフ腕枕しなかったせいでほっぺたにペンの跡がついてみんなに笑われてしまった。
ぐぬぬ、今度はタオルを出してそれで寝てやる·····
「ソフィちゃん?寝具を使ったら説教部屋よ?」
「·····ちっ」
「おほん、それでは算数のテストを始めてください」
1+1=2
3+4=7
7+1=8
9+7=16
·····
3÷2=1あまり1
はい終わり、記録5分!
暇だから裏面にラクガキでもしよっかな·····
あっ、そうだ!
《1=2の証明》
A.3÷2=1 あまり 1
B.5÷4=1 あまり 1
よってA=B
両辺に4を掛ける
A=3÷2×4=6
B=5÷4×4=5
A=Bなので、上の数値を代入すると
6=5
両辺から4を引くと
2=1
両辺を入れ替えると
1=2
証明完了。
実はコレ、本当はA=Bでは無いので見た目でダマされる嘘んこ証明だったりする。
でも面白いよね!
なお、これを見たビオラ先生は数学が苦手で暫く頭を悩ませ、先生の間を回り回って校長先生まで届き、校長先生の手によりあっという間に意味の無い証明とバレてゲンコツを食らう羽目になるのだが、この時のソフィ・シュテインは知る由もなかった·····
◇
「はい、それでは今日最後のテストです!魔法の座学は少し難しいので頑張ってね!」
『『はーい!』』
ふっ·····
このテストは間違いなく100点だ。
何せ私には究極のカンニングペーパーというかもはや辞書、『アカシックレコード』がある。
ありとあらゆる魔法や魔法の詠唱などが乗ってるからね!
ちなみに、私の開発した『サンダーボルト・アヴェンジャー』なんかももう登録してある。
発動できる人いないと思うけどね!
だから·····
問5 初級魔法の基本、○○ボールの詠唱を書け
A.『〇よ我が元に集い○○球となりて撃ち出されよ』
実は『○ 集え 球 射出』で撃てる
なんならテンプレを暗記できてたら詠唱は必要ないんだよね〜
みたいな感じでもう楽勝だ。
記録は23分
今回は回答の文字数が多かったので少し時間が掛かってしまった。
およ?裏面になんか書いてある?
Q.好きな魔法の詠唱を考えよ(存在しなくても良い)
ふぅん?
そうだ、前から考えてた超激ヤバ必殺魔法の構築でもしてみよっかな。
普段は脳内だったり、自分用のノートとかに書きなぐってるんだけど、今日はコレにしておこうかな。
今考えてる魔法は仮称『臨光速スピン式縮退砲』だ。
すんごく簡単に言うと、極限までブラックホールに近付けた物質を飛ばし、事象の地平面の範囲で相手を抉り取ったり、ホーキング放射による膨大なエネルギー衝撃波によって強力な爆発を発生させる魔法だ。
この魔法の元ネタの『ブラックホール砲』はブラックホールの生成にはかなり手間が掛かる事から没ってたんだけど、この方式だと割と簡単に作れる可能性があったから現在検討中だ。
というのも、ブラックホールの生成は何パターンかあって
・物質を重力魔法で極限まで圧縮する方法
(擬似ブラックホールは出来たけど魔法を解除したら元に戻った(物質は核融合でヤバいことになってた))
・空間魔法を活用して同一空間内に複数の物質を『重ね』、重なった次元を統合する事で圧縮する方法
(※やってみたら核融合して大爆発した、たぶん実現は出来るけど要調整)
・大型ハドロン衝突型加速器と同じ理論で素粒子を『須臾』を使い臨光速で衝突させてマイクロブラックホールを生成する方法
(何も起きなかった、もしかしたら出来てたかもだけど観測出来なかった)
・須臾による物質の超加速、極限まで光速に近付けてブラックホール化させる
(そもそもブラックホール化しなかった、なんか理論が間違ってたらしい)
と、いった感じで今のところ上手く行ってない。
という訳で、ブラックホールの生成には難儀してたんだけどいい方法を思いついた。
「ブラックホールのあの膨大な質量は『ブラックホール化』の要因でしかなくて、本質は『一点に空間が集中する事』、その『結果』を得られれば『ブラックホール』は簡単に作り出せる·····」
まとめると、質量は無くともブラックホールは造れる、という事になる。
じゃあ、どうやってその『結果』だけを得る?
それについても、解決策は思いついている。
「·····回転、質量を持つ魔結晶を臨光速で回転させてブラックホールに匹敵するエネルギーを持たせる、それに加えて被回転対象を空間魔法で周囲の空間に癒着させて引っ張って、空間そのものを捻って光速で引き伸ばして1ヶ所に空間を圧縮し続ける事でブラックホールという『結果』を創り出すことが出来る」
重力と空間をトランポリンの平面上と例えると、重力とはトランポリンの上に体重が重い人が乗ると大きく凹んでそこに軽い人が巻き込まれる、となる。
で、私がやろうとしてるのは
そのトランポリンを下から摘み、物凄く捻って引っ張ってみる。
という、質量が存在せずとも『外的エネルギー』である魔力を由来とする『疑似質量』でブラックホールを生成するという理論だ。
ブラックホールも超質量のせいでトランポリンが限界まで凹んである一点(事象の地平面)から先はトランポリンを上から見ると相対的に一点に空間が収束している、と例えられる。
そして今構築中の魔法は、直で凹ませるのではなく空間を捻り続けて限界まで引き伸ばし、ハンカチの中心を摘んで捻り続けたら平面からの螺旋状の山のようになり最後は絞った雑巾のような『紐』のような形になる、擬似的に一点に空間が収束した状態を作り出せる。
これで、1=2のインチキ証明とは違い、本当にA=Bという結果を得られる。
更に『ホーキング放射』に関してはブラックホールの質量部分が無いから出ないかもだけど、捻った空間が元に戻る時に、捻った時とほぼ同じエネルギーが放出されるから莫大なエネルギー放射が、疑似ホーキング放射が発生するはずだ。
「·····出来る、これなら」
という訳で、『臨光速スピン式縮退砲』は
・空間魔法で空間に癒着させた回転体Aを臨光速で回転
・事象の地平面が生成され、ブラックホール化したら発射
・空間を捻りながら飛ばす時は『空間を抉り取る』性質を持つ
・空間を戻しながら飛ばす時は『エネルギーを放出する』性質を持つ
といった感じになるだろう。
·····この魔法による結果は、既存の物理学では予測不可能な、完全に破綻した有り得ない現象だ。
だが、魔法を使う事でこの世界では不可能は『可能』になってしまう。
「なぜ魔法は、魔力は、絶対に不可能なはずの物理法則の超越を可能としてるのだろう、それについて書くには余白とテストの時間が足りない·····っと」
有り余った時間を使ってテスト用紙の裏面に物凄い量の構成式や理論の構築メモやイメージ図や魔法の構造図を書きなぐったせいで、テスト用紙の裏面が真っ黒になってしまった。
「はいそこまでです!ペンを置いてテスト用紙を裏返して前に回してください!」
やべっ☆
裏面真っ黒だっ☆
色々書きすぎちゃったなぁ·····
あーあ、前の子、私のテスト用紙を見てビビってるじゃーん·····
あっ、先生睨まないで、ちゃんと出来てるから·····
◇
「はい、それでは今日のテストはここまでです、寄り道しないで寮に帰って勉強を····· ちがった、魔法の練習をしたい人は魔法練習場で練習をしてください、それじゃみんなさようなら、明日も頑張ってね」
『『はーい!』』
『『はぁい·····』』
そんなこんなで今日のテストは終わり、クラスメイトたちは大急ぎで我先にと魔法の練習場へと走っていった。
·····半分くらい返事に元気がないんだけど、大丈夫かな?
「せんせー質問!」
「何かしら?」
「今日の説教はありますか!?」
「·····今日はないわ、あったとしてもテスト勉強を優先させるわ」
「はーい」
どうやら今日は説教は無いようだ、よかったよかった。
「それじゃ、みんな明日の魔法の実技テストに備えて練習しよー!」
『『おーー!!』』
私たちも明日の最後ひとつの試験、魔法の実技テストに備えて『ディメンションルーム』での秘密の特訓をするため、自分たちの寮へと帰っていった·····
もちろん寄り道をしながらだよっ☆
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:6才
ひと言コメント
「ふふんっ!多分全部100点とれたよっ☆ ·····まぁ、私こういう時に限ってケアレスミスするんだけどね、いや心配になってきた、解答欄1つずつズレてたかも、やっべどうしよ、なんかそんな気がしてきたかも、だ、大丈夫だよね?」
名前:アルム
年齢:そろそろ7才誕生日だからソワソワしてる
ひと言コメント
「算数がすっごく不安·····」
名前:フィーロ
年齢:6才
ひと言コメント
「まぁまぁできたかな?というかソフィちゃんがテスト中なのに遊びすぎてて気になってしょうがないんだけど·····」
名前:グラちゃん
年齢:6才
ひと言コメント
「やっぱり2桁の足し算がよくわからなかったわ·····」
名前:ウナちゃん
年齢:6才
ひと言コメント
「やっぱりテストのぞきみしてもバレなかった!」
名前:エビちゃん
年齢:6才
ひと言コメント
「この程度楽勝なのじゃ ·····国語以外」




