エビちゃん歓迎キノコパーティー!
冒険者ギルドに帰ってきた私たちは、さっそくギルドの受け付けで達成報告をしていた。
「はい、確かにマッチョマッシュですね!よく4匹も見つけられましたね·····なかなか見つからないレアな魔物なんですよ?」
「うん!たまたま集まってたから捕まえた!」
「菌輪かしら····· そんなの初めて聞いたわ·····」
「それで、報酬ってどうなります?」
「えっ、あっ!はいっ、ええと、マッチョマッシュは1匹3万円なので4匹で12万円ですね、こちらが報酬と、エヴィリンさんのギルドカードです、説明はみんなから聞いてますか?」
「うむ!コレがあればお小遣い稼ぎの依頼を受ける事が出来るのじゃろ?」
「はい、まぁ大半が雑用ですけどね····· おほん、それではエヴィリンさん、頑張ってくださいね!」
「うむっ!!」
エビちゃんもギルドカードのレプリカを貰い、私たち『なかよし組』にエビちゃんが加わった。
「それじゃ、みんな寮に帰ってエビちゃんの歓迎パーティーをしよー!!」
『『おーー!!』』
今日は私たちは脇目も振らず寄り道もせず、私たちが暮らすB寮へと向かった。
◇
『『帰りましたー!』』
「はいはいお帰りなさい、今日は夕飯どうする?寮の食堂で食べる?」
「いや、お弁当買ってきたので部屋で食べます!」
「む?ソフィ、今日は部屋じゃなんぐっ!」
「エビちゃん黙ってて」
「またソフィの部屋に集まるのかい?別に構わないけど汚さない事と騒ぎ過ぎない事と消灯時間になる前に帰るのよ?」
『『はーい!』』
寮母のマーサさんから注意を受けた私たちは、大人しく自分たちの部屋へと帰って行った。
◇
·····そんな訳ないんだけどね。
「それじゃみんな!ジュースは持った?」
「もったよー」
「うん、もったよ」
「私は準備OKよ?」
「わくわく·····」
「うむ!持ったぞ!」
「それじゃ、エビちゃんの『なかよし組』歓迎キノコパーティを始めますっ!乾杯!」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
私たちはお酒が飲めないので、ジュースで乾杯をして、さっそくキノコを焼き始める。
ちなみに、パーティ会場は新設したバーベキュー用の擬似空間(キャンプ場風)だ。
それに合わせ秘密基地の構造も少し変え、窓だった所をログハウスっぽい入口に、秘密基地もログハウスの中みたいな感じに変更してみた。
「んじゃ、キノコを切るからちょっとまっててねー、先にお肉焼いといて!」
「うむ!沢山食うぞっ!」
前に倒した鹿の肉は既に捌いてあり、一部を除き時が止まる『インベントリ』の中で保管しているのでいつでも焼いて食べられるので、みんなには先にそれを振舞ってある。
ちなみに、その一部の半分はジャーキーに、半分は熟成肉に加工してある。
とりあえず今はキノコを切って味付けしたり、色々な料理に加工しなくては。
まずはマッチョマッシュを切るところからだが、とにかくこのキノコはデカい、高さ50cm、軸の幅30cm以上もある。
ぶっちゃけ1つを6人で分けても食べ切れるかわからないので、今日は1匹だけ捌いていく。
まずはインベントリから『星核合金』で作った包丁というか小刀みたいな長さの柳葉包丁を取り出す。
この包丁はただの包丁では無い、普通の柳葉包丁の形が気に入らなかったから、刀っぽい形になっている『先丸柳葉包丁』という包丁にしてある。
これがまぁ切れ味が鋭くて、鹿の背骨さえスパッと切り落とせてしまう程だ。
何せ鉄もアダマンタイトも切断できる切れ味だ、リン酸カルシウムなんぞバターのように切れる。
だが不思議な事に、切ろうと思った背骨は切れるのに、まな板などは切れないという特性がある。
ちなみにコンニャクも切れる。
「はい!ソフィちゃんの分のお肉焼いておいたよ!」
「あっ!アルムちゃんありがと!いただきまーす!」
包丁を自慢しているとアルムちゃんが焼いた鹿肉を私の所まで持ってきてくれたので、無属性魔法で浮かして口の中に入れる。
「あっおいしっ!獣臭さもほとんどないし旨みもあって美味しい!これタレ要らなかったかも?塩だけで十分····· いや、オシャンティーなベリーソースとかでもいいかなぁ」
「そんなことより!!キノコはやく!」
「はーい」
よーし!
キノコ焼きながらオシャンティーソース作っちゃうぞー!
·····あれ?
なんか私、料理人やらされてない?
おかしいな、私主催者だったよね?
◇
はいはい、みんなからキノコを催促されたからさっさと作りますよー
まずは包丁で石突きの部分を削ぎ落とし、石突き側から包丁を縦に入れて繊維に沿って包丁を\カチン/入れてい·····
「ん?なんか当たった?」
キノコの中ほどまで包丁が進むと、何か硬いものに当たって包丁が止まった。
とりあえず切れ込みが入ったら手でも裂けるので、切れ込みに手を入れて引き裂くと中から親指サイズの赤い結晶がコロンと出てきた。
「あ!魔石だっ!」
「ほんと!?見せて見せて!」
「ふわぁ····· すっごい綺麗····· これが魔道具の動力源になるんだ·····」
「あら、意外と綺麗じゃない····· ひとつ欲しいわね」
「赤くてかわいいー!!」
「ふむ?そこそこの品質なのじゃ、やはりあやつら強い魔物じゃったのか」
「あー、それ調理の邪魔だからフィーロ君にあげる」
「ほんと!?やった!!」
みんなが魔石を興味深そうに見ていたので、とりあえずフィーロ君にプレゼントした。
だって邪魔なんだもん·····
それより、早くキノコを捌いてバター醤油でジュワッと焼いてたべたい。
真っ二つになったキノコを今度は5mmくらいの薄切りにして食べやすいよう6等分になるようカットして1人前完成、あとはコレを6個作って·····
よしみんなの分完成!
次はタレを作るので、水魔法で『液体バター』と『濃口醤油』を出して、バターが固体になるよう冷やして小皿に取り分けて完成!
あとは·····
ふふふふ·····
細かく刻んだキノコと油揚げと水を適量、そこに出汁醤油と料理酒を少々入れて、研いだお米を土鍋に4合分入れて蓋を閉めて、最近開発した時空魔法『料理時間短縮』と料理魔法『自動調理』で火にかけて10分待てばキノコの炊き込みご飯も完成だ。
でも炊き込みご飯は後だ。
まずは·····
「みんなー!メインのお出ましだよー!」
『『きたー!!』』
本日のメインディッシュを食べるとしよう!!
◇
私がバーベキュー用に作った特性ドラム缶バーベキューコンロ2台をみんなで囲み、キノコが焼けるのを今か今かと待ちぼうけする。
みんなが最高の焼き加減を見逃さないよう無言になり、辺りには炭が弾けるパチッパチッという音と、キノコが焼ける音と風の音しか聞こえなくなっている。
·····ここだ!!
「醤油を塗ってバターを乗せてちょっと焦がしていただきますっ!」
はむっ
「んっま!?凄い歯ごたえ!しかも噛めば噛むほど旨みが出てくるし香りも凄いっ!焦げた醤油とバターの香りがいいアクセントになって美味しいっ!!」
大きいから大味かと思ったけど、そんなことは無かった、これは旨い、うますぎるっ!!
よく動くマッチョマッシュだからなのか、繊維がしっかりしててたった5mmでも凄い弾力と歯ごたえだ、間違って1cmとかにしてたら噛みきれなかった。
だが、その分噛めば噛むほど鹿肉に負けないくらい強い肉のような風味と味と旨みが口の中で弾け、口の中で大暴れする。
今日は口の中でキノコ達のボディビル大会が開催されてるのか?と錯覚するほど美味しい。
観客はもちろんバターと醤油だ、両者の掛け声がムキムキのキノコ達を更に引き立てている。
「おいしい、こんなに美味しいなんて·····」
「くぁー!これはワインというよりビールじゃの!早う成長してビールでキュッと流し込みたいわい!」
·····!!!
「ねぇエビちゃん、ビールあるよ?」
「なに!?それを早く言わぬか!!出せ!早うだせ!ビールを飲ませろ!!」
「ふ、ふたりとも、お酒はダメだよ!」
「そうだよ!ワタシたちみたいな子供は飲んじゃダメなんだよ!」
「1度飲んじゃったけど私は苦手だったわ」
「わたしはジュースがいいなー」
「ふふふ、ダメなのはお酒でしょ?じゃあさ、お酒の成分が無いビールがあるとすれば?」
「そ、そんな物があるのか!!飲ませろー!」
「·····うーん、どうなんだろ、酔っ払うの?」
「ええとね、アルコールとは、炭化水素の水素原子をヒドロキシ基 (-OH) で置き換えた物質の総称だけどただし、芳香環の水素原子を置換したものはフェノール類と呼ばれ、アルコールと区別される、最初に「アルコール」として認識された物質は酒に含まれるエタノール(酒精)であって今回はコレを指言葉
「わかった!わかったから!大丈夫なんだよね?」
「もちろん」
「·····はぁ、なんでそこまでしてお酒が飲みたいんだろ2人は」
知らん。
酒飲みにそんなこと関係ないのだ!!
水魔法でノンアルコールビールを出して、キンキンに冷えたジョッキに注いで完成!
「エビちゃんかんぱーい!」
「乾杯なのじゃー!!」
ごきゅっごきゅっ
·····
「「おげぇっ!?!?苦いっ!!」」
口の中でやってたキノコ達のボディビル大会に黄金色の濁流が乱入して、炭酸の刺激と激烈な苦味がキノコ達を全て押し流して行ってしまった。
「おぇっ、なっなにこれ?!こんな味だったっけ!?」
「マズいのじゃ!!ソフィ貴様謀ったじゃろ!!!」
「ち、違うから!!おかしいな····· 」
参考にしたのは前世のノンアルビールだから不味いはずが無いんだけど、妙に苦いし炭酸がキツくてとにかく不味かった。
まるで小さい頃にお父さんのビールを飲んじゃっ····· たっ·····
「·····ビールはお子様の味覚には早すぎたのかも」
「あ」
·····そういや私たちまだ6歳だったわ。
ガキンチョにビールは早いって何で気が付かなかったんだろ。
とりあえず私は、ビールが占拠してしまった口の中を塗り替えるべく、第2回キノコボディビル大会を開催する事にしたのだった。
◇
そして暫くキノコを楽しんでいると、とうとうアレをみんなにお披露目する時が来たようだ。
·····というかさっきから香りが漂ってきて腹ペコだ。
私は台所に向かい、ユニークアイテム『神拳:キノコの拳』をミトン代わりに装備して、土鍋をみんなの所まで運んでいく。
なんかキノコの拳から\扱いが酷いぞ/って聞こえた気がするけど気のせいだ。
「みんなー!炊き込みご飯できたよー!」
『『炊き込みご飯?』』
「んじゃ、オープン!!」
土鍋の蓋を開けると、湯気と共にキノコと醤油の香りがフワッと漂い、茶色く色付いたご飯とキノコが現れた。
「わぁ!凄くいい匂い!」
「·····この小さいマメみたいなの何?」
「見たこと無い食材ね·····」
「美味しいの?」
「むっ?これは麦か?」
「ふふふ、これは私が見つけた最強の主食、お米だよ!もちろん白米も用意してるからみんな食べてみて!お肉にもお魚にもキノコにも野菜にもパスタにもパンにも会う最強の主食だから!」
私はテキパキとしゃもじで炊き込みご飯をかき混ぜて、お茶碗によそっていく。
はぁぁぁぁああんっ♡
もうヨダレが止まんないっ!
「我慢できないいただきまはふっ!!」
口の中にご飯を入れた瞬間からもう美味しい、まずはキノコが醤油を纏って私の鼻をぶん殴ってきて、舌に出汁が染み込んだご飯の旨みが蹂躙してきて、噛めば米との相乗効果で旨みが1億倍になり、そしてたまにあるキノコを噛んでしまうと旨みが爆発してご飯を更に引き立てる、そしてそして油揚げもキノコの出汁をたっぷり吸っていて美味い、海外のキノコっぽいからご飯に合うか心配だったけど、そんな心配は要らなかった、むしろあまりの美味しさで気絶しないか心配するべきだった。
あぁ、これはもうダメだ、日本茶、熱々の日本茶を飲まなくては·····
「ずずずっ····· はふぅ·····」
あぁ、この香り、日本だぁ·····
炊き込みご飯、サイコー·····
◇
「おいひい!おこめ?がモチモチしてて面白くておいしい!」
「うん、なかなか美味しいね、でも僕はパスタとかパンの方が好きかも」
「意外と悪くないわね、確かに色々な食材と合う味な気がするわ」
「美味い!美味いんじゃが、絶対ビールには合わんのじゃ」
みんなからの評価は概ね良好だった。
◇
そう言えば『神拳:キノコの拳』で思い出したけど、ノーススターさんを食べるのを忘れていた。
捌いてこよっかな?
·····いや、今日食べるのはやめておこう。
ノーススターさんは私の誕生日に食べるかなぁ·····
◇
「それじゃ、今日はお風呂から上がったら解散!各自明日の学校に備えてねるよー!」
『『はーーい!』』
「おほん、改めてエビちゃん、私たち『なかよし組』にようこそ!これからよろしくねっ!」
「うむっ!よろしくなのじゃっ!!」
そんなこんなで私たちはバーベキューでキノコや鹿をたらふく食べ、みんなでお風呂に入ったところで解散して寝る事にした·····
「あ、エビちゃんちょっと待って、2人で話しよ?」
「·····うむ、ワシもお主と話がしたかったのじゃ」
が、私とエビちゃん·····
元魔王で元男のエヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシス
元サラリーマンで元男のソフィ・シュテイン
この2人だけは温泉に残った。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:6才
ひと言コメント
「お米食べろ!」
名前:エヴィリン(エビちゃん)
年齢:6才·····?
ひと言コメント
「はぁ、早く酒が美味いと感じられる体になりたいのじゃ·····」
名前:アルム
年齢:1ヶ月後に7才になるよ!
ひと言コメント
「このキノコでスイーツは無理だから、美味しいパスタを作って欲しい!」
名前:フィーロ
年齢:6才
ひと言コメント
「口でキノコ達のボディビル大会が開催されてるって何?なんとなく言いたい事はわかるけどさ·····」
名前:グラちゃん
年齢:6才
ひと言コメント
「そういえば家で食べてたキノコのパスタもこんな感じだったわね、もしかしてコレなのかしら?」
名前:ウナちゃん
年齢:6才
ひと言コメント
「おいしかったけど、あごがつかれちゃった」




