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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第二章 TS賢者は魔法学校へ行くっ!
64/224

美味しいキノコはキノコの拳



「あんのクソキノコ!絶対に見つけてボコボコにしてやるのじゃーーっ!!」



「まぁまぁ、怒ってたら見つからないよ?」


 私たちはゴブリン集団を全滅させた後、エビちゃんを吹き飛ばしてボコボコにした『マッチョマッシュ』を探し回っていた。


 ちなみにさっきからエビちゃんは荒ぶってる、陸に打ち上げられたイセエビが如くピョンピョン跳ねてブチギレてる。


「うーん、見つからない····· ねぇエビちゃん、マッチョマッシュってどんなやつだったの?」


「む?ええとな、おお!いい所に!こんな感じで腰掛けやすいサイズのキノコでの?こうやって腰かけておったらワシを吹き飛ばしてぇぇぇええええええ!?」


『『あっ』』


 フィーロ君がエビちゃんに獲物の特徴を聞くと、エビちゃんが近くにあった巨大キノコに腰かけて実演して、ぶっ飛ばされるところまで実演してくれた。


 ·····ん?


「ばっかもーん!!ソイツが『マッチョマッシュ』だっ!捕まえろ!!」


『『な、なんだってー!?』』


『Smuuussh·····!』

 シュッシュッ(シャドーボクシング)


 私たちはようやく見つけたマッチョマッシュに一斉に襲いかかった。



「ひでぶっ!?」

「あべしっ!?」

「うぼべっ!?」

「タコスっ!?」


「くっ、強い·····!!」


 私たちは『マッチョマッシュ』に一方的にボコボコにされていた。


 そして私でさえ防戦を強いられる程の圧倒的な機動力と連打力、こいつ、只者じゃないっ!


 ·····力は弱いけど。


「このやろ!『マジックマシンガン』!」


『Smushhhhhhhhhh!!!!』


 ズドドドドドドドドドドドドドド!!


 なっ!?

 連射力に特化したマジックマシンガンを全て拳で弾き飛ばしたっ!?


 その拳さばきに私が驚愕している間にもヤツは姿勢を低くして私の方に突撃してきており、マシンガンの如きパンチを繰り出した。

 くそ!負けてたまるかっ!


『Smush!!』


「オラァッ!!」


 ポカッ ポカッ


 両者の顔面に強烈なクロスカウンターが決まり、お互いに吹き飛ばされ姿勢を立て直す。


 その隙に『鑑定』!



 名前:マッスルマッシュ・ノーススター

 危険度:A?


 マッチョマッシュの進化した姿

 そしてマッチョマッシュ属に伝わる伝説の拳法『キノコ神拳』を伝承した歴戦の拳士(キノコ)

 生半可な実力では彼に勝てないだろう


 真剣に勝負に挑む者に対して彼は一切の容赦をしない、それが彼なりの対戦相手への敬意であるから·····



 TIPS

 より()()()方に、勝者の天秤は傾く

 それこそが彼らが修める『キノコ神拳』の流儀である。





 ·····面白く、ねぇ。

 やってやろうじゃないの!!



「ふっ、なかなかやるじゃん」

『Smuush·····!!!!』


『Mushroom!!muscle!!!!』


「名乗りを上げた·····?んふふ、私はキノコ狩りの女 ソフィ・シュテイン!!いざ尋常に勝負ッ!!」



 これは私も本気を出さなきゃ失礼にあたるし、面白くない。

 でも卑怯な手は絶対に使わない、それが彼に対する礼儀だ。

 しかし私のパワーとスピードでは彼と渡り合うことは不可能だ、ガチンコ勝負を挑んで瞬殺されるのも、私の魔法で一方的にボコボコにするのも彼も私も望んでいないし、展開的に面白くない。


 望むのは、同レベルかつ拳での殴り合いだ。


 『須臾(しゅゆ)』1/5で発動。


 私は時間の流れを遅延させる魔法『須臾』を低倍率で使用、彼の目にも止まらぬ速さで振り抜かれる拳に追いつけるようにした。

 これは卑怯ではない、互角に闘うための、彼への最大限の敬意だ。


 そして、彼も表面の菌糸を剥がし、立派な大胸筋を露出させて本気モードだ。


 そしてゆっくりと歩み寄り、互いの拳を合わせファイティングポーズをとった。


《ラウンドワンッ》

《ファイッ!!》


「っららららぁぁぁああああ!!」


『sMuuuuusshhhh!!!!』


 試合開始のゴングが幻聴し(きこえ)、私とヤツは互いに距離を詰めてパンチを繰り出す。


 ポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポスポス


 彼が神速のジャブを繰り出し、私もそれを撃ち落とすよう彼の拳にピタリと合わせ拳を当てるラッシュの速さ比べが始まった。


『Smush!!!』


「チィッ!!ここだっ!」


 彼の渾身の一撃が私の頬を掠めたが、一瞬の隙を見逃さず私も彼に拳を叩き込む。

 しかし私のパンチは彼が体を逸らした事で笠を掠めるだけに留まり、彼は狙ってたとばかりに渾身のジャブを私のお腹に叩き込んだ。


 私は彼の策にまんまとハメられたのだ。


 ボスッ


「かハッ!?うぐぅ·····ボディはキツい·····」


『sMoosh·····!?』


 ·····凄いな、まるで隙が無い。

 だけど、私のパンチが掠めるとは思っていなかったのか、彼も驚愕しているようだ。


 うぅ、お腹を殴られたせいで呼吸が乱れた、軽く牽制しながら息を整えて·····


「コォォォォ····· しゃおらっ!!」


『Smush!!!』


 復活した私は爆発するかのような勢いで彼に向かって突撃、腕に変なエネルギーを纏わせてその勢いで彼の顔面目掛け鋭い左ストレートを繰り出す。


 ·····が、彼はキノコの腕で私の左ストレートを防ぎ、逆に強烈なフックを繰り出してきた。


 ·····ふっ


「狙い通りっ!喰らえっ!!」


 ぼすっ


『Mooosh!?!?』


 私は自身の柔軟性を活かし、身体を海老反りにしてフックを避け、空振りでバランスを崩した彼にお返しのアッパーを食らわせたっ!


 どうやらこれには流石の彼も応えたようで、少しフラついている。


 今ならやれる!


 私は追撃とばかりに彼に突撃し、高速でジャブを繰り出す·····

 が、彼がニヤリと笑った。


 マズいっ!ハメられたっ!!


 だが気がついた時にはもう遅かった。


 ベチコンッ!


 次の瞬間、私の顔面に彼の強力な右ストレートが叩き込まれていた。


「ぐあっ!!」


『Smoooooosh!!!!』


 衝撃で吹き飛ばされた私は地面に叩きつけられた。

 そしてすぐさま起き上がろうとしたが、動けない。

 ぐっ·····脳震盪かっ!


 くそ、動け動け動け!動いてよ私の身体っ!



 ·····仕方ない、これ、あんまりやりたくないんだけどなぁ。





 ドクンッ





「·····ぁぁぁぁぁあああああアアアアアッ!!!」

『SMUUSH!?!?』


 身体の奥底から力が湧いてくる·····


 私がわたしになっていく·····


《賢人の石:ソフィとの共鳴率120%》

《一時的に賢人の石が『ソフィの石』に変化します》


 少し寝ててね()、今度は()の番だよ。



「さぁ、第2ラウンド、やろっか」


『SMuuuush!!!!』


 ふふふふ


 身体が軽い


 私が完全に私になった感覚なんて初めてだ

 これで、本気で戦える


 もう何もこわくないっ!!



「おりゃあっ!!」


『Mush!?!?』


 うふふふふふ·····

 今ならよくわかる、今までの私は私であり私じゃなかった、私を演じる私だったんだ。


 でも今の私は違う、私は本当の私なんだ!


「おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃーっ!」


 ポカポカポカポカポカポカポカポカポカポカ!


『SMMOOOOOOOOOOOSHHH!!?』


 私は先程を上回る速度で彼の胴に高速でラッシュを叩き込んでいく。


 吹き飛ばされた彼は堪らず膝をついて動けなくなってしまった。

 ·····が、彼はよろよろと立ち上がると、全身から闘気を漂わせ、これが全身全霊の、自分の最後の力だと言わんばかりの様相になった。


 負けないよっ!

 『ソフィの石』出力上昇っ!!


 私もそれに応じて、一時的であれど完全に私のモノとなった『ソフィの石』のパワーを上げて本気モードだ。

 私のチカラ、貴方にぶつけてみせるっ!!


「うらああああああああああ!!!!」

『SMAAAAAAAAAAAAAASH!!!!』



 ポフッ!!



 そして、最後までリングに立っていた勝者は·····







「私の、勝ち、だよ·····」


『Smoosh·····』


 私の拳は彼の身体へとめり込み、彼はそのまま後ろに倒れ込んで動かなくなった。

 喋ってるけど、普通に。


 ·····キノコって喋ったっけ?まぁいいや。


「キノコ神拳を継承した最強のキノコ、ノーススターさん、貴方は、本当に強かった·····」


『Mu·····Mushroo·····』


「うん····· 貴方の熱意、貴方の拳、貴方の奥義、確かに受け取ったよ、ありがとう····· 楽しかったよ」


『Mush····· Mushr·····』


「うん、また会ったらまた拳を交えよう、わたし、待ってるよ」


『Msh····· Smash·····』


 そう言うと、彼はただの美味しいキノコになった。

 ユニークアイテム『神拳:キノコの拳』を遺して·····


 彼の拳は、彼が伝えた神拳は私の中に残り続ける。

 私はこの奥義を、いつか生まれ変わった彼と再び拳を交えるそのときまでに、必ず極めてみせる。


 だから、ノーススターさん、安らかに眠れ·····


 私は、いつの間にか集まっていた彼の仲間『マッチョマッシュ』たちと一緒に彼の遺体に敬礼をして、彼が私にくれた拳装備を受け取り、マッチョマッシュたちに見送られながらこの場を去っ·····








 ん?







 私、何してんだ?



《『ソフィの石』が『賢人(ソフィ)の石』に戻りました》



「私はキノコとボクシングをしに来たんじゃない、キノコの収穫に来たんだった、なにやってんの私·····」


『『Mash!?』』


「あっ、マッチョマッシュ·····」


『『·····』』


「·····」


「みぃつけたっ☆」


『『S…Smuuuuush!?!?』』





「おーい、みんな起きてー!」


「うっ····· うーん····· あれ?ワタシ、キノコに殴られて····· うーん」


「はっ!?あのキノコは!?」


「うぅ、頭が痛いわ·····」


「あたまクラクラするー·····」


「わ、ワシはまた彼奴に吹き飛ばされて····· どこじゃー!!ヤツはどこじゃー!!ぶっ飛ばしてやるのじゃー!!!」


「ふっふっふ、みんなコレを見てよっ!!」


 私が指さした方には、10匹近く積み上げられた『マッチョマッシュ』と、丁寧に木の葉の上に寝かされた『マッスルマッシュ・ノーススター』が居た。

 頑張ったけど50匹くらい逃がしてしまったのは悔しかった、アイツら意外と素早いんだもん·····


 というか弟子が60茸も居たのね、凄い魔物だったんだこのキノコ。


『『おおおー!!!』』


「んっふふふふ、みんな!今日の夜ご飯はキノコパーティーだよっ!!ギルドには4匹出して、あとはみんなで食べちゃおっ!!」


『『やったーー!!!』』



 

 激戦を終えた私は『インベントリ』にキノコたちを入れ、私たちの住む街へと帰っていった。


 彼の遺志()を受け継いで·····





 〜キノコの拳〜


   ~完~




名前:ソフィ・シュテイン

年齢:6才

称号:『キノコ神拳継承者』

ユニークスキル:『キノコ神拳』

ひと言コメント

「えっ?まって?キノコ神拳って何!?」


名前:マッスルマッシュ・ノーススター

年齢:不明

称号:『キノコ神拳継承者(元)』

ひと言コメント

『我がキノコ生に一遍の悔いなし!·····願わくば我が神拳を継承した彼女に美味しく食べてほしい』

(訳:ソフィ)





名前:?? ???

ひと言コメント

『ふぅ、拙の次の出番は····· ほぼ1000話後か、画面の向こうのうぬらと出会うのも1年以上後という訳だ、それまで弟子の成長でも見届けるとしよう、じゃあ拙は元の時間に戻って寝るぞ、ふわぁ····· おやすみぃ····· 』

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