子供の成長はだいぶ早い
ここからは私の成長を一気に見せていくよ!!
◇
生後3週間
この辺りから、家族が絵本を見せてくれるようになってきた。
そのお陰で、まだ喋る事は出来ないが何が書かれているのか、何を喋っているのかは分かるようになってきた。
言葉が分かるようになったので、改良版千里眼で町を見るのがとても楽しくなった。
出来れば遠方の音も聞こえるようになる魔法が欲しいが、そんな贅沢は····· 魔法なら叶えられるかな?
そして、魔法の練習をしていたらとうとうお母さんにバレた。
いや、魔法が使えるのはバレなかったが、既に魔力を宿しているのがバレた。
両親が喋っているのを聞くと、将来は魔法学校に行かせるつもりらしい。
·····めんどくさ。
◇
生後1ヶ月
「あーあー、ひゃへへる?うん、ひゃへへはひ!」
消音魔法を使って毎晩のように練習していると、多少は滑舌が良くなって喋れるようになってきた。
そろそろ移動出来ないのが窮屈になってきたが、まだはいはいも出来ないので頑張った結果、魔力を固めて腕を作る事で移動が出来るようになった。
でもまだ特訓あるのみ!
◇
生後2ヶ月
「あああー、いろはひほへほひりふるほ····· あえんほああいなあいうえお····· よひ!」
消音魔法で夜な夜な発音練習を繰り返した結果、やっと喋れるようになってきた。
段々前世のカンを取り戻してきて、舌や唇の動かし方が上達してきた。
お母さん達に披露するのはもっと練習してからにしよう。
あっ、私の総MPは1000万を越えました。
賢人の石に溜まった魔力は数えるのが面倒になったので分からないが、とんでもない量が溜まってる。
魔力結晶の生成は怖くてやっていない。
◇
生後3ヶ月
ふっふっふ·····
滑舌練習をしまくり、魔法の力でちょっとだけ成長促進をした結果、やっとこさ喋れるようになった。
たぶん他の子供より圧倒的に早いだろう。
「こんにちは、こんばんは、はろーにゅーわーるど」
さて、そろそろお披露目と行きますか!
おっ!ちょうどよくお母さんが入ってきた!
「あうーあいー」
「ん?はいはい、どうしたのソフィ?」
ここで私は腕を持ち上げ、お母さんを指さし·····
「まま!」
「·····ふぇっ!?えっ!?今喋った!?ねぇ、ソフィ今喋ったわよね!?」
「あいー」
「え!?返事した!?理解してる!?えっえっ、ちょ、ちょっとあなたーーー!!!ソフィがママって喋ったわあぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁ··········」
「·····やれやれ」
ひと言喋ったくらいで大騒ぎしながら部屋から飛び出してしまうとは·····
私が泣いたらどうするんだ!泣かないけど!!
2分後、半信半疑な顔をしたお父さんと、オマケでお兄ちゃんがやってきた。
「いや、さすがに産まれて3ヶ月だぞ?早くても9ヶ月くらい経たないと喋らないはずだぞ?ラクトとピ····· ゲフンゲフンッ!·····ラクトがそうだったし、」
「ねぇ!だからソフィがママって喋ったよの!本当よ!ねぇソフィ!もう1回!もう1回!!」
·····そうなの?
どうしよ、気が早すぎたかもしれない。
ええい!もう後戻りは出来ん!!
「ぱぱぁー」
「·····」
「わぁー、そふぃがしゃべったー」
「ね!?喋ったでしょ!?私ウソついてなかったでしょう!?ねぇ!·····あれ?あなた?あなたーーーっ!!?」
·····あ、お父さんが白目剥いて気絶してやがる、(喋るのが)早すぎたんだ。
ん?なんかお兄ちゃんが私をじっと見つめてる?
あっ、そうか、自分も呼んで欲しいのか〜、可愛い奴め!
特別サービスだぞっ☆
「にー?」
「ままっ!そふぃが僕の名前もよんでくれた!!」
「え゛っ!?何この子怖い·····」
◇
生後4ヶ月
·····もう普通に座れるようになってしまった。
というか、魔法で補助すればはいはい程度なら出来るようになってしまった。
魔法に関しては、念願の『盗聴魔法』が完成した。
いや、盗聴と表すしか無かったんです·····
方法としては、音で振動するレベルに薄い魔導障壁を2枚生成して魔力線で2つを接続、片方を『千里眼』に引っ掛けて飛ばし、私の方に残った受信用魔導障壁が受信した振動をデータとして『ウィンドウ』に記録、音量やノイズを軽く調整したあと私の脳内に送り込んで聴く仕組みだ。
これのお陰で私の語彙読解力は飛躍的に上昇した。
「でも、そろそろあきてきたし、ひまだなぁ·····」
あっ、そういえば普通に喋れるようになったよ☆
◇
そして!やっと歯が生えてきた!!
正確には4ヶ月というより3ヶ月と1週間くらいに生えてきた。
◇
建国1212年12月20日
私はこの日、この世界で初めての食事を口にした。
お母さんが持ってきたのは、淡く輝くフルーツピューレだった。
作ってる所を魔法で覗き見したところ、ピンク色のリンゴっぽいのと、真っ赤なミカンみたいなのと、いかにも高そうな金色に輝く果物をすりおろした物のようだ。
この金色の果物、最近機能を追加した魔力も見れる千里眼で見たところ、魔力が篭っている特殊な果物のようだ。
明らかにコレだけ神聖そうな布に包まれていて、お母さんが慎重に扱っていたので高級品なのだろう。
鑑定したところ、名前が『プリミティブ・フルーツ』と言って、食べた者に魔力を宿らせる····· と言われている太古の昔から存在する世界樹の木の実のようだ。
どうやらこの国の国教になってる教会が管理する希少な物で、昔から子供のお食い初めのド定番だそうだ。
大きさ3cm程度の実1つで日本円にして5万円くらいするらしい。
何でもコレを赤ちゃんに食べさせると魔力を獲得出来るという伝承があるそうだ。
しかもめちゃくちゃ美味い。
でもごめんね、私、もうMPが1250万くらいあるし魔法も使えるんだよ·····
でも離乳食はすごく美味しかったよ!!
その数日後、高級品を食べさせてくれたお礼として下級光魔法『ライトボール』をぽわっと1つだけ出した結果、お父さんとお母さんが白目剥いて倒れ、見逃していたお手伝いのルーベさんが焦りまくっていた。
お?お兄ちゃんも見る?ほーれ光球だよー☆
◇
生後5ヶ月
毎日魔法補助アリではいはいの練習をした結果、とうとう補助無しではいはいが出来るようになった。
だが、はいはいをしている途中にお父さんが入ってきてしまい、また白目を剥いて気絶させてしまった。
その後、お父さんがお母さんを連れて来て暫くはいはいさせられる羽目になった。
マジで天才なんじゃないかって2人とも大騒ぎしているようだったが、周囲からはただの親バカと思われているようだ。
◇
生後6ヶ月
「やった!やっとたてたっ!」
つかまり立ちや、魔法補助による自立訓練をやり続けた結果、とうとう自立出来るようになってしまった。
だが、さすがに早すぎたのか赤ちゃんの骨格ではキツい感じがした。
「とうとう『アレ』にてをだすかなぁ」
「『ディメンション・ルーム:ゲートオープン』!」
異次元へ繋がる穴を空ける時空魔法を唱えると、ベビーベッドの中に不気味な空間の亀裂が生まれた。
私はそこに向かい、はいはいで躊躇なく突撃した。
建国1214年3月4日
この日、私はこの世界から少しの間だけ消えた。
◇
「よいしょ、うんしょ」
やってきたのは何も無い白い空間。
ここは固有空間『ディメンション・ルーム』という、私専用の部屋、そして私だけの世界だ。
ここは部屋の中ではバレてしまう攻撃魔法や大出力魔法を使うために作った、次元の狭間にある実験室で、今から使う魔法もバレたらヤバいかな?と思ってこっちで使う事にした。
その魔法は、『人体に対する成長促進魔法』だ。
ちなみにちょっと調べた感じ、禁忌魔法扱いだったよ☆
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:生後約6ヶ月
ひと言コメント
「え?いやいや!禁忌って向こう側の世界では、でしょ?私の世界ならセーフだから!」




