フィーロ君とフシ町でデートっ!
『まいどありっ!』
「いやーいい買い物したわぁ·····」
「さすがアルムちゃんの実家って感じだったね」
アルムちゃんの実家、ゴルド商店で衣替えの時期に必須になる道具や外国の珍しいお菓子を買った私たちは、再び町へと繰り出していた。
ちなみに買ったのは防虫用のお香に乾燥剤に収納ボックス、それとメイプルシロップ的な樹液を煮詰めた甘いシロップや、如何にも怪しげな外国のお菓子だ。
それと、今回一番いい買い物だと思ったのは、学校の制服を飾れるハンガーだった。
これがまた優れもので、私たちの通っていた魔法学校の制服を上下同時にお手本のように綺麗に掛けられて、更に校章や帽子や靴なんかも掛けられるハンガーも付いた、制服特化のハンガーセットだったのだ。
なんでも収納にも使えるけどメインは展示用や観賞用に用いられる、綺麗に飾るために開発されたハンガーらしくて、本来なら制服を取り扱うお店にしか卸されない激レアな物らしい。
卒業して制服をどうにかしなきゃとは考えてたんだけど、こんなの見たらもう買うしかないよね。
入荷数はなんとたったの6個、1個3000円もしたけど当然のごとく全部買った。
ちなみに、この町の民衆向け食堂の大盛り料理を食べても大体150円~300円なのでめっちゃ高い代物だ。
·····ところで今年のフシ町に関わりのある卒業生、丁度ぴったり私たちなかよし組の6人なんだけど?
さては狙ったな?
たぶんアルムちゃんの入れ知恵だろう、きっとそうに違いない。
くっ····· アルムちゃんとお父さんの策に嵌められたっ!!
「まぁまぁ、落ち着いて?アルムちゃんの策に嵌められるのはいつもの事じゃん、それに不要な物は····· ソフィちゃんが勝手に自爆してる時以外は凄く良い物をオススメしてくれてるんだからさ」
「まぁそうだけど·····」
この前も在庫処分だかでアルムちゃんにそれぞれで違うボディビルのポーズをしている『マッスルゴリラ』という魔物の木彫り人形を10体買わされた、5万円で。
なんでアルムちゃんとゴルドさんはあんなの仕入れたんだろう、そしてなんで私はそれを買ったんだろうと疑問に思ったけど、欲しかったから買った。
今はディメンションルームにある私の展示部屋にトーテムポールの周囲に円形に並べて飾ってある。
·····時々ポーズが変わってるのは気のせいだと思いたい。
夜中トイレに起きたら輪になってダンスしてたのはきっと私の変な夢のはずだ。
あとはキノコ型の木製マッサージ器も買ったけど、うん、なんでこれが東の商店街じゃなくてここにあったかよくわからん。
まぁ普通に可愛かったからデスクに置いてあって、時々肩とかが凝ったら使ってるお気に入りだけど。
『あっ!ソフィねーちゃんがカレシと手つないでラブラブしてやがる!やーい夫婦っ!』
『やーいやーい』
『早く結婚しろー!』
「ああん?なめてんのかテメーら!」
『うわー!怒った怒ったー!』
『逃げろー!』
『撤退だー!』
「ちっ、逃げられたか····· ったくもう、元気いっぱいなガキンチョ共はほんとこれだから·····」
「やっぱりソフィちゃんは人気だね」
「人気者も大変だよ?しょっちゅう絡まれるし·····」
歩いてたらヤンチャなガキンチョ共にからかわれてしまった。
·····あいつら私とフィーロ君が一緒に歩いてるといっつもからかってくるのよね。
「あはは····· 僕はそこまで人気ないからわかんないや」
「だよね、でもまぁ、町のみんなからは嫌われてないし別にいいかな?気さくに話しかけてくれて、からかってくれるくらいフレンドリーな方が私は好きだし」
「あー、確かにそうだね、町民と仲が良いって言うのは良い事だと思うよ」
「んふふ、あっちなみにフィーロ君」
「何?」
「さっきのヤンチャなガキンチョ3人組いるでしょ?」
「うん、でもどうしたの?」
「あれ一人女の子だよ」
「えぇ·····」
いやー、あのガキンチョ3人組の成長は是非見守りたいモノだねぇ·····
何せあの中の一人、まだ結構寒い時期なのにブカブカのタンクトップ&ショートパンツでショートカットの色黒の子は男子の中にしれっと混ざってるけど女の子なのだ。
ちなみにあの子は一人称が『オレ』なせいで他二人のヤンチャ坊主はあの子が女の子だという事に気が付いてないし、その子も性別についてまだ知識が無くて性別が何なのか知らないでいつもつるんでるなかよし3人組なのだ。
あの3人が時々川でずぶ濡れになって取っ組み合いして遊んでるのを見るけど、まだ8歳とかで見た目に差が無くて気が付いてないらしい。
いやー、そのうちあの子が女の子って気が付いた時の他二人の反応とか恋心がどうなるかめっちゃ楽しみで仕方ないねぇ·····
そんでいつもみたいに私たちみたいなカップルをからかってたけど、だんだん自分たちもそういう関係を意識しちゃったりして·····
ちなみにあの子のお母さん、ナイスバディの美人だから将来すんごい事になると思う。
んふふふふふふふ·····
とりあえず、これからもあの3人の関係は微笑ましく見守らせてもらおう。
「·····趣味わるいね」
「う、うるさいっ!だってめっちゃ面白そうじゃん·····」
「ちょっとわかるのが悔しい·····」
◇
なかよしガキンチョ男子3人組だと思いきや実は一人だけ女の子だったパターンの貴重なサンプルにからかわれた私たちは微笑ましい顔をしながら彼らを見送って、再び町歩きを再開していた。
「あーそうだ、まだ早いけどお昼どうする?」
「どうしよっか·····」
「一応今考えてる候補としてはさ、大通り沿いのオシャレなレストランにするか、裏の大衆食堂にするか、その中間くらいなお店にするかって考えてるんだけど····· どうする?」
「うーん····· そういえばそろそろ川魚が美味しい時期に入ったからさ、確か川魚とか専門のお店の隣に直営食堂があるところなかったっけ?」
「あっ!確かにそろそろイワナとかヤマメとかニジマスが美味しい時期だったね!確か川魚とかの専門のお店は·····思い出した、『リバーサイドアップ』だ!確か漁師さんが直営でやってる川沿いのお店だったと思うよ!よしじゃあそれにしよっか!」
「賛成、あー僕どうしよっかな、ニジマスのソテーとか食べたいかも」
「わかる、でも最近炊き込みご飯が新メニューに追加·····はアユ限定だから夏だったわ、じゃあ私ヤマメの唐揚げと塩焼き、それとあったら刺身も食べたいなぁ·····」
「いいね、僕も一口もらっていい?」
「んふふ、もちろんいいよ!でも私もフィーロ君の料理一口貰うからね?」
「いいけど、一口で全部食べるのはナシだよ?」
「なぜバレたし!」
「·····前に僕の食べてたケーキを一口で全部食べたじゃん、それから信用してないから」
「うげっ、あの件まだ怒ってる?ごめんって····· あのあと同じケーキワンホールあげたからいいじゃん·····」
「·····ワンホール全部食べさせられた僕の気持ちわかる?」
「天国にも上るような気持ち?」
「あながち間違ってないね、悪い意味だけど」
「んへへ····· ごめんね?」
「まぁもう許したからいいけどね」
アレは9歳くらいの時の事だったっけなぁ·····
確かフィーロ君に妹が産まれて、そのお祝いでケーキを買ってみんなで食べてたらフィーロ君が食べてたケーキが美味しそうだったけどほとんど食べてなくて、一口貰うって言って丸ごと食べたんだっけ?
いやー、あの時は猛烈に怒られたよ·····
「あっそうだ、話変わるけどさ、あそこで川魚を食べておいしかったらさ、晩御飯用に何匹か魚買って帰るのどう?」
「いいねそれ、みんなも食べたいって言うだろうし多めに買って帰る?」
「賛成っ!旬の食材はたっぷり楽しまないとねっ!」
という訳で、私たちは町の中央を西から東に向かって流れている川沿いの通りに方向転換して進んでいった。
◇
「ほほぅ、今年はヤマメとかが大漁ですか、おおっ!?そんなに釣れてるんですか!?しかもめっちゃおいしそうに肥えてますね·····」
『ほっほっほ、何匹かいるかい?ばあさんとわしだけじゃ食べきれぬからのぅ』
「いいんですか!?いやー流石に悪いですよ~」
『大丈夫じゃ、育ち盛りじゃから沢山食べて大きくなるんじゃぞ?』
「それじゃあお言葉に甘えて····· って多い多いっ!10匹は多いですって!流石にアレなので3匹で!あとは生態系の保護も考えて逃がしてあげてくださいな」
『そうかのう····· わかった、他の奴らは逃がしてやるとしよう』
「はーい、それじゃありがとうございます、美味しくいただきますね!」
まだお昼まで時間があったので、私たちはフシ町の中央を流れる川沿いを歩いていると、いっつも釣りをしているお爺ちゃんが居たので話しかけて釣果を聞いてみたりしていた。
そしたらなんかすっごい大漁だったらしくて何匹かお裾分けしてもらっちゃった。
いやー、今年のヤマメは凄いね、大漁なだけじゃなくてめっちゃ肥えて全部美味しそうだ。
「フィーロくーん!アングラーお爺ちゃんからお魚もらっちゃったー!」
「おー、何貰ったの?」
「えっと、ヤマメが3匹だね、なんか20匹近く釣ってた····· あっまた釣った、って感じでなんか今年は凄い大漁だし美味しそうだからさ、後で追加で何匹か買おうよ」
「おお、確かに美味しそうなヤマメだ····· ところでソフィちゃん」
「なになに?」
「前から思ってたんだけどさ、もしかしてソフィちゃん町民の顔とか職業とか性格とか全員分把握してる·····?」
「あー、全員覚えてるって訳じゃないんだけどね、話かけられた時に話を合わせたいから鑑定とかアカシックレコードを使って名前とか性格とか好きな話とかを事前に知らべて会話してる感じだね、でも半分以上の町民の顔と名前は記憶してるよ、ほら例えばあの人は西12丁目の5番地にある駄菓子屋の5軒先に住んでるアルムちゃんの実家のお店の従業員の奥さんだよ」
「すご····· よく覚えてるね·····」
「そりゃ一応町長の娘ですし?」
「町長の娘でもそんなにしっかり覚えてる人いないって·····」
「そう?あー確かにお父さんもここまで把握してないって言ってたなぁ·····」
「·····あのさ、ソフィちゃんも町政のお手伝いしたら?かなり役立つと思うよ?」
「うーん····· あんまりそういうの好きじゃないのよね····· でも一応やってはいるよ?町の人々の変化とか意見とかを聞いて、それをお父さんに報告してる感じの事くらいだけどね」
「へぇ、流石だね」
「んへへ·····」
そう、実は私、この町の人の顔は大体記憶しているのだ。
といっても、いつも家に居て会う事が出来ない人とか東の町あたりに住んでる人はあんまり詳しくないんだけどね。
でもそこはアカシックレコードの力を借りて初めて会った人でも普通に会話が出来るようにはしているから、一見すると町民全員の事を記憶しているように見えると思う。
そんで、あんまり出歩かないけど時々街中を歩き回っては主婦や通りすがりの人々に話しかけられて雑談をして、不満とか不便な所とかの主婦の間でしか出回っていないような情報があったらそれをお父さんに伝えたり、私が調査したりしていたりする。
だから私は町政に完全に関わってないわけではなかったり·····
「とりあえずさ、もうちょいぶらぶら歩きまわってからお昼ご飯を食べにいこっか、そんで食べ終わったら·····」
「うん、教会に行って結婚式の相談とかしよう」
「んふふ、楽しみだねっ」
「そうだね、そうだ、お昼を食べながらそういう話もしよっか」
「いいねそれ採用っ!」
っていう訳で、今の時間は10時30分頃なのであと1時間半くらい私たちは町をぶらぶらと歩いて、時々お茶をして休憩したりしながらフシ町デートを楽しんでいった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「ちなみに魚釣りしてるお爺さんはあの人を含めて5人居て覚えるのが結構大変なのよね、あとあのお爺さんは釣りが上手なんだけど、すぐに私に魚を分けてくれようとするからちょっと困るのよね、そうそう、あのハンガーを買った理由だけど、私は魔法学校の制服がお気に入りだし、思い出の服だし、その、フィーロ君が制服で····· とかあるからさ、その·····、今でも時々着たりしてるからさ、ちゃんとキレイに飾ってたかったからつい買っちゃったんだ····· んへへ·····」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「なんか勝手に性癖を暴露された気がする····· 僕も暴露し返すと最近また太って制服が入らなく\うわぁぁぁあああああああ!!!!?やめろッ!やめてくれッ!!/·····まぁ、それは今はいいとして、ソフィちゃんってほんと人気でいいなぁ····· 町を歩いたらみんなから話しかけられて、なんだかんだ色々物を貰っちゃったり、それに老若男女関係なく好かれてるの、すっごく良いなって思うな、·····それと僕にしか見せない顔とギャップが凄く好きなんだけどね」




