フィーロ君を尋ねて実家のお店へGO!
さっきつい買っちゃったキャベツを収納した私は、フィーロ君の実家の魔道具店の中に入った。
「すいませーん、誰か居ませんかー?」
『誰も居ないよ~ん』
「あっそうですか····· 仕方ない出直そう」
『ちょちょちょっ!?ちょいまちっ!居るからっ!』
「全く、何やってるんですかバルタお義姉さん」
「お ね え ちゃ ん」
「あっはい·····」
「復唱」
「·····バルタおねえちゃん、はいこれでいいですか?んじゃフィーロ君はどこかわかります?」
「ソフィちゃんは釣れないにゃあ、もっとお姉ちゃんと絡んでもいいのよん?」
ちっ·····
バルタお義姉さんが居たから裏口から入ってやろうと思ったのに絡まれた·····
この人、絡んでくると結構しつこいのよね。
姉貴のウザ絡みとは違って、飄々としてるけどヌルヌル絡んでくるタイプの人だ。
·····でも、私が知ってる限りフィーロ君の家族の中で一番強い。
彼女は私が知ってる中で唯一魔物と一体化することに成功した人物だから。
なんでも14歳の頃に町の外に行ってた時に寄生系の魔物に襲われて一時的に取り込まれてしまったらしいのだが、奇跡的に魔物の活動を封印することに成功して、王都にある病院で治療を施した結果逆に魔物を侵食し返して能力を獲得してしまったらしい。
その代償で、左目が常に魔石化&魔物化しており、異常な色になっているから眼帯を付けているそうだ。
あと18歳あたりで完全に魔物化してしまい、外見が変わらなくなってしまったらしい。
なお、彼女が本気を出すと腕がもう一対出てきて牙も尻尾も生えてきたり全身の関節が無いような動きをしたりとバケモノみたいになって襲い掛かってくるバケモノみたいな感じになる。
あと左目の真紅の瞳が真っ赤に輝きだす。
あと何故なケモミミも生やしてるらしい。
まぁそんなバルタお義姉さんは放置しておいて、とっととフィーロ君を呼んで町の探索をしたいんだけど·····
「ねぇねぇフィーロとは最近どうなんだい?イイカンジ?毎晩お楽しm·····」
「·····お義姉さん、流石に私以外お客さんがいないとはいえ下ネタは流石にダメですよ?」
「え~?別に良いんじゃにゃいの~?·····で、そこんとこどうなの?フィーロって控え目すぎる性格だからさ、ソフィちゃんの事苦労させてない?」
「ぜんっぜん大丈夫ですよ?むしろ積極的に手伝ってくれたり支えてくれたりしてますよ」
「ほほぉ····· それは昼夜どっちの話かにゃ~?」
「私とフィーロ君は四六時中ラブラブですよ」
「おおっ、イイカンジなんだねぇ、よかったよかった」
·····この人さぁ、店番してる時に思いっきり下世話な話しないでよ。
他にお客さんいたらどうすんの?
いや、この世界ってわりと前世よりそういうところに寛容なとこあるけどさ、流石に直接的すぎない?
さっきから翻訳でかなりフィルターかけてるけど、実際はガチで率直に聞いてきてたからね?
·····仕返ししてやる。
「·····で、バルタおねえちゃんはどうなんですか?まだ独身なんですか?長女のマギさんは早いうちに嫁に出たって聞いてますけど」
「ふぐぅ·····」
バゴォッ!!
私からのキラーパスが効いたのか、バルタお義姉さんは机に頭突きをして突っ伏してしまった。
·····この人、21歳とかだったと思うけどいまだに彼氏もいないのよね。
この世界だとまぁ少し行き遅れてるレべルだろう。
うん、的確に傷口を抉ってやったわ、
「で、フィーロ君はどこにいます?」
「くっ····· この先に行きたきゃおねえちゃんを倒してからいけーっ!!」
「こ、こやつ、この期に及んでまだ抵抗するか·····」
そんでダメージを与えたところでフィーロ君の居場所を聞いたら、お店の奥、フィーロ君の家族が住む自宅につながるドアの前に立ちふさがりやがった。
·····絶対あの先に居るでしょ。
よし、面倒だし軽くやっちゃおっと。
「ふっふーん、ここは通さないよんっ♪」
「·····通りますよ?必殺!キノコ神拳究極奥義っ!紅茶を飲むときについ立てちゃった小指で脇腹をツンツンする拳っ!!」
「わひゃひゃひゃひゃっ!あひぃっ!!」
私はバルタお義姉さんが飲んでいた飲みかけの紅茶が入ったティーカップを持つと、カップを持ったままつい立ってしまう小指でお姉さんの脇腹をツンツンした。
するとお姉さんは笑い転げ、ドアの前から立ち退いてしまった。
ったくもう、キノコ神拳の究極奥義を使わせやがって·····
てこずったけど、これでフィーロ君の居場所も分ったし早速お店の奥に行かせてもらおうかなっと。
「んじゃちょっとお邪魔しますねー」
「ど、どうぞ~、はひぃ····· あっちょいまち·····」
「ん?この期に及んでなんですか?命乞いですか?」
「紅茶····· 返して·····」
「·····あっ」
やっべ、ティーカップ持ったままだったわ。
◇
「おじゃましまーす」
バルタお義姉さんに紅茶の入ったティーカップを返した私は、本来は従業員とフィーロ君の家族以外立ち入り禁止のドアの向こうに遠慮なく入って行った。
まぁ、一応私ってフィーロ君の妻(※まだ彼女)だから家族っちゃ家族だし·····?
それに彼のご両親からも『息子の彼氏だし時々高性能な魔道具を格安で卸してくれるから自由に出入りしていい』とお墨付きをもらってるので堂々と入ってもいいのだ。
「おや、ソフィちゃんじゃないか」
「あっお義父さん、お久しぶりです、フィーロ君っていますか?」
「おう居るぞ、おーい!フィーロ!ソフィちゃんが来たぞー!」
『あっはーい、今行きます!』
「っと、すまないな、今母さんが出かけててタキスの面倒を見させていたんだ、もう少しだけ待ってくれないか?」
「あー了解です、私が遅れちゃいましたもんね·····」
今回は私が悪いし、フィーロ君が来るまで大人しく待つとしようかな。
·····待つのも暇だし、フィーロ君のお父さんと話でもしよっかな。
「あそうだ、お義父さん、タキス君は元気ですか?」
「ああ、元気過ぎて困ってるくらい元気だ、フィーロみたいに落ち着いた子に育ってくれると嬉しいんだけどな·····」
「あー、確かに、アレク君とアラン君ヤンチャですもんね·····」
ちなみに、タキス君は私の妹『イデア』の約一週間後に産まれたアルス家の第11子だ。
性別は男の子で、お義父さん曰くフィーロ君が赤ちゃんの頃と似ているらしい。
「そういえば、そっちの子は元気にしているか?」
「あーーーーーーーーーーーーーーー····· はい、うん、まぁ、元気いっぱいで滅茶苦茶手を焼いてますね」
「まぁそうだろうな、ソフィちゃんにとって初めての妹だろう?·····かなり大変だぞ、頑張れよ」
「あはは····· ガンバリマス·····」
·····ごめんなさい、多分お義父さんが思ってる1000倍は大変です。
今朝も勝手に出歩いてたイデアに見送られて出発したし、どうやってもイデアの暴走を止められなくて困ってるし·····
なーんで兄と姉はこんなに大人しくて真面目でいい子なのに、突然ヤンチャな子が産まれちゃったかなぁ、まぁイデアも成長したら私みたいな真面目でいい子に育つでしょう。
「ごめんおまたせ!ちょっとタキスのお世話してた!」
「大丈夫大丈夫、むしろ私の方が待たせちゃったから····· あっでも寝坊したわけじゃなくて、大通り沿いを普通に歩いてたら町民に話しかけられまくっちゃって·····」
「あはは、もちろん知ってるよ、最初10分くらい遠くから見てたけどずっと話しかけられてたもんね、それに今朝一緒に起きたから寝坊じゃないってわかってるよ」
「んへへ····· ありがと、それじゃ行こっか」
「うん、それじゃお父さん、行ってきます」
「行ってらっしゃい、楽しんで来いよ」
そして私たちはフィーロ君のお父さんに見送られ、従業員用出入り口から外に出たとことでバルタお義姉さんに絡まれて蹴散らしてから、フシ町の探索に出かけた。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「えっ?私って大人しくて優しくて可愛くて天才で強くて真面目で良い子な、全人類が見習うべきイデアの如き存在でしょ?·····おい誰だ『はた迷惑な暴走機関車みたいな女子』って言ったヤツ、トロッコ問題を単線区間に縛り付けてやってやろうか?おぉん?」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「やっぱりソフィちゃんって人気だよね、よく分からないけど人から好かれる魔力でも滲み出してるのかな?」




