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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第四章 TS賢者は世界を往くっ!
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隠れ転生者リリアの不運



「·····はい、そうです、そういう訳でして、ん?あー了解です、引き続き捜索を続けますね、また何かあったら連絡しますんで、はい、あー、はい、わっかりました····· 了解です、はい、それじゃ····· はい?はい、はい、あーはい、無理です\チョマテヨ/では失礼します」


 ブツッ


「ったくもーあの女神は·····」



 私は女神様への連絡を終えると、自分の部屋のお気に入りの椅子で脱力した。


 今の連絡はリリアの前世が見つかってその対応を始める旨を伝える内容だったのだが、ついでにリリアの前世の魂を取り逃した例の死神ちゃんも見つけたら連れてこいと伝えられたのだ。

 なんでもキツく説教して『第二種魂魄取扱免許』の更新というか講習をもう一度受けさせて免許を剝奪するか否かを判断するらしい。


 相変わらず不憫な子よね·····


 ちなみに女神様から『例の副業死神の天使ちゃんの指導をやってみない?』とか言われたから丁重にお断りさせてもらった。



「私は忙しいってのに何やらせるつもりなんだか····· まぁ今は考えなくていいや、それよりもさっさと今日中にリリアの前世を見つけないと····· だって明日は····· んふふ·····」



 何せ、明日は結婚式の相談にフシ町の教会に行く予定だからねっ!!


 絶ッ対に遅れられないっ!!



「よし!気合入れるぞーっ!!」





 ~1時間後~



「·····見つけた、この人に間違いない」



 ついに私は先ほどの番組に映り込んでいた、リリアの前世と思われる女性を発見した。



「『竹田(たけだ) 麗奈(レナ)』、享年32歳、急性アルコール中毒によって倒れ自室にて孤独死·····か、大体予想通りかな」



 アカシックレコードの出力画面には、リリアの前世の情報が詳細に記されていた。


 この世界の全てを記録する保管庫に個人情報保護なんぞない、あと死人に口なしっていうし?


 って事で、リリアの前世の情報を私は詳しく見ている。



「ええと、死亡直前の様子は····· あー、やっぱり、仕事クビになって更に株でボロ負けして絶望して残った僅かな金で酒を買いまくって飲んでたら急性アルコール中毒になって部屋でぶっ倒れて、そのまま助けも来ずに死亡·····か、うっわ部屋汚い、汚部屋じゃん、ゴミ屋敷じゃん·····」



 まずは死因と死ぬ前までの記録を見たが、とにかく手段を選ばす成り上がろうとして同僚を蹴落としてまで昇進しようとしたり感情の起伏が激しくて煩くて、ものすんごいトラブルを起こしてクビになり、株に手を出したら一時は物凄く儲けたみたいだけど、欲を出し過ぎてその後大暴落に巻き込まれて有り金ほぼ全てを溶かしてしまい、自暴自棄になり酒に逃げて働きもせず知り合いの家で居候しながらずっと酒を飲んでたらぶっ倒れたらしい。

 そして友人もほぼゼロに等しかったらしく、結局誰も助けに来てくれなくてそのまま····· だったそうだ。


 ·····うん、あと働いてた頃の様子も見てみたけど、すっごいクズだわ。

 今のリリアからは信じられないくらいクズだわ。


 でもコレ多分タケノコ神拳の制御ができてないだけだな?

 才能もあってかなりいい学校を出てるけど、自己顕示欲がやたら強くて常に一番でありたいが故に他人まで蹴落としてたんだなぁ·····


 なるほどなるほど·····


 確かにこっちのリリアにも引き継がれてるわ、やたらキノコタケノコ抗争に拘ってたりしたし。



 んで容姿だけど、死亡直前はさっき見たのとほぼ同じでボッサボサで何日も洗ってない汚いこげ茶色の髪で、前髪とかは市販のハサミで切ったのか雑なパッツンで、目の下のは物凄い隈ができていて、目が魚河岸に連れてこられたサハギンみたいな目をしていた。

 ちなみに胸は私よりちょいと大きい程度だった。


 そして私が驚いたのは学生時代だ。

 死亡直前とは見た目だけは全く印象が違う、クールで真面目で頭脳明晰そうで、常に学年首位を独占して運動も完璧な気が強そうな委員長タイプだったのだ。

 ちなみに髪形は相変わらずロングだけど、ちゃんと美容院で切っていたらしく綺麗に整ったパッツンだった。



「·····こりゃ酷いなぁ、うん、うっわひど·····エグい事するねぇ」



 ただ、一応記憶も全部見返してリリアの記憶を元に戻すときに害をなす記憶が無いか探したけど、うん、全部ひっどいわ。


 まず学生時代、小中高全部でクラスで成績トップの争いをしていた子を車道に突き飛ばして階段から落としたり自転車や自動車に轢かせたり、苛烈なイジメをして不登校にさせて無理やりトップを取っていた。

 これが何回もあるし、何人か後遺症が残るほどの瀕死の重傷を負っている子も居た。

 続いて社会人時代、性格は悪くとも頭は良いのか一応有名難関大学を主席で卒業していて、有名企業に入って営業職に就いて、そこで同僚に片っ端から喧嘩を売って大顰蹙を買って、更に性格はクズだが優秀っちゃ優秀なので同僚たちから仕事を搔っ攫い、対向してきたヤツは階段から突き飛ばしたりネチネチと責めてイジメて大怪我を負わせたり鬱にして辞職させたりと····· うん、クズすぎるわ。


 そんで特にタチが悪いのが、リリアの前世のコイツは性格はクズだが頭脳明晰で計算高く、うまく相手に媚び諂っていて好印象を与えていて、相手を貶める時に絶対にバレないようにやっていたせいで誰も犯人がリリアだと気が付けなかったようだ。



 んで、こんな最悪のクソみたいな性格の彼女は調子に乗ってしまった。

 えーっと、·····酷すぎるから優しく纏めると、うん、会社のお偉いさんのスケベジジイに体を売ってうまいこと気に入られて昇進をし始めたんだけど、あるとき大規模な内部監査が行われて、リリアの不正、それも体を売ってた事がバレてそこから芋づる式に、竹の地下茎式に不正とか色々な事がバレてしまいクビになったのだ。


 その中には犯罪行為も普通に含まれていたけど、逮捕されなかったのは、会社の結構ヤバい所にまでリリアの魔の手が喰い込んでいて、逮捕されたとかが公になると会社が傾きかねないくらいヤバかったらしくて裁判も逮捕もしないでほしいと会社から、特にあのエロジジイ(会長)から言われ、クビという形で落ち着いたそうだ。



 んで、その後はバイトなんかも転々としていたみたいだけどクズ過ぎる性格がバイトとは合わなかったようですぐにクビになり、なんやかんやあって株に手をだして大儲け····· といってもそれもクズの手段だ。


 リリアがクビになった会社の株を買いまくったのだ。

 何せリリアがクビになったあと会社は業績が一気に落ち込んで株価が大暴落していたのだ。


 ·····マジで会社傾けてるよコイツ。


 でもそこはリリアの計算の内だった。

 持ち前の優秀さでかつて同僚を蹴落とすために会社内に仕込んだスパイたちに指示を出して会社を急成長させ、株価が安い時に株を買いまくってたおかげて会社が成長して業績が回復した事で株の価値が物凄いこと位なったらしい。


 クズどころかゲスいわ。



 でもやっぱりコイツは運が悪かったようで、スパイがバレて、しかも業績を上げたのも全部リリア式、つまり他社を蹴落としたりあくどい事をしまくった事で成長していたせいで会社が潰れて他社に買収されて色々あって株が全滅したそうだ。



 ·····クズすぎる。



 んで、あとは知っての通り有り金を失って常にトップを目指していた彼女は最底辺まで転落、高級タワーマンションからボロアパートに引っ越すというか追い出され、更にボロアパートの家賃も滞納しまくっていた最底辺の人生で幕を終えたそうだ。



「·····あー、これ他人の記録だ、うん、絶対他人、あんなお人よしで親思いの優しい子がこんなクズなわけ·····あるのかぁ、うわぁ·····知りたくなかったぁ·····」



 でも彼女がこんなひどい正確になったのには理由があった。


 というか全部両親が悪い。


 彼女の両親はヤバめな新興宗教にハマっていて、更に成績とかにも厳しくてリリアに『常にトップで居ろ』とか『トップであるために手段を選ぶな、他人を蹴落とせ』とか言ったり、一切遊ばせずに勉強をさせて、少しでも成績が落ちると物理・性的問わず滅茶苦茶に暴行を加えていたという、かなり酷い毒親だったようなのだ。


 そんで、そんな親に育てられていたリリアは運が悪いことに親に褒められるのが大好きな健気な子で、常に誰かの期待に応えたい優しい子だった。

 そして親のひどすぎる教育で性格が変な方向に歪み、『誰かに褒められるために、誰かの為に、手段を択ばず常にナンバーワンを目指す』という天然物のヤベェ奴になってしまったのだ。


 ·····可哀そうなのは、かなりゲスいクズ過ぎることも全部『これが正しい』と思ってしまっていた事なのよね、あんなことをやってても悪気は一切なかったみたいなのよ。

 いやちょっと違うか、これが悪い事だと教えられなくて、善悪の概念が無かったみたいなのだ。



「·····確かにリリアの前世は酷い事をしてたけど、本当にリリアが全部悪いのかなぁ」



 流石の私でもリリアの前世の性格が酷すぎてドン引きしたけど、そういう経緯があったとなると、やってることは悪い事だけど彼女が100%悪いとは思えなくなるし、むしろ同情したくなるなぁ·····



「っと、ガイア様に報告っと·····」



 プルルルルッ!



「んひゃんっ!?はっや!もしもし?」


『あっソフィたん?捜索お疲れ様、そんで隠れ転生者の記憶の件についてだけど·····』


「あー····· どうします?コレ、ぶっちゃけ戻したら酷い事になりません?」


『だねぇ、事情が事情とはいえクズすぎるね、だから使えそうな害のない記憶だけ抽出してさ、抜けたところはソフィたんが補完してでっちあげる事できない?』


「まぁできないことはないですけど····· 人生の8割くらい天然クズの行動の記憶ですけど?」


『そこをなんとかっ!』


「·····はぁ、ちゃんと給料もらいますよ?変にケチったら麗奈さん直伝のクズ戦法で神界メチャクチャにしてやりますからね?」


『おぉ怖い怖い、まぁやってくれるならサンキュー☆ ·····で、報酬に追加なんだけど』


「はいはい?」


『麗奈たんの前世の両親、まだ生きてるし新興宗教で高い立場にいるみたいなんだけど、神界規定的にみてもかな~り酷い事してるからさぁ?』


「·····まさかぁ?」


チェスト(天誅)していいよ』


「マジですかァっ!?!」



 とりあえずリリアの前世の両親は酷い事をし過ぎている事から、新興宗教団体諸共即刻地獄行きが確定した。

 うん、まぁテロ考えてるあたり神どころか公安にお世話になるべき案件だし。



 ちなみに手を下すのは私じゃなくて死神と天使たちらしい。



 そんで私はというと、リリアの前世『竹田 麗奈』さんの記憶の抽出と補完と捏造をしてマトモな『元々優秀な子で社会人になってからはただのOLになって結局仕事が嫌になって辞めて酒に逃げて酒に飲まれて死んだ』という····· マトモかこれ?いや、比較的マトモになってるしいいか、うん、本当の記憶がクズ過ぎて普通に感じられるわ。


 とりあえず記憶は大まかな流れは一緒だけど、可もなく不可もなく、少なくとも今世で悪影響を及ぼさない程度にまで優しくして楽しい普通の記憶に改竄しておこう。

 じゃないと記憶が戻ったときに絶対にリリアがクズみてぇな性格になるわ。


 あとは捏造した記憶をリリアの記憶と混ぜ合わせて、異世界転生して気が付いたらリリアという少女になっていたという接続部を作ったりすればいいかな?



「よし、とりあえずリリアの記憶はまた後日っと!あー疲れた、それにクズ過ぎる記録見ちゃって心が荒んだわぁ····· お酒飲んで温泉に入って、お風呂上りに縁側でもっふすとモフウサとフィーロ君に癒されてこよっと·····」



 とりあえずひと段落ついたので、時間も時間なので私は元の世界に帰り、荒んだ心を大好きな物で癒す事にした。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「なんでこんなクズからあんなにやさしい子に転生したのかなぁ····· 不思議だわぁ·····」


名前:竹内 麗奈(リリアの前世)

享年:32歳

ひと言遺言

『あーあ····· 人生うまくいってたのに····· なんで褒められないんだろ、アタシ、1番目指して頑張ったのになぁ····· とーさん、かーさん、アタシ、これでも精一杯頑張ったんだよ····· あはは····· もう、どうでもいいや····· 神様ぁ····· 来世は····· どっか、知らない世界でさ····· 楽しく競い合える友達が居る世界で····· 生まれ、変わりたいなぁ····· まぁ、神なんて居ないけど····· あはは····· あは、は····· ·····』


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