初めての姉妹喧嘩は早すぎるっ!
ドタドタドタ·····
バンッ!バタンッ!
ギャーッ!!?コンニャロー!!
ニゲロー!!
バタバタバタバタバタッ
ギィッ!バタンッ!!
バギャッ!ズドォォォオオンッ!!
「·····なんか様子が変じゃない?」
「うむ、たしかにいまだかつてない暴れ方じゃのう」
ガチャッ
「ラクト、エヴィリンとソフィは居るか!?ソフィお前また·····ってあれ?居ないな·····」
「あっお父さん」
「ソフィならさっき誰かに呼ばれて下に行ったのじゃ、ていうかしれっとワシを巻き込まないで欲しいのじゃ」
「すまん····· さっきから騒ぎ声が聞こえてうるさくて仕方なくてな····· イデアが起きるからいい加減止めないとと思っていたんだ、そうだ、俺だけじゃ止められないからエヴィリンもついて来てくれないか?」
「うむ、ワシも一発ぶん殴ろうかと思ってたところなのじゃ、同行しよう」
「それじゃ僕も気分転換で行くかな」
「よし、それじゃ早速ソフィを探す····· まて、ソフィとエヴィリンがケンカしてないならソフィは誰とケンカしているんだ?」
「知らぬのじゃ、そういえばアヤツ最近ドワーフの友達ができて家を教えてたからそやつが来たのかもしれぬのじゃ」
「また誰か無断で連れ込んだのか·····」
「かもしれぬな」
何はともあれ、ワシらは騒ぎまくっているソフィと誰かを止めるため一階へと向かったのだった。
しかし、ワシらはこの時あんなことになるなんぞ思ってもおらんかった。
◇
「まーてーやーゴルァァァアアアアア!」
『ひーんっ!おねーちゃん許してー!!』
「許すワケないっ!大人しくお縄につけ!」
『いーやーだー!!』
私は今、何故か成長して喋るし走り回るし魔法をバンバン使ってくる私の妹のイデアらしき人物と追いかけっこをしていた。
ぶっちゃけ時間遅延・停止魔法の『須臾』とかの魔法を使ってもいいんだけど、イデアに見せたらパクって来る可能性があって、そうなったらいよいよ手が付けられなくなるから使うに使えず、自分の身体能力だけでイデアを追いかけているから追いかけっこが激しくなっているのだ。
あーあ、もう怒られるの確定だよ·····
もういいや!これならイデアでも真似できないはずっ!!
「あーもう!喰らえキノコ神拳奥義っ!ずいずいスッ転ばし拳っ!」
\ずいっ/
『きゃんっ!?』
\ズッテーンッ!!/
\ドゴスッ!!/
『ゴマミソズイッ!?!?』
「よし命中っ!!」
『あいたたた·····』
私はキノコ神拳のキノコ魂を心に宿し、逃げているイデアに向けて拳を突き出した。
すると私の拳から衝撃波が発生してイデアに向けて一直線に飛び、見事に足に直撃してイデアは盛大にすっ転んだ。
「今がチャンス!よし!捕まえたっ!!」
『あっやば!あっ·····お、おねーちゃん、えーっと····· えへへ·····』
「もう逃がさないよ?」
『ひーん·····』
そして私はすっ転んで隙が生まれたイデアを見逃すわけもなく、即座に接近して一瞬で簀巻きにして拘束してしまった。
ちなみにイデアを包んだ布団には魔法やスキルを無効化するようにした魔法をかなり強固に付与しているから、流石のイデアでも身動きが取れなくなるはずだ。
何せ私でも抜け出せないし。
「キノコ神拳究極奥義の『コタツのオフトゥン拳』を食らわせたお布団に抗う事は不可能よ、まったくてこずらせやがって·····」
『ひーん、たすけてー·····』
「ソフィはどこだ!居たっ!全く、お前は何をしているんだ·····」
「やっぱりキッチンに居たね」
「うむ、ルーベがそっち方向に行ったと言っておったからの」
「あっ、みんな·····」
「ソフィには説教が必要みたいだな、お父さんの部屋に来なさい」
「ええええええええええっ!!?ちょ!話せばわかるから!今回は私は悪くないからっ!!」
「なんだ?どうせまた友達を連れ込んで騒いでいたんだろう?」
「違うって!全部コイツが悪いの!私はコイツの凶行を止めようとしてただけなのっ!」
「コイツ?うわっ誰か簀巻きにされてる!?」
「·····誰?」
「む?こんなやつソフィの友人に居ったか?」
「フェルゼン様、リラ様とイデア様をお連れいたしました」
「あなた、何があったの?·····まあまたソフィでしょうけど」
「·····おぎゃー」
「あってめぇ!イーデーアーッ!!!!」
「おぎゃっ!?おぎゃー!おぎゃー!!」
「こらソフィ!赤ん坊相手にケンカを吹っかけるのはダメよ!·····ソフィを貴族学校に入れるべきかしらね」
「やめてくださいしんでしまいます····· じゃなくて!今回の元凶は私じゃなくてコイツなの!」
なぜか今回の騒ぎの原因が私のせいにされそうだったので、私は真犯人を両手で指さした。
だが、左右の手が向かう先は別々の方向だけど同じ人物を指していた。
私の右手は簀巻きにされている少女に、左手はお母さんが抱っこしている生まれて間もない赤ん坊に向いていた。
◇
とりあえず家族全員を集めた私は一旦全員をリビングのソファに座らせ、私は床に転がっていた丁度いい円筒形のクッションに腰かけた。
『ぐえぇぇぇええ····· おねーちゃん重い·····』
「だまらっしゃい!私は軽いわいっ!·····んで説明するとね、私がさっき一階から誰かに『お菓子ってどこにある?』って聞かれて、ついでにお菓子を取りに行こうとしたんだよ、この声はお兄ちゃんもエビちゃんも確実に聞いてたよね?」
「うむ、確かに聞こえたのじゃ、その後ソフィが下に向かったのじゃ」
「だね、僕は確かお茶のお代わりを頼んだはず·····」
「そうそう、それで階段を下りてたら私を呼びに来たルーベさんと遭遇して、軽く会話して私はキッチンに向かったんだけど、ルーベさんも覚えてるよね?」
「もちろん覚えていますよ」
「だよね、んでその後私は真っ先にキッチンに向かったんだけど、扉を開けた瞬間顔面に光の玉の攻撃魔法を喰らって吹っ飛ばされたんだよ、そんで流石に今回は心当たりが無かったから臨戦態勢になって見てみたら·····」
ゲシッ
『痛っ!』
「コイツが居て、お菓子を漁ってたから捕まえようとしてたって訳だよ、ね?私悪くないでしょ?」
『『うーん·····』』
えっ、なんで悩んでるのみんな?
私100%悪くないよね?
「ソフィ、その子は誰なんだ?知り合いか?」
「えっ、知り合いも何も、この髪見覚えない?·····特にイデアとかね」
「·····(ぷいっ)」
あっ、あんにゃろ·····
露骨に目を逸らしやがって·····
「どういう事だ?そんな金髪の知り合いなんていたか?·····あぁ、そういえばソフィの友達のグラシアルちゃんがそんな髪色だったな····· 髪でも切ったのか?」
「でもあの子は長髪だったわよね····· ソフィが勝手に切ったのかしら?流石にそれはひどすぎるわよ?」
「·····まずソフィがあの子を椅子代わりにしてるところに突っ込んであげようよ」
「·····少なくともグラではないのじゃ、一体誰なのじゃ?」
「仕方ない····· よっと」
『うわわっ!?』
私はクッションから腰を上げると、簀巻きにされて自力では起き上がれないイデアを垂直にして顔をみんなによーーーーーーーーく見えるようにした。
·····ちなみに、さっきからコイツずっとこの『イデアの影』とかいう成長した姿の体を消そうと画策してるみたいだけど、私の能力で弾いて維持させている。
「ほーら、見覚えない?こんな明るい金髪で碧色の瞳を持つ子なんて一人しかいないよねぇ?ほらほら、ちゃーんと自分で名乗らなきゃダメだよ?」
『お、おぎゃー、赤ちゃんだからしゃべれないでちゅ·····』
「このヤロ····· 都合の悪い時だけ赤ちゃんぶりやがって·····」
「·····むっ?その魔力、いやまさか····· それは流石に無い、いや、有り得んのじゃ·····」
「エビちゃんは気が付いたみたいだね、他のみんなは?」
「·····わからないな、誰だ?」
「えぇ、ほらイデアも見て?誰かわかる?·····あら?なんで絶対に見ようとしないのかしら、·····(くるっ)、向きを変えても露骨に目を逸らすわね、嫌な予感が当たりそうで嫌だわ·····」
「うーん····· 誰かわからない····· ルーベさんは?」
「すいません、私の記憶にも無いですね·····」
「あちゃー、こりゃちゃんと自分で名乗らなきゃダメだねぇ·····」
「『··········』」
ちっ、黙りやがったな·····
だけどイデア、イデアは大きな間違いを犯したことに気が付いてないのよ。
「一つ言っとく、データを盗む相手を間違えたね」
『えっ?』
「ドーモ。イデア=サン。ソフィ・シュテインです」
『ドーモ。ソフィ・シュテイン=サン、イデア・シュテインです·····はっ!?』
「かかったなアホめ!」
『グワーッ!?』
そう、イデアが犯した間違いは、私のアカシックレコードからデータを盗んでしまった事だ。
私のアカシックレコードの記録には日本から持ってきた私の知識が沢山詰め込まれていて、私の死体を蘇生された分体に入れるための疑似的な人格データや肉体データも保存しているのだ。
さっきハッキングの経路を見てみたら、イデアのアカシックレコードと私のアカシックレコードの認証コードは同じ上に、管理用に通信経路は接続してたから、そこを辿って易々とファイアーウォールを突破して情報を抜き取ってしまったようなのだ。
ちなみに盗まれたデータは私の疑似人格データと基礎知識的な記憶、それと私が10歳の頃の肉体データだった。
そしてイデアは盗んだデータを自分の人格データで一部上書きして、更に自分が成長した姿に改編した私の肉体データにその情報を挿入したモノを『イデア』として現実に投影することでこの姿を保っているっぽいのだが·····
それ、まだ根底に私が居るのよね。
というか何度も死亡して転生にも耐えた私の精神を上書きすることは不可能だし、何なら逆に侵食してしまうレベルで私の精神は強いのよね。
それでも大分書き換えられてるけどノリがいい所とかは姉妹だから共通していたし、私の性格をコピーしているのなら日本で流行ったミームについノッてしまうと予想したのだ。
つまり、私からアイサツを仕掛けてやれば確実にアイサツを返してくるのだ!
何せアイサツは古事記にも記されている礼儀作法で、アイサツを返さなければスゴイ・シツレイに当たるから返さないわけにはいかないのだからっ!!
·····まさかこんな形でニンジャに助けられるとは思ってなかったわ。
「これでわかった?この子はイデア、お母さんが抱っこしてるその子の分身体だよ」
「·····イデア?嘘でしょう?貴女までソフィと同類なの?」
「·····(ぷいっ)」
「本当に露骨に目を逸らすわね····· そこもソフィそっくりね·····\ぷいっ/ ソフィ、貴女まで目を逸らさなくてもいいのよ?·····それと言ってた事は本当なのね、ソフィ、疑ってごめんなさいね」
「あぁ、コレは確実に理解してるな····· あぁイデアもソフィと同じなのか·····」
「·····ねえエヴィリン、妹ってみんなこんな感じなのかな?」
「少なくともこやつらだけなのじゃ、ワシも妹····· 本当は弟じゃがソフィと比べればわかるじゃろう?」
「あっ····· わかった、うん、そうなんだ····· やっぱり妹って癖が強いんだ·····」
「「『なんでっ!?』」」
「少なくともワシはマトモじゃろう!?」
「私だって常識人でしょ!?」
『イデアだってまだ産まれてすぐだよ!?一般人に決まってるじゃん!』
『『それは絶対に無いッ!!』』
「「『ひーん·····』」」
なんでか知らないけど、私たち妹3人組は全員頭がおかしい扱いをされてしまった。
「まぁ私の疑いが晴れたならどうでもいいけどさ····· 話を戻すけどさ、私はお菓子を取りに来たら何故かこの姿のイデアが居て、何かやらかす前に捕まえただけだからね?私、本ッ当に何もやってないし原因じゃないからね!?」
まぁ根本原因は赤ん坊だとナメてかかってセキュリティ適当にやってた私なんだけど。
うん、黙っとこ。
「·····確かに、聞いてる限りだとソフィは大声で騒いだこと以外は何も悪くない、むしろ助かる事しかしていないな」
「そうね····· イデアが外に逃げたら大変な事になっていたわね、事前に食い止められたのは本当によかったわね」
「·····麦茶のんでいい?喉乾いたんだけど」
「うむ、ソフィは悪くないと思うのじゃ」
「でしょ!?だから怒るなら·····」
『『···············』』
「·····おっ、おぎゃ~」
『し、し~らないっ☆』
『『イ~デ~ア~?』』
『もうだめだおしまいだぁ····· ひーん·····』
その後、イデアは生後2週間足らずなのにもかかわらず、私たち全員から熾烈な説教を喰らったのは言うまでもない。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「ったくもう、私みたいにちゃんとした子に育たなきゃダメだよ?·····いや私の疑似人格を元に構築したなら私のせいなのか?いや私はこんなアホの子みたいな性格じゃないわ、確実にイデアが自分で作った疑似人格で私の人格を上書きしてるせいだよねうんきっとそうだ私は悪くないしプリチーな天才少女だよねっ☆」
名前:イデア・シュテイン(本体)
ひと言コメント
「おぎゃ·····(やっばー····· おかーさんとかおねーちゃんが何話してるか聞きたくておねーちゃんの置いてったアカシックレコードにハッキングして、おねーちゃんのアカシックレコードのデータを盗んでたら楽しくなりすぎてやりすぎちゃった····· どうしよ·····)」
名前:イデアの影(イデアが成長した姿)
ひと言コメント
『もう怒られるのなんてこりごりだよぉ·····』
名前:フェルゼン・シュテイン
ひと言コメント
「あぁ、もうイデアにもソフィの魔の手が····· いや違うか、イデアもソフィと同類だったのかよ····· どうして俺たちの子供は天才ばかりなんだっ!!」
名前:リラ・シュテイン
ひと言コメント
「よく見ると大きい方のイデア、なかなか可愛いわね····· この子、将来有望ね」
名前:ラクト・シュテイン
ひと言コメント
「うん、やっぱり妹って変人しかいないんだね」
名前:エヴィリン・アマイモン・(シュテイン)・ファゴサイトーシス
ひと言コメント
「なぜじゃ····· ワシは絶対にマトモな普通の妹なのじゃ····· おかしいのは少なくともソフィとイデアだけなのじゃ·····」




