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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第四章 TS賢者は世界を往くっ!
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翼が欲しいなら作ればいいじゃない


 ある日のこと·····



 リリアが実家に帰ったあと、私は結構忙しかった。


 主に私の家族とフィーロ君の家族(両親と赤ちゃんのみ参加)で出産祝いのパーティーをやったり、不死川さんの代わりに超能力関係のトラブルを解決しに行ったり、モデルの撮影に行ってみたりと色々やった。


 その結果、私は趣味に使える時間がほとんどなく、ちょっとストレスが溜まっていた。



 そして!今日はようやく予定が無い平和な連休が訪れたのだっ!!



 この機会に前から作っていたモノを完成させてしまおうと思う。



「さーてと、ここからが本番だよ·····」



 私が今いるのは、ディメンションルーム内にある大型魔道具建造施設だ。

 正確には魔道具ではなく乗り物やロボットの製造プラントだけど、広義的には魔道具なので問題ない。

 ·····たぶん。



 そして私の目の前には、建造が進められる大型の航空機のようなファンタジーな世界には決して存在しないであろう兵器が生み出されていた。



「大気圏内・無重力空間・星間航行可能万能強襲戦闘機·····か、間違いなくこれも禁忌の代物だね」



 そう、私が創っていたのは宇宙船、それも戦闘も物資の輸送も出来る万能型の戦闘艦だ。


 私は今まで長距離移動は生身で行っていた。

 一応『爆撃衛星 賢者の杖』は持っているが、アレは静止衛星軌道上を移動する事しかできないから地上で使う事ができなかった。

 そりゃ球形じゃ大気圏内を航行するのに支障が出まくるし·····



 そこで思いついたのが·····


「そうだ、飛行機も作りたかったしついでに宇宙まで行けちゃう戦闘艦にしちゃえっ☆」


 というトチ狂った計画だった。



 ちなみに試作機でスペースシャトルを作ったけど、この前のレディクルスさんの咆哮でぶっ壊れて一発でオシャカになった。

 いやオシャカというかスペースデブリになった、宇宙にはシャカは居ないのだ、ナムサン。


 なので今回は更にレベルアップした物を作ろうと思う。


 ぶっちゃけ言うと前のヤツは実験機で、大気圏内と宇宙空間両方でも飛行できるかテストした機体だから、実験データは充分に集まっている。



「これなら、大気圏内でも惑星重力圏内でも無重力空間でも航行ができるはず·····」



 データによると、大気圏外で推進力を得るには従来の戦闘機の推進システムは向いていないというか使い物にならないという事が判明した。

 まぁそりゃ空気を取り込んで圧縮して燃料にする構造じゃ酸素の無い真空では燃料を燃やせないよね。


 って事で推進力はロケットエンジン·····


 ·····ではつまらない、ロマンが足りない。

 という訳で私は新開発の超特殊魔導エンジンを開発した。


 その名も『魔導式複合ロケットスクラムジェットエンジン』、大元は『スクラムラムジェットエンジン』と呼ばれる超極音速領域で使われるエンジンで、超極音速までは通常のジェットエンジンの仕組みで稼働、速度が一定に達すると吸気口が閉じて速度だけで大気圧の低い高高度でも問題ないほど空気が圧縮されるようになる(これをラム圧と呼ぶ)、そして圧縮され高温になった大気に燃料を吹き掛けて発火させマッハ3以上の加速力が得られる。


 ·····で、ここから私の開発したエンジンは更に強化されてて、複合式はエンジンの吸気口を可変して性能を切り替えるんだけど、私のは更にもう1段階変形できる。

 それをやると構造的にかなり弱くなるんだけど、私の開発した方式は『魔法でエンジン内の構造を直接変形させる』という物で、ラムジェットエンジンは速度で空気を圧縮して空気の速度を亜音速程度まで下げて燃焼するためマッハ3が最高効率で、速度が上がると効率が下がる欠点がある。

 対するスクラムジェットエンジンはマッハ3以上の空気を圧縮せず超音速で素通りしながら燃焼させるため、理論上マッハ15での飛行が可能となる仕組みだ。


 で、そのためにはラムジェットエンジンのエンジン内部の狭窄部を拡張する必要があるんだけど、極音速の大気を圧縮する部分はそれだけの超圧力に耐える構造が必要で、スクラムの方はラムよりそこが広くないと動かないが、可動するようにすると圧力でエンジンが破裂する。

 アカシックレコードでの演算でも100%爆発したから間違いないはずだ。


 そこで用いるのが、そもそも金属自体を変形する魔導式だ。

 まるで粘土のように魔法で超硬合金を変形させ、狭窄部を拡張してスクラムジェットエンジンにするのが私の開発した魔導式って訳だ。

 そのお陰で通常エンジン→閉鎖サイクル→スクラムジェットと切り替え可能になる、私にしか出来ない超エンジンの完成だ。



 んで私が作ろうとしている戦闘艦は大きさが全長25mとかなり大型の部類で、大気圏内航行用の魔導スクラムジェットエンジンを2発、そして大気圏外用の特殊推進装置を中央に1発取り付けた3発の推進装置を付けた現実には無い構造になっている。


 そのせいで機体の安全性にめちゃくちゃ問題がある構造になっちゃうんだけど、それを解決するために超魔導合金『星核合金』をふんだんに使ってなんとか実現に成功した。


 んで取り付けた特殊エンジンは簡単に言うと魔導式のロケットエンジンで内部で爆裂魔法を断続的に発動して燃料無しでの加速を可能にした、魔法式のエンジンだ。


 ただこれだけだと加速が足りなくて大気圏外には飛び出せないから、大気圏外脱出時にはスクラムジェットエンジンとロケットエンジンを同時に使って加速、更に魔法による特殊な加速方法も利用して脱出するよていだ。


 あとは空間属性の魔力を環状に加速する事で、スクリューのように空間にくい込みながら加速する『魔導推進力』のテストのために機体にそのシステムも組み込むつもりだ。

 そっちは理論上、大気圏内でも外でも亜光速まで加速可能のはずだから上手く行けばそれを使った星間航行も計画してる。



「ってことえエンジンはこれでいいから後は全体をパパっと作っちゃえば·····」





 31時間後·····



 私の目の前には、1機の戦闘機が鎮座していた。


 めちゃくちゃ時間かかった·····

 こだわりまくったせいで手直ししすぎたわ·····


 んでその形状にいちばん近い形は双発型のエンジンを搭載してるから『F14 トムキャット』に良く似た形になった。


 コレとそれらの戦闘機との大きな違いは、操縦席の左右から翼の後部に掛けて近未来的な形状のロケットブースターが二つ装着されている事、そして後部のジェットエンジンが二つから一つの大きなロケットエンジンに切り替えられ、三つのロケットエンジンで超高出力の推進力を確保する仕組みとなっている。

 また、尾翼は水平尾翼と主翼が一体化しているためほぼ存在せず、垂直尾翼があるだけとなっているのもコイツの特徴だ。


 簡単に言えば、形状は最も美しいと評されるF14トムキャットを参考にしていて、全体的に大きくなり左右のエンジンがスクラムジェットエンジンに置き換えられた形状になっている。


 そんで離陸時は翼を開いて揚力を上げ、極音速飛行の際は翼を閉じる基本的な構造も同じだ。


 で、ここからが独自の魔改造で中央に普通の戦闘機と同じような形でもう1つ噴射口があって、F14に比べるとコックピットの後ろが落ちないでそのまま伸びて噴射口に繋がっている。

 そのロケットエンジンの噴射口は横ふたつと比べて上気味についていて、そこから垂直尾翼が伸びる独特の形状をしている。

 背後から見ると扁平なスペースシャトルのエンジンのような形状に見えるはずだ。


 そして先端の形状はほぼF14戦闘機で、マッハ3以上、更にはその数倍の速度に至る超極音速機では空気抵抗が大きすぎるデザインになっている。

 これについては、エンジンを閉鎖サイクルにすると同時に先端に結界を展開して全長が25mから30mになるほど尖らせ、極限まで空気抵抗を減らし空気を切り裂ける形状になる。



 そして肝心の攻撃方法は色々仕込んであるんだけど、メインは両翼下部に装着した『多目的魔導砲門』で行う。


 砲身は扁平で展開時は風よけの魔法で空気抵抗を排除されていて、極音速飛行時には翼になるべく接近させて結界で被って翼に組み込むシステムにしてある。


 そして基本的に放つのは魔導レーザーかレールガンかエネルギー弾で、そもそもミサイルとかは搭載していない。

 一応機体下部に爆撃用魔法の発射口があるけど、それも非物理の魔導爆弾だ。

 

 で、実弾がほぼ使えない代わりに魔法を使って私が直接空中に武装を召喚して打ち込む攻撃方式を採用していて、なんならそっちの方がメインだ。


 なにせ魔法なら積載量は無限だし、360度好きな方向に攻撃ができるのだから使わない手はない。


 あとはちょちょいとイジって『マギ・レールガン』などの弾丸を曲射弾にできるように魔法湾曲反射システムや、そのまま突撃して攻撃もできるように先端部に結界を集中させるシステムなんかも搭載している。

 ·····この機体で相手に突撃してぶっ刺して、主砲を反射して直撃させる大胆な攻撃とかやってみたかったからつけたロマン機能だけど。



 そんでなんとこの機体、垂直離着陸も対応している。

 ·····って言ったら聞こえはいいけど、実際は私が浮遊魔法で浮かべて空中から発信する力技なんだけどね。


 ていうか垂直離着陸は副産物で、超極音速飛行中はフラップを使うと翼がモゲるから、飛行魔法を発動する魔導回路を機体に組み込んでいてそれで無理やり曲がる仕組みなんだけど、それを流用して垂直離着陸も出来るって訳だ。



「さーてと、御託はここまで!早速乗りますかっ!ついでに動力も入れちゃおっと!」



 そして私は戦闘機のコックピットまでピョンっと飛び上がると、強化魔導コランダムでできた····· コレの名前なんだろ? よく戦闘機に乗るときにパカッと開くところを開けると、狭いコックピットの座席に座ってフタみたいなやつを閉じて密閉した。


 もちろん大気圏外での活動を想定しているから完全密閉だし、内部には常に新鮮な空気を送り込んで循環するようにしてあるから呼吸も安定して行えるはずだ。

 あとはこの内部は重力魔法で慣性を大幅に軽減してあり、旅客機の離陸時よりちょっと強いくらいしかGが掛からないように制限してある。

 だって静止状態から1秒で音速を超えることもできるんだもん、そのままだったら確実にぺしゃんこになって死ぬし、それにかなり無茶な曲芸飛行もやるつもりだからねっ☆


 間違いなくエビちゃんの大好物のソフィちゃん100%ハンバーグになるわ。



 っと、話がまた逸れた。


 実はこの戦闘機にはエネルギー源が無い。

 主翼の中には燃料タンクも無く、補強用に入れた強化ミスリル構造体が入っているだけだ。


 一応非常事態用のサブバッテリーとして大容量・大出力魔結晶を入れてあるけど、メインのエネルギー源がこの機体自体に無いのだ。



「んふふ、操縦者兼エネルギー源とは、私も中々狂った発想を思いつくよね」



 そう、この機体を動かすための燃料になるのは、なんと私なのだ。


 正確には私の持つ『魔導永久機関 賢者の石』をエネルギー源とし、無限大で無制限の魔力が使える事を前提とした構成で完成させたモノだ。

 そのため、この座席には私と機体を魔力的に接続するための機能が備わっており、座って賢者の石の出力を規定量まで上げておけば勝手に魔力が供給される仕組みになっている。


 そして燃料は向こうで米ぐンゲングフン!とある場所からパチッてきた燃料を魔法で解析して『創世魔法』でその都度生み出す仕組みになっている。

 ついでに全体の油圧系統とかも魔導式に置き換えてるから、それ用の魔力供給も私が兼任してる。



 で、注意点として、この機体は全体的に『星核合金三号鋼』を筆頭とした希少魔導金属を贅沢に用いた事で莫大な魔力を流しても平気なようにはなっているが、ちょっと油断すると私の魔力の方が多すぎて爆発するから気を付けなければいけないという点がある。


 たぶん下手な核兵器が爆発したより酷いことになる。



 ちなみに操縦席は股の間に操縦桿があるオーソドックスな形状だが、計器類は二系統あってアナログ式と魔導式でアナログ式は言わずもがなだけど魔導式はアカシックレコードで演算したデータをホログラムディスプレイで表示する仕組みになっている。


 更に、この操縦席は操作方法も変更可能で、股の間の操縦桿ではなく徳用ソフィちゃん型最終兵器の元ネタの操縦席みたいな左右のハンドルで操作することも可能だし、そもそも機体は私が魔力で操ってるので操縦桿をカチャカチャせずとも動かすことができるのだ。

 ちなみに私が好きな操縦席の形状はやっぱり股の間に操縦桿があるタイプだ。


 ·····好きなだけで操作すると酷いことになるけどね、シミュレーターで何回も墜落して絶望しかけたくらい下手クソだったから魔力で操作できるようにした経緯があるくらいだし。


 そもそも素人の15歳の女の子が戦闘機を操縦するなんて無理があるに決まってるわ。




「·····まぁいいや、よし動かしちゃおうっ!賢者の石の出力調整完了っと····· よし、起動っ!」



 ヴォンッ!

 ギュォォォォォォォォオオオオオオオオオオオン·····



「起動完了っ!」



 機体に魔力を流すと、各種計器に光が灯り、ロケットエンジンが起動を始めた。


 まだ出力は最低状態だから音は低く小さいがこれが正常な状態だ。


 ·····ふぅ。


 うひょおおおっ!テンション上がって来たぁぁああああっ!!

 やっぱり戦闘機は男のロマンっ!エンジンが起動して機体が震えはじめるのがマジ最高っ!!

 あー重低音がヤバい!最高以外に感想が出てこないっ!!


 あぁ早く飛びたいっ!!



「さてと、早速試運転でもしよっかな!『搬出』っ!!」



 そして私は完成した名前も付けていない戦闘機を飛ばすため、離陸しても問題ない場所へと機体をディメンションルームから搬出した。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「んっふっふ····· ぶっちゃけ戦闘機が無い方が私は強いけど、こっちの方が絶対楽しいから使っちゃう!んふふふふふふふふ·····」


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