ちょっと休憩ブレイクタイム!
「「「ごちそうさまでした」」」
昼食にキノコご飯とタケノコご飯、それに長ネギ神拳に魂を売る覚悟で唐揚げを食べた私たちは、ごちそうさまをして小休止していた。
「はぁ、美味しかった·····」
「あぁ、コメって案外うめぇんだな····· コレどこで買えるんだ?しばらく買いだめしときたいんだけど」
「えっ、リリアって買い物とかするの!?噂だと普段から山に籠って人里には降りて来ないって聞いたんだけど·····」
「降りるわっ!」
「えっその服で!?」
リリアの服はタケノコ神拳の師範代の道着だが、長年酷使してきたのか薄汚れて袖とかがボロボロになっているし、靴もボロボロでいかにも珍竹林らしい見た目だ。
そんな格好で町に出ようものなら悪い意味で目立つこと間違いなしだ。
「ちゃうわっ!里に降りる時は、·····、こ、この格好だ!」
「ふーん·····?\ちらり/へぇ、そういうのが好きなんだ、意外とカワイイんじゃない?」
「な、なんでバレてんだ!」
「えっ?いや私その道着の事いったんだけど?まさかぁ?町に降りる時は別のよそ行きの服があるのぉ?」
「ふぬぐぐぐぐ·····」
よしやっぱり図星だった。
·····リリア、普通にチョロいな?
「あーあ、せっかくお米のいい業者知ってるんだけどなぁ」
「うぬぬぬぬぬぬ····· わかった、私服見せるからコメを売ってる店教えてくれ·····」
「いいよっ!んへへへへ·····」
私の読みはまた的中し、リリアは渋々と言った様子で虚空にパンチを繰り出し·····
ん?何やってんの?って、空間が割れた!?
「なにそれ!?すごっ」
「これか?あー、あんま言いたくないんだけどな、マジックバックのスキル版っぽいヤツだな!」
「ほほぉ····· これまたレアなのを·····」
「なんか修行で入ったダンジョンに落っこちてた」
「マジか」
今リリアが使ったのは、私の使っている『インベントリ』という異次元収納の再現版スキルだ。
本来『マジックバック』とはカバンや袋に付与して内部の空間を拡張する事で収納能力を向上させる魔導具で、発生条件がいくつかあり、『開閉可能な出入り口がある事』『出入り口を開くと内部に空間がある事』『モノを入れられること』というものがある。
しかし、極稀にこの条件を覆す『収納袋が無いマジックバック』が存在している。
これがまた特殊で、マジックバックと言いながらも装飾品が多いのが特徴だ。
たぶんリリアの場合は右腕につけた腕輪がそれだろう。
「ひまだ、うぬよ拙にかまえ」
「ちょっと、ソフィちゃん達が話してるんだから静かにしてなきゃダメだよ?意味わかんない話してるけど」
「ぬ·····」
そしてマジックバックの開き方が特殊で、アイテムごとに特定動作を行うと『空間が裂けて』出入り口が完成し、異次元内部にマジックバック領域という空間を空間魔法で生成して収納空間を形成して収納が可能となる仕組みになっている。
更に面白いのが、この収納袋が無いマジックバックはどこで開いても必ず同じ収納空間に接続される仕組みになっている事だ。
何度か解析したことあるけど、どうやら装着した袋無しマジックバックに『異次元空間座標』が記録されているらしく、こっちの空間を引き裂いて異次元空間にアクセスすると必ず座標の位置につながるという変なシステムになっているらしい。
これでもかなり簡単に言ったつもりだけど、本当のシステムはもっと複雑で難解なのよね·····
もっと簡単に言うと、どの場所から開けても必ず並行世界の同じ場所につながる枠のない『どこで○ドア』って感じかなぁ·····
「いいなー·····」
「どうだ?うらやましいだろ!上げないけどな!」
「んにゃ、私はもっといいのあるから」
「んなっ!?なんだそりゃ!?」
ちなみに私の『インベントリ』もほぼ同じ仕組みだけど、収納先がちょっと違ったりする。
無しかない並行世界をまるごと私専用の収納に使ってるから物凄くデカいしどこからでもアクセスできるんだよねっ☆
「容量が完全に無限のマジックバック」
「うらやま·····」
「まぁそっちのも十分よさそうだしいいじゃん、というか早く私服見せて?」
「ちっ、仕方ない····· これもコメのため····· 笑ったらタケノコ神拳ナシで殴るからな?」
「大丈夫大丈夫、笑わないよ」
「むぅぅ·····」
褐色のギザ歯の少女は困った顔をしながら、割れた窓ガラスのような空間の亀裂から一着の服を取り出した。
その服は·····
「·····普通だ」
「当たり前だろ!だって修行のない日は普通に町に居るし·····」
「マジか」
リリアの私服は物凄く普通だった。
この世界は校長先生が伝えた日本の服装が普及してるお陰でなんかやたら現代日本っぽい中世ヨーロッパなファッションが主流なのだが、リリアの服もそれだった。
「そろそろいいか?」
「まだ」
「ぬむ·····」
うん、普通に黒のしっかりした生地のロングパーカーだった。
どうやらロングパーカーの下にショートデニムという服装が一番よく着てる服装らしい。
あとニーソと普通に綺麗な靴も持ってた、ポイント+100点。
そしてなんでそんな服装なのか聞いたら、目立つ鋼色の髪を隠すのにパーカーがちょうどよかったらしい。
あとロングパーカーかっていったら普通のパーカーだ!って言われて軽く殴られてアバラが何本か逝った、大きめのサイズを買ったら体が小さいせいでロングパーカーみたいになったらしい。
「いてててて····· まぁ、似合ってるとは、おもうよ?」
「そうか·····? あ゛ー恥ずかしい!もういいだろ!?そっちもさっさとコメを売ってる店を教えてくれ!」
「んーと、フシ盆地周辺なら····· オススメの店は魔法学校都市マグウェルの大通りの端っこ、魔法学校のB寮のある通りの端に『アルム商店』って言うお店があるんだけど、そこだったら一度にたくさん買えると思う、あとはフシ町の正面入り口あたりにある『ゴルド商店』でも取り扱ってるかな?」
「おぉ!·····どっちがどっちだっけ?」
「えーっと、フシ山を正面から見て左がフシ町、右がマグウェル街かな?」
「おっけー!たすかるぜ!」
「·····ソフィちゃん、それっt、むぐっ」
「しーっ!」
たぶんフィーロ君は『それって知り合いの店というかソフィちゃんの息が掛かったお店なんじゃ·····』って言おうとしてたんだろうけど、黙らせた。
まぁお米ってまだ栽培が始まったばかりで流通量が少ないから、安定して仕入れたいなら私が関係してるお店の方がいいのよね。
特にアルムちゃんのお店だったらお米をトン単位で卸せるし
「よし!今度行ってみる!サンキューな!」
「おー、お米の炊き方わかる?」
「あ?あー····· わかんねぇ·····」
「いやさっき思いっきり炊いてなかった?」
「「アレはノーカン」」
「えぇ·····」
「よし!今度炊き方教えてあげるから家に····· あーリリアの家ってどこ?」
「山の中で野宿だな!あとはスワ町に家があるけど····· 場所は言わねぇからな!実家だし!!」
「ほほー、スワなら近いかも·····」
ちなみにスワ町は日本でいう諏訪と全く同じ場所にある湖畔の町だ。
最初ここも校長先生が名付けたのかと思ったら全くの偶然らしくて驚いて覚えた町だ。
もちろんこの町の名物は湖·····なんだけど、クレーターだ。
なんでも数百万年前に隕石が落っこちたとかなんとかでクレーターができて、しかも落下地点が谷だったせいで池になっちゃったとか。
そんでその時に舞い上がった土とかが谷底に溜まって沼地になった地形なので、ここにできた町は沼を表すこっちの言葉『スヮック』から取って『スワ町』という名前になったらしい。
つまりマジでたまたま諏訪と名前が一致した街だったりする。
·····ちなみに、落下した隕石の正体は『香辛料生成ユニット』、つまり魔族が移住するときに落っことした食料精製施設が隕石の正体で、落下の衝撃で生成ユニットは吹っ飛ばされて別の場所に落っこちたらしい。
この生成ユニットは今でも現役だったり·····
まぁ、つまりフシ町とスワ町は結構近いからいけない事もないって事だ。
「そんじゃ今度リリアの家にお邪魔させてもらって炊き方を教えてあげるよ!」
「えーっと、いやー····· その·····」
「ん?ダメだった?」
「·····パパとママが居るから、あんまり·····かな」
「えっうそ実家暮らし?」
「·····(無言で頷く)」
わぁお·····
ギザ歯でヤンチャなドワーフの娘っ子って思ってたのに、根はすっごいやさしいタイプの子だぁ。
ヤンチャっていうかわんぱくの方が似合うタイプだぁ·····
「·····なんだよ、悪いか?」
「いやいや、ぜんっぜん!」
「ならいいけど····· そうだ、オマエはどこに住んでるんだ?」
「えーっと、基本的にフシ町かマグウェル街のどっちかだね、どっちにも自宅あるし」
「マジかよ····· いいなぁ」
「リリアもSランク冒険者でしょ?自宅くらい借りれるんじゃないの?」
「·····あんま依頼受けたくないのと、パパとママに迷惑かけたくないからSランク冒険者ってバレないように生活してんだ、だからそんなに持ってない」
「わぁお·····」
「それと修行で山籠もりしてる方が楽しいからな!依頼とかほとんど受けないからな!わははっ!」
「んー、じゃあ今度私の家来なよ、数少ない同じSランク冒険者同士だし融通くらいはしてあげるし、お米の炊き方も教えてあげるよ」
「おぉっ!いいのか!?」
「いいけど、ご両親は勝手に出かけて怒ったりしないの?」
「大丈夫だ!森に修行に行くって言えば1ヶ月くらい戻らなくても大丈夫だしな!」
「放任主義だぁ····· まぁいいや、んじゃ今度来てよ、歓迎するからさ」
「おうっ!」
って事で、今度Sランク冒険者のリリアが私の家に遊びに来る事が決まった。
同じSランク冒険者同士で友好関係を築くのも悪くないし、そもそも同世代だから仲良くなりたいからねっ☆
「·····リリアさんがなかよし組になったら僕本当にツッコミ過労で倒れるかも」
「だいじょうぶだ、うぬはその程度では倒れぬ、むしろ倒れたらこれから大変だぞ、もっといそがしくなるからな」
「えぇ····· すんごく嫌なんだけどそれ·····」
「フィーロ君何か言った?」
「·····なんでもないよ」
「そっか?んじゃいいや、で、リリアはいつ来る?」
「あー、アタシか?この後3日くらいパパとママのとこに帰っから····· 4日後以降でいいか?」
「はーい、了解っ!じゃあ連絡手段もあった方がいいかな····· とりあえず簡易通信機渡しとくね」
「なんだこれ?」
「魔力を流すと私と通信できる魔道具だね、でもあんまり使いすぎないでね?」
私が渡したのは、私と通信ができるようにした簡易型携帯····· というより、マギ・スマートフォンの通信システムだけを抜き出して私との通信専用にした魔法を組み込んだ魔結晶だ。
「なんでだ?これがあれば話したい放題なんだろ?」
「·····何度もかけられると呼び出し音うるさいから」
「うん?まぁ嫌そうだし時々にしてやるか·····」
「それでお願いね」
もちろん簡易型にしたせいで欠点ができてしまっている。
·····これ、通信開始すると毎回アラームが鳴りまくってうるさいのよね。
「そんじゃ、遊びに来れるってなったら連絡してね?」
「おうっ!」
「さっきまで敵対してたのに仲良くなってるよこの2人·····」
「·····ところで、だ、タケノコ神拳の究極奥義継承者よ」
「なんだ?」
「うぬの目的は道場破りだったはずだが、わすれたのか?」
「·····やっべ忘れてた!」
「ごめん私も忘れてたっ☆」
「まったく、ソフィはうっかりなんだからぁ~」
「そういうリリアだってうっかりさんなんだからぁ~」
「「·····」」
「テメェよくも私の弟子のキノコ喰いやがったな!?絶対許さんっ!第六ラウンドでケリをつけてやるっ!!覚悟しろっ!」
「おうおうかかってきやがれキノコ共っ!タケノコの恐ろしさ見せてやんよっ!」
「「ぜってぇブッ飛ばすッ!!!」」
そして、第六ラウンドが始ま·····
「ちょいまち、先に食器片づけるわ」
「あっ、おっけ、手伝う?」
「あーお願い、フィーロ君もいい?」
「·····はぁ、わかったよ」
~5分後~
「はぁ片付け終わったっと」
「一仕事終えたぜ·····」
「なんでケンカ腰だったのに急に仲良く片付けしてるんだろこの2人·····」
「ごはんのあとは遊ぶ前に片付け、あるじが決めたルールだ」
「·····なんで君そんな事知ってんの」
「とうぜんだ、拙は未来」
「おるぁああああっ!!!第六ラウンド開始じゃぁぁあああっ!!」
「かかってこいやぁぁァあアアあぁぁああッ!!!」
「·····って思ったら再開してるし」
そして、満腹になった私たちは第六ラウンド、奥義継承者でなければ耐えられない禁断の第六ラウンドへと挑むこととなった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「ちなみにスワ町はこの周辺で人気の湖水浴場で私も小さいころ行ったことがあるよっ☆」
名前:リリア
ひと言コメント
「アタシ、町に居る時は目立たないんだけど、竹林の中だと目立つからそっちのイメージで『珍竹林』なんて呼ばれてんだよな····· 普通に半分くらい町人なんだけどな」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「·····リリアさんとエビちゃんとソフィちゃんの三人を一緒にしたら絶対ダメだ、僕がツッコミ過労で倒れる」
名前:????
ひと言コメント
「ちなみに拙は未来人ではないぞ、そもそも人ではないからな、くはは」




