イデアと神の力
ユニークスキル『イデアの炎』
その能力は、詳細を見た私があまりのヤバさに本気で冷や汗をかいて対策を考えるレベルの危険な代物だった。
『上位次元から万物の雛形をイデアの炎で投影し、実体を持つ幻影を生み出す力』
それがユニークスキル『イデアの炎』の力だ。
この効果は私の神の力『創世魔法』と非常によく似ており、私の創世魔法は『ありとあらゆるデータが記録されたアカシックレコードからデータを引っ張ってきて魔力でその物を完全に再現して実体化する』というものだったから物凄く似ているのだ。
ただし、イデアの力は『実体を持つ幻影』つまり一定時間たつと消える物体を出すのに対し、私のは物質を実際に創造してしまうという大きな差がある。
更に、イデアはどうやら自分の知っているモノしか生み出せないようで、まだ光しか出せないようだ。
·····実は私の創世魔法も私が知っているモノしか出せないけど、私には世界の全てが記されたアカシックレコードがあるからほぼ全ての物を生み出すことができたりする。
って!途中から私の能力の説明になっちゃってんじゃん!
「とりあえずまとめると、イデアは『自分の知っているモノであれば実物と変わりない幻影を創り出せる力』を持っているって感じ、要は私の劣化版かな?」
「·····つまり、物凄い力という事か?」
「いや、多分真逆だよお父さん、不便だよこれ」
「どういうことだ?」
「えーっとね····· ちょっと難しい話なんだけど·····」
イデアの炎は『雛形』を熟知していなければ使えない。
例えば手で影絵をする時、ただ適当に投影したところで何かが出来る訳でもなくて、ちゃんと鳩の形にしたりして角度も理解しないと、スクリーン上に『鳩』という生命を生み出す事が出来ない。
·····のような感じで、中途半端な知識で使っても『イデアの炎』は何も生み出す事が出来ないって訳だ。
まぁでも、私の『創世魔法』ほど難易度は高くない。
私のは『アカシックレコード』に保存されたデータを使って世界を構築してるから、分子よりもっと細かい単位まで理解してないと使えないけれど、イデアの力は私みたいにモノを実際に生み出すんじゃなくて、まさに哲学において切っても切り離せない『イデア』の概念でよく出てくる『洞窟の比喩』みたいに、イデアが思い浮かべた原型となる『イデア』を四次元世界から『イデアの炎』から照射された光によって三次元世界へと投影することで立体の形のある『影』を作り上げている·····みたいな感じ?
だから多少は自由は効くはずだ。
わかりやすく説明すると、私たちのいる三次元世界にあるリンゴに光を当てると、背後にはリンゴの影が生まれるよね?
この陰には厚さが存在していない、つまり二次元平面上のリンゴであると言えて、イデアは二次元に居ながらも三次元世界に干渉して『リンゴの影』を生み出せる力を持っているという訳だ。
その様子を二次元世界から見ると、あたかも物質を創造したかのように見えるという訳だ。
でもそれはあくまで三次元立体の影だから、光源を消したり原型となるモノを退かすと消えてしまうっていう訳だ。
·····ここまで言えば気が付くかもだけど、イデアの能力はかなり私、すなわち神に近いモノとなっているのだ。
じゃなきゃ物質を質量のある幻影とはいえ生み出す事は不可能だ。
つまり、実際にモノを生み出すんじゃなくて四次元立体の影を生み出して扱うからコストが非常に少なくて済む上にその物の本質を理解していたら投影できるって仕組みらしい。
·····まぁ今の所はただ光魔法を再現出来るだけのちょっと便利な力って程度で済んでるし問題ないと思う。
何せイデアの炎の本来の力を使うには『アカシックレコード』を獲得して『世界の記録書庫』にアクセス出来る権限を獲得する必要があるし、元々神になる事が決定してた私でさえ賢者の石の覚醒というトリガーを利用して権限を解放したから、ただの人間のイデアが獲得するのは億に一つも無いだろうし、心配しなくても大丈夫だろう。
「わかった?」
「わからん」
「だよねー·····」
◇
説明は失敗したとはいえ、一部は理解してくれたみたいだから御の字だ。
あとは·····
「とりあえず、イデアのこの攻撃を何とかしないと」
「そうね、さっきから、疲れてるのに、ぴかぴか喧しいのよ·····」
イデアの私に対する攻撃を何とかしなければ。
光の砲弾は私にしか飛ばして無いし、爆風も制御して私にしか当たらないようにはしてるけど、光だけは抑えきれなくて、出産して疲れてるイデアを抱いたお母さんが光にさらされて疲労し始めてるから早急に止める必要がある。
それに、この砲弾がいつ私以外に向くかもわからないからさっさと何とかしてしまいたい。
「イデア~、さっきはごめんね?おねえちゃんが悪かっt カッッ
\ズドォォオン!!/
「へも゜ぃっ!?」
『『あっ·····』』
油断した瞬間、私は顔面にまた砲弾を喰らってしまった。
·····ぷちっ☆
「い~で~あ~?おねえちゃんに何してるのかなぁ~?」
『おぎゃぁっ!おぎゃぁあっ!!』
「ちょっとソフィ!この子はまだ赤ちゃんよ!?」
「わかってる、だからもう許さない」
私はキレた。
「アカシックレコード起動、神化(小)、情報侵食開始····· 仮設アカシックレコード設置、イデアのユニークスキル『イデアの炎』の四次元世界への干渉権限を一時停止命令を持続的に付与····· と、こんなもんかな」
キレた私は、イデアのユニークスキルによる四次元世界へと『アカシックレコード』を利用した情報侵食によりスキルを掌握し仮設アカシックレコードを設置して記録書庫との干渉を分別して強制的に遮断し、能力を使えなくしてしまった。
これでイデアは私の許可なしでユニークスキルを使えなくなったから、多分もう攻撃してこなくなるはずだ。
「ほーらイデア~?お姉ちゃんだよ~?」
『·····』
「·····あきらめたのかしら?」
「魔法を使わなくなった?」
「よしOK!よーしよし、いい子だよイデア、お姉ちゃんを怪我させちゃダメだからね~?」
『·····ぅ』
「·····ソフィ?」
「なに?」
「赤ちゃんに話しかけてもまだ分らないわよ?全員が貴女みたいなイレギュラーじゃないのよ?」
「あっ·····」
そういえば産まれたばかりの子ってまだコミュニケーションもほぼ出来ないんだったっけ·····
私はもうお腹の中に居た頃から意識があったからすっかり忘れてた。
もう私ったらうっかりさんっ☆
◇
その後、お母さんとイデアは健康診断があるとかで私たちは病室から追い出され、近くの喫茶店へと避難ついでにお茶でも飲んで一息ついていた。
「んっ、ところでお父さん」
「なんだ?」
「イデアって名前、いつ決めてたの?あといつちゃんと名付けするの?」
「·····そういえばちゃんと言ってなかったな、イデアって名前は1ヶ月前くらいにはもう決まってたんだ、ちなみに父さんが考えたんだ、どうだ?いい名前だろ?」
「私の名前もだっけ?まぁいいセンスじゃない?」
ちなみにお兄ちゃんの名前はお母さんが名付けたらしい。
「そうだ、名付けをするときに出産記念も兼ねてちょっとしたパーティーを開く予定なんだが、ソフィの友達たちも来ないか?」
「おおー!みんな、どうする?」
「それじゃあお言葉に甘えさせていただきます」
「もちろん行くー!」
「うむ、ソフィの家の料理は美味いからのぅ、是非参加したいのじゃ」
「ん、さんかする」
「よしOK!じゃあここに居ない他のみんなにも行くか聞いておくね!」
私はポッケからスマホを取り出すと、なかよし組のグループチャットに奇跡的にマトモに撮影できた産まれたばかりのイデアの写真と、産まれた報告とパーティーへ参加するかのアンケートを送信した。
まだみんなはのんびり買い物中みたいだから、返事は多分遅いだろう。
まぁ時間はいくらでもあるし、私たちものんびりと待つとしよう。
「ところでソフィ、お姉ちゃんになった感想はどうだ?」
「あー·····うーん····· 正直まだ全然ないかなぁ····· 何度も黒焦げにされてそっちにばっかり気を取られてて全然·····」
「そうか····· それは仕方ないかもだが、姉になったのだからちゃんと覚悟しておけよ?」
「·····本音は?」
「イデアまでソフィみたいになったらたまったもんじゃない、真面目な子に育てたいからあまりメチャクチャやらないでくれよ?」
「やっぱり····· はーい、わかりましたー」
「はぁ····· わかってるんだかわかってないんだか·····」
失敬な、ちゃんとわかってるわい。
確かに私は普段からおちゃらけた性格だけど、ちゃんとするときはちゃんとするわっ!
それに、イデアには『善のイデア』みたいに綺麗な子に育ってほしいからね。
間違った方向に進みそうになったら私が姉としてちゃんと怒って正しい道に進ませなきゃっておもってるもん。
「まったく、私だってちゃんとわかってるのになーんで信用してくれないかなぁ·····」
「·····ソフィちゃん」
「何フィーロ君?」
「自分でも理由わかってるでしょ?」
「ナ、ナンノコトカナー?」
「あぁ、ソフィの信用は高いが限りなく低いからな·····」
「うむ、儂もそのせいで苦労しておるからな·····」
「だね、何気にボクも振り回されてるし·····」
「ひ、ひどいっ!!なんで私は可愛いのに信用ゼロなんだ····· およよ·····」
私は渾身の泣いたふりをした。
まぁ、普段から好き勝手やり過ぎて信用がなくなってるのはわかるけどさ·····
メチャクチャやるけど結果的に良くなることも多いし、お父さんとかはそこについては信用してくれてるみたいだけどさ·····
「おいウナ、見るのじゃ、アヤツ、自分で自分をカワイイとか言ってるのじゃ」
「ぶりっ子だぁ·····」
「ん、かわいさの押し売り、ブリよりハマチの方がおにあい」
「そこうっさい!ハマチでもブリっ子でもないわ!自己肯定感高めなのよ私はっ!」
「·····ソフィちゃん、なんかテンション高くない?」
「まぁね、そりゃ私に妹ができたんだし喜ばないわけないじゃん?それにフィーロ君も義妹ができたんだから····· って、フィーロ君妹3人いるんだっけ?」
「そうだよ?」
「そんじゃあまり変わんないかぁ·····」
「でも嬉しいのは嬉しいよ?」
「んふふ、ありがとフィーロ君」
「どういたしまして、そうだ、ちゃんと言えてなかったですね、ソフィちゃんのお父さん、第三子お誕生おめでとうございます」
「おう、次はフィーロ君のご家族の番だな、頑張れよ」
「はいっ」
そんなこんなで、私たちはお母さんとイデアの検査が終わるまでカフェで待機·····
えっ?体調が落ち着くまで時間が掛かるから今日は面会終了?
それとしばらく入院するって·····?
つまり今日の所はもう帰れってこと·····?
·····そんなこんなで、今日はいったん解散して私たちは先に帰ることにしたのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「んふふ、姉に勝る妹なんぞ居ないんだよっ☆ イデア~!!お姉ちゃんを敬え~!\カカカカッッ!!/ワラサッ!イナダッ!ワカシッ!もじゃこっ!?!(顔面に連続で光の砲弾を喰らった) ぐぬぬぬっ····· こやつ、自分で魔法を使って攻撃して来やがったな!? その年で魔法が使えるとか·····っこの子私並みに将来有望じゃない?」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「どうしたら生まれたての赤ちゃんにあそこまで嫌われるんだろ·····」
名前:ウナちゃん
ひと言コメント
「ご出産おめでとー!あとでイデアちゃんわたしにも抱っこさせてね!」
名前:エビちゃん
ひと言コメント
「·····出産、すごかったのじゃ、ちょっと怖気づいちゃったのじゃ」
名前:ミカちゃん
ひと言コメント
「寝たい」




