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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第四章 TS賢者は世界を往くっ!
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イデアの炎


 ソフィちゃん達が分娩室へと入って行ったあと、病院にやって来た5人の中で僕だけは男だったので部屋の外で待っていた。


 分娩室の前にある待機用ベンチには、僕以外にソフィちゃんの家族が勢ぞろいしていた。

 僕の記憶が間違っていなければ、ソフィちゃんのお爺さんとお父さんとお兄さんの3人で合ってたはずだ。


 お義父さんとお義兄さんはよくソフィちゃんの実家にお邪魔させてもらっているから面識はあるけど、お爺さんとはあまり会ったことがないし、フシ町で一番偉い侯爵様だから少し不安だ。


 それに、みんなソフィちゃんのお母さんが無事に出産できるよう祈ってるせいで会話がほとんどなくて気まずい·····

 よし、ちょっと場を和ませるため話そうかな。



「·····無事に産まれるといいですね」


「あぁ、もうこの歳だから母子共に元気に産まれるか心配でな·····」


「大丈夫ですよ、だってソフィちゃんが居るんですから」


「·····確かに、儂の孫が居れば問題はないな、フェルゼン君も落ち着きたまえ」

「お父さん、お爺ちゃんの言う通りソフィが居ればきっと大丈夫だよ」


「まぁそれもそうだな····· だがそれはそれでまた別の問題が·····」


「何か問題でもあるのか?儂はないと思うが·····」


「ソフィが何かやらかさないか不安で·····」



「「「あぁ·····」」」



 確かにソフィちゃん大丈夫かなぁ·····

 また何かやらかして妙な事にならないか凄く心配だ。



「·····まぁ、俺たちにソフィがやる事を止める術はないな、それに関しては何も起きないよう祈っておいて、別の話をしようか」


「そうですね、何の話をしますか?」


「確か君のお母さんも妊娠中だったよな?出産予定日はいつなんだ?」


「あっ、えっと、確か来週だったと思いますよ、うちはフシ町の産婆さんに頼むことになっています、今のところ特に大きな問題も無く出産できそうって言っていました」


「そうか····· 無事に産まれそうでよかった、産まれたらうちからも出産祝いを贈ると伝えておいてくれ」


「ありがとうございます、あっ、でしたら僕の家の方からも出産祝いを贈らなきゃですね」



 そう、実は僕のお母さんももうすぐ出産を控えていて、来週出産予定だったのだ。

 まさかソフィちゃんのお母さんの方が先とは思わなかったけど、ほとんど同時期に産まれるなんて珍しいなぁ·····


 いや、そうでもないのかな?僕とソフィちゃんも同じ時期だったし·····



「·····もしかしたら、お互いの子がまた友達同士になっていつか付き合うなんてことも····· いや無いな、忘れてくれ」


「意外とありそうで怖いですよね、あはは·····」



 そんなこんなで、僕たちは話をして少し気が楽になったのか、赤ちゃんが産まれるまでしばらく雑談をしていた。





 十数分後



『おぎゃぁっ!おぎゃぁっ!』


「産まれたかっ!!」

「やっとだな、無事に産まれたようでよかった」

「おめでとうお父さん、さっ、早く行こう?」

「僕もついて行っていいですか·····?」



 突然部屋の中から元気な赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて、僕の親友や彼女の喜ぶ声も聞こえてきた。


 どうやら、無事に出産できたみたいd



 カッッッ!!!



『うぎゃあああああっ!!!?ぎゃんっ!!』



\バゴォンッ!!/


ドゴロロロロロッ(→→→→→→→→→)!!!!/

                   \

            ドガァンッ!!!

                   /

「ぐぇあっ!っっ痛ぁぁあぁぁああぁぁ·····」



 ·····じゃないね、うん。


 僕たちが分娩室に入ろうとしたその瞬間、突如ドアの隙間から光が溢れ出し、吹っ飛ばされたのか僕の彼女でたった今お姉ちゃんになったソフィちゃんが絶叫しながらぶっ飛んでドアをぶち破って廊下に転がって壁に激突して悶絶した。



「はぁ····· また何かやっちゃったの?」


「な、なに゛もや゛っでない····· がくっ·····」



 ソフィちゃんはそういうと、全身真っ黒に焦げてアフロヘア―になってプスプスと煙をあげながら動かなくなってしまった。

 ·····なんか本当に何もやってなさそうな感じがする。



「ソフィ、とりあえず起きろ、何があったか説明しろ」


「はーい····· じゃあ中に入りながら説明するね·····」



 そして、真っ黒になったソフィちゃんはあっという間に元通りになると、説明をしながら分娩室に向かった。





 いやー、びっくりした·····


 将来母になる私たちは、出産に立ち会っていた。


 あまり私の口からは言えないが、人体の神秘を目の当たりにした私たちはお母さんに手出しすることも出来ず、ただ見守る事しかできなかった。



 そして·····



『おぎゃぁっ!おぎゃぁっ!』


「産まれた·····っ!!」

「すごい·····」

「まさに人体の神秘じゃのう····· ワシも早く産みたくなったのじゃ」

「ん、おめでと」


「はぁ·····はぁ·····」



 私の妹が無事に産まれ、元気な産声を上げて呼吸を始めた。


 そして出産を手伝っていた看護婦さん達が慌ただしく動きはじめ、あっという間に後処理を終えてしまった。

 さすが熟練の看護婦さん達だ·····



 その後、お母さんが落ち着いたところで赤ちゃんがお母さんの手に渡り、優しく抱いていた。



「お母さん、近くで見ていい?」


「いいよ、みんなも来なさい」


『『はーい』』



 そして私たちは赤ちゃんの元まで駆け寄ると·····



「おーい!私だよー!お姉ちゃんだよー!元気そうでよかった~」

「·····ちっちゃくてかわいい」

「うむ、思わずぎゅっと抱きしめたくなるのじゃ·····」

「ん、かわいい」


「みんなもこうして生まれたのよ?」


「「·····」」



 お母さんがそういった瞬間、若干2名が顔を逸らした。


 確かエビちゃんは今世は前世の核を中心に魔力が集まって復活したんだっけ?

 ミカちゃんは何者かによって創られた天使だから出産によって生まれたわけでも、両親が居るわけでもないんだったはず·····


 そりゃ顔も逸らすわけだ。


 まぁ私はちゃんと普通に産まれたし、中身がアレだけど気にしない。



「ちなみに名前ってもう決めてるの?」


「もちろんよ、この子の名前は『イデア』、『イデア・シュテイン』よ」



「おおおおおっ!すごく良い名前っ!」



 『イデア』


 それは哲学においてよく語られる概念であり、時空を超越した非物体的、絶対的な永遠の実在、感覚的世界の個物の原型とされ、純粋な理性的思考によって認識できるとされる概念だ。


 簡潔にまとめると、万物の雛形となる我々が見ているモノ全てに存在する原型の事を指す概念だ。


 もっとわかりやすく伝えると、人間は一人一人顔が違うのに『人間』と認識できるのは『人間のイデア』が存在するから、という概念だ。

 この場合のイデアは『ヒトの形をしている』や『顔に目鼻口がある』等がある·····はず。



 ぶっちゃけ『イデア』ってすごく難しい概念だから合ってるかわからないけど、大体そういう感じで哲学においてかなり重要な概念の一つと言えるだろう。


 くっ·····

 実は私も子供が産まれたら付けようか悩んでた名前だっただけにちょっと悔しい·····っ!


 まぁ今は私の妹、イデアの事だけ考えよう。




「ほーらイデア~、ソフィお姉ちゃんでちゅよ~?いないいない~?·····ばぁっ!」


『ッおぎゃぁぁぁあああっ!!』



 カッッッッ!!!



「えっ!?ぎゃんっ!!?目がぁ!目がァァああっ!!!」



 ズドォォオンッ!!!



 私が妹にいないいないばぁをした瞬間、突如妹が泣き始めたと思った瞬間、私の顔の前に強力な光の玉が発生して私に向けて爆発を巻き起こした。


 そして私は避けようがなく、光で目を焼かれてそのままぶっ飛ばされ、分娩室の入り口のドアをぶち破って外に転がり出てしまった。



「·····って言う事があったんだ、マジで私悪くないからね?」


「だが『いないいないばぁ』をしたんだろう?」


「いやっ!それは普通にやるでしょ!?あやすつもりで悪気なかったもん!」


「·····ってことはさ、赤ちゃんに何か特殊な力があるんじゃない?」


「·····確かにっ!ちょっと見てくる!!」



 確かに赤ちゃんが私をぶっ飛ばして真っ黒こげにするレベルの力を持っているのは何か変だっ!

 まさか転生者!?


 くっそ!私の妹に変なヤツは憑かせないぞ!

 悪霊退散してやるっ!!



 私は私の妹を魔法で解析するため、分娩室に入r



 カッッッ!!!



「ひぎぃっ!!?」

ドンガラガッシャーン!!



「·····早速弟か妹ちゃんに嫌われた?」


「わ、わ゛がんに゛ゃい·····」



 私は再び真っ黒こげになって床に寝そべる事となった。





「·····で」

 ズガァンッ!

「何か」

 カッッッ!!

「わかった?」

 ドォォォオンッ!


「えーっと、ユニークスキルっぽい!!」



 結局あの後、私は3回丸焦げにされて堪忍袋の緒が切れ、魔法で防御しながら妹に近づく事に成功した。

 だが、防御していても妹は執拗に私の事を攻撃してきていた。


 なーんで嫌われてるんだろ·····


 ちなみに検査の結果、異世界転生者ではない普通の魂が宿っていたけど、極稀に表れるユニークスキルを所持していることが判明した。



「ユニークスキルだと?」


「うん、私の『賢者姫』とかミカちゃんの『アイギス』、それにフィーロ君の『マジックエミュレータ』みたいな、他の人は持っていない特殊な力だね」


「それは知っているのだが····· どんな能力なんだ?」


「えーっと····· 結構ヤバめかな·····」


「·····教えてくれ」


「わかった、じゃあ言うね·····」



 私の妹が持っていたユニークスキルは·····




「ユニークスキル『イデアの炎』、私の妹、イデアの名前が入った、この世界に存在する万物の雛形『イデア』を操る、世界をも構築し編集可能な究極のスキルだよ」




名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「ふっ·····全身真っ黒こげになる程度で私は死なぬわっ!·····まぁ赤ちゃんの段階でこの威力だったら末恐ろしいけど、ちゃんと制御できるように教えないとなぁ····· 流石にお母さんに私の神属性魔力が籠った世界樹の実『魔力の実』を食べさせ過ぎちゃったかなぁ····· おっと何でもないよ?今の忘れて?」


名前:イデア・シュテイン

年齢:生後0日(数分)

ユニークスキル『イデアの炎』

ひと言コメント

「おぎゃぁぁあっ!(いないいないばぁの顔がウザかったらしく、怒ってソフィに向けて攻撃中)」


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