1人で喋って独り言 3人で喋っても独り言
お風呂から上がった私とフィーロ君を待ち受けていたのは、なにやらリビングの元コタツで会話をしていたウナちゃんズだった。
私は今日のウナちゃんの結婚式の疲れで早く寝たかったけど、お風呂に入ってちょっと目が覚めたのと、3人が何を話してるのか気になったから眠気を我慢してちょっとだけ会話に参加することにした。
「3人は何話してたの?」
「えーっとね、サーちゃんについて話してた!」
「ほほー?どんな感じのこと話してたの?」
「いつものだよ!そうだ!明日さ、サーちゃん用の部屋作って?あとサーちゃんが日本のゲームとかほしいって言ってたから買ってきてくれると嬉しいなー、なんて話とか·····」
「そうなのよね、これで4人だからフルパーティーでゲームができるようになるから買ってきてほしいのよ」
「わたしからもお願い、快適に引き籠れる部屋がほしいの」
「えー····· まぁ結婚祝いもあるし、仕方ないなぁ·····」
「「「やったー!!!」」」
くっ、ハメられた·····
ウナちゃんズの狙いはコレかっ!
確かにお風呂上りになぜかウナちゃんが勢ぞろいして話してたら気になるし、私だったら確実に話に加わるだろうからおねだりをするにはピッタリなタイミングだ。
意外とウナちゃんって計算高いというか腹黒いというか·····
うん、天真爛漫で『あっちょうちょ·····』って言ってどっか行っちゃうタイプに見えるけど、実際やってるけど、実はかなり腹黒いし計算高いのだ。
まぁ、前にラーちゃんが増えた時も部屋の追加をねだられたからぶっちゃけ予想してたし、もう作ってあるけどね。
ゲーム機とかパソコンはまだ買ってないから渡せないけどね。
◇
ウナちゃんズの策略にまんまと引っかかった私は、その後もウナちゃんズとちょっとだけ話をしていた。
「で、サーちゃんの能力ってどういう感じなの?」
「んーとね、いろんな色の光を操れる感じ?」
「ほうほう?サーちゃん、この光って見える?」
「見えるけど?」
「わぁお、紫外線見えてるのか·····」
どうやらサーちゃんは光の大精霊の名に恥じず、ちゃんと光を操る力をもっているようだ。
ちなみに光魔法は普通は光源係ばっかりやらされて、攻撃も光線で相手を熱するか目くらましをする程度しかできない、役には立つけど微妙な魔法·····と一般的には言われている。
だがこの魔法は私でも使い方を誤ると割とシャレにならない事になってしまう特徴がある。
そう、放射線だ。
光を操る力とは、光魔法とは、実は電磁波を操る能力の事なのだ。
そして放射線も電磁波の一種であり、光魔法を使えば自由に発生させたり操作できてしまう。
ちなみに光魔法と対を成す『闇魔法』は実は電磁波を操る魔法ではなく、『エネルギーを操る』という全く別の魔法だ。
なんで対で語られるかっていうと、闇魔法は光魔法で発生した電磁波のエネルギーを吸収してゼロにする=暗闇にすることができるかららしい。
あと闇魔法はそれだけじゃなくてエネルギーを生み出して相手にぶつける事で攻撃ができたりと結構汎用性が高かったり·····
つまり、光魔法と闇魔法はそれっぽく言ってるけど正確には『電磁波魔法』と『エネルギー魔法』だったりするのだ。
でもねー、光魔法って結構シャレにならなくてねぇ·····
前に原子力空母からかっぱらってきた原子力のデータを解析してこっちのディメンションルームの隔離室で核エネルギーの実験をしたことあるけど、光魔法がヤバすぎた。
まず放射線などの有害光線を無理やり無害な電磁波に変換してしまう事ができたり、逆に増強して核分裂反応を促進させちゃったりできたのだ。
そのせいで今その部屋結構やべぇ事なってるのよね·····
ゴブリンをぶち込んだら結構ガチめにヤバい事になっちゃってさ·····
いや、放射能の影響でゴブリンが巨大怪獣みたいになったわけじゃなくて、放射線障害の方のヤバい感じになっちゃって·····
アレは絶対に手を出してはいけない禁忌の技術だって改めて思い知らされたわ。
話を戻そう、今サーちゃんに試したのは、肉眼では見えない紫外線を見ることができるかの調査だ。
結果は予想通りで、紫外線も赤外線も、ありとあらゆる電磁波が見えていたのだ。
そして見えるのなら使える訳で、放射線も自由に放てるらしくて、とりあえず大急ぎでサーちゃん達に放射線の危険性を教えたりして大忙しだった。
·····まぁ、今日は眠かったのもあるし時間もたりなかったから、何で危険なのかを詳しく教えられなかったけど、ガチで脅す勢いで使うなと釘を刺したから大丈夫だろう。
◇
その後、サーちゃんの能力を軽く教えてもらって力の使い方の談義をしたりしたり、ウナちゃん達の本体の方がどうなってるか聞いたり、明日のご飯は何を食べたいか聞いたりした。
そしたら·····
「·····」
ゴツンッ!!
「いっ!?」
「ん?フィーロ君大丈夫?いま凄い音鳴ったけど·····」
「いたた····· ごめん、僕もう眠気が限界·····」
私の隣で座っていたフィーロ君の眠気が限界になったみたいで、座ったまま寝てしまい、体を支えることができなくなって前に倒れ、机に頭突きをして痛みで目覚めたようだ。
アレ痛いよね·····
「仕方ない、今日の所は終わりにしよっか、ごめんねウナちゃん会話に混ざっちゃって」
「べつにいいよー、ソフィちゃんと話せてたのしかったし!」
「ふふふっ、楽しかったよ、またお話ししよう?」
「ソフィちゃん、わたし用に部屋とか作ってくれてありがとう、感謝するわ」
「へいへーい、んじゃ3人も早く寝るんだよー、おやすみなさい」
「「「おやすみー」」」
「そんじゃフィーロ君、一人で歩ける?」
「·····今日は僕が甘えてもいいかな」
「んふふ、いいよもちろん」
どうやらフィーロ君は本当に眠気が限界みたいで、立ち上がるのもキツそうだった。
しかも珍しくフィーロ君の方から私に頼って来てくれた。
いつもは私が頼ってばっかりで甘えまくっていたけど、たまにはこういうのもいいよね。
いつも頼っている頼りになる彼氏が、心はきっと私より大人で他人を想って行動できる優しい子が、こうして甘えてきて頼って来てくれるのは本当にうれしい。
さてと、私も眠いけど妻になるんだから、ちゃんと夫の事を支えてあげないとね。
「せーので起き上がるよ?せーのっ、よいしょー!」
「ん····· ありがとう·····」
私はフィーロ君の腕を肩に回して、普段から筋トレや戦闘で鍛えた肉体でフィーロ君が立ち上がるのを手伝ってあげた。
「それじゃゆっくり歩くよ?大丈夫?」
「うん·····」
「おっけ、·····じゃあウナちゃん、私たちも今日は寝るね、おやすみ、あと結婚おめでとう、イルミア君にもよろしくって言っておいて」
「はーい、わたしたちはもうちょっとお喋りするから気にしないで寝ちゃっていいよー」
「了解、そんじゃおやすみー」
私はねぼけてフラフラしているフィーロ君を支えながら、自分の部屋へと彼と一緒に入って行った。
◇
そしてソフィたちも自分の部屋に入って寝てしまった後、リビングに残っていたのは3人、もしくは1人だけとなってしまった。
「みんなねちゃったねー」
「そうね、ところでわたしの策略、どうだった?」
「ラーちゃんは天才かな?って思ったわ」
ここに居るのは全員が同一の存在でありながら個を持つ特殊な存在『ウェア・ラ・サークレット』の3人だった。
ちなみに『ウナ』は夫のイルミアと一緒に居るため欠席中だ。
「なに話すー?わたし何でもいいけど·····」
「·····気になったんだけど、これって全員わたしだから結局独り言なのかな?」
「でも3人とも元は別の魂じゃない?だったら3人で会話の方が·····」
「たしかに、でも3人とも別の魂だったけど今は『ウナちゃん』だから独り言なんじゃないかな?」
「「「うーん·····」」」
『三人寄れば文殊の知恵』というが、3人とも同じ人物だと文殊の知恵も通用しなくなってしまうようで、3人は果たして自分たちの会話が独り言なのかそれとも普通の会話なのかわからなくなってしまった。
そして、3人はしばらく悩み、結論を出した。
「·····そろそろウナも限界だしねよ?」
「そうねぇ····· 疲労がこっちまで来てるから限界かな?」
「そろそろやめさせないと感覚共有の停止の限界で全員共倒れになっちゃうかもしれないかな·····」
「「「·····寝よう」」」
大本のウナちゃんが限界を迎えたから、考えるのをやめて早いとこ寝ることにしたのだった。
こうして、大騒ぎなウナちゃんの結婚式は幕を閉じた。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「ぐぬぬ····· めっちゃ眠いけどゲームのデイリークエスト終わらせなきゃいけない····· あっ、無理、寝る·····」
名前:なかよし組
ひと言コメント
アルム
(就寝中)
フィーロ
(就寝中)
グラちゃん
(就寝中)
ウナちゃん
「はぁ·····はぁ·····疲れた·····」
ウェアちゃん
(先に就寝中)
ラーちゃん
(実は睡眠は不要だけど寝てる)
サーちゃん
(上に同じく)
イルミア君
(疲労困憊で気絶するように寝た)
エビちゃん
(爆睡中、寝相が悪くてベッドから上半身が落っこちているにもかかわらず爆睡中)
ミカちゃん
(超熟睡中)
チェル
(就寝中)




