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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第四章 TS賢者は世界を往くっ!
426/471

全てが”UNA”になる


 無事にこの国の国教が崇める存在である光の大精霊本人を呼びだせたことで、ウナちゃんの結婚式は次の段階へと進んだ。


 えーっと、確か次は予定によると·····

 新郎新婦が光の大精霊に結婚の報告をして、それを光の精霊が認めるっていう感じの流れ·····らしい。



『汝の名はウナ・ウェア・ラ・サークレットか、ではそちらの者も名乗れ』


「はい、ボクは新郎の『イルミア・レ・キルン』と申します、本日はお越し頂き感謝致します」


『イルミア・レ・キルンと言うのか、承知した、では光の大精霊にしてサークレット教祭神であるルミナリアが新郎新婦の婚姻を祝福する』



 えーっと、詳しく載ってる資料は·····あったあった、ええと·····


 まず光の精霊が現れたら新郎新婦の立場が上の者が最初に迎える挨拶をして名を名乗る。

 すると光の精霊が(上位の存在の場合は言葉で)返事をするので、次にもう一人が名を名乗る。


 2人が名乗り終わると、人の言葉を話せる上位精霊の場合は2人の名を読み上げ、祝福を行う。



『前へ』


「「はい」」



 光の大精霊ルミナリアは新郎新婦の2人を前に出てくるよう言うと、2人はそれに従って聖壇の奥にフワフワと浮いている精霊の元まで近づいた。


 そして近付いたのを確認すると光の大精霊ルミナリアは地上に降り立った、すると2人は光の大精霊の手を取って、光の大精霊と目を合わせた。



 確かこの後は祝福するって言って、そしたら新郎新婦が大精霊の手の甲にキスをして祝福を受けるって言う流れのはず。



『光の大精霊ルミナリアの名において、『ウナ・ウェア・ラ・サークレット』および『イルミア・レ・キルン』の婚姻を祝福する』


「「ありがたき幸せ」」



 そして、2人の手の甲にキスをするために2人の手を口元まで近づけ·····




 ウナちゃんの口角が突然上がったのが、ここからでも見えた。






「·····いただきます」


『えっ』







 ぱくっ







 突如、ウナちゃんが光の大精霊の右手を()()()


 喰われた右手は消滅し、断面から血ではなく光が溢れていた。


 そして喰われたことに気が付くと、右手を抑えてフラフラと後退し始め、驚いているようにも怯えているようにも見える顔でウナちゃんの事を見ていた。



『っっ!!?な、なにが·····』


「最後の一人は君にきーめたっ!」



 おかしい、予定の書にはこんなの書いてなかったはず!!



 ·····まさかっ!!



「ウナちゃんっ!アレをする気!!?やめてっ!!」


「大丈夫だよ、ソフィちゃん、元々このつもりだったから!」


「しまった、全部計画通りだったのかっ!」

「ソフィちゃん、何が起きてるの!?」


「しらん!!」

「えぇ·····」



 ·····ウナちゃんは、今まで黙っていたウナちゃんの私やグラちゃんと同じ『神造素体』の特殊能力を使う気だ。


 ウナちゃんが持つ特殊能力、それは『魂を喰らうモノ』という力。

 いや、魂だけじゃない、魂に近しい存在、神や精霊を3回まで喰らって取り込む非常に危険な力だ。


 ウナちゃんはその名の通り、相手の魂を喰らい自己に統一する禁断の力を持っているのだ。



 ·····それは、七つの大罪と呼ばれる概念にも含まれるモノの一つ、『暴食』の力だ。



 ウナちゃんの魂は神の手で作られた当初から既に暴食の力を有していた。

 そして、近くにあった姉妹の魂、本来であれば私の体に入るはずであった魂をも喰らい、二つで一つの魂へと進化した。


 更に、絶淵の闇神『ナイアルラトホテップ』の魂が封じられた杖『Despair or Disappear』を喰らい、混沌の神でさえ彼女と一体化してしまったのだ。

 そしてナイアルラトホテップが『ウナちゃん』という魂を喰らう暴食の化け物に取り込まれ、ウナちゃんという概念で上書きされて『ラーちゃん』という人物の中に封じ込められ、今ではほぼウナちゃんとなってしまっているのだ。


 ·····そして、暴食の力を使えるのは名前からしてあと一人だけ、推測だが『サーちゃん』となる魂に近い存在だろうと推測し、なるべく接近させないよう気をつけていた。


 ちなみに私も虎視眈々と狙われてた、喰われてたらちょっとヤバかった。



 だけど、ウナちゃんは端からそこら辺の雑魚精霊なんて狙っていなかったのだ。


 ウナちゃんの計画は、ウナちゃんの狙いは、結婚式で現れるこの国の国教で祀られている『光の大精霊ルミナリア』だったのだ。





『な、なにをするのッ!腕が·····っ!!』


「何をするも何も、わたしになってもらうだけだよ?」


「ちょっとウナ!何してるの!ねぇ!どうしたの!?」

「カレナ!ソフィ殿!サトミ殿!ウナを止めるのだ!」


「承知しました」

「ウナちゃんっ!!」

「ウナ!!止まりなさいっ!!」



 私たちは国王様からの命令で立ち上がり、神速でウナちゃんを止めようと走った。



 ·····だが、私たちは動くのが遅すぎた。








 いただきます








『やめ、やめて····· あぁ、こんな事になるのなら来るんじゃなかったわ····· 大人しくお家で引きこもっておけば·····』



 それが、伝説の光の大精霊ルミナリアが『ルミナリア』として発した最後の言葉だった。



 ウナちゃんは大きく口を開けると、それに合わせて絶望で地面にへたり込んだルミナリアの周囲に真っ黒な空間が生じて包み込んだ。



 ·····もう、この時点で私は手を出せない。


 アレはもし入って閉じられたら、私でもひとたまりもない空間だ。





 そして、ウナちゃんは大きく開けた口を勢いよく、キュウリの一本漬けを噛み砕くようにガチンッと閉じた。


 その瞬間、閉じるのに合わせて光の大精霊が喰われ、消滅してしまった。



 それと同時に、純白のヴェールに包まれたウナちゃんがウェディングドレスをも超える白さの光を放ち、輝きだした。



「間に合わなかった、かぁ·····」

「ちょっと!どうするのよソフィちゃん!?」

「そうだ!ウナ殿下を助ける方法はないのか!」

「儂の孫を、助けてくれっ!」


「·····もう無理ですよ、あとは運任せ、結果は神のみぞ知る、ってとこですね」




 私たちは、神にも近しい領域まで至った伝説の光の大精霊を取り込み、輝きながらシン化するウナちゃんを見つめる事しかできなかった。



 ·····いやソフィアの槍を投げたらリセットできるけど。


 なんて思っている間にも、ウナちゃんの体は変化し始めていた。




「うあぁぁアあぁァァあアアアああああっ!!!」


 キュォォォォオオオオオオオオンッ!!!!



 頭の上には白と黒の4重の光の輪が産まれ、髪の色から黒色が無くなり白一色に、ここからは見えないがきっと瞳も白黒オッドアイから白色一色になっているだろう。


 いや白というより灰色だけど、瞳は白に近い色で一色だけになっているはずだ。


 ·····そういえば下の毛も白一色になるのかな?



 ビカァッ!!



「ぎゃんっ!!めがぁ!目がァァァアアアっ!!!」



 物凄い下世話な事を考えた瞬間、私の両目がウナちゃんから発せられた聖なる光で焼かれた。


 ·····自業自得かな。


 私は両目を治癒魔法で治して視力を回復させると、ウナちゃんの覚醒をじっと見つめた。



 ·····やば、これ波長の中に有害光線も含まれてるじゃん!

 しかも紫外線と赤外線の比率がかなり高くなってる!?



「うぐっ····· みなさんウナちゃんから目を逸らしてください!!太陽を見た時のように目が焼かれて視力を失う可能性がありますっ!」



 やっばい!放射線も電波も交じり始めた!!


 光系なら何でも行けるのかっ!



 こうなりゃ遮光しかない!



「ウナちゃん!光を止めてっ!対象は光線のみっ!!『ブラックホール』っ!」


『·····わたしの光は、だれも止められない』


「うっそでしょ!?貫通するの!?」



 私は光を消去するため光だけを吸い込むマイクロブラックホールを生成したが、あっという間にウナちゃんの光で消し去られてしまった。

 いや一応物理的に作り出したブラックホールだから消えないはずなんだけど!?



『わたしの光は、誰にも侵させない、遮らせない』


「あはは····· こりゃちとヤバいかも」



 ·····ウナちゃん、暴走してるな。



「はぁ····· 確かに未来を『テロが起こらないで結婚式が行える』っていう風にしたはずなんだけど····· あっ、ま、まさか·····」



 私の定めた未来には、大きな穴があった。



 私が決めた未来は『テロが起きて結婚式が妨害されない』というような感じだった。


 だが、私は『新郎新婦本人が結婚式を妨害する』という条件を考えていなかった、思いつくことができなかった。

 『本人が』大団円に終わったという認識なら、何が起きてもおかしくないって事だ。


 あーあ、これだから未来を見たり決めるの嫌なのよ·····



 ·····仕方ない、本気で止めるしかないか。



「·····ウナちゃん、いやウェアちゃん、一旦殺させてもらうね、じゃなきゃ止まりそうにないや」



 ウナちゃんは今は二手に分かれている状態だ。


 今目の前に居るのはウナちゃんの片割れ『ウェア』で、大本の『ウナ』はディメンションルームでボーっとしているのを今さっき確認した。


 だから、ウナちゃんの特性で片方を殺してももう片方からもう一度分裂すれば大丈夫という力を利用し、一時しのぎでもいいからウェアちゃんを止めるっ!!



「国王様、神聖な場ですが武器を出してもよろしいでしょうか?」

「構わぬっ!サークレット王国国王として許可するっ!」


「はいっ!いでよ『ソフィアの槍』っ!ウナちゃん、ごめんっ!!!」



 私はインベントリからシンセイとテンセイを司る私の神の槍『ソフィアの槍』を取り出すと、投擲形状に変化させてウナちゃんに照準を合わせた。


 ·····さすがの私でも、生き返るってわかってても、親友を殺すのは辛い。


 でもここで止めなきゃ、ウナちゃんはもっともっとヤバい事になって取り返しがつかなくなるっ!!!



「いけっ!『ソフィアの槍』っ!ウナちゃんを『新生』させてっ!」



 ズギャアッ!!!



 私はウナちゃんめがけて槍を投げると、ソフィアの槍は光り輝くウナちゃんを貫通し、教会の屋根を破壊しながらそのまま宇宙(ソラ)へと消えていった。



「これで止ま·····らないっ!?むしろ輝いてっ!?まさか既に精霊化を終えて光にっ!?ひゃんっ!!?」



 真っ白に輝くウナちゃんを私の槍は確実に貫通したはずだが、ウナちゃんは光り続けていた。

 それどころか、輝きが増して教会内を爆発的で埋め尽くし、教会の外まで激しく輝いた。



 そして、教会を包み込む光は更に増大し、この都市をも包み込んで輝いた。



 きっと、その光は遠くから見ていれば光は巨大な真っ白な光の少女のように見えただろう。





 ·····仕方ない、結婚式編でこの手は使いたくなかったんだけど。






 巨大な光の爆心地に居る私たちは、周囲が完全に白色になるほど激しい光に包まれているはずなのに目が痛むこともなく、爆心地のウナちゃんを見つめていた。



「ヒトの域にとどめておいたウナちゃんが、本来の姿を取り戻していく·····」

「4体の精霊が揃い、神がかけた呪縛を解いて、ヒトを超えた神に近い存在へと変わっていく」

「天と地と万物を紡ぎ、相補性の巨大なうねりの中で、自らを魔力の凝縮体に変身させているんだわ」


「光と闇を司る、新たな神の誕生の瞬間よ」


「·····世界が終わるのね」

「そうだな····· 儂の孫が世界終焉のトリガーとなるとは」

「ウナちゃん·····っ!」

「やめてよウナちゃんっ!」

「そうよ!私たち友達でしょう!?」

「そうじゃ!ワシらの元に戻ってくるのじゃ!」

「ん、いっちゃだめ」

「ウナちゃぁぁあああんっ!」





「·····って、エ○ァかよっ!!!」



 スパコォンッッ!!!!



『あいたっ!!』



 無理やりギャグ展開へ持ち込んだ事でために貯めた渾身のキノコ神拳の力を載せた()ハリセンがウナちゃんの真っ白な頭を直撃し、見事な音を立てた。


 その瞬間、ウナちゃんからあふれていた光が止まり、なぜか空中に浮いていたウナちゃんは教会の床に向かって真っ逆さまに落っこちた。



「イルミア君!キャーッチ!!イルミア君っ!空から女の子が!!!」


「えっ!?うわわっ!」



 そして落下地点にいたイルミア君に声をかけると、彼は12歳とは思えない俊敏さでウナちゃんの落下地点に滑り込むと、見事なお姫様抱っこでキャッチした。


「おめでとう」

「おめでとう」

「おめでとう」

「「おめでとう」」


「え?えっと·····?ありがとうございます·····?」



 それを見た参列者は、未だに頭が追い付いていなかったがとりあえず拍手でそれを讃えた。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「ったく、なーんで毎回こうなっちゃうかなぁ····· いやー、いざという時の為にハリセン持っといてよかった、とりあえずコレでブッ叩いてツッコミ入れれば何とかなるから、やっぱり最強の武器····· ああああああああああああーーーーーーーーーっ!!!ソフィアの槍の回収忘れてたっ!!!今どこ行った!?えっ!?月に向かってる!?あーもう!!魔導ロボ『SS-01』!回収に行って!月面のポイント『高天ヶ原』に突き刺さってるから!」


名前:イルミア・レ・キルン

ひと言コメント

「·····この後どうしたらいいの?」




名前:ウナ・ウェア・ラ・サークレット?

ひと言コメント

「ハリセンが痛い」


名前:伝説の光の大精霊『ルミナriewk,[@;lu,xia[・。」「*} tardyon?>!"; サークレット』

ひと言コメント

『もうやだぁ····· おうち帰りたい····· 聖地で温泉入って引きこもりたいわ····· ニート克服なんてやるんじゃなかった····· うぇーん·····』

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