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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第四章 TS賢者は世界を往くっ!
424/469

困った時は神頼みっ☆


「あぁ緊張する·····ヤバい·····」


「大丈夫、落ち着いて·····」



 私たちは今、教会前に到着した馬車の中で待機していた。


 今はウナちゃんとイルミア君が降りて教会の中に移動している最中で、その次が私たちの馬車の番という感じだ。


 そして私は『馬車を降りる』という6歳の私でもできた事に物凄く緊張していた。



 何で緊張するんだって?


 いや、だってさ?国王様とか王太子様とかと一緒の馬車から降りるってことはとんでもなく高い立場の人で気品が求められたりするわけでしょ?

 しかも気になっちゃって外見たらさ?花嫁と花婿の姿を一目見ようと一般市民も上流階級の人たちも大量に教会に集まってものすごい事になってるんだもん·····

 いくら一般人立ち入り厳禁の教会の敷地の中とはいえ、上流階級の一部の人たちや国教の一番大きい教会に勤めるシスターさんや神父さんが勢ぞろいして出迎えてくるわけだよ?


 そんな状況で緊張しないわけがないじゃん·····


 下手したら即処刑だよ?

 公開打首獄門釜茹で火炙りシチュー引きずりまわりの刑だよ?


 あぁ、こういう時の為に馬車を降りるリハーサルをしておけばよかった·····


 いや熱々のシチューを引きずり回す練習しとけばよかった·····

 重いコンダラ引いて練習しとけばよかったよホント·····



 まず馬車ってどうやって降りればいいんだっけ·····

 いままで馬車なんてぴょんっと飛び降りた事しかないし、走行中に先に飛び降りるのがデフォだったからマジでわからないんだけど?



「大丈夫かソフィ殿、顔色が良くないぞ?」

「馬車酔いしたのかしら?魔法は必要かしら?」


「い、いえ、おかまいなく·····」



 やぁっばい、国王様と王妃様に心配されちゃったよ·····

 流石に『いままで馬車からピョンっと飛び降りたことしかなくて貴族らしい降り方なんてしりませぇ~ん☆』って言う訳にはいかない、Sランク冒険者の名に泥が付きまくっちゃうわ。


 というかこの場で処刑だわ。



「フィーロ君、私の顔色そんなに悪い·····?」


「顔面蒼白ってこういう事を言うんだって一目でわかるくらい悪いかな」


「えぇ·····」



 そ、そんなに·····


 うっわ!千里眼で自分の顔見てみたけど真っ白じゃん!プールに2時間入りっぱなしで真っ白になったときみたいになってるじゃん!

 っていうかそれ通り越して歌舞伎役者みたいになってるし·····


 こ、これって回復魔法で治る·····?

 ヤバい治らないんだけど?


 治療法ない!?なんかいい方法·····


 そうだ、血色が悪いってことは血流を速めて血中酸素濃度を上げれば何とかワンチャン·····



「あっ、顔色が戻って行く·····」


「ギリセーフ·····」



 よし顔色はなんとかなった·····

 あとは緊張をなんとかしないと·····



\ガコンッ!!/


「あひゅ」


「むっ、動き出したか、では降りるぞ」


「ソフィちゃん、僕たちは国王様と騎士団長様の次だから準備して、もうすぐだよ!」


「·····」


「ソフィちゃん?·····き、気絶してるっ!?」

「分かりやすく泡吹いて気絶してる·····」

「叩けば起きるかしら?」

「一発ぶん殴るか?」

「ん、殴るべき」

「ま、ままぁ!だいじょうぶ!?」


「む?何をしておる、早く準備をしたまえ」


「わかりました····· うん、僕がなんとかするしかない」



 なんともうすぐ降りるという状況になって、極度の緊張状態に陥っていたソフィが馬車が動き出した衝撃でビビって気絶してしまった。


 しかももう国王様や王妃様は立ち上がって降りる準備をしているため、すぐにでも降りなければいけない状況となっていた。

 そして何故か皆が殴って起こすという判断をしている中、気絶したソフィの彼氏であるフィーロは機転を利かせて解決する手段を思いついたようで、その手にはソフィのスマートフォンが握られていて、誰かと通話を開始したようだった。





 フィーロが電話を終えた瞬間、馬車のドアが開き、騎士団長のカレナさんが降りると国王様が馬車から降りるのを手伝い、国王様は王妃様をエスコートしながら降りて行った。


 次はソフィとフィーロの番だ。


 ·····しかし、順番が来てもソフィは動かなかった。

 動かなかったというより気絶したままだった。


「間に合った····· これで大丈夫なはず·····」


 だが、彼は既にやれることはやった。

 ここで動かなければ、魔法で操り人形にして移動させるしか方法は無いかもしれない。


 けれど彼は最愛の彼女を信じ、神に作戦の成功を祈った。

 


 ·····そして、彼の祈りは神に届いた。



「仕方ないにゃぁ、普段からソフィたんも頑張ってるし特別よん?」



 気絶していて動かないはずのソフィの体から声が発せられ、何かに引っ張られたマリオネットのように支えもなく体を逸らしながら不自然に座席から起き上がって彼の前に立ち上がった。



「はいはいこちらお助け女神事務所ですよ、まったく、肝心な時だけ神頼みって情けなくないの?」



 ソフィの口からは普段の彼女のようでありながら少し違う、別人の口調で言葉が発せられた。



「頼れるものは頼る、ソフィちゃんのピンチをどんな手段を使ってでも救うのが僕の役目ですから」


「はぁ、やっぱりキミは素でかっこいい事言うねぇ····· で、願いは?この子と違って私は『神頼み』は1日1回しか受け付けてないからよく考えて使ってね?」


「ソフィちゃんのフリをしてついてきてください、作法とかは大丈夫ですよね?」


「モチのロンよっ☆ ()()()()()の力をなめんなよ~☆ ·····おほん、フィーロ君、エスコートをお願いします」


「わかりました、では·····」



 そう、彼が電話を掛けた先はソフィ直属の上司であり、この世界の最高神である『女神ガイア』だったのだ。

 フィーロはソフィから『自分の体は神に造られたモノで、魂は前世から引き継いだ物』と教えられていた。

 そして、彼女のスマートフォンにはよく女神と称する人物から電話がかかってきて、そのあと用事があるといって神の世界に行っているのを目にしていたのだ。

 ·····ちなみに呼び出しの9割はゲームの誘いなのだが、彼はそれを知らなかったが今回は問題が無かった。


 だがソフィの携帯にはロックが掛かっており、彼女以外が開けることは彼氏のフィーロでさえ不可能なはずだった。



 ·····しかし、ソフィは一つ重大なミスをしていた。


 パスワード入力がめんどくさくて指紋認証で開けられるよう設定をしていたのだ。


 それを知っていたフィーロはとっさにソフィのスマホを取り出すと無理やり指紋認証を突破、電話帳から登録されていた女神ガイアに電話を掛けて『気絶しちゃったから体を動かしてほしい、その程度であればできないか?』と打診していたのだ。


 そしてフィーロの読みは大当たり、女神ガイアはソフィの体を()()()()()()()()操る事が一応可能だったのだ。

 正確にはソフィの体を乗っ取って降臨するという事が可能であった。


 所謂『神降ろし』という行為だ。


 本来は神の言葉を巫女や聖女に言わせて世界の運命の軌道を修正するためのシステムだが、女神ガイアはそれを応用し、ソフィの体を動かしたのだ。



 更に幸運な事に、女神ガイアは何度か結婚式に出席した経験もあり、立場上こうした作法も死ぬほど苦手だが熟知していたのだ。



 そしてフィーロと女神ガイア入りソフィは礼儀正しく、誰が見ても違和感を覚えない見事な作法で馬車から降り、教会の中へと進んでいった。





 その後、無事に自分たちに割り当てられた教会の最前列の席に座ったところで、女神ガイア入りのソフィが小声でフィーロに話しかけてきた。



「あっ、そろそろソフィたんが起きそうだからお暇するね~、ちゃおっ☆」


「ありがとうございます」



 そういうとソフィは急にぐったりと項垂れて動かなくなってしまった。


 だが数秒後、ソフィが再び動き始めた。



「はっ!?ここどこ!?」


「しーっ!ソフィちゃんはさっき気絶しちゃってたから、女神様に頼んでここまで移動してもらったんだ、だから静かにっ!もう教会の中だよ!」


「マジで!?」


 気絶から醒めて状況を理解したソフィは、小声で驚き始めた。


 そして頭を抱えた。



「あぁぁ····· 貸し作ったらあとでめんどくさいのに····· まぁいいや····· フィーロ君ありがと·····」


「どういたしまして、無事に来れてほんとよかったよ」


「·····って、私たち最前列なの?」


「そうだよ?」


「マジかぁ·····」



 野次馬に見られながら馬車から降りるという試練は無事?にクリアしたが。どうやらソフィの緊張と試練はまだまだ続くようだった。





 その後、気絶が覚めた私は最前列ということもあって下手な身動きも出来ず、気絶してたせいでトイレに行けなかった私は()()を虚空に転送して事なきを得たりという事件はあったものの、特に何事もなく、教会の敷地外にあつまる人たちで暴動を起こす人も居ない平和な時間が流れていた。


 まぁ、集まってる人が押し合って肘が当たったとか足を踏んだとかで喧嘩が起きたり、スリに合ったとかいう些細な事件は起きてるけどノーカンで。



 ·····暇だから明日の晩御飯とかを考えてたらヤバい事を思い出したわ。


 私たちって今式場の最前列に座ってるけど、こういう王族の結婚式って最前列って王族とか相手の家族とか公爵みたいな貴族しか座れないんじゃ·····


 席は横長の長椅子で真ん中にあるヴァージンロードから左右に20人座れる感じで配置されてて、私たちは壁側のいちばん端から順に座ってる感じだから下の方だとは思うけどさ·····

 7人分の席を占領するのってなんかヤバくない·····?


 一応校長先生とかそういう人もいるからOKなのかもだけどさ·····


 ちなみに私たちは左側の長椅子に座ってて、私の右隣りは校長先生、その隣が王妃様で更にその隣が王様となっている。



(ソフィちゃん?何を悩んでいるのかしら?)


「わひゃっ」


(静かに、魔力通話よ、これなら話ができるわ)


(あぁ、そういう感じの·····)



 場違い感で気まずくなっていると、私の隣に座っていた校長先生が魔力通話、いわゆるテレパシー的な感じで話しかけてきた。


 びっくりして思わず声が出ちゃったけど、なんとか抑えて私は魔力通話を開始した。



(校長先生、流石に私たちって場違いすぎませんか·····?)


(Sランク冒険者なら先頭にいて当然よ?)


(いや、それはわかるんですが、私以外のみんなは普通にAランク冒険者ですよ?流石にそれは·····)


(あら?ウナの学友で大親友で何度も彼女の危機を救ってきて共に成長した者たちを呼ぶのは失礼かしら?)


(·····それは流石に呼ばなきゃダメなヤツですね)


(そうよ、だから堂々としていなさい)


(わかりました!)



 ·····そういえばそうだもんね。


 私たちは独りぼっちだったウナちゃんと9年間ずっと一緒に居てあげて、共に学び共に成長し共に戦った大親友だもんね。

 しかも友達グループのリーダーがこの国に3人しかいないSランク冒険者で、更にウナちゃんを含めた友達グループのメンバー全員がAランク冒険者····· いやそれだとチェルが説明できないわ。

 チェルは冒険者登録したてでまだDランクなんだけど、もしかしてオマケで入れちゃった感じなのかな?


 まぁなんにせよ、私たちは最前列を埋めてもいい存在って言う事がわかって良かったわ。



 その後は私は自信をもって最前列でウナちゃんとイルミア君が登場するのを待った。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「·····アイツに貸しを作ったらどれくらいめんどくさいかって?一日限定4個のプリンを買わされに18時開店のスイーツ店に朝0時から並ばされたからね?3日連続で」


名前:女神ガイア

ひと言コメント

「んひひ····· 神が対価ナシで動くとでも?」


名前:フィーロ

ひと言コメント

「·····僕の判断は間違ってなかったと思う、でも勝手に頼っちゃったのは僕だから、もし面倒な事を依頼されたら僕も手伝うよ」


名前:なかよし組

ひと言コメント

アルム

「ソフィちゃんって謎が多すぎる気がする·····」


グラちゃん

「私はちゃんと日本語の勉強で学んだわ、『壊れたら殴れば万事解決』とね、私の判断は絶対に間違ってないわ」


ウナちゃん

「·····なんかソフィちゃんがやらかした気配がする、それより気合入れなきゃ!」


エビちゃん

「·····普通に一発殴りたかったのじゃ」


ミカちゃん

「寝ながらあるけるの·····!? わたしもめがみさまにたよればよかった·····」


チェル

「ん?ママだけどママじゃない?·····だれ?だれなの?こわいよぉっ!!」


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