未来は不確かで自分で決めるもの
·····なんて言ったけど、実は今からやるのは正確には『未来観測』じゃないのよね。
そもそも、私が出来る未来予知は皆が夢見る『未来予知』とはちょっと違うのだ。
未来は観測するとその未来に決定してしまって避けられないと言ったけど、実はそこには裏がある。
『未来は観測するまで不確かで、どの未来を観測するかを決めない限りランダムな未来へと進む』
これが私が見つけた未来の法則だ。
その法則は量子力学の概念の簡単な説明のひとつ『シュレディンガーの猫』に似ている。
普段私たちは未来を観測せず『今』を生きる事で自由な未来、運命を選び進む事が出来る。
きまぐれに買い食いしたり、思い立ったが吉日で旅に出たりとかが出来るのも『未来を観測していない』からだ。
故に、まだ観測していないからこそ買い食いする未来、旅に出る未来、昼過ぎまで寝る未来が同時に存在出来ていて、私たちは好きに選ぶ事が出来る。
逆説的に言えば、起きる未来を観測してしまえば何が起きるかを確定してしまい、どんな結末でも絶対にの方向へ向かう事になる。
つまり、私の未来観測とは『未来の事を予測する事』ではなく『不確かな未来を観測して決定する』という事象なのだ。
「さーてと、だから観測してこよっかな」
そんで、この世界の観測は一筋縄ではいかない。
とある理由で、私以外は未来を予知する事が不可能なのだ。
·····いや、そのある理由が原因で稀に未来を予言できる人が出てきたりするんだけどね?
「何にせよ、早くしないと面白半分でウナちゃんの結婚式が台無しにされちゃうからさっさと行こっと」
私は片手にハリセンを持つと、とある場所へ繋がる特殊なゲートを開いてその中に入っていった。
「あー、注意、この先はこの物語の核心を突く大事な話なのと、かなりメタいから、それでもいいよって人だけ見てねっ☆」
よし、読者さんへの注意も終わったし早速アイツをぶちのめしてこよっと!
◇
カタカタカタカタ·····
タンッ!
「えーっと、みんなで頑張ったから結婚式も普通に終わっちゃったし、小説にするにはちょーっとつまらなすぎるかな····· とりあえず色々書き加えてっと····· よし!ウナちゃんの結婚式編はこんな感じでいいかな?とりあえずまずは現れた暴徒に隊列を襲わせて·····」
私は家のアカシックレコードパソコンの前に座り、キーボードを叩いて私の物語を書いていた。
そう、実はこの小説は私自身が体験した物語を、後から自分で小説に書き下ろして、ついでにちょいと加筆して話を盛って投稿していたのだ。
そうっ!私こそが作者のすげぇ女神のソフィ・シュテインちゃんだよー☆
とりあえずウナちゃんの結婚式編は····· もっとハデにやって隣国を絡ませて大騒動にするか·····
「·····よし!とりあえず大騒動にすっか!」
\ヴォンッ/
「はぁい☆ お届けソフィちゃんだよー☆」
「アイエエエッ!? 私!? 私ナンデ!?」
「くらえ必殺!ソフィちゃん謹製めっちゃいい音が鳴るハリセンっ!!」
\スッパァン!!!/
「キヌガサタケッ!?!?」
部屋の中で結婚式を終えて、話を盛っていた私をハリセンで引っぱたいて気絶させた私は、私をズリズリと運んで同じ部屋にあったベッドに雑に寝転がしておいた。
さてと、こっからが本番だ。
「えーっと?予定投稿はどこかなーっと····· あったあった、うわ!やっぱりめちゃくちゃにしようとしてやがったな未来の私め·····」
未来の私を気絶させた過去の私は、いつも執筆に使ってるパソコン(※未来の物)を乗っ取ってしまった。
·····察しのいい人ならもう気がついてるかもだけど、この小説は私が実際に異世界を観測してその出来事を綴った小説なのだ。
だから読者さん達が今読んでいるこの小説はハイファンタジーのラノベなんかじゃなくて、本当に異世界の記録であり私の人生を綴った伝記みたいなモノなのだ。
そんなのありえないって?
私が1番ありえないって思ってるよ?
でも事実なんだから仕方ない。
·····でもさ?
勝手にストーリーをめちゃくちゃにするのはやめてよね?
まったくもー、私自身とはいえウナちゃんの結婚式をメチャクチャにするのは流儀に反するわ。
「未来の私、結婚式をめちゃくちゃにするのは許さないからねっ!」
「へーい·····」
「ったくもー、しっちゃかめっちゃかにしちゃってさぁ····· ハイハイ全部書き直しっと」
「あぁ····· せっかく考えてたプロットが全部消された·····」
そう、実は『未来』は私が作る事ができるのだ。
というより、未来で私が小説にして投稿する事で過去の私の行動が決まるという不思議な状態なんだけどね。
つまり、こっちでこの先のストーリーを綴ってしまうと未来が決定しちゃうのだ。
でも投稿前にストーリーを書き換えてしまえばノープロブレムっ☆
未来で過去の私の行動を書き換えれば、過去の私の行動や過去の私にとっての未来を書き換えることが出来る。
ただし書き換えられるのは、未来の現時刻のみだ。
例えば、4月20日に隕石が落ちるから地球滅亡という未来があったとして、これを書き換えて無効化するには4月20日以降でないと不可能で、19日とかじゃ基本的に無理なのだ。
·····まぁ隕石の場合だと、それ以前から『たまたま軌道がズレた』って書けば回避可能だったり裏技はあるけどね。
とりあえずそんな感じで、終わった事であれば投稿前なら私は未来を変えることが出来てしまうのだ。
いや、ある程度しか変えられないけどね?因果の関係でもう変えられない所はあるけど、結論が一致してるならそこまでの家庭は変えられるから。
ちなみに普段は実際に起きた事しか書かないんだけど、時々脚色したりこっちの方が面白そうって思ったらそっちに書き換えちゃったりして変な事になるのだ。
特に未来の私は大胆に加筆修正しようとしてやがったから、止めてやったわ。
「さてとさてと、ウナちゃんの結婚式編の結末を決めたら全部修正しなきゃになるかな?えーっと、『暴徒とか他人に邪魔されず大団円で終わる』って書き換えて確定して····· よしOK!」
「うひぃ····· めんどくさ·····」
「ウナちゃんの結婚式で遊んじゃダメよ私、じゃあ後はヨロシク」
「あいあい·····」
「それともうひとつ」
「なぁに·····」
\ベチコンッ!/
「ヌメリイグチッ!??」
「もう一回寝てろ」
とりあえず未来の私が勝手に書き換えたプロットを書き直した私は、内容を保存してもう一度私をブチのめして眠らせてしまった。
なんか面倒くさそうにブツブツ言ってたけど知ったこっちゃない、だって未来の私がやるから過去の私には関係ないもん。
それに適切な睡眠をとらないとパフォーマンスが減っちゃうからね☆
「さてと、これでウナちゃんの結婚式は無事に終わる未来にできたし、私は帰って準備でもしよっかな!」
用事が済んだ私は、特にこっちに用もないので元の世界へと帰·····る前にちょっと細工をしてから帰って行った。
◇
「よっと、んーっ!やっぱりこっちの方が落ち着くなぁ·····」
私は本来いるべき世界に戻ってくると、一仕事終えたと言わんばかりに体をのばしてリラックスモードに意識を切り替えた。
と、ここで部屋の真ん中に行くときは無かった箱が置いてある事に気が付いた。
「さーてさてさて、成功してるかな?」
私は特に驚くこともなく箱を開けると、中から向こうの駄菓子詰め合わせセットが出てきた。
「よし成功っと」
実はコレ、帰る直前に未来を確定させたことを確認するために『部屋に戻るとなぜか駄菓子詰め合わせセットが置いてある、私はそれを驚かずに開ける』という風に改変した結果だ。
これがあるってことは、無事にウナちゃんの結婚式が大団円で終わる未来に進路が決まったって訳だ。
「これで無事にウナちゃんの結婚式は終われるから、あとは私たちが上手くやれば無事に終わるはず····· よし、頑張らないとっ!」
でもこの力は、未来を書き換えた所でも自分で行動しなくちゃ意味はない。
前に私はこの力を使ったことがあったけど、その時はフィーロ君に告白するって書いた。
でも怖気付いた結果、告白ができないっていうオチになってしまっていた。
だから、未来を変えても行動しないとウナちゃんの結婚式は無事に終わらないんだよね。
「未来は今の私の手で書かなくちゃ完成しない、だから私は執筆を続けるんだ、私の人生を物凄く楽しい物語にするために·····」
私はそういうと、明日に備えて眠りに就いたのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「この辺りの設定って複雑すぎて説明がめんどくさいんだよね····· ざっくり言うととりあえず私のやった事を未来で私自身が小説化してるって事で! ·····まぁ、別にそっち側がどうであっても私はこっちの世界でのんびり悠々自適に異世界ライフを送ってるから気にしないけどねっ☆」
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「·····目的地とチェックポイントだけ決めたのなら、結果そこにたどり着けばルートはなんだっていいのよね?んふふっ」




