表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第四章 TS賢者は世界を往くっ!
409/469

運び屋ソフィちゃんのお仕事



 大体一週間後·····



「えーっと、忘れ物は無いよね?うん、大丈夫っぽい!」


「ぽいって····· 一応今日はSランクの依頼なんでしょ?ちゃんとしなよ·····」


「へーきへーき、だってただの要人警護だし」


「ただのって·····」



 今日はSランク冒険者の私を指名して依頼された要人警護の仕事をやるため、早朝から準備していた。


 って事で、私以外は今日はお留守番で、見送りに来てくれたフィーロ君もこの後寝るつもりなのかパジャマのままだ。



 ·····っとあぶない、忘れてた。



「おーい、要人ちゃーん!そろそろ出発だよー!」


「はーい?いまいくねー」



 魔法学校街の方の家にいる私は、リビングで朝食をとっている今日の護衛対象を大声で呼んだ。


 するとドタバタと音が聞こえ、私たちが居る玄関に護衛対象がやってきた。



「おー、ちゃんとおめかししたんだ、()()()ちゃん」


「うん!だって一応公式で王族として帰ることになってるからね!」


「まぁそうだよね、大々的にこの国の次々期女王を迎えに来るって通告来てパレードも開かれてるからねぇ·····」



 マグウェル街のパーティホームの窓の外を見ると、魔法学校の方に人がぞろぞろと向かっていて、物凄い人だかりが出来てるのが分かった。

 9年間この学校に通ってたけど、あんだけ人が集まってるのは初めて見たってレベルだ。



 そう、何も隠せてないけど今日の護衛対象は私の親友であり、この国の次の次の女王となるウナちゃん·····の分身体ウェアちゃんだ。


 ちなみにウナちゃんはまだぐっすり寝てる、昨日ってか今日の夜明けまで姉貴とゲームやってたから眠いそうだ。

 ·····ちょっとゲームにハマり過ぎてるから1度説教しなきゃかな。



 それはさておき、ウナちゃんが迎えに来られた理由は、ウナちゃんの結婚式とウナちゃんの正体を、ウナちゃんが王女であることを全国民に公表するためだ。



「でもこんなに沢山来たら狙われて当然だよね·····」

「凄い大名行列だったもんね」

「なんでわざわざ狙われやすくしたんだろ·····」



 んでウナちゃんを迎えに来た王宮からの使いはなんと驚異の1000人規模でウナちゃんが乗る馬車はとんでもなく豪華なデカい馬車で、その周囲を武装馬車や私が国に献上した武装魔動車2台、それに王宮騎士団までついてきてる厳戒態勢の大名行列だ。


 しかもなんと校長先生が護衛として同行する、とんでもない警備体制だ。



 名義上だとこの国の王女が卒業したから王宮で住むために迎えに来たという事になっているそうだ。



 ·····でも、この国は隣国と戦争が始まりかけている危険な状態で、更にそんな時期に狙われやすい王女が学校から王都へ帰るというリスクが高い事をやるから、より安全性を高めるために私が呼ばれたという訳だ。


 ちなみにこの要人警護は極秘依頼で、私と校長先生の二人が受けている。



「っと、そろそろ時間かな?」


「いま何時?」


「7時半だね、馬車に乗り込むのは8時だけど乗ったりパフォーマンス的なのをやるからもう始まったと思うよ」


「ふーん?見れる?」


「おっけー、ちょいまち·····」



 私は千里眼をみんなにも見えるようにホログラム画面に映して空中投影した。





 七時半になった瞬間。大量の騎士団や召使が立ち並び美しく荘厳な王族専用の馬車へと続く赤い絨毯が敷かれた巨大で豪華絢爛な屋敷から、ドレスを身に纏った少女が出てきた。


 その隣にはこの国の建国にも携わったSランク冒険者の伝説の魔術師が付き添い、彼女をエスコートしていた。



 そして彼女が出てくると野次馬や取材陣から歓声が響き渡り、その声に応じて屋敷から出てきたヴェールで覆ってしまって顔が見えない、この国の王女らしき少女が可愛らしく手を振った。



 っと、危ない危ない、早速暴徒が出てきてるな?

 えーっと?あーやっぱり敵国の暗殺者か、相変わらず好戦的だねぇ·····



「·····ところであの子の正体って誰?わたし何も知らされてないんだけど」


「私」


「·····え?」


「私の死体をウナちゃんっぽく肉体改造して背格好を似せて蘇らせた影武者だよ?」


「はぁ····· また変な事やってる·····」


「一応定義上は遠隔操作/自立制御切り替え型生体ゴーレムって事になってるね、顔は一応ウナちゃんには似せたんだけどバレたらマズいしヴェールで覆ってるよ」


「そういう事なんだ·····」



 そう、実はあの豪華絢爛な大名行列は全部陽動なのだ。


 本命はこっち、町はずれにある普通の家·····じゃないね、ちょっと豪華だし。

 でもまぁ一応普通に見える、そして多分世界で一番安全であろうSランク冒険者とその友達たちの自宅で待機していたのだ。



「さーてと、ウナちゃ·····じゃなくてウェアちゃん、準備はいい?」


「うん!いつでもOK!」


「よし!んじゃフィーロ君、行ってきます!」


「行ってらっしゃい、ソフィちゃん、ウェアちゃん」


「「いってきまーす!!」」



 そして本命の部隊である私とウェアちゃんの二人は、陸路ではない安全なルートを使って王城まで向かう事になっている。


 それは何なんだって?

 陸路じゃないなら空路?それとも海路?まさか地中に極秘のトンネルが!?



 いやいや、そんな甘いもんじゃない、私たちが使う極秘ルートは『空間のトンネル』さ!



「転移っ!!」



 そして私とウェアちゃんは空間を超越し、この国の首都にある王城へ向かって転移していった。





 転移が発動すると、視界が見慣れた玄関から豪華絢爛な広々とした部屋へと切り替わった。


 そして部屋の中にはたくさんのメイドさんや執事さんが控え、そして目の前には一組の老夫婦と、若い夫婦が居た。



「おかえりなさい、ウナ」

「おじー····· おじい様、ただいま帰りました」


「学園祭ぶりね、元気だったかしら?」

「はい、おかげさまで健康に過ごし、卒業することができました」


「見違えたな、ウナ、立派に成長したんだな」

「おとーさ·····ま、はいっ、9年間学業に励み、成長することができました」


「元気そうで何よりです、可愛くなりましたね」

「えへへ····· ありがとうございます、お母さま」



 目の前の四人はウナちゃんにそれぞれ一言声をかけ、ウナちゃんもそれに所々素が出てたけど王族っぽい感じで答えた。



 そんで老夫婦は今の国王と王妃とわかっていたけど、隣にいたのはどうやらウナちゃんの両親だったようだ。

 ウナちゃんの祖父母には会った事あるけど、両親は初めて·····


 ·····あっ!?そういえばウナちゃんのお母さんは見たことあるわ!

 前にSランク冒険者になったときに国王様のメイドやってて顔合わせたことあるわ!


 今日は王族らしくドレスを着てたからわからなかったわ·····



「Sランク冒険者ソフィ・シュテイン、この国の王として其方に感謝の言葉を贈らせてもらう」


「ありがたき幸せ····· それでは私はこれで」


「いや待て、少々其方に話がある」


「んぇ、あっはい、承知しました」



 なんだろ?

 依頼を終えて帰ろうと思ったら国王様に呼び止められたんだけど?


 ぶっちゃけ帰って寝たかったけど、ここは公式の場だから国王様の命令に逆らう訳にもいかず、私はおとなしくウェアちゃんと一緒に国王様を含むウナちゃんの家族の後を追っていった。





 広い広い王城の中を大量のメイドを引き連れながら進むこと十数分、ようやく目的地にたどり着いたのか先導していた国王様が一つの部屋の前で止まった。



「ここから先は王族以外立ち入り禁止だ、メイド達は下がってよい」


『『はい』』



 そしてたくさんいたメイドさん達を帰らせてしまった。

 うーん?多分アレかな、この先って王族専用の部屋なのかな?

 んじゃ私も·····


 私は面倒事の予感を感じて、一糸乱れぬ動きで下がって行くメイドさんに混ざってこっそり逃げ



「この先は王族専用と言ったが正しくは王族の居住区だ、許可された者なら立ち入れる、今日はソフィ殿も入って良い」


「えぁっ、はい、わかりました」


 ·····逃げられなかったわ。



 やっぱりこの先は王族の居住区だったみたいだけど、絶対立ち入り禁止って訳じゃなくて、許可されたら普通に誰でも入れるらしい。


 んで私はその中にお呼ばれしたって感じかな?


 うーん面倒事·····

 まぁ面白そうだしいっか!!



「ではついて参れ」


「はー·····はい、わかりました」


「硬くなる必要はない、ここから先は無礼講だ」


「·····わかりました、ではそうさせてもらいます」



 一瞬素で返事しかけたけど口調を正したら、国王様が無礼講でいいと言ってきた。

 まぁ完全に素にはならないけど、堅苦しくない程度の口調にしておいた。


 そして返事が少し柔らかくなったのに満足したのか国王様は王族専用の扉を開けてその向こうへと向かっていった。





「ほー····· 凄い·····」



 扉の向こうは、なんというか、超豪華なホール·····じゃない!これめっちゃ広い廊下だ!


 私は一瞬見惚れかけたけど気を取り直し、国王様たちの後を追ってだだっ広いけどすごく豪華な廊下を進んでいくと、またしても国王様が扉の前で立ち止まって、部屋の中に入って行った。


 その後を追って中に入ると、うん生憎お城とか宮殿の構造はしらないけどヴェルサイユ宮殿とかにもありそうな豪華な装飾が施された部屋に椅子とテーブルがある·····なんていうんだろ?


 王族がお茶を嗜んでそうな部屋?茶の間·····じゃないね、うん、なんかすっごい部屋に入ってしまった。



「皆、座って良いぞ、茶は今持ってこさせる」


「失礼します」


「はやっ」



 私たちが席についた瞬間、どこからともなく熟練された動きのメイドさんがティーセットを持って現れ、あっという間に全員に紅茶を淹れて立ち去ってしまった。



「さて、改めてソフィ殿にはウナを城まで連れて来てくれた事に感謝しなければな」


「いえいえ!依頼ですから!こちらとしては無事に達成できてよかったです」


「うむ」



「·····ウナ、久しぶりだな」

「こうして話すのは何年ぶりかしらね」


「·····ただいま、おとーさん、おかーさん」



「·····ちょっとお聞きしたいんですが、ウナちゃんとそのご両親ってあまり合ってなかったんですか?」


「ウナの護るためには、その生い立ちや身分を隠す必要があったからな、中々会う事ができなかったのだ、それに王家の仕来りで在学中の王族の子に親が会う事は良くないとされておる故、卒業まで滅多に会えなかったのだ」


「そういう事なんですか·····」


「母親とはメイドとしてだが時々会って話していたようだが、母親として話すのは9年ぶりに話をするはずだ」


「そ、そんなに·····」


「今は9年ぶりに家族で団らんをしている所だな」



 私が国王様と話をしている間にもウナちゃんと両親は会話を弾ませていて、王族とは思えないくらい普通の親子みたいに話をしていた。



「·····邪魔するのも悪いですかね?」


「あぁ、故にソフィ殿、息子らがひと段落するまで老人の無駄話に付き合ってくれぬか?」


「わかりました」


「ソフィ殿、先日の件は誠に助かった」


「先日の件?」


 えーっと、何やらかしたっけ·····

 色々やらかしてるからどれかわかんないぞ·····


 マズい、早く思い出さないと処刑ポイントが加算される。


「そうだったな、其方がどれか悩むくらいには恩があったのを忘れていた、此度は隣国の戦争の件についてだ」


「あぁ~····· すいません、少々やり過ぎましたか·····?」


「いや、寧ろ助かっておるのだ、フシ山の龍の息吹による魔法陣群の蒸発、『無敵艦隊』を沿岸部の軍事基地に差し向ける采配、見事であった」


「ははぁ·····」


「そのお陰で隣国が当初攻めてくる予定であった春の訪れの時期にもかかわらず攻めてきていない、·····ソフィ殿のお陰で攻める手段がなくなったのだろうな、『無敵艦隊』も未だサークレット海に居座っているのも幸いし、開戦は延期になりそうだと密偵からも連絡がきておる」



 どうやら隣国は私がメチャクチャやったせいで攻めるための兵力を失ったらしくて戦争が延期になったようだ。

 もしかしたらこのまま戦争は起きないで終わるんじゃないかと国王様は予測してるとか。


 ·····まぁ、私は今も衛星からあっちの国の動向を監視してるけど、懲りずに兵力をかき集めて復興してるからいつかは戦争が起きそうだけどね。


 それでダメなら内部から侵略してくる可能性もあるし·····



 でも暫くの間戦争は起きないだろうし、その間にウナちゃんの結婚式も無事に行えるだろうと国王様は言った。


 ちなみにいつ戦争が起きてもいいように『無敵艦隊』こと『インディペンデントフォートレスタートル』さんはサークレット海でしばらく住んでもらう事になっているから、まぁ海を渡ってこっちに来るのも不可能だろう。



「じゃあ暫くは大丈夫そうですね」


「うむ、だが油断してはならぬ、大々的に攻められなくても搦め手で来るかもしれぬ、例えば····· ウナの結婚式で暴動を起こす事や、誘拐や暗殺を狙ってくるかもしれぬからな」


「·····ですよね」


「そこでだ、ソフィ殿には招待客として招いてはいるがウナの警護をお願いできないだろうか?」


「もちろん受けさせていただきます、大切な友人の結婚式は邪魔させませんよ」


(かたじけな)い、依頼は後にギルドを通じてソフィ殿に指名依頼という形で行われるはずだ」


「承知しました、ではよろしくお願いいたします」


「うむ」



 私は国王様直々の依頼を受け、契約成立の証として握手した。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「さーてと、いっちょ警備用の大規模魔法でも構築しときますかねっ!ウナちゃんの結婚式は絶対に邪魔させないよっ!!·····ところで報酬なんですけど」


名前:ウナ・ウェア・ラ・サークレット

ひと言コメント

「ひさしぶりにおとーさんとおかーさんとお話した····· えへへ、うれしくってちょっと泣いちゃった」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ