変わらない日々の終わり
「んっ····· んんん~っ!ぷはぁ、よく寝た」
卒業試験が全て終わり、時は流れ2月の最初の日·····
私はたぶんいつも通り目覚めると、思いきり体を反らして体を伸ばしながら、鏡越しに天地が逆転している部屋にあるデジタル時計を見た。
ちなみに私、体めちゃくちゃ柔らかいから体を逸らして真後ろが見えるのよね。
凄いでしょ!
「えーっと、5時52分·····うん、ちょっと早かったかな?」
ホントは6時に起きる予定だったけど、少し早起きしてしまったようだ。
まぁ早いなら別に良いや。
私は自分の部屋から出ると、洗面所で顔を洗って歯を磨いて、鏡に映る絶世の美少女に見惚れて、絶世の美少女の寝癖まみれでボサボサの髪をセットして、パジャマを脱ぎ捨て下着にエプロンという大胆な恰好のままキッチンに立つと、みんなの分の朝ご飯を作り始めた。
「今日は何にしよっかなぁ····· いつものはちょっと飽きたし、変わり種がいいかなぁ·····」
なんて言いながらも私の手は既に動き始めていて、インベントリから小さいころに気まぐれで作ったワッフルメーカーを取り出すと魔法で熱し始め、更に魔法で油をぬってワッフルの生地も魔法で出して、空中に8個のワッフルメーカーとそれを熱する火の玉がフワフワ浮かんでいた。
その間に私はまな板の上にイチゴやブルーベリーを出してイチゴを半分に切って盛り付けの準備をして、溶けないように盛り付けの直前でアイスクリームを出して、あとは飾りつけの粉砂糖も取り出して、日本風の場所であり私の農園『瑞穂の里』で隔離しながら育てているミントの葉っぱを何枚かもぎ取って、ワッフルが焼けるのをのんびりと、ちょっと寝ながら待った。
数分後、ワッフルが焼けるいい匂いが漂い始めたところでワッフルメーカーを開けてワッフルを取り出し、手早く溶けないようにさっとアイス以外の食材を盛りつけた。
「さてと、アイス乗っける前にみんな呼んでこないと、さーて、今日は誰が起きてるかなぁ」
私はワッフルを盛りつけた皿8枚とアイスの入った容器を空中に浮かせながら、いつもみんなで朝食を食べるリビングへと向かっていった。
◇
「みんなー!朝ご飯だよー!!!今日も腕によりをかけてちょっと変わり種のワッフルを作って·····みたんだけど····· 誰も居ない?」
ま、まさか、全員寝坊!?
んふふ····· いつも私が寝坊してるけど今日は真逆だったみたいだ。
いやー、ホント珍しいね、みんな結構早起きで私が起きたらもうみんな居るみたいな感じなんだけど·····
な、なんか逆に心配になってきた。
とりあえずフィーロ君に連絡しよっと·····
私はスマホを取り出すと、大好きな彼氏のフィーロ君にモーニングコールを掛けてみた。
ぷるる·····
ぷるるるる·····
「·····出ない」
だけど、どんなに掛けてもフィーロ君が電話に出ることはなかった。
その時、私の脳裏に悪い予感が走った。
私以外居ない、フィーロ君に電話しても出ない、そして男の子はフィーロ君ただ一人、昨日は私は一人で寝た·····
「まっ、まさか、ハーレムしてるんじゃ·····?」
その結論に至った瞬間、私の体はフィーロ君の部屋へと向かっていた。
ちなみにワッフルは優しく丁寧にテーブルの上に置いて、アイスは冷凍食品用インベントリに収納した。
◇
バギャァッ!!
「どりゃっせええええええええいい!!!」
「うひゃあっ!?」
「ハーレムに混ぜろおおおおっ!!!じゃなかった!何浮気してるんじゃあああああああああああ!!」
私は鍵が閉まっていたフィーロ君の部屋のドアをドロップキックで蹴破ると、早速ベッドで寝てるフィーロ君の元に駆け寄って説教を始めた。
「まったく!こんな魅力的な女の子の私が居るっているのに他の子に目移りしちゃダメだよ!?いや、みんな可愛いし目移りしちゃうのはわかるけどさ、流石に7人も娶るのは王様とか貴族でも難しいよ?もしやっても私が正妻だからね?そこは絶対に譲らないからっ!というかエビちゃんとウナちゃんは彼氏持ちだしウナちゃんに至っては第一王女だよ!?バレたらとんでもない事になるよ!?禁断の恋すぎるよ!?だから私だけを愛してよ!」
「ちょちょちょ!ちょっと待って!まだ寝起きで頭がさえてないから待って·····」
「で、誰と寝たの?いや全員か、まったく、フィーロ君が持久タイプなのはよーく知ってるけどやり過ぎじゃない!?」
「·····ソフィちゃん寝ぼけてる?」
「ぱっちり目覚めてるよ!!私も一時期ハーレムにはあこがれてたけどさ?やっぱり一対一で愛し合うのが一番だと私は思うんだけどなぁ·····」
「·····あの、ソフィちゃん」
「何?早く言わないと学校に遅れるよ?もう全員分の朝ご飯を作っちゃったから早く来てよ!ほらみんなも隠れてないで早く出てきてよ!そんなに怒らないからさぁ!!」
「·····ソフィちゃん」
「だから何?」
「今日から学校休みだよ?だから今日はみんな昼まで寝るって言ってたじゃん」
「·····へっ?」
·····えーっと?
ええと····· たしか、えーっと·····
そうだ、卒業試験が終わって2月になったら成績集計とか色々な作業があるから、2月中は休みになるって言ってたような·····
·····そういや、昨日みんなでお風呂入ったときに『明日何する?』って話になって、特に何もしないで各自自由に行動するって話になって、結局全員好きなだけ寝るって感じになったんだっけ?
「·····もももしかしてだけど、みんなこの部屋に居ない·····?」
「だから言ってるじゃん、みんな自分の部屋で寝てるよって」
「なんでそれフィーロ君知ってるの?」
「だってまだ2時だよ?みんな寝てるに決まってるじゃん·····」
·····え?
いやいや、ないない、私が見た時の時計が5時だったからないない。
だってほら午前3時って書いてあるじゃん·····
「·····えっ?ホントに2時だ」
「·····ソフィちゃんの部屋、デジタル時計だったよね?鏡越しに見た?」
「いやー、まさかぁ、ないない·····」
·····そういえば、私の部屋の時計デジタル時計にしたんだった。
で、私が時計を見たのって、背中を反らして鏡越しに天地逆転した状態だった気がする·····
えーっと、5:52を鏡越しに見ると·····
「····················てへっ☆」
「はぁ····· もう朝ご飯作っちゃったの?」
「···············うん」
「とりあえずインベントリに仕舞ってさ、まだ寝ぼけてるみたいだし僕と一緒に寝ない?僕もまだ眠いし·····」
「··········うん」
私はエプロンを脱ぎ、リビングに置いてきたワッフルをいったんインベントリに格納して、下着姿のままで寒かったからフィーロ君に抱きついて一緒に昼まで寝てしまった。
◇
「ってことが今日の3時くらいにあってさ、面白くない?」
「あっはっはっは!ひーっ!無理っ!無理なのじゃっ!もうっ!笑い死ぬっ!笑死するのじゃっ!ひっひっふーっ!」
「·····やっぱりソフィちゃんって面白過ぎるよね」
「えぇ、誰も居ないし何もしてないのに勝手に自爆する辺り、相当ヤバいわね」
「あはは、面白かった、こんどおじいちゃんにこの話しよっと」
「ん、ソフィちゃんは馬鹿、やっぱり」
「はーれむ?チェル、パパのお嫁さんになるの?」
「やめてぇ····· もうやめてぇ·····」
お昼になってみんな起きてきて、私が作ったワッフルをみんなが食べながら、私の今朝の失敗をフィーロ君が笑い話として皆に暴露していた。
いや、やめてって言ったんだけどね·····
『僕たちのこと勝手に疑って、僕を叩き起こしたのは誰だっけ?』
って言われちゃって、どうしようもなくなってもう顔を手で覆って真っ赤な顔を隠すしかできなくなっちゃったのよ·····
もう死にたい·····恥ずかしすぎる·····っ!
「いやー、ドヤ顔で『みんなも可愛いけど私が一番っ☆』って言った時は流石に笑っちゃうかと思ったよ」
「ひあぁぁぁぁぁぁああ·····」
「そ、ソフィちゃんが聞いたことのないくらいか細い悲鳴上げてる·····」
もう、もうやめてぇ·····
はぅぅぅぅぅぅぅ·····
その日一日、私はみんなにイジられ続け、終いには恥ずかしすぎてすっ転んで気絶してしまった。
ちなみに、私はこの後しばらくワッフル恐怖症になった。
◇
卒業前の1ヶ月の休みはとても長く、その間に卒業生たちは就職先などに挨拶に行ったり、引っ越しの準備をしたり、両親を卒業式に呼んだりと様々な出会いと別れが繰り広げられていた。
もちろん、私たちも例にもれず新生活のスタートのために各自動き回っていた。
特に一番動いていたのはウナちゃんだろう。
ウナちゃんは基本的に家に居たけど、どうやら裏ではもう一人のウナちゃんことウェアちゃんがウェディングドレスの準備や結婚式の練習、それに自分が本当の第一王女·····というか、次の次の女王になる者と公表するためのスピーチの練習をしていたそうだ。
既に各国のお偉いさんたちに招待状が送られていて、結構な数の国から偉い人が集まってくるとの事。
もちろん私たちにも招待状が届いて、しかも特等席で呼んでくれたみたいだったから、私たちの分のドレスを超一流家事精霊に成長したアキさん率いるお手伝いシルキーと、アキさんの知り合いで服飾が得意な妖精に来てもらってドレスを作って準備した。
どんなドレスができたかはお楽しみに····· んふふ·····
んで、進展があったのはウナちゃんだけじゃない。
実は私とエビちゃんもウナちゃんに触発されて結婚式について結構真剣に考え始めたのだ。
まぁ私はフシ町の結婚式場で挙げようかなって考えてて、エビちゃんも同じ考えらしいんだけどねっ!
でも私とフィーロ君はまだ決断できなくてまた今度·····というか今年のフィーロ君か私の誕生日にして、エビちゃんは妊娠が発覚してからにするそうだ。
一応妊娠したらお腹が大きくなるからその前の方がいいとは伝えたけど、絶対に変える気はないようだ。
ちなみに、婚姻届けは近いうちに出す予定だったり····· 結婚指輪もデザインを考えてる途中だったり·····
まあそれは後々言うとして、変わったことはまだまだたっくさんあるまだまだたっくさんある。
まずグラちゃんの誕生日と卒業式のために遥々サークレット海に面した街『クロベ街』からグラちゃんの両親がやってきた。
実は結構破天荒なグラちゃんの親とは思えないくらいちゃんと貴族してる人で驚いた。
·····グラちゃんはなんか嫌ってるのか1度会ったっきり会おうとしてないけどね。
ミカちゃんはあるとき思い立ったかのように日本にふらっと行って帰ってきた。
なんでも日本に居る保護者というか彼氏というか居候先に遊びに行っていたらしい。
アルムちゃんは相変わらず町で甘いものと女の子を漁って遊びまわってて、フィーロ君は最近プラモ作りにドはまりしている。
チェルは·····何やってるんだろ?なんか庭の世界樹のかなり高い位置に穴をあけて秘密基地を作って遊んでるっぽいけどよくわからない。
そして私は·····
「うーーーーーーん····· 卒業後どうしよ····· とりあえず魔法学校街の一角のここはかなりい感じだし店舗で借りれそうかな····· あー内装も考えなきゃ····· それより、私はどうしよっかなぁ·····」
色々悩んでいた。
いやね?みんなは卒業後なにするか大体決まってるんだけど、私だけは微妙で『冒険者でもやろっかな』くらいなのよね·····
あー、専属モデルって言う手もあるけど、正直それはちょっとめんどくさいしなぁ·····
この前初撮影行ったけど忙しい上にすんごい疲れる内容だったしさ·····
でも私ってもうかなりな大金持ちで、普通の人間なら一生遊んで暮らせるくらいのお金はあるし、今も増え続けている。
強いて言うなら、日本の方のお金がちょっと減って心配なくらいだ。
「·····どうしよっかなぁ、専業主婦にでもなろっかなぁ」
もうすぐ卒業という新たな人生の門出だというのに、私の悩みは増える一方だった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「ワッフルどころか格子状の物を見るとアレを思い出してしばらく普通の生活ができなかった····· 私ふつうにせっかちで早とちりしちゃうのよ····· ああああ、思い出してきちゃった·····あああああああああああああああああああ!!!はっずかしいいいいい!!!」
名前:アルム
ひと言コメント
「ワタシは卒業したらソフィちゃんに頼んでマグウェル街にお店を開くんだっ!不定期になっちゃうかもだけど、良い物を安く売るをモットーにバンバン稼ぐよっ!」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「卒業後かぁ、僕はソフィちゃんと一緒に冒険者として働こうかな?それかお父さんのお店を手伝ってみようかなぁ·····」
名前:グラちゃん
ひと言コメント
「いい加減帰って来て婿を見つけろって言われたわ····· 余計なお世話よ·····」
名前:ウナちゃん
ひと言コメント
「ここ最近、本当に忙しくて大変·····」
名前:エビちゃん
ひと言コメント
「一応早く結婚デキるよう毎晩頑張っておるのじゃがな····· なかなかうまくいかないのじゃ·····」
名前:ミカちゃん
ひと言コメント
「ひさしぶりに、彼氏成分補充してきた、これでまんぞく」
名前:チェル
ひと言コメント
「秘密基地は秘密だからいいんだよ!パパとママにも教えないよ!!」




