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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第四章 TS賢者は世界を往くっ!
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竜光一閃




 レディクルスさんが本気を出した瞬間、私はアカシックレコードをフル稼働させて攻撃に関する最後の演算を開始した。


 目標誤差は1km以内としていたが、演算結果では誤差372.0192mで特に問題ないということが判明した。

 あとは結界反射板の強化と、発射後のブレスの威力を見て威力を何パーセントカットするか決めるのが成功のカギと言ったとこだろう。


 ついでに仮に外れて禁忌魔法が発動した場合を考えて、禁忌魔法吸収処理システム搭載型魔導ロボット『SS-01-B』をサークレット海上空に5機ほど配備して吸収魔法を展開させてある。

 これでもし失敗しても5機が魔法を捕らえ内部に閉じ込め、宇宙空間で魔法に崩壊魔法を掛けて無力化後、更に自爆して魔力を霧散させるから大丈夫なはずだ。


 あとは·····



 私は虚空からスマートフォンを取り出すと、私がデフォルメされたアイコンを押して専用アプリを起動した。



「『竜光一閃作戦』開始」





 同時刻



 ビーッ!ビーッ!



「ん?あっ、始まるのね····· 校内放送と町内放送のボタンは·····これね、あーあー·····よし、『緊急放送、緊急放送、フシ山山頂にて魔力の異常濃縮が確認されたわ、原因は山頂のドラゴンによる超高威力ブレス(クシャミ)と考えられるわ、よってこれよりマグウェル魔法学園都市は防御姿勢に入るわ、また、衝撃波によって地震などが発生するかもしれないわ、怪我をしたくないのであれば頑丈た建物、もしくは机の下で頭を守ってなさい、可能であれば防御魔法を使ってもいいわ、今回のブレスはかつてない程の威力だと考えられるわ、出来る限り以上の準備をしなさい、元勇者パーティーのサトミ・ド・ウィザールからの警告よ』·····ふぅ、まったく、あの子は面倒な事を頼んできたわね、さてと、教員の皆!準備はいいわね!」


「できてますよ、学園都市の防御魔法陣も展開準備完了です」

「いやーまさか生きてる間にあのドラゴンのブレスをこの目で拝めるとは·····」

「大丈夫ですかね?あの魔力量であれば山体どころか国が消し飛ぶ可能性がありますよ?」

「·····あなた『説教部屋の住人』の事を忘れたのかしら?」

「あぁ·····説教部屋の常連か····· 今あの子が向かって対処してるんだっけか、なら大丈夫か····· ならば我々は観測に徹するべきだな」

「皆ァン!あのブレスは肉眼で見るのは危険よォン!!結界越しなら大丈夫だけれど長時間の注視は止めてちょうだいネェン♥」


「まったく非常事態というのに研究熱心で呑気ねぇ····· はぁ、あの子たちはうまくやってるかしら」


 そういいながら、マグウェル魔法学校校長で元の世界から帰ってきた異世界人のサトミ・ド・ウィザールは窓の外に見える雄大なフシ山と人々が慌ただしく動く学園都市を険しい目つきで見つめていた。





「んぅ?はじまる?」


 ソフィの故郷で、マグウェル魔法学園都市からほど近い町『フシ町』では一人の天使が眠りから覚めた。


 彼女の名前は『ミカエル』、惰眠大好きなサボり魔のポンコツ高性能天使で、今日も今日とてお昼寝に勤しんでいた。

 だが、フシ山で発生した魔力の高まりを感じて目覚めた彼女は、己に与えられた使命を果たして早く寝るべく動き出した。



「ねむい····· 早く終わらせる」



 彼女の役目は、強力なドラゴンのブレスからこの国を守る事だ。

 そのために彼女の持つ神の盾『アイギス』が必要となるとソフィに言われ、やらなかったらお布団没収と言われたから、彼女は大好きなお昼寝を中断して渋々動き出した。


 展開場所は事前にソフィに渡された地図通りに展開することになっていて、魔法学園都市やフシ町、それと海へ向かう街道の道中にある小~中規模の町やフシ山近くにある湖畔の集落などの、攻撃の余波が来るであろうポイントにある町全てだ。


 その数は数十個にも及ぶが、人々を守る神の盾に数など関係ない。



「·····ん、アカシックレコード『シンクロニティ』起動、永久機関『CLOS×S O(クローバー)ver Drive』起動、神界防御システム『アイギス』発動」



 この世界に存在していたもう一つのアカシックレコード『神造世界防衛専用演算記録装置『シンクロニティ』』が起動し、同時にソフィ以外の賢者の石·····正確には賢者の石ではない別の永久魔導機関が稼働すると、彼女の持つ『絶対防壁 神盾アイギス』が真の力を発揮した。


 そして神の盾は自身が根城にするソフィの家があるフシ町を、お気に入りのこの国を守るべく、守護天使としての役目を果たすべく、その神の盾を国中に飛ばした。



「·····あとはまかせた、はやくおわらせて、ねむい」



 彼女はお気に入りのふかふかソファでくつろぎながら、自分の新たな主に向けてそう呟いた。






 そして、動き出したのは彼女たちだけではない。


 ソフィが構築していた通信網によって、彼女から連絡を受けた国王を通じて全国のギルドに連絡が届き、更にギルドから町へと警告が出され、一般市民にもそれが伝わったことで瞬く間にサークレット王国中が警戒態勢になったのだ。


 たった一発のブレスと、たった一言の少女の声が国中を動かしてしまったのだ。



 表向きはドラゴンのブレスに対する防御、裏ではブレスを利用した禁忌魔法群の破壊という、壮大な作戦を実行するため、一人の人間であり神である少女と、永き時を生きたドラゴンにこの国の命運を託した作戦を成功させるために·····







 そして国全体が一瞬で防衛体制になったのを確認すると、私は全力全開でブレスを上空の一点に収束させ、反動や衝撃波で山体崩壊を起こさないよう山全体を魔法で固定化、更に空間をねじって周囲に飛び散る衝撃波を全部上方向に行くようにもした。



「レディクルスさん!私も、この国も、準備OKです!!!」


『あいよ、じゃあ石の子も逃げな!火口の中に居ると死ぬよ!』


「言われなくても!じゃあ計画通りに!」


『もちろんさね、竜の力、見せたげるよ!』


「はーい!」


『威勢のいい返事だ、ほら!アンタらも逃げな!蒸発しちまうよ!さっさと卵を持って逃げな!』


『グギャッ!?ゴギャアアア!!』



 レディクルスさんは周囲に居た小型のドラゴン····· 自身の子供たちを巣の外に逃げるように言った。

 ちなみに予め卵を私が用意してきた風呂敷で包んだり籠に入れ、みんな一斉に掴んで飛び立った。


 そして私も彼女の指示に従い、あと少しでこの世界で最も危険な場所になるであろう火口の中からドラゴンたちと一緒に逃げて行った。



「レディクルスさん!ご武運を!」


『あいよ、まかせなさいな』



 最後に残った私は、ふと思いついたので火口の湾曲した内部を反射板で覆ってみた。

 多分これで下方向に出たブレスの余波が反射して上に向かうんじゃないだろうか。


 アレよ、アンテナ的な感じで余波も収束してくれたらいいなって感じよ。



「じゃあ後は頼みますね!」



 そしてやることはやった私は、魔力が胸の中央にある魔結晶に爆縮し始めているレディクルスさんの元から離れていった。






 火口からある程度離れた場所にやってくると、私はそこでストップして山の方を振り返り待機を始めた。



「さぁ、始まるよ·····」



 火口から後ろ足で立ち上がったレディクルスさんが現れ、その(アギト)を空へと向けて開いた。

 そして胸の結晶部に爆縮されていた魔力が口元に移動し始め、魔力が莫大なエネルギーの塊へと、魔法へと変化し始めた。


 あまりの魔力の密度に、山体の上空や周囲にあった魔力が引き寄せられ、笠雲のような魔力の環が幾重にも生成され始めた。



「なんちゅう威力よ·····」



 そして魔力の環が山頂へと収束を開始し、レディクルスさんの胸元のコアからエネルギーの塊が口元に近づくと、彼女の口の中が碧色に輝く恒星の如き光の玉が姿を現した。

 たったそれだけで周囲の大気は震え、捻れ、魔力が励起され荒れ狂いだした。


 そして、エネルギー塊は空へと向けてその力を解放し·····



『ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』



 ギュオアッ!!


 ズッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッ!!!!!!!!!


 ブレスとは思えないSFチックな爆音を轟かせ、宇宙(ソラ)へと向けて高密度のエネルギーの柱が伸びて行った。


 だが波動砲の如きエネルギーの奔流は抑えきれず周囲へと漏れ出した。



「きゃんっ!?」



 次の瞬間、私は強烈な衝撃波で体が波に揺られる木の葉のようにぶっ飛ばされかけた·····


「負けるかぁぁああああッ!!」


 が、それを何とかこらえ、背中に生成された煌めく翼から負けじとエネルギーを放出してブレスへと接近し、溢れ出る衝撃波を上へと逃がしながら私もブレスと共に宇宙へと飛び上がって行った。


 その間にも計算を行い、50kmの範囲のみを消し飛ばす威力を導き出した。


「マジかよ!エネルギー吸収率99.99993%じゃないと惑星が消し飛ぶ!!早くッ!!!」



 なんと必要エネルギー量は全体の0.00007%で済むということが分かった。

 多分、このブレスがこの星に直撃したら間違いなく消し飛ぶ。


 なんでこれが大気圏内を動いてるのに星が蒸発しないのかが不思議なレベルだ。


 ·····いや、威力が高すぎて熱も空間も全部捻じ曲げて上へ向かってるんだ。

 余波はブレスから出たんじゃなくて空間がねじれた時に出た、ただの副次的なモノなんだ。



 というかヤバイ、この威力だと反射板が持たないし乱反射が抑えきれなくて地球が消し飛ぶ。

 というか反射以前に全部消し飛ぶからそのまま宇宙のかなたに行っちゃうわ。



「うあああああああああああ!!いそげえええええええ!!!『須臾』発動ッ!!!」



 私は時間の流れを遅くして超音速のブレスをも超える速度で飛翔すると、その直径500mにもなる巨大なエネルギーの大奔流の前に立ちはだかった。



「インベントリ展開ィィィイイイッ!!格納しろおおおおおおッ!!!!!」



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