SFだってファンタジーだよね!!
ファンタジーにあるまじき巨大ロボットに乗った私は、カタパルト発進の力で月面基地から飛び出し、月面上空を飛翔していた。
「飛行システム良好、動作システム正常、視野角問題なし」
『了解、続いて反重力制御システムを起動し、地球重力下飛行システムのテストを行え』
「了解、反重力魔法制御システム起動!反重力場の発生を確認、高度維持スラスター停止、姿勢制御システムおよび推進スラスター起動!」
ガガガガガッ·····
グォォオオオンッ
宇宙空間を飛翔するためのシステムから地球重力下での飛行を実現する反重力制御システムに切り替えると、機体が大きく揺れた後安定した。
反重力制御システムは安定性が高いけど、普通の飛行システムから切り替える時は流石に揺れが発生してしまうようだ。
これはロマンがあるから改良しなくていいかな。
『反重力場、こちらからも確認できた、では超高速飛行試験を行え』
「了解、超高速飛行試験に移行する、魔導力ロケット起動!出力上昇!空間固定アンカー抜錨!発ッ進!!」
私はコックピットの操縦桿下にあるスイッチを押すと、機体が超高機動モードへと切り替わった。
この状態では専用のロケットが魔法で構築され、背部に装着されて一時的に超高速飛行を行えるようになる。
推進システムは魔導式、二つのジェットエンジン風の装置の先から魔力を肉眼で見えるほど超高密度に圧縮した光の環『エンジェルハイロゥ』を何重にも発生させ、その環の中央に向けて魔力の籠った炎、前世で使用されていた戦闘機用ジェットエンジンを参考にした推進力専用の火魔法を入れると、回転する魔力によって魔力誘導加速現象が発生し何十倍もの威力となって、ロケットエンジンの如き勢いで噴き出す新システムだ。
ちなみに結局は反動推進ロケットだったりする。
あと、これは当然の如くロマン機能で、1分間使用するだけでフシ町で1年間消費される魔力を上回るとんでもない燃料喰らいだ。
ただ、最高速度は第二宇宙速度をも軽く超えるマッハ50、大気圏内ではさすがにそこまでは出せないので、宇宙空間専用のロマン機能だ。
ちなみに星間航行システムに切り替えるともっと早くなるし、銀河間航行も想定してるから亜光速、光速、超光速、ワープまでできるシステムも考えている。
そしてエンジンを起動した背部から物凄い勢いで彗星の如き尾、もしくは宇宙に広がる青い一対の翼の如き波動が背部から伸び、途轍もない推進力を生み出し、勝手に飛び出さないよう空間自体に固定した機体が悲鳴を上げているほどの運動エネルギーを機体に与えているのだ。
ただ、宇宙空間なので音がしないのが残念だ。
きっと地上で使ったら心の底から震えるような素敵な轟音が世界中に鳴り響いている事だろう。
宇宙空間で音が鳴るのはハリウッド作品とアニメの中だけで、現実と小説の中では鳴らないのだ。
そして、目標座標を定めた私は、機体がぶっ飛ばないよう固定していたロックを解除した。
「にゅぎょおおおおおおおっ!?あっ!Gヤバっ!最高ッ!!」
その瞬間、機体は速度0からあっという間に音の速度を超え、流星のように宇宙空間を飛翔し始めた。
同時に私の体がコックピットの椅子に押し付けられ、ただでさえぺったんこな胸がつぶれて肺の空気が外に押し出されるような感覚がした。
まぁ、慣性というかGは魔法で軽減はしてるんだけど、この押し付けられる感覚が高速移動の醍醐味って私は思ってるから軽減だけにとどめているのだ。
でもちょっと調整を誤ってたわ、普通に死ぬわ·····
という訳で体にかかるGを調整して、死なない程度まで調整を行った。
『おーい、わたしー、目標地点過ぎてるー!そのままだと重力圏を飛び出してどっか行っちゃうよー!』
「やっべ!夢中になってた!今戻る!」
私は大慌てで月面基地の方向にターンして帰って行った。
◇
その後、武器や防御システム、更には戦闘訓練や土木作業試験なんかもやった私は、巨大魔道具格納庫へと戻ってきていた。
そして巨大ロボットを、このロボットの2倍はある生体部品を使った徳用(以下略)の専用格納庫の横に作った格納庫に立った状態で格納した私は、ロボットのコックピットから降りて近くにあったベンチに座って、よく宇宙飛行士とかロボのパイロットが飲んでそうなパックに入れた世界樹の実のジュースを飲んで休憩していた。
「いやー楽しかった!ロマンたっぷり!!サイコー!!」
『お疲れ様、どうだった?』
「うーん、遠隔自立操作する分には問題ないかな?でも乗って操作するとキツいかも」
『だよねー、本来の目的は乗る用じゃなくて量産して自動・遠隔で操作できる補助ロボットだもんね』
そう、実はこのロボットは私が乗って操作するための物ではないのだ。
きたる戦争に備え、無人で操作ができてアカシックレコードによる並行制御で敵軍を蹴散らせるようにした、科学技術が発展した現代でさえ超オーバーテクノロジーなロボット軍団を作るために開発した物なのだ!
まぁ、あくまで侵略用じゃなくて防衛用で、この機体を何機も並べてリンクした状態で結界を展開すると共鳴して超巨大な防壁を展開できるシステムを組み込んである。
あとはあの禁忌魔法対策でもある。
一応事前につぶす方法も考えてるんだけど、もし禁忌魔法が発動した際はこのロボットが成層圏まで飛び上がり、一時的にサークレット王国を中心とした半径1000km以内の魔法や魔力をすべてこのロボットが吸収し、宇宙空間で自爆することで禁忌魔法を無力化するという物騒な解決方法を今開発中だ。
ちなみに、魔力を全部吸い上げるから体調が悪くなる人もいるだろうし、魔物も活動を停止したり、魔法が打てなくなったり、身体能力が低下したり、天変地異が発生する可能性が極大だけど、そこも対策は考えてる。
ロボットが魔力や魔法を吸い取った瞬間、私が永久機関『賢者の石』の出力を上げて、国中に散ったロボットを起点として全国に失った分だけの魔力を供給する仕組みだ。
まぁ吸われた魔法は戻らないんだけど、それは禁忌魔法も同じだ。
禁忌魔法は発動するのに大量の生贄、正確には生贄となった人の絶望や恐怖などの負の感情を用いて威力を増幅させて発動する非人道的な魔法なのだ。
そして発動すると生贄となった人は死ぬし、そもそも生贄をささげる前に使う魔法発動の時点で高レベルの魔術師数十人が命をすり減らさないと撃てないような魔法故に、連射や速射は不可能なのだ。
つまり一撃必殺の攻撃を身代わりが全部受けて爆発してもらうことで無効化するという訳だ。
「でもやっぱ乗りたいじゃん?」
『わかるー、マジ浪漫だよね!』
乗る機能はロマンでつけただけで、ぶっちゃけ人が乗るとどうしても振動や操作の手間で動作がぎこちなくなってしまう。
それはさっきの検証で確証を得たことだ。
そもそも私が出撃するときは生体部品を使った半ロボットというか人造人間というか武装という名の拘束具に身を包んだ『徳用ソフィ・シュテイン型最終兵器 ソフィシュテイン』を使うから、あくまでこれはサブ機でしかない。
だって徳用(以下略)はシンクr·····感覚をリンクして操縦するから操作しやすいんだもん。
まぁ、痛覚までリンクしてるからダメージを受けると中に入った私まで痛くなるんだけどね、それがまたロマンなのよ。
あと量産を視野に入れたロボットより、ワンオフ型の徳用の方が性能が普通に良い。
ミカちゃんのユニークスキル『絶対防壁アイギス』を解析して、結界を固めて武器にしたり結界自体を飛ばして攻撃したりできるようにもしたからね!
ちなみに素体となった私は植物状態で肉体も魔力で再構築してあるから栄養は魔力だけで補えるようになっている。
美味しいご飯が食べられないのはかわいそうだけど、そもそも生き返って疑似的に意識を持ってる13人の私の方が変なのだから気にしないことにしようと思う。
·····でも、リンクしすぎるとこの徳用(以下略)に使った素体に溶け込んで徳用(以下略)自体が私になりかねないので、ロボットより注意が必要な代物ではある。
だけど最高出力は半端じゃない、何せ神である私の肉体と力を宿しているのだから。
「·····世界を救うも滅ぼすも、私次第ってか」
『だろうねぇ、どう見ても私たち悪役にしか見えない事やってるもんね』
よく考えたら、超過剰戦力のロボットを何十台も所有して、突出してヤバい神を改造した人造人間ロボットに、衛星軌道から爆撃する衛星、反物質爆弾、神の力を宿した槍、ありとあらゆるモノを切断する包丁、月に巨大クレーターを作る超高威力大砲·····
そしてそれらを一人で作り上げ、一人ですべてを運用できる、無限大の魔力を生み出せ世界を創りかえる事ができる新たなる神、私。
どう考えても悪役の所業だ。
「だからこそ、この禁断のゼウスの雷霆の如き力をちゃんと制御して、世界を滅ぼしかねない邪神ではなく善の神にならなきゃいけないんだ」
『うんうん、まぁ使われない事が一番だけどね』
「まぁね」
私たちは、神の力、創世魔法によって着々と量産が進められていく巨大ロボット群を眺めながら、人類の味方となる清く正しい神になろうと心に誓っ·····
『·····これさ、私たちだけで操縦して宇宙戦争ごっこする分には良くない?』
『『·····4番お前天才か!?』』
私たちは誓うのも忘れて、沢山あるロボットを一人一台遠隔操作して宇宙戦争ごっこを始めた。
あーあ、だから邪神って呼ばれちゃうのよ私たち·····
まぁ楽しいからいいんだけどねっ☆
おーい!私も混ぜてー!!
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「えっ?なんでみんな遠隔操作するの?·····あっそういや私以外は死んだら戻らないんだっけか、ごめん忘れてたわ☆ まぁ遠隔でも面白いでしょ!それじゃみんな、行くよ!!」




