帰る前にご飯の調達っ!
朝目が覚めると、私は木のゆりかごに包まれていた。
そういえば昨日、寝ようと思ったらエルフの冒険者のメルヒェさんが自然魔法を使って木のハンモックをつくってくれたんだっけ·····
いやー、木の枝で作られて葉っぱとかを敷き詰めてるベッドだから痛そうだなって思ったんだけど、これが想像以上に気持ちよくてぐっすり快眠しちゃったのだ。
ちなみにメルヒェさんの氏族に伝わる、森の中で安全に野宿できる方法らしい。
そして現在時刻は5時20分くらいで太陽も昇りはじめて明るくなってきた時間帯だ。
この時間は夜型の魔物は寝に行くし、昼型の魔物は起き始めるけど寝ぼけてて魔物の数は増えるけど全体的に弱体化する丁度いい時間帯だ。
逆に夕方はめちゃくちゃ危険で、夜型の魔物が起きて気合を入れ始めるし、昼型の魔物は追い込みをかけるから滅茶苦茶な頻度で襲われるのだ。
·····まぁ魔物の事はどうでもいい、私の見立てでは、そろそろ海エルフの人たちが漁を終えて市場に魚が並び始めるころじゃないかっておもってるのだ!
だからなる早で海の方へと向かいたいのだ·····けど、どうしたものか。
動けん。
「あのー·····メルヒェさん?どいてくれません?」
「んんん····· まだ始業時間まで10分·····」
なぜかいつの間にかメルヒェさんが私用に作ってもらったハンモックの中に入ってきて、抱きつかれてるのだ。
ぶっちゃけこの人胸がないから骨が当たって痛いのよ、でもナイス洗濯板だから文句は言わない。
ちなみに鎧を外したメルヒェさんの服は熱帯に住むエルフらしく露出度が非常に高い眼福なものであったとだけ言っておく。
というかこっちの人って上は隠さないのね····· 鎧を脱いだらそのまま出てきてびっくりしたわぁ、ブラジャーを付けないタイプの民族衣装もあるのね····· 昨日びっくりして虫刺されとか大丈夫か聞いたら、エルフは虫と共存する種だから刺されるようなことはないとの事だった。
·····もしかしてエルフって裸族?
あと鎧は胸当てみたいな感じで、急所だけ守ってる感じになっている。
そして一応鎧の内側には当て布があって肌に鎧が直接触れないような仕組みになっていた。
とりあえず、私みたいな貧乳と貧乳の多いエルフの服は相性がいいし、風通しもよさそう·····胸のとこが無くて丸出しだからめっちゃ涼しそうだったから、ちょっと改良してエルフの民族衣装っぽい私服でも作ろうかと思う。
·····パンツ丸出しなのも改良しなきゃだけど。
「あーもう!!私そろそろかえらなきゃなんで!離してください!!」
「うぅん·····」
というか何このエルフ!寝起き滅茶苦茶悪いじゃん!!
まったく起きないんだけど!!
かくなる上は·····
私はメルヒェさんの長いエルフ耳に顔を近づけると、ひゅ~っと息を耳の穴の中に吹きかけた。
「ひょんっ!?」
\びょいんっ/
\ゴスッ!!/
「痛いっ!!?」
「ぶふっ」
するとメルヒェさんが普段のくっころエルフな凛々しい声ではなく、可愛い萌え声の悲鳴を発して飛び起き、またしてもエルフも木から落ちるを体現してしまった。
やっぱり凛々しめエルフは萌え声を出す運命なのだろうか。
あとこの後めっちゃ殴られた。
◇
その後、割とガチギレしたメルヒェさんに怒られたけど、事情を説明して説教はたったの5分で終わり、私はメルヒェさんに別れを告げてフィーロ君たちが待つわが家へと出発した。
一応メルヒェさんの魔力は記憶したから、いつかスェイゥルュゥ村を復興した時には呼んであげたり、なんなら警備をお願いしようかなとかも考えている。
私の直感があの人は使い捨てキャラにしてはいけない優秀な人材であると告げていたからだ。
·····本音はあの『ひょんっ!?』が面白かったから時々脅かして定期的に聞きたいからだけどねっ☆
あとはあの素敵でセクシーなエルフ服の作り方とか着用方法とかも聞きたいからねっ☆
メルヒェさんの着ていた服を解析はしたけど、やっぱり作り方とか着用方法はエルフに聞くのが一番だからね!
·····そういえば、なんか娘さんがサークレット王国に居るらしいって雑談の時聞いたんだけど、詳しく聞くの忘れちゃったな。
まぁいっか、私の体質なら面白くなりそうなら向こうからやってくるだろうし。
「えーっと、他に忘れ物はないよね····· ゲートも設置したし地図にピン止めもした、魔物が住みつかないように結界も展開したし····· /スヤピヨ·····\ あっ!!やべ!!」
·····頭の上になんか乗ってるわ。
「·····突撃ピヨ三郎?」
『·····ぴよ?ぴよぉぉおぉぉおおっ!!?』
「えっ、なに?鳥なのに高所恐怖症なの?」
そう、昨日ずっと一緒に行動してたというか頭の上に乗ってたから慣れちゃって、頭の上で寝てた突撃ピヨ三郎の事を忘れて一緒に飛び立ってしまっていた。
やっべー、もう高度3500mだよ、ここから落としたら突撃ピヨ三郎もさすがに帰るの大変だわ·····
「もう帰るのもアレだし、私についてくる?家族とか子供とかいない?」
『ぴぴぴ····· ぴよっ』
「いないんだ、んじゃ行く?」
『ぴよっ』
「よっしゃ!じゃあ今日から私のペットね!」
『ぴよぉっ!?』
「えっ?ペットじゃ不満?·····んじゃ相棒で」
『ぴぴ····· ぴよっ』
どうやら相棒だったらいいそうだ。
でも相棒だけど非常食&非常用の武器ね。
突撃ピヨ三郎の嘴って意外と鋭くて武器になるによね、しかも投げるときれいにまっすぐ飛んで行ってくれるから便利なのよ。
あと変なこと言ったメルヒェさんに突き付けると即訂正してくれるから結構役立つのよ。
「さてと、突撃ピヨ三郎、魚は食べられる?」
『ぴよぴよっ』
「あー川魚か、アレも美味しいよね、でも今日は海の魚を食べるよ!」
『ぴよよっ!』
「おっけー!んじゃ出発進行っ!!」
という訳で、私は頭に乗った新たな相棒、突撃ピヨ三郎を連れて比較的ゆっくりなマッハ2でわが故郷のある北東方向へと向かっていった。
◇
「ストーップ!!到着っと!!」
『ぴよぴよ?』
「ちょっと寄り道、海エルフの町があったからこの辺りの魚でも買って朝ご飯にしようと思ったんだ」
飛行する事数分、私は巨大なエルフたちの島の外延部を飛び越え、周囲にある細長い島の一つの上空で停止した。
眼下には、まさに漁村といった感じの町が広がっていて、町の一角には早朝にもかかわらずひとだかりができている。
多分あそこが魚の市場なんだろう。
どこの世界でも、どこの国でもやっぱり朝市は賑わうようだ。
「それじゃ、降下するからしっかりつかまっててね」
『ぴよぴ·····よぉぉぉぉぉぉおおおお!!?』
私は焦る気持ちを抑え、音と一緒に地上へと降下していった。
◇
「おおおー!魚だ!カラフルだ!!」
『ぴよぴよっ!』
「おん?人間か?見ねぇ顔だな!珍しいなこんな辺鄙な場所に来て!·····うん!?頭の上に物騒なもん乗ってるぞ!動くなよ今仕留めてやるから!!」
「あっちがいますこの子私のペットなんです!!ペットの突撃ピヨ三郎なんです!!」
「ぴっぴぴピヨピヨ!!!」
「そ、そうなのか····· 変な名前·····\ピヨォ!?/いや失礼、いい名前だ」
私は突撃ピヨ三郎を掴んで店主に突きつけた。
そうしたらすぐに失言を撤回したくれた、やっぱり突撃ピヨ三郎は便利だわぁ。
「ちょっと朝ご飯でここら辺のお魚でも食べようかなって思って買いに来ました~、おすすめってなんですか?」
「あ?あー、その茶色い魚のバーミィとかブチャライーとかがオススメだ、あーそれはやめとけ、ブマクはお嬢ちゃんには高すぎるぜ?一匹600エーヴェルだ」
「·····この見た目、ミーバイ、イラブチャー、マクブかな?」
市場の大量に魚が並んでいる場所にやってきた私は、早速漁師っぽい店主さんに話しかけてオススメの魚を聞いてみた。
そしたらなんと沖縄にもいる有名な魚っぽいのをお勧めされてしまった。
いやまぁ確かにおいしかったけどさ·····
もっとこう、異世界限定な感じのがいいんだけど·····
まぁいいや、普通に美味しいし。
というかエーヴェルって何?
あーはいはい、通貨単位ね、ええと····· 1エーヴェルが10円くらいっぽいかな?
ってことは6000円かな?確かに高いわ、高級魚だわ。
「あの、私エーヴェルは持ってないんですけど統一通貨って使えます?」
「一応使えるぜ、統一通貨だと····· 6300円ってとこか?」
よかった、サークレット王国とか周辺諸国で使ってるお金も使えたわ·····
どうやらこの町は外洋に面してることもあって他種族や他国との交易が頻繁に行われていて、私の国で使ってるお金も使えたようだ。
だから割と自分たちの種族以外を寄せ付けないエルフなのに、私みたいな人間にも友好的だったのね·····
そういえば時々海エルフたちに混ざって人間とかドワーフとかドヴェルグとか魔族の人がいるわ。
ふんふん、なかなかいい場所じゃない、人種差別もない平和な場所だなぁ·····
「海もきれいだし魚も美味しそう出し常夏そうだなぁ····· 別荘でも建てようかなぁ·····」
「おっ?嬢ちゃんどっかの偉い人の娘なのか?別荘とか言ってたが住む気なのか?」
「えっ?あぁ、まぁそんな感じです」
「この辺りはリゾート地としても人気だからな、気に入ったら住んでみたらどうだ?その時はウチの店の常連になってくれよ!ははは!」
あーダメだ、この人絶対信じてないわ、半分マジな魚屋ジョーク言っちゃってるわ。
まぁ、品ぞろえはいいから今後も贔屓にはするけどさ。
「んじゃオススメ全種類3匹ずつとブマク1匹、あとヤシガニもお願いします」
「はいよ、ちょっとまってな」
「あー、あと美味しい食べ方とか教えてもらえると」
「塩焼き」
「もう一声っ!何かいい案を!」
「まずは塩焼きで食え」
「·····ですよねー、やっぱり最初はシンプルなのが一番ですよね、あぁ、あと刺身も食べよっかな」
その後、南国な魚を買ったりなんとか塩焼以外のオススメを聞いた私は、突撃ピヨ三郎と一緒にわが故郷であるサークレット王国へと超音速で飛んで行った。
ちょっとのんびりしすぎて学校に遅刻しそうだったから、マッハ20で飛んだら突撃ピヨ三郎がビビってたけど気にしない。
さようなら、エルンフェン密林国。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「·····エルフ服、夜着るならそのままでもいいかな?·····ところで、こっちのイラブチャーことブチャライーって時々魔物化しちゃって白色に黒の涙型の斑点のある見た目に変わるらしいんだけど、マジなのかな?海のギャングなのかな?」
名前:突撃ピヨ三郎
ひと言コメント
『ぴぴよっ!ぴよぴよ!ぴよよよっ!!』
名前:メルヒェ・スェリヒァル
ひと言コメント
「娘は元気だろうか、ふふっ、こんな場所から出て行ってやると言って数百年経ったが、達者だといいな、まぁ何処かで騎士でもやってるらしいし元気だろうな」




