乗り換え、乗り換え、乗り換え
プシューッ
ガンッ
ガコンッ
『『·····』』
「んー早かったわぁ、あっという間だったわぁ」
「新幹線は早いねぇ、しかたないから酒盛りは宿についてからにすっかぁ!·····あれ?なんか忘れてんな、まぁいっか!!」
「賛成!ってかアレ出来ないかな、風呂で酒盛りとか!」
30分後、私たちはあっという間に小田原へと到着しホームへと降りたっていた。
「·····おーい?行くよー?」
『『··········』』
「·····ダメだこりゃ」
が、時速285kmは異世界人には早すぎたのか、みんな放心状態になってしまった。
プシューッ
ガタン
ゴトン
「ほらみんなー?もう新幹線行っちゃったよー?」
「·····はっ!」
「す、凄かった·····」
「こ、これをあと4時間半も西に向かい続けるのよね·····?」
「おやつ食べられなかった·····」
「この先にいちばんの絶景ポイントがあるって聞いたんじゃが、乗ってたかったのぅ·····」
「あれ?うーん····· ひーふーみー····· あれ?みーのつぎなんだっけ?まぁいいや!!ママこのあとどうするの?」
「っていうかもう居なくなってる!?早い····· 早すぎる·····」
「えーっと、次は····· あー箱根登山鉄道か!」
「いいよね登山鉄道も·····」
「ちなみにまだここから目的地までだいぶ移動するよ、そんで今日の目的地はあそこだね」
そう言って私は遥か彼方の山の上を指さした。
「·····もしかして、今から登山!?」
「そう!登山よ!でも登山は登山でも····· んふふ·····」
◇ 小田原▷▶箱根湯本
ゴゥン
ゴゥン·····
「わわわっ!?こ、転んじゃう!!」
「すんごい傾いてるけど大丈夫なのこれ!?」
「座ってないと危ないわね·····」
「大丈夫だよ、なんたってこれは箱根登山鉄道、山を登るために作られた路線だもの!」
新幹線から普通列車に乗り換え、箱根湯本までやって来た私たちが乗ったのは、超急勾配の斜面を駆け上がる日本屈指の登山鉄道、箱根登山鉄道だ。
「ちなみにこの電車は本当に日本最高レベルの斜面を登る電車で、えーっと確か····· そう!最大傾斜角は80‰(※1)で、日本屈指の難所の碓氷峠(66.7‰)とか都電荒川線の飛鳥山付近(66.9‰)を遥かに超える角度なのよ!」
「パーミルってなんじゃぁぁああああっ!!あっ転ぶ、のじゃっ!?」
「危ないよエヴィリン、座って!!」
「パーミルはね、えっと····· なんだっけ(※1:パーミルは1000m進む間に何m登るかを示す単位の事)」
「あっ見てみて!すんごい山奥になってきたよ!!」
「川も流れてるー!あっあの葉っぱ!食べたらお腹壊すやつだ!!」
「·····チェルは何見てるの?」
「うおぉぉおおっ??目が回るくらい傾いてるねぇ」
「穂乃花っちそれ酔ってるだけよん」
どうやらみんなも流れる車窓にととんでもない勾配には大興奮なようだ。
「·····でもさっきのよりだいぶ遅い気がするのじゃが?」
「いやいや、この勾配を登ってるんだからしかたないでしょ?ていうか新幹線と比べられても困るし·····」
ちなみに乗り換え先の強羅までは新幹線より時間がかかるから、以下に登るのが大変がよくわかるよね!
まぁニブチンのエビは理解してないみたいだけどね!
「·····ところでソフィちゃん」
「ん?フィーロ君どうしたの?」
「僕なんか忘れてる気がするんだけど、気のせいかな·····」
「うん?まぁ良くあることよ、それに何かお土産でも買い忘れたとかそんなもんじゃない?」
「そうかな····· もっと大事な物を忘れてる気がするんだけど·····」
「もー心配性なんだから、何かあっても私が取りに行くから大丈夫よ!新幹線の席に忘れたとしても日本の治安なら大体残ってるし、終点の·····どこだっけ、まぁどっかに流れ着いてるからね!」
「ならいいかな·····」
何やらフィーロ君の心配性が発症してしまったけれど、大丈夫だと私が宥めてようやく納得してくれたようだった。
まぁ実際私も遠出する時はいっつもなんか忘れてるけど、毎回何とかなってるから気にしなくても大丈夫でしょ。
そんなこんなで、私たちは体を傾かせながら山奥へと進み続けた。
\次は浜松〜/
「·····」
◇ 箱根湯本▷▶強羅
「そんで次はこれに乗り換えるよ〜」
「·····何回目か分からないけど」
「なんじゃこれは!?」
強羅駅で乗り換えした私たちの前には、新幹線や登山鉄道とはまた違うとんでもない車両が居た。
「車体がそもそも傾いて作られてるわ·····」
「も、ものすごいことになってる·····」
「なにこれー!!?」
「これはケーブルカーって言って、超急勾配を上からケーブルで引っ張って無理くり登る列車だね、ちなみに最大勾配はさっきの3倍の200‰もあるよ」
「凄い·····」
「日本の技術どうなってるのよ·····」
「僕の家、魔道具作ってるんだけど、なんかもう完全敗北しすぎて逆に面白くなってきた·····」
「まさに異世界って感じだよね!!」
「電車とかあんまり興味無いけどおもしろーい!」
「んふふ、でも目的地まではまだ面白いのが待ってるから楽しみにしてなよ?そんじゃみんな、行くよ!」
『『はーい!』』
そうして私たち総勢10名は、天下の険とまで呼ばれた難所、箱根の山をワイワイ騒ぎながらスイスイと登って言ったのだった。
◇強羅▷▶早雲山
ケーブルカーに乗ることわずか10分で、私たちは次の乗り換え駅へと到着していた。
·····が、次乗るのはもはや電車ではない。
「もう、何なのよ、これ·····!」
「ぶら下がってるー!?」
「·····驚き疲れたのじゃ」
「んふふ、次はロープウェイよ!これを使って峠を超えて今日の宿がある芦ノ湖まで向かうよ!」
私たちが次に、そして最後に乗るのはこの乗り物、ロープウェイだ。
コイツに乗って途中で大涌谷を観光して、芦ノ湖湖畔の宿に今日は宿泊予定なのだ!
「そ、ソフィちゃん、これ本当に乗らないとダメ·····?明らかに浮きながら移動する形してるけど·····」
「これ乗らないと····· まぁバスあるみたいだけど時間かかるし却下、乗るよ」
「え、えぇ····· ·····怖いんだけど」
が、早速高所恐怖症のフィーロ君がしりごみし始めた。
まぁそんなこと関係ないんだけどね!
「関係ない、乗って」
「ちょ」
私はフィーロ君を無理やりゴンドラへと押し込み、それに続くように他8人もゴンドラへと乗り込んだ。
ちなみに今日は平日だから18人乗りのゴンドラにはまだ8人の余裕があるけど、貸し切り状態だった。
まぁ10人も乗れば·····
·····ん?
なんか今、すんごい大事な事思い出しかけたんだけど·····
「ソソソソソソソフィちゃん、この先何も無いんだけど!?」
「おち、落ちるーっ!!!」
「のじゃワーッ!!?!加速してるのじゃぁぁぁあああっ!!?」
グォォォオオオオオオオンッ!!!
ウォンッ!
『『わぁぁぁぁぁああああああっっっ!!?!?』』
「おーやっぱりこの加速と浮き上がる感じいいねぇ」
何か思い出しそうだった所で、ロープウェイが加速を始め一気に空へ打ち出された。
·····まぁいっか、どうせ後で思い出した時になんとかすればいいし。
「さてみんな!この先に今日1番の絶景スポットがあるから注目しててね!すんごいから!!」
「うぅぅ····· なんでこれ!床にガラス張りの場所あるの!?!?超怖いんだけど!!!」
「うぉほんとなのじゃ、ひょえぇ高いのぅ·····」
「すごい····· 山の上を飛び越していってる」
「魔法みたいなのに魔法じゃないの凄いわね」
「んふふ、怖い人は目を瞑ってたら平気だから大人しくしといてね、·····下手に暴れるとゴンドラ落ちちゃうから」
「ひぃっ!?!?」
ぎゅっ!!
「んふっ」
私が悪い冗談を言った途端に、フィーロ君が目をぎゅっと瞑りながら抱きついてきた。
その様子に思わず私は変な笑い声が出てしまったのだった。
\まもなく 終点、名古屋です/
\東海道線、中央線、関西線と名鉄線、近鉄線、あおなみ線、地下鉄線はお乗り換えです/
\今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございました/
「·····すぅ」
◇早雲山▷▶大涌谷
『『わぁぁぁああああああっ!!!!』』
私たちは今、大涌谷の上空130m地点をロープウェイで飛んでいた。
「すごーい!なにあれ!?」
「湯気が出てるわね」
「温泉の匂いがする!」
「まさか活火山か!?活火山の上を飛んでおるのじゃ!!」
「くさーい!!」
「もしかして温泉もある?」
「おっそうだ、私寿命伸ばしたいから黒たまご大量に食べよーっと」
「おぉいいねぇ、ところで不老不死者が寿命伸びるアイテム使ったらオーバーフローして即死しないよね?」
「ちょ、ちょっとみんな!!片側に寄らないでよーっ!!ゴンドラ傾いてる気がするんだけど!!!」
「へーきへーき、この程度じゃひっくり返らないし、落ちても私が浮遊魔法で何とかするから」
みんなが大涌谷の方に一気に移動したせいで、ゴンドラがちょっぴりと傾いた気がしたのかフィーロ君が物凄くビビり始めた。
ちなみに箱根ロープウェイはロープが2つある複式単線自動循環式フニテルを採用してるから、風速30mでも平気な凄いロープウェイだから安定感バツグンなのよね。
·····で、私はというと、なーんかさっきから忘れ物したような気がしてモヤモヤしてる。
「·····ところで、フィーロ君が言ってくれた通り、やっぱりなんか忘れてる気がするんだけど」
「そうなの?·····僕それどころじゃないんだけど、あと何分で到着するのこれ·····」
「あと数分かな?ほらもう駅見えてるし」
「よかった·····」
「よかったね、っていうか何忘れたんだろ私·····」
うーん·····
とりあえず、みんなに芦ノ湖、桃源台行きの切符渡さないとかな。
間違って早雲山から桃源台の通しの切符じゃなくて大涌谷までの切符買っちゃったのよね。
だから芦ノ湖までの切符ももう一度買ったのよ。
まぁたぶんモヤモヤしてんのはこれの事でしょう、そうしておこう。
えっと、切符が1枚、2枚、3枚·····
って、この言い方だと1枚足りなくなりそうだから変えよっと。
ひーふーみーよー
いーむーやーなーこーとー·····
あっやべ。
この数え方10までしか知らないわ。
「姉貴〜、ひーふーみーよーの数え方で11って何て数え·····」
·····うん?
数が合わない。
足りない方にじゃなくて、1枚多いんだけど·····
「えっと····· 12345678910·····」
「あれ、1枚多く買っちゃッ·····!?
·····違う。
1枚多いんじゃない。
一人、足りないんだ。
「·····ア゜ァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァアアァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!?!!!!?」
「ひぎゃぁぁぁあああああっ!!?!あっ、うぅ·····」
「うわっ!?なに!?」「噴火した!?」
「み、耳がキーンッてするのじゃ!!!」
「ミカちゃん、どこいった!!!?!?!!?!?」
「·····お客さん、すみません、お客さん!」
「·····んぅ?ソフィちゃん?もう小田原ついた?」
「ここは名古屋ですが····· 終点ですのでお降りください」
「·····んぅ!?!?!?!?ね、ねすごした!!!」
◇
名前:大マヌケ
ひと言コメント
「や、やらかした!!ミカちゃんの存在完全に忘れてた!!ちょっと探してくるから、姉貴!後を頼むわ!!えーっとあの新幹線はたぶん名古屋行きだったはず····· 到着ホームは····· そこね分かった、名古屋駅へ転移っ!!!」
◇
\シュンッ!/
「到着っと、ミカちゃんは····· 居た!!」
「·····ソフィちゃん」
「あっヤバいブチ切れてる·····」
「·····」
「ご、ごめん、マジでごめん!!!みんなではしゃぎすぎて、静かすぎたミカちゃんの事完全に忘れてた·····」
「·····今度から」
「二度とやりませんので!!!どうかお許しください!!!」
「·····電車の中でねないようにする」
「·····え?」
「わたし、電車のるといっつも寝過ごすから·····」
「そ、そう·····」
「ん、そう、とりあえずのりこし精算したら転移でつれてって」
「OK、·····ついでに名古屋土産なんか買ってく?」
「ん、賛成」
「よし!じゃあなんでも買ってあげるわ!!」
◇
名前:なかよし組
ひと言コメント
アルム
「はーびっくりした····· ソフィちゃんいきなり大声出すんだから····· ねっフィーロ君·····気絶してる!?!?」
フィーロ
「(油断してる時に大声耳元で出されて驚いて気絶中)」
グラ
「お、音圧でゴンドラが揺れてたわ·····」
ウナ
「なんか向こうの展望台ザワザワしてない?チェルちゃんなんか聞こえる?」
エビ
「っていうか、ワシもなんか足りないと思っとったのじゃが、ミカだったのじゃ····· あやつ影薄いからのぅ」
チェル
「うーん?えーっとね····· 耳キーンってしててわかんない!あっでもなんかフンカがなんとかーって聞こえるよ!!えーっと·····カザンフンカかも!ってさわいでるー!」
ラクト
「·····親友忘れるってどうなの?大丈夫??」
穂乃花
「ぶふぷっ!イヒーッ!!!おもろ、面白っ!!ヤバいお腹痛くなってきたwww」
ガイア
「いやーやっぱりソフィちゃんのこと見てる時がいっちばん面白いねぇ!!最高の暇つぶしだよ!!人間っておもしろ!!」




