私賢者のソフィです、こっちは荒ぶるエビ
家の外に出ると、そこに居たのは·····
「久しぶりねソフィちゃん、元気だったかしら?」
「校長先生久しぶりですっ!もちろん元気ですし色々ありましたよ!先生はどうでした?」
「私も色々あったわ····· ふふふ、コイツに告白して付き合えたのよ!」
「おおおっ!!おめでとうございます!」
「そりゃどうも·····」
「うおおおおっ!まさか貴女はッ!伝説のグラップラーの穂乃花さん!?カトミ!お前の友人やべえな!」
「·····魔力だ、本当にアッチの人なんだな」
私たちが通う『マグウェル魔法学園』の校長先生、サトミ・ド・ウィザールこと加藤 郷美さんとその友達が3人だ。
そして郷美さんの友人は全員異世界転移経験者でかつてエビちゃん、ひいては魔族と死闘を繰り広げた伝説の勇者パーティーなのだ!
じゃあ最強の勇者パーティーのメンバーを紹介するぜ!
まず校長先生はご存じの通りだから省略して、その校長先生が3600年近く恋焦がれた想い人にして、恋人と紹介されて照れてるイケメンの異世界召喚の勇者『七谷 勇』。
次はなんか姉貴を見て泣いてるオラオラ系で目つき悪めだけど武道をやってそうな意外と真面目で優しそうな性格をした女子で、空手か何かの全国大会で優勝経験がある(らしい)武闘家『大和 尊』。
最後はなんかこれと言って特色のない、無口で根暗そうなメガネの·····まぁ十分イケメンって呼べそうな顔で頭がよさそうな文系青年で、魔法攻撃とヒーラーを同時にやっていた秀才『芹沢龍也』。
以上!!
「うがあああああ!!!貴様っ!貴様らぁぁぁぁぁぁああああッ!!!ここであったが3600年!ぜぇったいブチ殺す!!貴様ら絶対ぶちのめすのじゃ!!!ソフィィィィィイイ!!拘束を解くのじゃ!!3600年前の決着を再びつけるのじゃあああああああ!!!!!」
私賢者のソフィ!こっちは怨敵を見つけて荒ぶるエビ!
·····私の予想通り、勇者パーティーを見た途端エビちゃんが荒ぶり始めた。
そりゃ数百万年間続いた魔族の王家を滅ぼした悪役なのだから仕方ないだろう。
ちなみに最近エビちゃんは『子供産みまくって魔王家を再興するのじゃ!』とか言ってるから、シュテイン家の血で割ってめちゃくちゃにしてやろうと思ってる。
まぁ私が突出しておかしいだけで、私以外は普通なんだけどね、たぶん。
「·····ね、エビちゃん暴れるって言ったでしょ?」
「すんごい暴れてるね·····」
私はエビちゃんが暴れることを察知して手だけじゃなく足までしっかり魔法で拘束したから、エビちゃんは情けなくエビみたいにピョンピョン飛び跳ねることしかできなかった。
「·····郷美、その悪ガキっぽい子は誰だ?めっちゃ口悪いけど」
「·····魔王よ」
「「「は?」」」
「言ったじゃない、復活してるって」
「マジかよ、盛ってたのかと思ってたぜ·····」
「魔王は復活するモノとは思っていたが、本当に復活してるとはな」
「確かに魔力が魔王の物だ····· 郷美さん、ここでとどめを刺しますか?」
「やめて?これでもかなり改心して今では人間の男と交際してるくらい良くなってるわ、そもそも彼女自身戦争自体は反対で戦うのが好きだから私たちとやり合ってたみたいよ?」
「そうなのか?信じていいのか?」
「大丈夫ですよ勇さん、私はエビちゃんと長い間ずっと友達として一緒に居ますし、今では私の兄と交際して義理の姉妹になってますから、悪事に関しても転生後はしたことが····· うん、無いですから、たぶん」
「おいソフィ、何故今悩んだのじゃ?」
「だって·····」
だって時々エビちゃんに殴り殺されてるし、たまにおやつとして私食われてるし·····
あっ性的な意味じゃなくてそのまんまの意味ね、魔族って普通に人間とか食べる種族だし、エビちゃんも人肉が結構好きらしくて時々嗜好品として食べたくなっちゃうから私を食べて我慢してもらってるのだ。
なんか私の肉っておいしいらしくて、他の人はもう食べる気になれないそうだ。
だからそこらへんも大丈夫なんだけど、よく考えたら普通に犯罪な気がしてきて一瞬悩んだのだ。
「あー勇さん剣構えないでください普通に銃刀法違反で捕まりますよ?てか何処にそんなもん仕舞って····· インベントリかなるほど?」
「懐柔されて動けなさそうだが魔王は魔王だ、いざとなったら首を切り落とす」
「だから勇!だめっていってるでしょう!?私の大切な生徒よ!?」
気が付くと勇者パーティーの郷美さんを除く3人が自分の武器をどこからか取り出して構えて臨戦態勢になっていた。
やっぱり誤解を解くのは難しいよね、だってこっちの時間軸だと数ヶ月前に倒したばかりの魔王が復活して、日本にやってきたんだもの。
そりゃ警戒しないわけがない。
·····ところで、あのー、尊さん?それメリケンサックじゃないですか?なんでそんなもん持ってるんです?それ普通にケンカ用のこっちの物ですよね?
あと龍也さんの杖、結構いいモノですよね?かなり高い性能のモノですよね?まぁこっちの世界じゃ使えないだろうけど。
「·····確認ですけど、私の大切な家族を本当に殺そうとしてます?」
「当たり前だろ?例え女になってても要注意人物なことに変わりは無い」
「·····一応私、郷美さんを1人で打ち負かす事ができるくらいの力はあるんですけど、本気でやります?」
最近郷美さんとガチの戦いをやったけど、かなり手加減した私と本気の校長先生で戦っても楽勝だったからね?
超広範囲殲滅魔法とか連射力の高い魔法をぶっぱなしまくったから勝てたし、普通にやっても圧勝した。
そしたら校長先生が『自分が衰えたー!』とか言い始めて確認のためグラちゃんと戦って、かなり強くなったはずのグラちゃんをボロクソにしてたから校長先生自身は相当強いのだ。
·····まぁ、そりゃ魔王を倒せるくらいの実力はあるし、そのあと元の世界に帰るため数千年間ひたすら強くなってたからね、この人。
だから勇者君より圧倒的に強い、お前の前にいるのは3600年生きた大魔法使いだ、って出来るくらいにはね。
何せ全盛期を超えた今のエビちゃんと渡り合えるレベルの力があるのだから。
前世のエビちゃんが勇者パーティー4人掛かりでたまたまやっと倒せたレベルの強さだったのを考えると、二人ともめちゃくちゃ強くなってるのだ。
それを圧倒する最強の賢者姫で最高の美貌をもつ新参者の女神様は誰でしょう?
そう、私が変なソフィちゃんです。
·····誰が変なソフィちゃんじゃいっ!!!
「·····何なら全員ぶちのめせますけど?一瞬で」
「うおっ!?」
「瞬間移動か!?気配全く感じなかったぜ!?」
「·····時間停止か?」
「ご名答、私はほぼ無限に時間を止めてられるからね、それにその勇者の剣よりはるかに強い人造神器とかたくさんあるし、武術もできるし、賢者の石で無制限で無限大に魔力と魔法が使えますからね」
私は三人の後ろに時間停止で一瞬で回り込むと、実体化したマジックライフルを突き付けた。
まぁ殺人犯にはなりたくないから非殺傷魔法のショックボールを装填してるけど、至近距離で当たったらただじゃすまない代物だ。
「ここはおとなしく引き下がってもらえませんか?私たちは普通に観光しに来ただけなので」
「·····わかった、だが侵略しようと考えたらその瞬間切り捨てるからな?」
「あぁ、というかオレは個人的に久しぶりに殴り合いしたいんだぜ····· こっちだと警察に捕まるし」
「魔王は正体がわかったが、他の奴らは誰だ?後ろの君は郷美をこっちに送り返した恩人だと思うが·····」
「それについては追い追い説明しますよ、今は割と予定が立て込んでるのでさっさと東京行きたいんですけど·····」
そう、想像以上に勇者たちが警戒しちゃって時間がかかってるのだ。
まったく、エビちゃんがこの世界で暴れる訳ない·····
「離すのじゃぁぁぁぁあああ!!全員ぶっ殺す!!ズタズタに引き裂いて殺してやるのじゃ!」
訂正、めっちゃ暴れそう。
◇
その後、時間が足りないので私とエビちゃん以外の時を止めて荒ぶるエビちゃんと根気強くじっくりじっくり交渉と説得をした結果、手加減して全員を一発殴るという妥協案で落ち着き、勇者一行になぜこんな怒ってるか説明した後エビちゃんを解放した。
すると解放されたエビちゃんは全員を死なない程度に殴って、まだ怒ってたけど強制終了させてようやく観光できることになった。
·····マジで長かった、私の体感時間でいうと1時間以上ずっと交渉と説明をやってたからホント疲れた。
リアルタイムで5分だから、計画を修正できる範疇のロスタイムだけどそれでも普通に疲れた。
「·····悪かったな、魔王、というか悪いの全部あの人間の国の王じゃねぇか」
「だな、最初に金をやるから倒しに行ってこいって言ってたけどよ、よく考えたら宿一泊くらいの額だったもんな」
「更に魔王も叔父に嵌められて悪役になっていただけだったみたいだからな·····」
「私も最初は耳を疑ったわ、でも事情を聞いて学校生活をしてるのを見ると騒がしいけど普通の女の子だったのよ、だから安心していいわよ」
「ふーっ、ふーっ、ワシは貴様らを許しておらぬからの、家族を、家族同然だった魔族の皆を殺した恨みは消えぬのじゃ」
「エヴィリン、そのくらいにしないとお姉ちゃん怒っちゃうぞ~?」
「そうだよエヴィリン、勇者様たちも反省してるみたいだから」
「·····姉上とラクトが言うなら、一旦は置いといてやるのじゃ、じゃが絶対許さぬのじゃ」
それでもまだエビちゃんは怒ってるけど、もはやシスコンというか姉依存症レベルでお姉ちゃん大好きで、お兄ちゃんにベタ惚れしてるエビちゃんは2人に宥められてようやく落ち着いたようだ。
はぁ、これでやっと東京観光に行ける·····
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「なんかもうすでに不安になってきた····· 東京観光、ちゃんとできるかなぁ····· 『泡沫ムゲンの眠り姫』を使わなきゃいけない事態が起きなきゃいいけど·····」
名前:エヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシス
ひと言コメント
「許すわけないのじゃ、後で全員ブチ殺すのじゃ····· ダメか?本気で怨んでおるのじゃが·····」
名前:藤石 穂乃花
ひと言コメント
「もーエヴィリン、私は怨んでないっていってるでしょ?これ以上いったらお姉ちゃんエヴィリンの事嫌いになっちゃうなぁ·····」
『な、なっ!?そ、それだけは勘弁してほしいのじゃ····· あーもうわかったのじゃ!!許す!許せば良いのじゃろう!! ちっ!今回だけじゃぞ!!』
名前:ラクト
ひと言コメント
「こんな怒ってるエヴィリン初めて見た·····」
名前:加藤 郷美
「まさかエヴィリンちゃんがこんな荒れ狂うとは思わなかったわ····· 相当怨んでたのね」
名前:七谷 勇
職業:学生(元勇者)
ひと言コメント
「魔王が強いのはわかる、だけどこの郷美の恩人ちょっと強すぎないか?一応地球に帰ってきても経験とかスキルは残ってるからリアルチートできてるしそれなりに強いんだけどな·····」
名前:大和 尊
ひと言コメント
「うおおおおっ!!伝説の格闘技のプロ、穂乃花さんに会えてオレ光栄っす!あとで手合わせしてほしいっす!オレ、穂乃花さんにあこがれて不良やめて武道の世界に入ったんすよ!そしていつか穂乃花さんと手合わせするのが夢だったんすよ!でも突然引退してチョー悲しかったんすよ!!お願いします!穂乃花さん!!無理は承知だけど一発手合わせしてほしいっす!!」
『いいわよん、ちょっと裏庭こいよ~』
「ありがとうっす!オレがんばるっす!」
(あの~?姉貴?尊さん?予定押してるんですけど?)
名前:芹沢 龍也
ひと言コメント
「·····よく見たら魔王、めっちゃ美人だな、多分口は悪いが根はやさしくていい奴なんだろうな、もう彼氏いるみたいだし俺も彼女いるけど、いなかったら惚れてたかもな ·····彼女?尊だよ、尊も同じような感じで根はいい奴だし素は可愛いぞ」
『ばっ!?おまっ!ばらすんじゃねぇ!!·····恥ずかしいだろ、もうっ』
『なぜわかったのじゃ!?』
「·····な?言った通りだろ?」




