従弟と超能力者っ!
コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン
「はいはいはいはいはいはいはいはいはい、今開けるんでちょっと待って下さいね」
前の実家の玄関に来た私は、こんな時間の来客に対応するため鍵を開けてドアを開けた。
「にぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!!!?」
するとそこには、さっき煽り散らかした、前に遊びに行った時とほとんど変わっていない私の前世の従兄弟、辰砂が居た。
あとなんか誰かわからない割と美形な女子も居た。
「おい兄貴·····はどこいったゴルァ!!」
「お、お邪魔します·····」
「あっ、た、辰砂っ!?」
「その声、まさか君が·····!?」
「い、いやーそんなわけないじゃないですかー、私は可愛いただのソフィちゃんですしぃ?アハハ」
「嘘つけゴルァァアアッ!」
「うぎゃぁあああっ!!ギブ!ギブ!死んじゃうぅぅううっ!!」
私がついた嘘はあっさりとバレてしまい、卍固めにされてしまった。
流石にピッチピチの20歳の青年には勝てなかったよトホホ·····
いや、本気出したら抜け出せるけど流石に辰砂の手足を折って抜け出すのはしたくないから大人しく固められることにした。
「たっ、辰砂くんその辺で·····」
「しぬぅぅうっ!しんじゃぅうううっ!もぴぃぃいいっ!ギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブギブッ!!!!!」
「·····まぁいいか」
「ぷはぁ·····死ぬかと思った·····」
「いやもう死んでるだろ兄貴」
「残念生き返ったんだなぁこれが、今は女の子としてピンピンしてるよ」
「マジか、よく生きてたな兄貴·····」
はぁ····· マジで死ぬかと思った·····
いや卍固めは流石にキツいわ·····
「というか辰砂!女の子相手に卍固めは無いっ!例え元男でもそれは無いわっ!こう見えて彼氏持ちぞ?我人妻ぞ!?」
「·····は?」
「だから言ってるじゃん、こ、恋人居るって·····」
「えっ、あの兄貴が?」
「うん·····」
「陽暦、ウチって鋼鉄製の傘ってあったっけ?明日は空から槍降ってくるぞ」
「ほえっ!?いや、たぶん無いと思うけど·····」
いや異世界じゃないんだからそんなもん絶対置いてないでしょ。
さてはこの子天然タイプだな、
ちなみに私は向こうでミスリル製の傘を作ったことあるよっ☆
もちろん重くて使い物にならなかったけどね。
なんて考えてたら、背後から気配を感じた。
「ソフィちゃん大丈夫?」
「あっフィーロ君っ!大丈夫だよ!卍固めされた程度しか被害なかったから!」
「·····本当に大丈夫なの?」
「いつもの事だったから大丈夫!」
「ならいいけど·····」
「あっ辰砂には紹介してなかったね、この子が私の彼氏、フィーロ君だよっ!なかなかかっこよくて可愛いでしょ!」
「えっと、貴方がソフィちゃんの親戚の辰砂さんですか?お会いできて光栄です」
「·····マジかよ」
「マジだよ?ところでそっちの女の人は誰?」
「·····俺の彼女だ」
「は?えっ?マジ?」
「マジだ、なっ陽暦」
「うんうん、この前の私の誕生日に付き合い始めたんですよ!」
「あ、ありえない····· 女っ気のなかった辰砂に彼女が·····?えっと陽暦さんでしたっけ、大丈夫ですか?騙されてたりしませんか?お金で無理やりとか·····」
「無いですよ!ちゃんと好きで付き合ってます!」
「ならいいけど····· というか他にもいろいろ聞きたいから中で話そうよ、さっ、入って入って!」
「はーい!お邪魔しまーす!」
「ちょっ!陽暦勝手に·····あぁもう!お邪魔します!」
私が家に入ってと言うと、自称辰砂の彼女と言っている陽暦さんが躊躇いなく中に入ってきた。
·····なんで藤石家に関わる女性は全員自由奔放なのだろうか?
◇
「父さーん、辰砂来たんだけど中入れちゃったー!」
「はぁ?こんな時間に····· うおっ、本当だ·····」
「お久しぶりです叔父さん」
「お邪魔しまーす!」
「ん、あっもしかしてそっちの子が彼女さん?」
「そうです!初めまして私は明星 陽暦って言います!」
辰砂と彼女の陽暦さんが私の前世の両親に挨拶してる間に、私とフィーロ君はソファに座ってお茶を飲んで待つことにした。
ついでに色々疑問について頭の中で整理しておくことにした。
まずこの2人、どうやって来たんだ?
たしか辰砂の家は埼玉にあるから電車を使っても相当時間は掛かるはずだ。
だとすると、たまたま近所に居たパターンか、それとも彼女さんの家がここから近くてそこに居たとか?
まぁ後で聞いてみるか。
次は·····
私の事について教えなきゃかなぁ、面倒くさ·····
これはカットでいいや。
なんて色々考えてたら、辰砂と彼女の陽暦さんが話を終えたようなので質問をしてみることにした。
「·····あっそういえば辰砂、どうやってここまで来たの?辰砂の家からだと1時間以上はかかるよね?」
「ん?あぁ、陽暦に頼んで送って貰ったんだ」
「へぇ、見かけによらず凄いドライビングテクニックをお持ちで·····」
「あ、あの、私免許持ってません·····」
「へっ?じゃあどうやって·····」
「陽暦、ここで実演出来るか?」
「もちろん!じゃあ····· 行きますっ!」
シュンッ!
「っ!!?」
·····空間の歪みっ!?
発生地点は····· 真後ろかっ!
「そこだっ!」
\ズビシッ!/
「ほえっ!?」
\ずってーん!/
「·····どういう事ですか?陽暦さん」
私は真後ろに発生した転移の予兆、私でもギリ気が付けたようなごく僅かな空間の歪みを察知して出現場所にフォークを突き付けた。
するとフォークの先端の数ミリ先に、さっきまで正面に居た辰砂の彼女、陽暦さんが現れて突き付けられたフォークにビックリしてひっくり返った。
「あいたたた····· あっ、えっと、私は超能力的な力がありまして、無制限の空間転移と光を操る力があるんです」
「·····政府の超重要機密情報にあった『超能力者』か、まさか従兄弟の彼女がソレとは思ってなかったわ」
「すいません、秘密にしてて·····」
昼間にインターネットをハッキングして見つけた、この世界には本当に超能力者が居るという情報はどうやら正しかったようだ。
この人、陽暦さんはどうも転移魔法のような能力が使えるらしい。
·····転移能力は私の世界でも使える人は重宝される程希少で利便性の高い能力だ。
その程度や制限にもよるけど、一生遊んで暮らせる程の稼ぎを得られるのは間違いない。
·····それにこの人の名前に見覚えがある。
国連で秘密裏に可決された条約で、彼女の軍事転用を厳密に禁止する条約が個別で可決されていた。
たぶんだけれど制限はほぼ無い、もしくは相当緩い条件で何処にでも行けるのだろう。
じゃなきゃ『危険物(※1)を所持しての転移を禁ずる』とか『転移を用いての諜報活動を禁ずる』なんて書かれないもん。
(※1:爆発物、化学兵器、生物兵器、銃火器、刃物etc...)
たぶん彼女が居れば、相手の政権のトップを狙い撃ちで警備も無視して殺傷する事が可能なのだろう。
転移でターゲットの後ろに移動して爆弾を置いて転移で逃げれば、あっという間に暗殺完了だ。
まぁ私はそれよりもっとヤバいんだけどね!!
「いいのいいの、私もどちらかと言うとそっち側····· まだ政府にも知られていない未知の現象『異世界転生』の帰還者だし」
「ほえっ!?あのラノベでよくある·····?」
「そうそう、それにチートって呼ばれる系の力も持ってるよ」
そう言うと、私は陽暦さんの喉元に突き付けたフォークを離して、2人に見せつけるように魔法で水の玉を生み出し曲芸のように何個も水の玉を出して回したり色々な動きをやって見せた。
「まぁ私のは魔法だから超能力とはちょっと違うんだけどね」
「ほえぇ····· 凄い·····」
「で、辰砂は陽暦さんの力でここに転移してきたって感じ?」
「まぁそうなるな、陽暦は1度見たことある場所ならどこにでも行けるから助かったぜ」
「ちなみに写真でもOKなので·····」
「まさか、地図アプリで?」
「正解です!」
思った以上のバケモンだわこの人!
しかも光を操る能力って何かと思ったら千里眼だったしさ·····
千里眼で現地を見て、そして転移するとかいうバケモノじみた能力を使えるとか私でも対策できんわ。
·····いやまぁ、転移を封じる結界を張れば解決できるとは思うけどさ。
「チートやチート!チーターや!!」
「ガチの異世界チート兄貴に言われたくないわ!!」
「んだとゴルァ!!」
「はいはいソフィちゃん落ち着いて、そろそろ夜も更けてきたし、明日も予定詰まってるから早く寝るよ、ごめんさい辰砂さん、ソフィちゃん····· じゃなくて賢人さんが迷惑掛けて」
「いやいや、いつもの事なのでお気になさらず····· ところでさっきから兄貴の事ソフィって呼んでるけど、愛称とかなのか?」
「あっ本名だよ、今は『ソフィ・シュテイン』って名前の女の子になったんだよっ☆」
「ちなみに僕はフィーロって言います、名字は無いです」
「·····名字?まさか兄貴がしたの貴族転生ってやつか!?」
「んにゃ、貴族じゃなくて町長家の娘だね、一応貴族の分家って事で名字だけある感じだよ」
「なんだ、そういうパターンか」
「ちなみに私の産まれた町は鉱業で栄えた町だよ」
「その話詳しく」
「私も気になります、異世界の鉱山がどういう感じなのか知りたいです!」
「ん?まさか彼女さんもこっち側?」
「はい!私も鉱物オタクです!」
「これはこれは····· じゃあお近付きの証にプレゼントでも·····」
どうやら辰砂の彼女さんも私と同じ鉱物····· いわば宝石の原石のオタクだったようだ。
ならば同志として異世界産の石でもプレゼントしてやろうじゃないの。
とりあえずフシ町で採れたサファイアを私が魔法で品質向上したなんちゃって超高品質のブルーサファイアがいいかな。
これなら沢山あるし、ほぼ魔結晶化してないサファイアだから特に問題も無いはず!
「ほえっ!?な、なんですかこれ!?サファイア·····ですよね!?」
「まぁ魔法でちょこっとイジってるけど、正真正銘天然のサファイアですよ」
「これ1つ数十万円はしますよね·····?本当に貰ってもいいんですか?」
「えっ?私が採取したからタダですよ?まぁ売ったらそれなりに高い物ですけど、沢山ありますし受け取ってくださいな」
「ありがとうございますっ!」
おおお、アホ毛がぴょんぴょん跳ねてる·····
アホ毛が動くところ初めて見たわ、やっぱりこの人超能力者なんだなぁ·····
「んじゃプレゼントは渡したし····· そうだ、辰砂連絡先交換しようよ、私は普段は異世界に居るけど一応連絡は出来ると思うから詳しいことはコレで話すよ」
「スマホ持ってたのか····· ってことは結構前に戻ってきてたのか?」
「いや?今日帰ってきたばっかりだよ?このスマホは私が自作してこっちのスマホの機能も取り込んだ最新型だからねっ☆」
「うわぁ·····チートだ·····」
「でもかなり苦労して作った物だからチートって訳でもなかったりするよ」
「そうなのか····· とりあえず連絡先教えてくれ、俺のも教えるから」
「はーい、とりあえず陽暦さんも交換します?」
「あっ!しておきます!」
その後、従兄弟の辰砂と彼女の陽暦さんと連絡先を交換して、ちょっと話をした後今日はもう遅い時間になってしまったので一旦帰ってもらうことにした。
そして私たち父さんに許可を貰って、2階の元私の部屋をしばらくの間貸してもらえることになった。
まぁ部屋の中は私の前世の遺品でいっぱいだったから、端っこの方に『ディメンションルーム』へのゲートを本格的に設置し、一旦向こうに帰って寝ることにした。
·····てかディメンションルームがチートすぎるのよね、ゲート置くだけで異世界転移のコストが数億分の1になるし。
ちなみに今日だけは久しぶりに前世の我が家で過ごすことにしたけど、すごく良かったとだけ書いておく。
理由?尺が押してるのよ。
って訳で明日は駆け足気味に東京巡りをするよっ☆
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「まさか辰砂に彼女が出来てるとはなぁ····· こっちの世界ではたった数ヶ月しか経ってないのに随分変わっちゃったなぁ·····」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「もう僕には何が何だか分からないけど、ソフィちゃんが幸せで楽しそうで何よりだよ」
名前:藤石 辰砂
ひと言コメント
「·····兄貴めちゃくちゃ美人に\シュン/え?ぐあっ!?ちょ、陽暦それやめろって言ってるよな!?転移で30cm浮かして落とすの油断してると足捻挫すんだよ!!」
名前:明星 陽暦
ひと言コメント
「しらないもーん、私より美人な人に目移りする悪い彼氏なんてしらないもーん」
名前:藤石 穂乃花
ひと言コメント
(致死量のリア充が家に居るせいで部屋で寝込んでます(自称))




