久しぶりの家族(?)団欒っ!
「そんじゃ、お邪魔しまーすっ!」
「賢人ォ····· 違うだろぉ·····?」
「·····ちっ、このクソオタク姉貴が····· ただいま」
「うむ、それでよしっ!」
なんかクソ姉貴に邪魔されたけど、私は無事に前世の実家に帰ってこれた。
懐かしい、16年振りの我が家だ。
まぁ、こっちの時間だと6月中旬だからまだ死んでから数ヶ月しか経ってないんだけどね!
時の流れって残酷よね·····
「やっぱりなんも変わってないんだ····· 正月来た時と全く同じ景色だ·····」
「賢人の遺品は増えてるよ」
「まぁ、そこはアレだよ、うん、後で引き取るから許して·····」
「別に置いててもいいよ、だって思い出の品だから」
「母さん·····」
女の子になってから気がついたけど、やっぱり藤石家の女の血強すぎない?
母さんの喋り方、なんか私に似てるんだけど?
例えるなら、大人しくお母さんらしくなった私?
·····あっ。
私を中央値として、大人しくなったのが母さんで、アホさと狂人さが増したのがクソ姉貴って感じだ。
「何にせよ、おかえりなさい、賢人」
「んふふ、ただいま、父さん、母さん、姉貴」
◇
実家に入った私たちは、家族全員でリビングに集まっていた。
·····と、その前にやらなきゃ行けない事があったわ。
私は床に置かれた座布団から立ち上がると、部屋の角に置かれたコンパクトな仏壇の前にやってきた。
そして仏壇にあるチーンって鳴らす奴ことお鈴をチーンっと鳴らして、手を合わせた。
「なむなむ····· どうか成仏しますように·····」
\ズビシッ/
「悪霊退散っ★」
「ひぎゃあぁああっ!浄化されぢゃぅぅうゔっ!!」
「·····何やってるんですかね、あの2人」
「流石は姉弟だな·····今は弟じゃなくて妹か?」
「ケンカばっかりしてるけど仲はいいのよねあの2人」
私が私の仏壇を拝んでいると、姉貴に悪霊退散させられてしまった。
だーれが悪霊じゃいっ!
こちとら神ぞ!?神聖なる神様ぞ!?
我の前にひれ伏すが良いっ!!
「穂乃花!賢人!ふざけるのはそのくらいにしろ!」
「「はーい·····」」
あぁ、家族全員で暮らしてた頃はこんな感じでふざけすぎたら父さんに怒られてたなぁ·····
私はなんだか懐かしくて、怒られたにも関わらずニヤニヤと笑ってしまった。
もちろん怒られたのは言うまでもない。
◇
「おほん、改めまして、初めまして、そして久しぶり、父さん、母さん、姉貴·····」
「積もる話もあるが、よく帰ってきてくれたな賢人、ありがとう」
「そ、そんな畏まらなくてもいいよ父さん、だってこうして生きてるんだし」
なんか父さんに畏まってそう言われるとむず痒くなるからやめて欲しい。
でも、私のことを大切に思ってくれてて嬉しいから複雑な気持ちだ。
「えーっと、それじゃ改めまして自己紹介を····· 私は『ソフィ・シュテイン』、この世界とは異なる世界にあるサークレット王国のフシ町の町長の娘としての名前です、中身は····· まぁ心の底まで女の子になっちゃだたけど、本質としては賢人のままだよ!んじゃ次は·····」
「僕の番ですね、お義父さん、お義母さん、お義姉さん、初めまして、僕はお宅の娘さんと交際をさせてもらっています、同じくフシ町出身で魔道具店の三男のフィーロと申します、以後お見知りおきを·····」
「魔道具店って何?」
「あー、そっか母さんは知らなくて当然か····· 魔道具店はこっちでいう家電量販店的な感じのお店、個人商店の電気機器屋って言った方が近いかな?」
「そんなものまであるのか····· 流石は剣と魔法のファンタジーな世界と言ったところか」
「なにそれ私めちゃくちゃ行ってみたいんだけど?」
「だぁめっ♡ 異世界転移についてはまだ不確定要素が大きいから、しばらくはお預けかな?」
もし姉貴を転送中に事故があったら大変な事になるからね·····
仮に姉貴が別の異世界に召喚されたら、確実にその世界は滅びる運命を辿るだろう。
だってこのクソ姉貴、街づくりシュミレーションゲームで150点満点の街を作ったあと上水を下水に切り替えて街が壊滅するのを爆笑しながらやるタイプの人間だよ?
安心して行けるようになるまで絶対行かせないわ、もし行ったらエビちゃんより最悪の魔王になるの確定だわ。
「あっ、お土産渡すの忘れてたね、はいどうぞっと」
「ありがとうね賢人、あっソフィの方が良かった?」
「んにゃどっちでもいいよ、母さんの呼びやすい方で呼んでくれたらいいから」
「わかった、じゃあお皿出してくる、飲み物は何がいい?」
「うーん····· 紅茶ってある?」
「コーヒーしかないかな」
「ありゃま、んじゃ自分で出すわ、コップだけもってきてー」
「はーい」
紅茶がないなら魔法で出すしかないよね、うん。
ほんと水魔法って便利。
「·····賢人、ひとついいか?」
「なになに?」
「今、お土産どこから出した?」
「えっ?インベントリだけど?」
「·····ゲームでよくあるアレか?手持ちスロットとかそういうのだよな」
「あー父さん洋ゲー好きだったもんね、やっぱり知ってたか」
そう、実は父さん洋ゲー、それも海外特有の死に覚え鬼畜ゲームが大好物なのだ。
ちなみに過去に何かの死に覚えゲーでRTA世界記録を叩き出した事もあるくらいには好きらしい。
「でもでもでも、ゲームみたいな感じじゃなくてドラ○もんの四次元ポケッ○とか、最近のラノベの物だったりしないの?」
「まぁインベントリといってもスロットがあってアイテムが入るような感じじゃないから、広義的に見れば姉貴のいうラノベタイプに近いかもね」
「ほほう、じゃあちょっと中身見せてよ、先っちょだけだから!」
「なーにが先っちょじゃい!こちとら奥の奥までズブズブじゃ!」
私はインベントリに手を突っ込むと、中から『星核合金』でできた短剣を取り出した。
「うわ!なにそれカッコイイ!伝説の武器とか!?」
「いや自作武器だよ?性能は伝説級だけどね!しかもこの中、もっと凄いのも何個も入ってるよ」
「マジか、とりあえずそれ見せろー!」
「やだ、これ本当に危ないから!」
姉貴が私の短剣を奪おうと、元格闘技選手の瞬発力を見せて飛びかかってきた。
前までの私、前世の私ならあっけなく押し倒されて奪われていただろうけど、今の私ならこの姉貴の動きにもついていける位の実力はあるのさっ!
「なっ!?賢人てめぇどこでそんな体術覚えたっ!」
「異世界に決まってんじゃん!魔物倒したり刺客ぶちのめしたり友達とガチめのケンカしてたらいつの間にか覚えたわっ!」
「さてはお主·····強くなったな?これは私も本気出さなければ····· 着いてこれるかな、私の○ン毛神拳に!」
「汚ったないモン出すなこのクソ姉貴っ!こちとらユニークスキルのキノコ神拳があるんじゃごるぁ!」
そして私とクソ姉貴は同タイミングで飛び出すと、キャットファイトを始めた。
◇
「·····お義父さん、あの2人ってあんな感じだったんですか?」
「いや、前まではここまで酷くなかった、賢人が穂乃花を雑に受け流してそこで終わりという感じだった····· ところでフィーロ君、うちの息子は向こうでは普段からあんな感じなのか?」
「まぁ、はい、いっつも友達の1人とあんな感じでケンカ?してます」
「·····変わったな、アイツも」
僕の恋人のソフィちゃんはいっつもくだらない理由でエビちゃんと大喧嘩を繰り返し、なんだかんだで仲直りしてを繰り返している。
だから前世のソフィちゃんが、エビちゃんと似たノリのお義姉さんを軽くあしらっていたなんて信じられなかった。
「それにしても、お義姉さん凄いですね、ソフィちゃんの動きに魔法の補助無しでついてこれるなんて·····」
「まぁ穂乃花はかなり強かったからな····· でも前まではこんなに酷くはなかったぞ?多分だが、賢人が帰ってきて嬉しいんだろうな」
「そうなんですか?イタズラしに行ってるようにしか見えないんですが·····」
「·····あんまりうちの息子の彼氏に教えることでも無いが、穂乃花は極度のブラコンだ」
「·····ブラコン?」
ブラコンって確か、物凄く弟か兄が好きな事だって言ってたような·····
「兄弟愛が強いんですね、僕も兄弟姉妹が多いのでなんか分かります」
「いや、そんな物じゃないぞあいつのブラコンは、何せ本気で賢人の事を性的に狙ってたからな」
「·····へっ?」
「君が賢人と暮らすうちに、賢人は平和な世界から来たのに格闘技が妙に強いと思ったことは無いか?」
「·····確かに、そう考えると変ですね」
ソフィちゃんはよくエビちゃんとじゃれ合いみたいなケンカをしてるけど、2人とも僕の目で追えないくらいの物凄い格闘を繰り広げる事もあった。
その時はなんの疑問も思わなかったけど、争いのない世界から来たのに、前世では勇者相手に肉弾戦を繰り広げていた魔王であるエビちゃんと遊びとは会え渡り合うレベルの格闘技が使えるのはおかしい。
「穂乃花があの手この手で押し倒して色々しようとしていたからな、自然と身を守る術を覚えたのだろう」
「うわぁ·····」
後から聞いたけど、ソフィちゃんはお姉さんに何度も性的に襲われそうになって、危うく禁忌を犯しかけたというところまで行きかけた事もあったらしい。
その対策をしていく中で、ソフィちゃんはお義姉さんの格闘技を自然と覚えて行ったのだとか·····
うん、やっぱりソフィちゃんの前世ってかなり変だよ、変なのはソフィちゃんだけじゃなかったんだ·····
願わくば、僕と話してるこのお義父さんが今話してる真面目でしっかりした人のままでいて欲しい。
僕の経験則からいってお義母さんもちょっと怪しいから、せめてお義父さんだけは普通の人でいて欲しい。
僕はそう願わずにはいられなかった。
◇
「はあっ、はあっ····· 初めて姉貴に勝てた·····」
「強くなったな、賢人····· お姉ちゃん、嬉しいぞ····· ぐはっ·····」
姉貴が死んだフリをしているが、多分まだまだ余裕はあるだろう。
多分前みたいに簡単に倒せないと悟って、いいパンチを食らったところでわざと倒れたとしか思えない。
いやぁマジで強かった、キノコ神拳を割と本気で使って、肉体強化魔法や時間遅延もやってやっと渡り合えるってどういう強さよ。
姉貴こそ本当のリアルチートなんじゃないのか?
·····でもなんか、前より勝てるような気がするっていうか、格闘技の世界から離れてしばらく経ってるから衰えたのかな。
妙に動きが鈍いっていうかキレがないって言うか·····
「はぁ····· もういいや、姉貴、ケーキとチョコ食べるぞ、さっさと死んだフリしてないで起きろ」
「げほっげほっ····· ありゃりゃ、バレてた?」
「そりゃ当然」
死んだふりに関しては私に勝る奴はいないよ?
だって本当に何十回も死んで、その時の感覚とか動きとか覚えてるもん。
あと痛みに対する絶叫とかも十八番よ?
魔法学校のレクリエーションでやられ役をやった時、武器でお腹を刺される役だったから本気で演技をしたらドン引きされて、しかもリアルすぎて本当に怪我したと思われて刺した側が大泣きするわ、保健室の先生や校長先生は来るわの大騒ぎになったくらいにはリアルだ。
今ここでやったらちょっと洒落にならないからやらないでおこう、うん。
「·····賢人、後でマンガの描写のネタにしたいからそれ見せて」
「何に使うんだ·····」
「えっ?ドロドロ三角関係BLの〆で使うつもり」
「·····ひでぇや」
名前:ソフィ・シュテイン(藤石 賢人/智恵花)
ひと言コメント
「ほんとこの姉貴めんどくさい····· キャラが濃すぎて小説が進まないのほんと迷惑····· でもこの感じ懐かしいなぁ····· あー!ホント女の子になって良かった!!これで毎晩寝込みを襲われないか気にしなくて済むのほんと助かる!!!」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「お義姉さんのキャラが本当に濃い····· お義父さんが常識人っぽくて本当に助かった·····」
名前:藤石 穂乃花
ひと言コメント
「えっ?私女の子でも行けるよ?むしろソフィたんくらいの年齢の女の子大好きだから····· うへへ、ソフィたん今日はお姉ちゃんと一緒に寝なぁい?」
『ひっ····· わ、私には心に決めた人が居るもん!もう絶対無理だから!!』




