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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第四章 TS賢者は世界を往くっ!
306/381

藤石 穂乃花という女



「はひぃ、緊張してきた·····」


「大丈夫?·····僕も緊張してるけど、大丈夫だよ」



 私たちは今、空を飛びながら私の前世の実家へと向かっていた。


 東京駅を飛び立ったのは19時21分ごろ、今は19時26分で葛飾区上空っぽい所にいる。


 残り時間はたった4分で、6キロ以上離れた千葉県市川市まで飛ばなきゃいけない。



「間に合う?」


「間に合う間に合わないじゃないのよっ!間に合わせるっ!!舌噛まないように口閉じててねーっ!!」


「えっ?あっ、うわぁぁああああっ!!」



 私はちょっと急ぐため、飛行魔法の速度を上げてフィーロ君と共に音を置き去りにして飛んで行った。


 ちなみにソニックブームは出ないよう空気を魔法で避けながら進むくらいの余裕はあったりしたけど、急ぐに超したことはないよねっ☆





 そして勢い余って目的地を通り過ぎて成田空港辺りまで行ってたり、家がどこだったか忘れたりで探し回った結果、計1分半もかかってしまった。


 RTA的には再走モノのガバだけど、予定時間には間に合ったから今回は良しとしよう。



 という訳で、私たちは予定通りの時間に前世の実家の前にやって来ていた。



「やっと着いた····· おっ、13番から荷物が届いてる····· おー!いい所のケーキじゃん!気が利くぅー!·····あっ、アイツすっごい良いの買ってやがる!ぐぬぬ····· お駄賃なら仕方ないかぁ·····」


「·····ソフィちゃん、何一人芝居してるの?」


「えっ?いや1人2役というか2人1役というか····· まぁとりあえず買ってきてくれたケーキとチョコを出してっと、これで準備よしっと」


「·····いよいよだね」


「うん、その前にちょっと身だしなみのチェックしよ?」


「わかった、僕はよくわかんないからソフィちゃんお願い」


「はーい!ファッション副リーダーソフィちゃんにお任せあれっ☆」



 私はその場でブラシとかを出すと、風よけの結界を展開する前に受けた風圧でボサボサになった、フィーロ君と私の髪をセットし直して服のヨレとかを元に戻して、ちょっとピシッとした格好に直した。


 こんなもんでいいかな?


 あー、あと私は帽子外しておこっかな、髪の色は人混みじゃないから目立たないだろうし。



 ちなみに私がファッション副リーダーと聞いてリーダーが誰か気になった方がいるかも知れないが、リーダーはあの子よ、爆乳スイカ娘(アルムちゃん)



「これでよしっと、んじゃ·····」


「君たち、この時間に何をしてるんだい?未成年だよね?今何時だと思ってるんだ?」


「げっ!?」

「どうしたんですか?」



 声のした方を振り向くと、後ろに箱がある白い自転車に乗った、青色の制服を着た人が私たちの方にやって来ていた。



 やっべ、警察(サツ)だ、補導のお時間だ。



「い、いや〜、その〜、近所のコンビニにアイスでもかいにいこっかなぁ·····なんて、あはは·····」


「この時間に行く場合は親御さんが同伴しないとダメだ、彼氏が居れば大丈夫だろうが、大人の力は強いから2人居ても事件に巻き込まれる可能性がある、今日のところは辞めておきなさい」



 あの、私たち2人居たらドラゴンでも楽々倒せる、少なくともこの世界最強の存在なんですけど·····


 私、力が弱いとは言ってるけどこの世界なら普通に格闘技大会で優勝できるくらいのスペックはあるんです·····


 それに魔法も使えますし·····



「分かりました、ご心配いただきありがとうございます、一応自衛の手段はあるので2人でも大丈夫です」


「ん?君たちここの家の子じゃないのかい?」


「えっ、あっ、まぁ、そうなる·····のかな?」


「なんか怪しいな····· 君たち、名前は?」



 うげっ、名前ヤバいかも。


 私たちは一応外国人っぽい名前だから、変に怪しまれて補導とか警察署預かりになっても困るわ。



 ええい!私の灰色の脳細胞よフルで動けーっ!!


 日本人っぽい名前を考えろー!!




 よし思いついた!


 あとはコレをフィーロ君にテレパシー的な魔法で伝えてっと·····



「わ、私は藤石 智恵花(ちえか)です!」


「僕は藤石 愛樹(まなき)です」



 ふぅ、何とか思いついた·····


 我ながら中々いいセンスの和名を思いついたのでは?


 なんなら私フシ町のシュテイン()家の長女だから、フシ石、藤石って上手く繋がるし!

 フィーロ君もまだ入籍はしてないけどシュテインって苗字がつく予定だから別に何もおかしくないよねっ☆



「藤石····· 確かにここの家の子らしいな、兄妹だったか」


「いや、私たちはその、ここに遊びに来てまして、実は家主さんと親戚なんです」


「僕はその、ソフ····· ちえちゃんと同じ苗字なんですけど血縁はなくて、付き合ってて·····」


 フィーロ君ナイスフォロー!


 にしても、ちえちゃんか·····

 なんか、すごくゾワゾワした····· 時々ちえちゃんって呼んで貰おうかなぁ·····



「って感じで、その、県外から来たので補導の事とかよく分かんなくて·····」


「はい、僕もよく知らなくて着いてきちゃいました、ごめんなさい」


「わかった、じゃあ今回は大人しく家に帰ればお咎めなしにしておく、だからさっさと帰るんだぞ」


「「はーい」」



 そう言うと、お巡りさんは私たちが家に入るのを見届けることなく巡回に戻って行った。


 ふぅ、なんとかごまかせた·····



「んふふ、フィーロ君、どさくさに紛れて私の事『ちえちゃん』って言ったでしょ?」


「うっ、そ、それは、えっと、怪しまれないように言っただけで、ごめんねソフィちゃん·····」


「ちえ」


「えっ?」


「ちえちゃんって、呼んで·····」


「·····ちえちゃん」


「んへへ····· まなくん、大好き」


「僕もちえちゃんの事大好きだよ」



 う、うわ、なんか、なんかこそばゆいっ!


 胸の奥からなんかゾワゾワするような変なゾワゾワがするっ!



 ·····でも、なんかこの感じ日本のカップルっぽくていいかも!



「まなくん、まなくん!」


「どうしたの?ちえちゃん」


「んへへ、呼んだだけ〜」


/リア充退散爆散っ!きええっ!!天誅ぅぅうッ!\


「何奴っ!?」



 ガコンっ!!



 私とフィーロ君が私の前世の実家の前でイチャイチャしていると、頭上からとんでもない殺気を感じて咄嗟に左手を掲げて身を守った。


 すると私の義手が殺気の主が振り下ろした得物を受け止め、激しい衝突音が閑静な住宅街に響き渡った。



 まって、この状況どう考えても2階から飛び降りて攻撃してきたよね!?そんなラフな格好で飛び降りたら怪我するわ!!



 仕方ない、前世の家族だから助けてあげるか。



「『須臾』」



 私は時間の流れを遅くすると、飛び降りて攻撃してきた女をそっと地面に下ろし、ついでに『洞爺湖』と柄の部分に掘られた木刀を手から奪って武装解除しておいた。


 ·····あれ、こんな軽かったっけ。

 めちゃくちゃ筋肉質ですんごい重かった記憶あるんだけど·····

 うん、なんかかなり筋肉も落ちてるし·····


 こりゃ不摂生な生き方してたな?



「解除っと、危ねぇじゃねぇか姉貴っ!てかまだ行き遅れてたのかよ!!」


「んだとぉ!?テメェ人が警備してる我が砦の前でイチャイチャしてたらぶっ飛ばすに決まってんだろ!ここは姉ちゃん自治区だ!リア充は出ていけ!塩もってこい塩!ぺっぺっ!」


「あぁん?砂糖で中和すっぞゴルァ」


「はぁ〜?塩の方が強いですけどぉ〜?コーヒーに塩入れたら砂糖を入れても中和できませぇ〜ん、ずぁんぬうぇんですぃたぁ〜」


「このクソ姉貴ィ·····」


「·····姉貴?お姉さんなの?」


「·····恥ずかしながらね」


「何が恥ずかしながらよ!超有名BL作家ホモカだ!」


「何堂々と言ってんだこの糞ニート作家·····」


「てめぇ!言っちゃいけないこと言ったな!?BL作品に賢人を受けで出すぞ!?·····ん?あっ女の子だから無理·····いやTSFモノでならいけるか?よし、次はTSFのBLモノだ!!」


「こんな感じの藤石家の末代までの恥で、多分末代になる私の前世の姉貴、藤石 穂乃花だよ·····」


「失敬な!絶賛婚活中だぞ!」



 この強烈なペンネーム『ホモカ』のBL作家なヒキニートこそが私の前世の姉貴、藤石 穂乃花だ。


 家の前でイチャつくカップルに木刀で2階から飛び降り天誅を食らわせるような奇天烈怪奇な女だが、エビの天ぷら×アジフライの寝取られ濃厚BLを描ける天才でもあるのだ。


 クソが、椅子に縛り付けられてエビの天ぷら×アジフライ×コロッケのドロドロ三角関係なBL同人誌の朗読を強制的に聞かされた記憶が蘇ってきやがった·····


 ちなみにその本、同人誌即売会で物凄い数が売れたらしくてかなり儲かったそうだ。


 やっぱり頭おかしいよ·····



 いやそれもそっか、だって姉貴は元々文武両道で総合格闘技とか剣道とか柔道が超強くて、オリンピックにら行けるとまで言われた選手という超天才だったのに、突然『レスリングで男同士が絡み合う·····ハァハァ·····はっ!閃いた!』と言ってナニカに目覚め、やっていたスポーツを全て引退したのだ。


 その後は実家の自分の部屋へと引きこもり、エビフライ×アジフライ×コロッケの3P同人誌などの怪文書から、少女向けの美しい薔薇が咲き誇る名作まで生み出す謎の『ホモカ』という作家として活動を始めた女なのだ。



 ひとことで言うなら、頭のネジが全部外れてる超天才の変人奇人だ。



「·····ソフィちゃんを悪化させたらこうなりそうだね、というかソフィちゃんのあの性格ってここから来てたんだね」


「酷いっ!?」


「そりゃ私の弟だから受け継いでて当然でしょ!·····いや、妹か?あっ、ところでそこの横の受けになりそうな子、次のTSF系BLの受け兼竿役にしていいかな?なかなか良さそうな気弱なショタ顔じゃん、私好みかも····· じゅるり·····」


「ひっ·····」


「私の彼氏に手ェ出すなこの三十路目前のクソ姉貴がっ!!」


「ミソシルッ!!?」



 私は姉貴の頭頂部に頭蓋骨が破裂しない程度の弱いチョップを食らわせてやった。


 そして姉貴は意味不明な断末魔を上げて、頭に見事なタンコブをつくりプスプスと煙を上げ、地面に車に踏み潰されたカエルみたいなポーズで倒れ込んでピクピク痙攣してしまった。



「ざまぁみやがれこのクソ姉貴·····」


「·····それがソフィちゃんの素?それとも」


「·····前世の私が出てきただけだよ?今はもうこんなんじゃないから安心してね、今の素はこっちの方だから、ってあれ?なんでコイツ転生したのに私って分かったんだ?」



『うるさいぞ穂乃花!また部屋から抜け出したな!?』

『倒れてるわ····· 無茶はだめよ穂乃花、貴女は····· って、どなた?』


「あっ、父さん、母さん·····」



 さすがに騒ぎ過ぎたのか、家から私の前世の両親が出てきてしまった。


 まさか、こんな形で前の家族と再開するなんて·····



 このクソ姉貴、徹底的にしばいたろうかな。



 まぁクソ姉貴のことはほっといて·····



「ただいま、父さん、母さん」



「「·····は?」」



 『は?』って、酷いよパパン·····ママン·····

 死んだ息子が帰ってきたのよ·····?



名前:ソフィ・シュテイン(藤石 智恵花)

年齢:15歳

ひと言コメント

「ほんっとこのクソ姉貴め····· なんなんだ?藤石家の女はこういう性格になる運命なのか!?·····まぁ母さんはこんな感じじゃないって信じたい、なんか頑なにアルバムを見せてくれないけど、きっと大人しい人だったって信じたい、姉貴が特殊なだけって信じたい」


名前:フィーロ・シュテイン(藤石 愛樹)

年齢:15歳

ひと言コメント

「·····ソフィちゃんの性格ってやっぱり前世から引き継いでたんだね、お姉さん程じゃないけど似てるなぁ」



名前:藤石 穂乃花 (ペンネーム:ホモカ)

年齢:29歳

ひと言コメント

「うおぉぉぉんっ!賢人ぉ!!おかえりぃぃぃぃぃいい!!(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)!!!私心配ッいててて····· 流石にあの動きはちょいと無茶だったかなぁ」

 \うわ涙貫通して垂れてきたキモっ!!?/

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