みんなで遊ぼう!
校長先生が飛び去って行ったあと、私はサボるのをやめて授業に戻る事にした。
さすがの私でも、校長先生にバレちゃったらサボる気にはなれないからね!
「ただいまー」
「おかえりー」
「ねぇソフィちゃん、さっき飛んでった人ってもしかして校長先生?」
「そうだよ?私たちのクラスを見に来たら、私がサボってるのが見えて話しかけてきたみたい」
「えっ、お婆····· お姉様が来てたの?」
「お姉様·····?」
どうやら校長先生は伝説の魔導師というだけあって相当有名らしく、現世で言う女優の如き人気があるそうだ。
というかお姉様って····· あの人3600歳のクソババッ!?
あっあっあっ、ヤバいなんか殺気みたいなの飛んできてる、やめやめ!
お、おほん、それはさておき、なんかみんなから質問攻めに会いそうになりてんやわんやしてた所で救世主が現れた。
「みんなー!私の所に集まってくださーい!」
『はーい!』
「助かった·····」
先生の所に集合するよう号令が掛かったので、私たちは先生の所に走って向かった。
◇
「はい、みんな!魔力を感じられましたか?」
『感じられました!』
『わかりませんでした·····』
「今日出来なかった子は、これからも引き続き練習をしていけば必ずできるようになります!頑張っていきましょう!できる子はできない子のお手伝いをしてあげてくださいね!」
『はーい!』
「それじゃ、ちょっとだけ自由時間にします!みんな仲良くして、遠くには行かないこと!わかった?」
『わかった!!』
「じゃ、先生が終わりっていうまで自由時間!ほら遊んでこーいっ!!」
『わーい!!!』
先生が言った瞬間、私たちは一気に散り散りになり、思い思いの場所に遊びに行った。
◇
「で、何して遊ぶ?」
「鬼ごっこ!」
「僕は魔法で遊びたいな」
「私は何でもいいわ」
「かくれんぼがいいな·····」
「えっと、かくれんぼでウナちゃんに勝てる気がしないんだけど·····」
みんな見事に意見がバラバラだ·····
ちなみに私はそこの川で遊びたい、なんか砂金とかありそう。
「うーん、どうしよ、ジャンケンで決める?」
「あっ、まだソフィちゃんのいけん聞いてない!」
「確かに、ソフィちゃんだったら何か面白い遊びを思いついてるかも」
「えっ、私は川で遊ぼうかなって·····」
「「「「あの濁流の中で?」」」」
「·····」
私たちの住むこの盆地は周囲が高山で囲まれているので、春になると雪解け水で水位がとんでもない事になるのだ。
しかも人が入ったら磨り潰されそうな濁流で川の中で大きな岩がゴロゴロ動く音が聞こえてくる程の水勢だ、こんなんじゃ川で魚を探すのも水切りも砂金採りも無理だ。
「じゃあ私はなんでもいいです·····」
協議の結果、アルムちゃんの鬼ごっこはスカートでやる物じゃないという事で却下、ウナちゃんのかくれんぼはウナちゃんが見つけられなくなるので却下、グラちゃんと私は何でも良い。
そして最後に残ったのは·····
「無難だね」
「無難じゃない?」
「無難すぎるわね」
「無難·····」
「えぇ····· いいじゃん魔法で遊ぶの·····」
フィーロ君の選んだ無難な意見、魔法で遊ぶに決定した。
◇
という事で、私たちはさっきまで魔法の練習をしていた岩壁に到着した。
あの後も2人が練習をしていたので、壁には所々ひび割れが出来ていたり、黒焦げの場所がある。
あと1つだけ岩を穿つ綺麗な穴が空いている。
「あっ、ソフィあなたに聞きたい事があったのよ」
「ん?グラちゃんどうしたの?」
「あの真っ青な炎って何かしら?水属性か光属性の魔力を込めるとあの色になるのかしら?」
あぁー、アレね、説明めんどくさい·····
「えっとね、炎って赤色でしょ?あれって温度が低くてあの色になってるの、だから温度を上げたらあんな感じになると思うよ?」
「だから、そのやり方が分からないのよ!」
「あぁ、じゃあ『ファイアーボール』に小さい『ウィンドボール』を混ぜてみたらどう?」
「·····????」
「要するに酸素の量が足りてないんだよ!たぶん!」
「サンソ·····?」
あぁー
ダメだこりゃ、全く理解出来てない。
「まぁ、そのうちできるようになるよ!まずは小さいファイアーボールで温度を上げる練習をしたらいいんじゃないかな?」
「そ、そうね、がんばってみるわ」
「ソフィちゃん、炎って赤と青しかないの?」
「おっ!アルムちゃん良い質問だね!!」
科学魔法発動『試料作成』、Li Na K Cu Ca Sr Ba!
私は科学魔法でリチウム、ナトリウム、カリウム、銅、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの1mm程度の粒を生成する。
·····この魔法、何気に無から元素を作り出してるっぽいんだけどごく微量な量しか作れないのよね。
作れる量を増やそうとしたら消費魔力が指数関数的に増えたから改造するのやめたし。
でもこうやって各元素を少量なら作り出せるのでとても便利だったりする。
そして作った各元素の粒に合った個数のガスバーナーのような形の炎を魔法で生み出して·····
「そいっ」
「わっ!炎の色がかわった!」
「·····これも温度かしら?」
「きれー·····」
「不思議だ····· ソフィちゃん何でこうなるの?」
「フィーロ君の得意分野だと思うよ、これは炎色反応っていって、特定の金属を炎で熱すると何やかんやあって色が変わるって現象だね」
「えっ、魔法じゃないの!?」
「うん、詳しい理由は知らないけどね!」
実は私もなんで色が変わるかは知らない。
いや、調べた事はあるんだけど、熱エネルギーとか電子とか何とかが励起されてナントカだったくらいしか覚えてない。
その後しばらくの間みんなに炎色反応の実験をやらされて微妙に疲れてしまった。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:6才
ひと言コメント
「やる事は沢山あるけど、あり過ぎて逆に何していいかわかんなくなってきたわ·····」




