あれ?私なんかやっちゃいました?
「わ、わたしは、ウナっていいます!」
私たちのグループ最後の1人はウナちゃん、本人は言わなかったけど鑑定して判明した本名は『ウナ・ウェア・ラ・サークレット』、なんとこの国の王族だ。
·····なんか説明によるとこの子、王子とメイドさんとの間に生まれた子って書いてあるから、あんまり首を突っ込まない方がいい事情がありそうだ。
つまり、この子もボッチ·····グラシアルちゃんと同じで私になるかもしれなかった子なのだ。
あくまで私の推測だけど、私はどの人生を選んでもここに来る運命だったのだろう。
逆に言えば、この学校に運命で定めるほど集まらなければいけない大事な理由があるって事だ。
これからはちょっと注意しよっかな·····
まぁ、あのクソ女神の思惑なんて知らないわ!
今は授業の方が大事だからねっ☆
◆
「えっ?賢人クンに示した候補の子が集まったの?」
「あぁ、そうみたいだが、ガイア何か知らないか?」
「いや、多分ガチの偶然よそれ、私何もしてないし」
「えぇ·····?」
◆
これで私たちのグループは5人揃ったので、しばらく待っていると授業が始まった。
「じゃあまずは5人で手を繋いで輪になってください」
「はーい!じゃワタシ、ソフィちゃんの右!」
「えっ!?えっ、あっ、えっ!?ぼ、ぼくはえっとソフィちゃ、うわっ!?ウナちゃんいつの間に!?」
「私はアルムとウナの間ね」
「じゃあフィーロ君、手、繋ごっか?」
「う、うん·····」
これで私から見て時計周りに、フィーロ君、ウナちゃん、グラシアルちゃん、アルムちゃん、そして私という順番の輪が完成した。
というか、私たち3人組はいつもこの順番になってしまうのは何故なのだろうか?
まぁいいけど、それで次は何をするんだろ?
「じゃあ次は先生たちがみんなの輪に加わって、魔力を流します!みんなはそれを感じ取れるよう頑張りましょう!分からなければ教えますので、頑張ってみてください!」
「あと、もう魔力を操れる子がいたら、みんなに魔力を流してループさせてみてください!」
「これは私の出番かしら?」
「えっ、グラちゃんもう魔力あやつれるの?」
「ぐ、ぐらちゃん?ええ、魔力だけでなく魔法も使えますわ」
「おー!ソフむぐっ!?」
「·····(言っちゃダメ)」
「むぐむぐ(わかった)」
「エー!モウマホウガツカエルンダー!スゴーイ!ボクアコガレチャウナー」
「ふふっ、魔法は後で見せてあげるわ、じゃあ魔力を流すから集中するわ」
「「「「はいっ!」」」」
グラシアルちゃん、名前が長いのでグラちゃんが目を瞑り集中すると、彼女の腕を伝って魔力がチョロチョロと流れはじめ·····
「·····うん?流れてる?」
「えっ、流してるわよ?」
「·····僕にはわからないや」
「ワタシも」
「わたしも·····」
何かがおかしいので魔力眼を使ってグラちゃんを見たところ、原因がわかった。
うん、グラちゃんは魔力は流せるし魔力量も豊富だけど、肝心の魔力が流れる流路が詰まってるわ。
でもほんのちょっと隙間があって、その穴から無理やり魔力を流してるから魔法が使えるって感じかな?
よし、忠告してみよう。
「グラちゃん、たぶんグラちゃんは身体の中にある魔力が通る道が塞がり気味だから、あんまり魔力が出せないんだと思う」
「えっ、ちょっ、どういう事なの?でも魔力が沢山出ないのは確かだけど·····」
「あのね、みんなにはナイショだけど、私も少しだけ魔力を操れるんだ、それでね、グラちゃんの通り道が狭いって魔力が言ってたからわかったんだ、それを何とかしたらもっと出せると思うよ」
「そ、そうなのかしら?でもどうやるのかしら·····」
私は繋いでいた手離して、笑顔でグラちゃんに近づき、グラちゃんの両手を掴み·····
「こうするの」
グラちゃんの魔力の流路に干渉して、私の魔力流路を直結、魔法でグラちゃんの流路が壊れないよう保護をして·····
私の魔力を一気に流し込むっ!!
「あばばばはっばばばばあばばばはっ!?!?ぁばばばばばばばばばばばばあばばあばッッ!!!」
「ほーら耐えてー、いま流路を広げてるから」
「ひぎいっ!?」
むむっ、魔力の製造所がある心臓付近がかなり汚れてるな、これじゃ魔力が通りにくくて当然だ。
例えるなら新宿駅の改札前を塞ぐように退かせない山積みのゴミがあるような感じだ、邪魔すぎて出てくる人は多いけど通れる人が少ないせいで停滞してしまっているんだ。
じゃあ、そのゴミを物凄いパワーで除去してしまえば渋滞は解決するっていうワケだ。
「もっと強いの行くよ」
「ら、らめっ、爆発しちゃうわっ!?!」
「大丈夫」
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
私は流す魔力の出力を上げ、その勢いで詰まりをゴリゴリと削っていく。
グラちゃんが悶えているがそんな事は関係ない、倍プッシュだ·····!
「ぎゃわっ!?」
「おっ!?」
グラちゃんの魔力流路を塞いでいた栓が削り切れ、全流路が開いた感覚がした。
うん、問題なく全身に魔力が流れてきてるね!
驚くほどスルスルと魔力が流れるのは、さすが伝説の魔導師の家系というべきだろうか。
これは将来有望だね!
「はい完了!これでグラちゃんの魔力流路を塞いでたのは取れたから、魔力が流しやすくなると思うよ!」
「はひゅっ·····」
「よし、じゃあ次はフィーロ君の番だよ?」
「えっ?」
\ぎゃああああっ!!?/
\やめてぇーっ!!?/
\うひゃぁあーっ!!?/
その後、河原にまた1人、また1人と少年少女の悲鳴が響き、全員の魔力流路の掃除が完了した。
ちなみに、アビュースさんは素質がなかったからやってない。
◇
「え、えっと、ソフィちゃん、これは一体·····?」
「し、しーらないっ☆」
「あ、お嬢様はこれが趣味ですのでお気になさらず」
「えっ?えっと、白状なさいソフィちゃん」
そりゃ悲鳴が聞こえて、私以外の子がビクンビクンしながら転がってたら驚いて見に来るわな。
ついでにしれっとアビュースさんがまた酷い事を言ってるが、先生は戸惑いながらも無視していた。
「はい、みんなに無理やり魔力を流しました·····」
私は白状すると、先生は倒れてるみんなに触れてちょっとだけ魔力を流して驚いた顔をすると、私の方に向き·····
「·····あれ?私なんかやっちゃいました?」
「·····はぁ、ソフィちゃんこっち来なさい」
「ええええぇぇぇぇぇええええぇぇぇええええ〜」
私は先生に首根っこを捕まれ、そのまま引きずられて皆からちょっと離れた所でしこたま怒られた。
何でも、魔力を流しすぎると文字通り爆発するので、下手したら死んでいたかもしれない、との事。
そりゃ先生も怒るわ·····
とりあえず私の巧妙な話術で結果オーライと先生を言いくるめて帰ってきたら、ぶっ倒れていた皆が復活していて、魔法が使えるようになった感覚に困惑していた。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:6才
ひと言コメント
「高圧洗浄って便利っ☆」




