フィーロ・ソフィ・シュテイン
チュンチュン·····
「んっ····· んくうぅぅぅぅうううっ!!·····っはぁ、あっ、チュン太と朝子ちゃんおはよ」
『チュンっ!』
『ちゅちゅんっ!』
私はいつも目覚ましに来てくれるファイアスワロー·····今は確かインフェルノスワローに進化したチュン太と朝子に挨拶をして·····
「·····冗談のつもりで『朝チュン』から名付けたのに、本当になっちゃったなぁ」
ボサボサになった髪をボリボリと掻きながら隣を見ると、つい昨日私の恋人になったフィーロ君が私と同じ格好で寝ていた。
「·····んふふ」
あんまり大っぴらには言えないけど、もうめちゃくちゃすごかった♡
これが本当に幸せという感情なんだろう。
「起き····· んへへ·····」
私はフィーロ君を起こそうとして、その可愛らしい寝顔を見て思いとどまった。
そしていつもの困り顔ではなく、凛々しくて逞しくて可愛らしい、ちゃんとした男になった彼の顔を優しく撫でた。
「んっ····· あれ····· 知らない天井だ·····」
「ぶっふぉ!」
「·····ソフィちゃん?うわあっ!?なななっ!?なんで服着てないのっ!?」
「だって夏は暑いし····· というか昨日の事覚えてないの?」
「·····あっ」
「んふふ、じゃあ2人とも汗だくだし汚れてるからさ、お風呂行こ?」
「うん·····」
という訳で私たちはフィーロ君専用だった、元男風呂へと向かった。
◇
ちょっ♡ やめっ♡
·····ごめん、また元気出てきちゃった
もうフィーロ君ったら♡
◇
温泉はいいねぇ····· 命を洗濯してくれる····· 自然が生み出した芸術の極みだよ·····
何それ?
んふふ、前世の名言
そっか、んっ·····
んふっ♡
◇
ちょっ!?ここで!?だめ、さっき洗ったばっかりで·····〜〜〜〜〜っっ♡♡♡
洗えばいいと思うよ
◇
·····で、なんでお風呂入ったのに更に汚れてるの?
ご、ごめん·····
◇
結局、私たちがお風呂から上がるまで2時間もかかってしまった。
◇
「みんなおはよー」
「お、おはよ·····」
その後、なんとか着替えを済ませて秘密基地までやってきたところ、なかよし組のメンバーが大集合していた。
「おはよー·····あっ」
「これは酷いわね····· フィーロがカラカラの絞りカスになってるわ」
「雑巾みたい·····」
「ふっ····· ソフィ、どうじゃったか?」
「ねむぅ·····」
「いやぁ、もう凄かった····· エビちゃんが毎日のようにお兄ちゃんの所に行ってる理由がわかったよ」
「絞りカス····· 絞りカス·····」
「もうフィーロ君シャキッとしてよ!」
「つかれた·····」
「自業自得だよ?」
「ソフィちゃんの体力スゴすぎるって·····」
だって、やられたらヤり返す100倍返しだって某銀行の偉い人が言ってたもん。
「ああぁ·····ソフィちゃんの肌が未だかつて無いくらいツヤツヤに·····やっぱり恋ってお肌にもいいのかな」
「かも知れないわね、男には悪いかもしれないけど」
「でも幸せだから僕はいいや、あはは·····」
確かになんか心做しか肌がプルつやになってる気がする。
流石に私は脂肪が少ないからムチプリまでは行かないけど、もちもち肌になってるような気はする。
·····まぁいいや、それより足腰ガックガクになって疲れたわ。
「はぁ疲れた····· みんな、今日はどうする?」
今日は滞在4日目で特にレクリエーションとか学校行事の予定も無く、自由行動が出来る日となっている。
ちなみに明日は学校行事でマリンスポーツをするらしいから色々と控えめにしておこうと思う。
「ワタシたちは海に行こっかなって思ってるけど、2人はどうする?」
「んー·····疲れてるしどうしよっかなぁ·····」
「僕もヘトヘトだから·····」
「じゃあ砂浜でイチャイチャしてみたら?」
「「それいいね!」」
「·····よしっ、じゃあちょっと休憩して準備しよー!」
『『おーー!!』』
という訳で、私たちは砂浜に行く準備をはじめた。
まず砂浜でイチャイチャするなら、ビーチチェアとレジャーシートとビーチパラソルとトロピカルなジュースとBBQセットとか色々必要だから·····
よし、ちょっとインベントリにあるか確認しよっと、ウィンドウよ出て来いっ!
ヴォンッ
◇
《通知》
《スキル獲得》
《対象者名:ソフィ・シュテインが全ての条件を満たしたため、ユニークスキル『賢者の石(Ready)』を獲得しました》
◇
「·····ちゃった」
「ん?どうしたの?」
「できちゃった·····」
「·····ふぇ?」
「その、私、で、できちゃった·····」
『『ええええええええええええええええっ!!?』』
「どうしよこれ!?えっ、マジで!?」
「そ、ソフィちゃん、それ、ほんと!?」
「う、うん、ホントだよフィーロ君·····できちゃった、私たちの愛の結晶が·····」
◇
《スキル説明》
ユニークスキル『賢者の石(Ready)』
フィーロとソフィ・シュテインの魔力が融合し、ユニークスキル『ソフィの石』に流れ込んだ事で生じた、第1種魔力永久機関『賢者の石』の素体。
初動には莫大な量の魔力を要する。
それは星の核であり世界そのもの
それを人は神と呼ぶ
◇
そう、それは私が小さい頃から求めていた、卑金属を黄金に変え不死の力を授けると言われている錬金術の始まりとなった伝説の物質。
それが『賢者の石』だ。
別名『philosophers stone(哲学者の石)』とも呼ばれていたりする·····
「そういうことだったんだ!あははっ!私とフィーロ君は付き合う運命だったんだっ!」
「えっ!?あっ、えへへ·····僕もそう思うよ」
賢者の石は別名『哲学者の石』
『哲学』を訳すと『philosophy』
これを分解すると『philos』『sophia』になる。
『philos』は『愛』という意味がある。
『sophia』は『知恵』という意味がある。
だから『アイを知れ』だったんだ。
『Sophy』は『philo』と結ばれ、ひとつになった。
フィーロ君の名前は、この世界で『愛する』を意味する言葉を私があちらの言葉に翻訳した物
私のソフィは『知恵』を意味する言葉を私が翻訳した物
私のシュテインは『鉱石』、鉱山を管理する侯爵家に相応しい名前を翻訳した物
フィーロ君に『愛』され、前世の『知識』と世界の情報その物である『アカシックレコード』を見れるソフィ・シュテイン
『知恵の石』は愛を知り、フィーロ君に愛され、アイを知り、哀を乗り越え、藍色に輝く。
私は、答えを見つけた。
私は、『アイ』を知った。
◇
「フィーロ君、覚悟はいい?」
「うん、僕、頑張るから、責任とるから·····」
「んふふ、いいんだよ別に?これは私のモノだから」
「いや、2人の····· 僕達の子供だから!僕も手伝う!」
「子供·····?うん、確かに子供かも」
「えっ?赤ちゃんでしょ?」
「えっ?」
「えっ??」
???????????
「ちょっとタンマ、子供?」
「えっ、だって昨日·····というかさっきもしちゃったから、赤ちゃんが出来て·····」
「えっ?いや、私生理というか排卵しないように魔法で止めてるんだけど?」
「えっ?いや、さっき『できちゃった』って·····」
「えっ?『賢者の石』の話だよ?」
「えっ?」
「えっ?」
『『えっ???』』
なんかすれ違ってない?
◇
その後、ちゃんと話をまとめた結果·····
「うぅ····· 恥ずかしい·····」
「これはソフィちゃんが悪い」
「ソフィの言い方が悪いわ」
「これは誰でも間違えちゃうよ·····」
「そうじゃな、ワシも勘違いしておったわ」
「·····おめでた?」
「えっ!?私が悪いの!?」
どうやらフィーロ君は『(赤ちゃんが)できちゃった』と思ってたようだ。
でも私は『(賢者の石が)できちゃった』って言ったつもりだったのだ。
·····たしかによく考えたら『賢者の石』なんて一言も言ってなかったわ。
「·····てへぺろっ☆」
『『てへぺろっ☆で済むワケないでしょ!!!』』
「ごめん·····」
許されなかった·····
「·····で、ソフィちゃん、賢者の石が出来たって本当なの?」
「あっ、それワタシも気になってた」
「·····ところで、赤ちゃんの方はどうなのかしら?」
「わたし赤ちゃん見てみたいなぁ·····」
「賢者の石·····まじなのじゃ?」
「賢者の石····· ってなんだっけ?」
「答えるから待って、まず妊娠だけど、私は避妊のために排卵しないように魔法で止めてたから無いよ」
「「ええー·····」」
「まだ産むのには早すぎるよ!まだ私14歳だよ!?」
「えっ?ディスタちゃんはもう赤ちゃん産んじゃったし、今2人目だから大丈夫じゃない?」
「たしかにそうだけど!それディスタちゃんがおかしいだけだからね!?」
そう、私たちのクラスに居るディスタちゃんは既に1人産んで育てながら学校に来ているし、なんなら第2子を授かって少しお腹が大きくなってきているところだ。
なんでも今妊娠2ヶ月だとか·····
やっぱりこの世界の子供って怖い·····というかディスタちゃんはこの世界基準でもだいぶ早いというかおかしいらしいから、彼女を参考にしてはいけない。
「はい!この話終わり!私はまだ妊娠してないし最低16になってから!!」
「「ええー·····」」
「ええー·····じゃないっ!まったくもう·····」
「じゃあソフィちゃん、賢者の石について教えて?」
「あぁ、そういえばフィーロ君も賢者の石を作ろうとしてたんだっけ?」
「うん····· 一応僕は錬金術師を目指してるし·····」
彼の使える魔法には『錬金魔法』と呼ばれる複合魔法が存在する。
実際は『ファンタジー感強めな工業魔法』って感じで、金属の変形加工や調剤などに役立つ様々な魔法を使えるようになるって感じだ。
「えっとね、正確にはまだ賢者の石は起動してないっぽいんだよね」
「えっ?どういうこと?」
「賢者の石って何か知ってる?」
「えっと、鉄を金にしたりする石?」
「違うよ、正確には『無限に魔力を生み出すモノ』らしくてね、周囲に漂う魔力を取り込んで貯めるんじゃなくて、自分の中から無限に魔力が湧き出す·····状態?機関?器官?まぁなんか『石』みたいなのが賢者の石の正体みたいだね」
「へぇ·····」
「卑金属を金にするのは、無限に溢れ出る魔力を使って『シンの創造魔法』を使ってるだけだよ」
「真の創造魔法?」
「それも合ってるし、凄すぎて『神の創造魔法』にも感じられるんだよね·····」
多分だけど、唯一私が使えなかった『神魔法』とかがこの『シンの創造魔法』なんじゃないかと思ってたりする。
使えないというか資格が無かったというか·····
あと多分消費魔力がデカすぎるのと、私の魔力が『欠けていた』からだと思う。
そう、私の魔力は今まで不完全だったのだ。
まるで何かが欠けていたように、足りないパーツがあったっぽいのだ。
それが昨日、フィーロ君の特濃魔力を体の奥深くにビューッ♡と出された結果、フィーロ君のが全身に巡って私の欠けていた魔力を補完し、完全な魔力となったのだ。
それがきっかけとなり、賢者の石が現れたという訳だ。
「·····魔法については分かったわ、じゃあその賢者の石は起動しないのかしら?」
「するよ?ちょっと質問に答えてて出来なかっただけだよ」
「じゃあどこでやる?ここでやる?」
「うーん····· 起動した時どうなるか私にもわかんないから、隔離してやりたいかも」
「わかった、じゃあそこの『庭』やるのが良いと思うのじゃ」
たしかに、ディメンションルームなら3回目のインパクトみたいなのが発生しても被害は出ないし、完全隔離もできるから丁度良いだろう、
「だね、じゃあ私1人で行ってくるよ、映像はここに投影するから安心してね」
「ソフィちゃん、僕も行くよ」
「来ないで欲しいな、私は生き返れるけど、フィーロ君は出来ないから·····」
「嫌だ、僕はソフィちゃんと一緒に居る、ずっと隣に居るって決めたんだ!」
「·····わかった、じゃあ付いてきて」
「うん、ソフィちゃんありがとう」
「んじゃ行こっか、みんなはここで待ってて」
『『はーい』』
という訳で私たちは手を繋ぎながら庭へと向かい、秘密基地と庭を繋ぐゲートを閉じて完全に隔離した。
◇
「じゃあフィーロ君、いくよ」
「うん、頑張ってね」
賢者の石に必要な消費魔力は『1京』
そして私の総魔力量は『9999兆9999億9999万9999』だ。
·····実はこの前『ソフィの石』と私の素の魔力量がカンストしてしまって、合計でぴったり『9999兆9999億9999万9999』でストップしていたのだ。
まるで何かリミッターでも課せられてるかのように、何をしてもこれ以上は増えなかった。
それに伴い私の素の魔力の増加も停止していた。
つまり、私だけだったら『賢者の石』の起動は不可能だったのだ。
だけど、昨日····· というかさっきもフィーロ君の魔力を体内に直接注がれたお陰で魔力が限界を突破して·····というかお腹のナカにあるから、総魔力量が1京を突破したというわけだ。
あとはこれを『賢者の石』に注ぎ込めば良い。
「はふぅ·····緊張する·····」
「大丈夫、僕たちならできる·····」
「うん····· でも1京なんて魔力を一気に使った事ないから不安·····」
「僕がいるから安心して、大丈夫だから」
「うん、わかった!·····じゃあ、いくよっ!!」
私は大好きな彼に支えられ、『賢者の石』の起動を開始した。
ィィィィィィィィイイイイイイイイイインッ!!!
「んぐっ!!?」
「大丈夫、だいじょうぶだから····· 落ち着いて·····」
「うん·····」
賢者の石へ魔力流路を直結すると、私の体から物凄い勢いで魔力が抜き取られ、素の魔力は全て吸い取られてしまった。
だがそれだけに留まらず、賢者の石は『ソフィの石』に貯まっていた魔力を吸い取りはじめた。
幼い頃から、·····いや、産まれる前からずっと蓄え続けていた膨大な魔力が、あっという間に賢者の石に喰らい尽くされていく。
体から魔力が抜けていく激しい脱力感に私は耐えきれず、地面に倒れてしまった。
と思った瞬間、フィーロ君が私の体を抱きしめて支えてくれた。
「ふぃー、ろ、くん····· ありが、とう」
「妻を支えるのも夫の役目でしょ?例えソフィちゃんが倒れても僕が支えるよ、だから頑張って」
「う、んっ!」
元気出たわ。
絶対負けないわっ!!
「うあああああああああああっっっ!!!」
「ぐっ·····!」
私は『ソフィの石』の魔力貯蔵庫を全開にして、物凄い勢いで魔力を賢者の石に流し込み始めた。
《賢者の石:魔力充填80%》
「あああああああああああぁぁぁぁあぁぁあっ!!」
《賢者の石:魔力充填90%》
魔力充填が90%を突破した瞬間、私の胸の中心あたりが藍色に輝き出し、白い光が溢れ出してまるで天使の翼のようになった。
「あと、ちょっとおおおおおっ!!!!」
《賢者の石:魔力充填99.9%》
あと少し
あと少しなのに
《賢者の石:魔力充填99.99999999999999%》
私の魔力が尽きてしまった
だけど、私はもうひとりじゃないっ!!
「いくよっ!フィーロくんっ!!フィーロくんの魔力!使わせて貰うよっ!!」
「うんっ!!いっけえええええっ!!!」
私のお腹の奥にあった、微かに残っていたフィーロ君の魔力が『賢者の石』に吸い込まれていった。
《賢者の石:魔力充填100%》
《賢者の石:起動エネルギーを確保》
《賢者の石:起動します》
ーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!
◇
白い空間
ここは·····
『おめでとうソフィちゃん』
『キミも我々の仲間入りだよ』
『でもこっちに来る必要はない』
『キミは好きに生きていいんだよ』
『新しい神、新しい世界の誕生を我々神々が祝福させてもらうよ』
『んふふ、結婚おめでとうソフィちゃん、あとフィーロ君にあげた新たなチカラは私たちからの贈り物だよっ☆』
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:14歳
ユニークスキル
『賢者の石』
ひと言コメント
「フィーロ君、これからもよろしくね」
名前:フィーロ
年齢:15歳
ユニークスキル
『共鳴双晶』
ひと言コメント
「ソフィちゃん、ずっとずっと、僕が死ぬその時まで、ずっと一緒に居よう、大好きだよ」




