表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第3章 TS賢者はアイを知るっ!?
239/313

【番外編】なかよし組大追跡っ!



【建国1227年 7月23日】


 朝5時


 フィーロとソフィを除くなかよし組のメンバーは誕生日パーティー会場という名の『ソフィちゃんとフィーロ君のデートを成功させて付き合わせよう大作戦作戦会議本部』に集合していた。



「さてと、みんな、準備はいい?」


「私は大丈夫よ、レストランの予約も取れているわ」


「じゃあわたしはこっそりついてく感じで!」

「わたしは裏側からふたりの監視と、みんなへの連絡をするね!」


「頼むのじゃ、確かこのグラが作った魔道具を使えばウナに連絡ができるんだったか?」


「ねむい·····」



 彼女たちが考えている作戦はこうだ。


・ファッションのプロであるアルムちゃんがコーディネートした変装ファッションで見守る(もちろん物陰に隠れる)


・ウナ&ウェアによる光(闇)空間経由の連絡


・緊急事態が発生した場合はグラちゃんが『迷宮姫』の力で作り出した『アーティファクト』を使用して表にいるウナちゃんに連絡を送り、分体であるウェアちゃんが影を経由して聞きに行く


・魔力探知能力が極めて高いソフィちゃんの目を欺くため、ミカちゃんのユニークスキル『アイギス』の効果で魔力を隠蔽する



 これを絶対に守って、後はバレないように追跡するだけというプランだ。



「エビちゃん、角どうにかならないの?」


「一応収納はできるが、片方が欠けた角は魔族の女にとって婚約者である事を表す誇りのような物じゃ、故に隠しておるということは不倫しているとみなされ淫乱な女というレッテルを·····」


「わかったわかった、隠したくないんだね」


「うむ、絶対に嫌なのじゃ」



 というわけで、エビちゃんの角はそのままという事になったが、他のみんなよりしっかり隠れるという条件が課せられてしまった。


 ·····とここで、分裂の練習をしていたウナちゃんにウェアちゃんから連絡が入った。



「あれ?ソフィちゃん起きてきたよ?」


「ほんと!?格好は?」


「んー、一応アルムちゃんがコーディネートした服だけど、ちょっと髪がボサボサかな?」


「わかった、ちょっと整えてくる」


『『はーい』』



 集合時間までまだ時間はあるが、ソフィが以前アルムちゃんが決めた服で出てきたようだ。


 アルムはその最終調整をするため、作戦本部から出ていった。





 作戦本部から出たアルムちゃんは、雑に着飾ったソフィを目撃してしまった。


「ソフィちゃ〜ん?こんな時間に何してるの〜?」


「ぴみゃっ!!?あっ、アルムちゃんかぁ····· ビックリした·····」


「ふふふ、今日はフィーロ君とお出かけだっけ?」


「うん、だからアルムちゃんに教えてもらったこのファッションにしてみたんだ」


「·····50点」


「ええっ!?」


「服の組み合わせが45点、ソフィちゃん自身が5点」


「ひどっ!私だけ赤点じゃん!」


「何そのボサボサ髪、しかもノーメイクじゃん」


「だって苦手だし····· というか髪は整えたと思うよ?」


「それを踏まえて5点」


「うぇーん·····」



 ソフィは髪とか肌の手入れに関してはアルムを上回るこだわりと技能があるが、オシャレに関してはとことんダメであったのだ。


 そしてデートだというのに、ソフィはノーメイクで髪も雑にしか整えておらず酷い事になっていた。



 それをアルムが許す訳もなく、ソフィは容赦ないダメ出しを喰らいながら完璧でパーフェクトなソフィにされて行った。





 そしてソフィを送り出した後、またしてもボサボサ髪でせっかくの服をぐちゃぐちゃに着たフィーロが出てきてアルムがキレたのは言うまでもない。





「はぁ····· 2人ともほんとやる気あるのかな?何あの雑なファッション·····」


「まぁ仕方ないわよ、2人とも緊張していたのよ」


「えっ?いつもあんな感じじゃない?」


「じゃな、あやつら割と無頓着じゃからのぅ·····」


「·····エビちゃんも、わたしも、じゃない?」



 そう、この中でマトモにオシャレをするのはアルムとグラちゃんとウナちゃんしかいない。

 その中でも毎日バッチリメイクをするのはアルムちゃんだけだったりする。



「まぁいいや、じゃあ作戦開始だよ!」


『『おーー!!』』



 まだデート開始の予定時間よりずっと早いが、2人とも既に待ち合わせ場所に居るだろうと予測して、なかよし組は部屋から出て行った。





「ちらっ」

「ちらちらっ」

「ちらちらちらっ」

「ちらちらちらちらっ」


 宿の裏口から出てきたなかよし組は、建物の影から顔だけ覗かせて串団子みたいな状態で2人の様子を眺めていた。



『あっ!今来たとこだよっ!えへへ、楽しみすぎてちょっと早く来ちゃったけどね!』


『ぼっ、僕もなんだ····· ちょっと予定より早いけど行こっか』


『うん!』



「よし!第1段階クリア!」

「始まったわね」

「うん、全てはここからだよ」

「2人とも、頑張るのじゃ」

「重い·····」





 ソフィ達が市場で魚を買って、オススメされていたお店で朝ごはんを買った後·····



「にょきっ」

「にょんっ」

「みょーん」

「ぬぬーん」

「ひょこっ」



 なかよし組は堤防の影から顔を覗かせて、仲良く堤防の縁に腰掛けて朝食を食べている2人を眺めていた。



『いただきまーす!はむっ!』


『いただきます····· もぐっ』



(おいウナ、あの2人は何を食べてるのじゃ?めっちゃ美味しそうなのじゃ)

(えっとね····· 確かフィッシュアンドチップスバーガーだったと思うよ!)

(うわぁ美味しそう····· ねぇウナちゃん、お昼ご飯はアレにしたいんだけど)

(私もアレがいいわ、ついでにレモンティーがあったらお願いするわ)

(·····眠くなってきた)



 アレが食べたいこれが食べたいとヒソヒソ話をするなかよし組に気付かない2人は、その間もイチャイチャし続けていた。





「さささっ」

「かさかさ」

「がさっと」

「ざわわ·····」

「ちらりっ」



 そして砂浜に移動した2人をなかよし組は砂浜と街の境界線にある茂みに隠れながら追い掛けていた。


 どうやらあの2人は今、将来について話し合っているようだ。



『·····なんか話逸れちゃったけどさ、実家のお店で働くんだったら実家暮らしするの?』


『まぁ、そのつもりだけど·····』


『じゃあさ·····』




『どうせならフシ町にも土地を買おっかなって思ってるんだけど、実家暮らしするならフィーロ君の部屋は無くても大丈夫かな?』


『それは欲しいかな、僕の部屋無いし·····」

『えっ無いの!?』



 そんなこんなで会話は続き·····




『い、いや、ソフィちゃんと二人暮しだったら、その、ええと·····』

『ひょへ』


『ひょへ?』


『なななななななんでもないっ!!』



(な、なにあの超甘々激甘々ハイパー甘々ウルトラ甘々ミラクル甘々超絶甘々甘々甘々甘々甘々甘々空間は!!?)

(やばいわ、私もエビちゃんしそうだわ)

(ふたり一緒に暮らすのかなぁ·····)

(おぼぼろろろろろろっ!!ヤバいのじゃ、枯れる、干からびるのじぉぼぼぼぼほろろろろろろろっ)

(·····砂糖、多すぎ)



 流石に盗み聞きしていたなかよし組でも、この甘々な空間には耐えきれず悶えまくってしまった。





 砂浜から移動したソフィ達を追い掛けるため、なかよし組は街中の人混みに紛れ込んでいた。


 そして2人は1軒のお土産屋に入ったようだ。



「ささっ」

「こそっ」

「そろっ」

「ぬんっ」

「みかっ」



 みんなはその様子を店の外から、たまに中に入って死角から見ていた。



『うーん····· どっちも可愛い·····でもまずはこっち·····いややっぱりこっち·····うーんうーん····· どっ、どっちも····· やっぱりダメだ·····』



 暫くすると、フィーロが可愛らしいぬいぐるみが置かれた場所からウミウソともふもふアザラシのぬいぐるみを取ると、キュッと抱きついた。

 そして暫く悩み、悲しそうな顔をしながら元の位置に置いて頭をポンポンと軽く撫でていた。



 ·····その様子をやたらキモい謎の魚を象ったぬいぐるみを見ていたソフィがいつの間にか移動して後ろから見ており、深海魚の如くクネクネと気持ち悪い動きをしながら悶えていた。



『あっ、これ可愛いじゃん、買っちゃおっと』


『あっっっ!!?』



 そう言うとソフィはフィーロが置いたぬいぐるみを買い物カゴに入れ、他にもなんかキモい深海魚のグッズ等を入れてお会計を済ませてしまった。



(ソフィちゃんさっすがー!!男前ー!!·····ん?いやここはフィーロ君が男気を見せるとこでしょ!?なにやってんのっ!!?)


(·····前々から思ってたのだけど、フィーロって可愛い所あるわよね)


(あっ、ウェアがご飯買ってきてくれた!じゃあみんなに配ってー)

(はいはーい)


(女々しいのぅ····· というか腹減ってきたのじゃ)


(ぬいぐるみ枕····· いいかも)





 店から出た2人は、フィーロの計画通り昼食処に向かったようだ。


 そして流石に狭い店内に入るわけにもいかず、なかよし組のメンバーは各自自由に行動することにした。


 あと、エビちゃんは監視という事で2人が入ったお店の前で待機していた。





 そして事件が発生した。





「えーびーちゃーんー?」


「す、すまぬのじゃ····· 昼飯を食べてて油断してたのじゃ·····」


 ソフィにエビちゃんの存在がバレてしまい、芋づる式でなかよし組が2人を尾行している事がバレてしまったのだ。


 だが、ソフィ達はそれを無視してデートを再開したのは不幸中の幸いだった。



 ·····が、エビちゃんは皆からこっぴどく怒られ、ミカちゃんは飽きて帰ってしまった。







 その後、ミカちゃんを除くメンバー全員でコソコソと2人の様子を遠巻きに見て行くうちに、いつの間にか日が暮れかけ、ディナーの時間となった。



「そろそろだっけ?」

「ええ、18時からの予定よ」

「わ、わたしまで緊張してきた·····」

「あの店の料理はうまかったのじゃ、ソフィ達のは特上のコースじゃったか?羨ましいのじゃ·····」



 2人が入った店は、実はエビちゃんが事前調査という事でエビちゃんの彼氏でありソフィの兄であるラクトと共に予約無しで行っていたのだ。


 ちなみにその時は1番安いコースだったが、それでも2時間くらい待たされたそうだ。

 待ち時間は長かったが味が良かったため、意外とせっかちなエビちゃんでも満足という評価がされていたりする。


 つまり魔王お墨付きという訳だ。



「羨ましいなぁ·····」

「私の実家の料理とどっちが美味しいかしら?」

「んー·····なんかこのお店の店主さんの名前聞いた事あるんだけど·····誰だっけ?」

「元宮廷料理人って書いてあるのじゃ」



 彼女は料理長兼店主の名前をほぼ忘れているが、そもそもバケツプリンを山ほど作らせていた程度の記憶しか無いため、彼を思い出す事は無かった。







(みんな!そろそろ出てくるよ!)

(わかった、伝えるねっ!)

「みんなー!そろそろ出てくるって!」


「わかった!隠れて隠れて!」

「了解よ」

「わかったのじゃ」

「·····そろそろ?」



 ウナの報告によりフィーロとソフィが食事を終え、そろそろ()()の時間が始まるという事が報告された。

 ちなみにミカちゃんも戻ってきた。



 そう、これから始まるのは告白の時間だ。



「·····まだむぐっ!?」

(しっ!出てきたよ!ここからは厳重にするよ!)

(私たちの存在はバレてるわ、慎重に行くわよ)

(うんうん、頑張ってねフィーロくん)

(こっそり·····)



 レストランから仲良く手を繋いで出てきた2人を尾行して、ルーラル島の展望台へと続く階段とは別の道無き道をなかよし組は登っていった。





「ひょこり」

「すすすー」

「そろーり」

「にゅーん」

「ちらっと」


『わっ!?』


「あっ、友達が告白するんで覗きに来ただけです、お気になさらず」


『あ、はい·····』



 ソフィ達より先回りして展望台へとやってきたなかよし組は、2人にバレないよう展望デッキの近くにある茂みの中から顔を覗かせた。

 その時にイチャイチャしていたカップルを驚かせてしまったが、アルムがさっと説得して事なきを得た。


 あとはもう2人に任せて見守る事しか、なかよし組にやる事は無い。




 しばらく待つと2人が展望台へとやって来て2人がしんみり会話をしていると、ついに2人がその気になったのか向き合った。


 そんな様子に、なかよし組のメンバーのボルテージは一気に頂点へぶち上がった。





 そして·····




『僕はっ!ソフィちゃんの事がっ!』



『大好きだっ!』



『ずっとずっと昔から、出会った時からずっとソフィちゃんの事が好きだったんだ、·····でも、なかなか言えなくて、もう卒業間近になっちゃった』


『卒業したら、僕たちはきっと別々の道に歩んで、会えなくなるかもしれない····· 僕はそんなの嫌だ····· 一生ずっと一緒に居たいんだ!!時々抱きつかれたり、イタズラされたり、仕返ししたりしたいんだ!!』



『だからっ!僕と!付き合って(ずっと一緒に居て)ください!』





(き、きたーーー!!!よくやった!フィーロ君よくやった!!さぁソフィちゃん!!応えてあげて!!)

(頑張ったわね·····ほんと····· あぁ目から雪解け水が·····)

(おめでとー!!·····ってまだはやかった?)

(む?何やらソフィの様子が変じゃぞ?)

(·····悲しそう?)




 告白されたソフィの顔は一瞬驚いたような、嬉しいそうな顔になった後、苦悶の表情に変わった。





 そして、彼女の、()の真実が、本音が、フィーロに、盗み聞きしていたなかよし組のみんなに伝えられた。


 いや、盗み聞きされているのを覚悟の上で、なかよし組の皆にも伝えるために、彼女は伝えたのだ。




(えっ!?ソフィちゃんって異世界出身だったの!?というか男!?えっ!?ソフィちゃんって中身男の子だったの!?)

(でもこの世界で産まれたとも言ってるわよ!?ってことは·····女だけど男?確かエビちゃんもそうだったわよね?)

(魂と記憶だけ違う世界から来たの?エビちゃんなんかわかる?)

(·····ワシは知っておる、黙っておったが、あやつから頼まれておったからの、帰ったら皆に少し詳しく説明するのじゃ)

(·····ふーん?男の子、だったんだ)




 ソフィの秘密を知ってしまった皆は、それぞれ衝撃を受けてしまったようだった。




 だが、皆はそれよりも気になっていた事があった。




 ソフィの秘密を知ってしまったフィーロの反応である。





 ちゅっ




((き、キスしたぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁあぁあぁぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁっっ!!!?))



 そう、彼はソフィの唇を奪う事で無言でその答えを彼女に示したのだ。



 そしてソフィもそれに応じ、舌を絡め合う濃密なキスをした。




(ねぇ!?これってOKってことだよね!?カップル成立って事でいいんだよね!?ねっ!?)

(い、いいと思うわ!·····にしても、人目にはばからず良くやれるわね)

(うひゃあ····· すごい·····)

(·····ワシも帰ったらラクトとするかのぅ)

(ん、えっち)




 そして2人はお互いに自分の本心を伝え合い、ちゃんと交際が、それも結婚を前提にした交際がスタートしたのだった。






 そして、その後のことはなかよし組は知らない。






 何せ2人とも()()()だったらしく、邪魔してはいけないという友達としての粋な計らいで、なかよし組は門限ギリギリの21時まで外に居る事にした。



「よし、じゃあみんな!祝賀会するよー!」


『『おーー!!』』


「じゃあソフィちゃん達がお昼を食べたあのお店でやるよ!!ごーっ!!」



 そしてなかよし組のメンバーも、ソフィ達を追うように展望台から去っていった。



名前:アルム

ひと言コメント

「おめでとうっ!·····ワタシもソフィちゃん狙ってたんだけど、中身が男の子だからなぁ····· まぁいいや、本格的にグラちゃんを狙うだけだから」


名前:グラちゃん

ひと言コメント

「な、なんか物凄い寒気がするわ····· 私は寒さ無効だったはずなのに····· まぁ2人ともおめでとう、ダンジョンマスターとして、親友として、2人を祝福させてもらうわ」


名前:ウナ&ウェアちゃん

ひと言コメント

「ソフィちゃんは男の子?でもついて無かったから····· うーん?わかんないけど女の子だよねっ!」


名前:エビちゃん

ひと言コメント

「·····ん?この場合はワシとフィーロは義理の何になるのじゃ?まぁもう家族なのじゃ!」


名前:ミカちゃん

ひと言コメント

「ん、おめでと」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ