壁に耳あり障子に目ありあそこにエビあり
お昼ご飯を食べ終えた私たちはお会計を済ませて再び街へ繰り出していた。
·····その前に、ちょっといい?
さっきからというか、朝からずーーーーっと付きまとわれてるんだよね。
エビちゃんに。
(フィーロ君、エビちゃん居るの気がついた?)
(う、うん、何やってんだろうね)
やっぱフィーロ君も気がついてたか·····
いやね?
エビちゃんもちゃんと変装してるし、5m以内に近付かないと探知出来ないくらいちゃんと魔力も隠蔽してるんだよ?
でもね·····
超が付くほど変装がヘタクソなんだよっ!!
だってさ?
へそ出しシャツにスカジャンを羽織ってやたらテカテカした派手な帽子を付けてサングラスまで掛けてて、下はショートデニムにビーチサンダルで尾行するとかいう意味不明な状況なんだよ?
しかもエビちゃんの特徴的な片方が欠けた黒い角はそのまんまっていうね·····
あとエビちゃんって悔しいけどスタイルが良い·····最近恋をしてるからなのか私には届かないけど胸も大きくなってきて痩せ型だけどスタイルが良くなって、魔族という事もあってちょいワルファッションがめちゃくちゃ似合っている。
だからファッションとしてはかなりいいけど、尾行をするには目立ちすぎて最悪の格好だ。
しかも壁に寄りかかって横目でチラチラ私たちを見ながら、今朝食べたハンバーガーをムシャムシャ食べてるんだよ?
つまり朝から付け回してたって事じゃん·····
「·····いこっか」
「うん·····」
一瞬エビちゃんを片付けてからデートを再開しようかとも考えたけど、あんまりにも酷かったので放置しておくことにした。
◇
全く····· あやつら人目もはばからずイチャイチャしておるのじゃ·····
ソフィ達が定食屋に入ったのを見たワシは、店の前であやつらが出てくるのをこっそり待っていた。
まぁワシだけでは無いのじゃが。
ここにはアルムやウナ、それにグラも隠れて2人を見ておる。
ミカのやつは途中で行方不明になったのじゃ、多分今頃宿で寝ておるのじゃろう。
だがミカは良い仕事をした、奴の結界でワシらの魔力を遮断した事で今のところバレないで尾行出来ているのじゃ。
「·····遅いのじゃ、流石に腹が減ってきたのじゃ」
「って言うと思ったからお昼ご飯買ってきたよ!」
「じゃわあっ!?·····ウナ?いやウェアか、助かるのじゃ」
「はーい、じゃあまたねー」
ワシが愚痴を漏らした瞬間、ワシの影からウナが分身した片割れのウェアが現れ、昼飯を用意を渡してくれた。
中身はあやつらが今朝食べていた店のフィッシュアンドチップスバーガーじゃった。
「むふふ、食べてみたかったのじゃ」
ワシは近くの店の壁に寄りかかると、早速包みを開けてハンバーガーにかぶりついた。
「うっま!これ美味いのじゃ!!」
ワシは語彙力が高くないから美味いとしか出てこないが、めっちゃ美味いと言えば伝わるだろう。
これはあやつらが朝っぱらからがっつくのも分かる美味さなのじゃ。
なんて思って油断していたら、あやつらが店から出てきてしまった。
じゃが食べるのを辞められぬ。
めっちゃ美味いのじゃ。
「うげっ·····」
夢中になって隠れられずにいたらソフィと目が合ってしまったのじゃ。
サングラス越しじゃからバレて無いと思いたいが、ワシは偶然そこに居たという事にしてチラチラ横目で見ながら平然を装ってハンバーガーにかぶりついた。
◇
多分尾行しながらお昼ご飯をたべていたであろうエビちゃんを無視して観光地特有の人がごった返した商店街を進んで行くと、何やら強烈な甘い香りが漂ってきて私たちの鼻腔をくすぐった。
「甘い香り·····スイーツだっ!」
「チョコっぽい香りもするけど香ばしい香りもする·····なんだろ?」
ついさっきしょっぱい物を食べた私の口の中は、何か甘い物を欲していたからナイスタイミングだ。
「いこっ!甘いものは別腹だよっ!」
「うん、いこっか」
私たちは甘い香りの発生源に向かって人混みをかき分けて進むと、1軒のスイーツ屋が現れた。
「·····こっ、これは!ポップコーンだっ!」
「おおおー·····ん?ポップコーン?」
「味付きなんて珍しいっ!」
説明が合ってるかはわかんないけど、ポップコーンが売ってるなんて思いもしなかった。
まぁこの世界には普通に爆裂種もあるしポップコーンも存在するけど、大体は塩味のみなのだ。
だがこのお店のポップコーンはフレーバーが沢山あるようで、チーズ味やキャラメル等の定番のフレーバーが沢山あった。
だがそれだけでは無い。
ポップコーンの他にもチュロスみたいな棒状のお菓子やチョコバナナなどといった、縁日やテーマパークで売ってそうな物まで色々置いてあるのだ。
「じゃあ早速並ぶ?」
「だね、結構並んでるから待ちながら何を買うか決めよっか」
という訳で私たちは行列を更に長くするのに加担しながら、何を食べるかとかこの後何をするかとかを話しながら順番が来るまで待った。
◇
無事に買いたいものを買えた私たちは、一旦商店街から離れて海岸沿いの公園で食べる事にした。
「んふふっ、おいしっ」
「良かった····· じゃあ僕も食べよっと」
私が食べたのは、全体の3分の1くらいにチョコが掛かったチョコチュロスだ。
油で揚げているからちょっと油っこいけど、その油で砂糖がまとわりついて美味しい。
そして飽き始めたらチョコの部分をパクッと齧ると味変になってまた美味しい。
「フィーロ君ポップコーン食べる?」
「うん、ありがと」
ポップコーンに関しては2人ともキャラメル味が良いと意見が一致したからLサイズを買ってシェアする事にした。
ちなみにポップコーンはサクサクでキャラメルの芳ばしい香りと甘みが相まってとても美味しい。
あと少し塩が掛かってるのか甘塩っぱいのも中々いいアクセントになっている。
「ん、美味しいねコレ」
「だね、やっぱり選んで正解だったね」
「うんうん、それにしても眺めいいねここ」
ここからの景色は中々良くて、ルーラル海岸の観光名所であるルーラル海岸とルーラル島が一望できる。
ちなみにルーラル島はなんか江ノ島っぽい感じで干潮だと歩いて渡れる島だ。
まぁ橋があるから満潮でも渡れるんだけどねっ☆
「そうだ、あの島行ってみる?」
「うーん····· 夜景が綺麗って聞いたからさ、行くなら夜にしてみない?」
「へぇ、じゃあ日が暮れてから行ってみよっかな」
夜景かぁ·····
うん、そこで告白しよう。
確か日の入りが7時半くらいだから、残りの時間は6時間くらいしかない。
それまでに覚悟を決めてなくちゃね·····
「フィーロ君、日暮れまで付き合ってれる?」
「付きっ!!?あっ、いいよ、あと実は6時にディナーの予約をしてるんだけど·····」
「·····マジで?もちろん行くよっ!」
「じゃあそれまで何処か行って遊ぼっか」
「うんっ!」
私はぱぱっとお菓子を食べ終え、食べきれなかったお菓子は片手に持って、もう片手を彼と繋いで共に街へ繰り出した。
名前:ソフィ・シュテイン
年齢:14歳
ひと言コメント
「エビちゃんが居るなら他の皆も居るな?まぁ邪魔しないなら無視でいいや·····それより、これから告白するってなったら急に緊張してきた·····でも覚悟を決めなきゃっ!!」
名前:フィーロ
年齢:15歳
ひと言コメント
「隠れて見守るって言ってたけど、さすがに堂々とし過ぎたよ····· それよりも予定通りになって本当に良かった····· よしっ頑張らなきゃ!」
名前:バレたなかよし組
アルム
「エビちゃん何してんの!?ちゃんと隠れてよ!」
グラちゃん
「私の変装は完璧よ?公爵家に伝わる変装術を使ってるから簡単にはバレないわ」
ウナちゃん達
「わたしは影と光に潜ってみんなに連絡したりお昼ご飯を渡したりする役目だよ!」
「わたしは光と影に潜って2人を監視してるよ!時々上に出るけどね!」
エビちゃん
「後で集合した時にみんなに怒られたのじゃ····· ワシの変装は完璧だったはずなのじゃ·····なんでなのじゃ·····」
ミカちゃん
「飽きたからかえった」




