表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第3章 TS賢者はアイを知るっ!?
233/272

お昼ご飯はご当地グルメ!



 フィーロ君にぬいぐるみを買ってあげた私は、次なるお土産と言う名の面白そうな物探しを再開した。


 ·····のだが



\\ぐうぅぅうぅぅううう·····//



 歩き始めて数分で、なんと全く同じタイミングで私とフィーロ君の腹の虫が鳴いてしまった。



「「お昼にする?」」


「あっ····· じゃあ僕いい店知ってるから行ってみる?」


「おっ?どんなお店?」


「最近できた、お米を使った海鮮丼屋さんだよ!話題なんだって、ソフィちゃんお米とか好きだったよね?」


「さっすがフィーロ君よく分かってんじゃん!じゃあ連れてってー」


「もちろん!こっちだよ!」


 私は美味しい海鮮丼が食べれると聞いて、ルンルン気分でフィーロ君について行った。





 移動中に寄り道していた結果、3分で行ける距離だったのに15分くらい掛かってしまった。


 そして到着したお店は、ものすんごい行列だった。

 まぁなんたって魔法学校の生徒が大挙して訪れてるんだし、普通の観光客も沢山いるから仕方ないんだけどさ·····


「それにしたって並びすぎでしょ、·····私が作ったお米がここまで人気だと嬉しいけどさ」


「ちょっとリサーチが甘かったかな·····」


 ·····けど、並んでくれてて良かった。


 正直言うとあのお店、ちょっと微妙な気配がするのよね。


「いや大丈夫、たぶんあそこ私じゃ満足できないと思うから」

「えっ?」


「あのお店、お米の扱いにまだ慣れてなさそうだしお米は炊けるのに時間もかかるし、まだ高級品だから量も無いと思うからすぐ売り切れるよ」



 と言った途端に、行列が減り始めてきた。


 ほら言わんこっちゃない·····


 それにフィーロ君に言うつもりはないけど、見た目もぶっちゃけ微妙そうな雰囲気が漂ってるのよね。

 アメ横とか海沿いの観光地にありがちな、とりあえず海鮮丼売っときゃ売れるでしょって感じの店の雰囲気がしてるもの。


 見た目もそっくりだし·····


 やっぱり観光地の海鮮丼屋は収斂進化してああいう見た目になるのかな?



「·····で、実は来る途中に目を付けてた店があるんだけど、そっち行かない?ほらあそこ」


「どこ?」


 指さした先には、凄く寂れた古いお店感がある食堂で、お昼時だけどそんなに人も並んでおらずすぐに入れそうな感じだ。

 その扉の横を見ると、海鮮丼始めましたと小さく書かれていた。



 こういうのは新しい綺麗な感じのお店ほどハズレというか、量産型で普通で無難な味の場合が多い。

 たぶんさっきの店もその類だろう。


 逆に地域密着でやってるような地味なお店の方は大当たりor大ハズレの博打みたいな場合があるのだ。


 私の前世の経験でいうと、安定をとるなら小綺麗な普通なお店、スリルと刺激を求めるなら地味なお店を選ぶと良い。



「このお店は····· うん、()()()だよ」


「なんで?」


「2つのお店で並んでる人を見比べて何かに気が付かない?」


「·····こっちはおじさんばっかり?向こうは僕達みたいな若い人とか学生が多い?」


「そ、私の見立てだとこっちは地元客がよく来てるお店で、向こうは観光客向けのお店って感じだよ」


「へぇ·····」


「それにこの街って港町でしょ?その街に住む魚を食べ慣れてるはずの地元の人ばっかり来てるお店ってさ·····ふふふ·····」


「·····あっ、たしかにそうかも!」



 そう、港町に住む人は普段から海の食材をよく食べていて、よっぽどの事がない限り外で食べるような事は無いだろうし、質の悪い魚を出そうモノならすぐに見限られて閉店してしまうだろう。


 逆に学生とか観光客といった、外から来た客をターゲットとしたお店なら質の良くない魚を出しても気が付かれないし、質の微妙な魚を格安で仕入れて高く売ってしまえば儲け率も高くて客も入るから荒稼ぎできるって訳だ。


 つまり、舌の肥えた地元客が、それも漁師っぽいガタイのいいオッチャンや買い物帰りの主婦が続々と入っているってことは、彼らの舌を唸らせる絶品グルメがあるって訳だ。



「お次の方····· どうぞー」


「あっ····· 他所から来たんですけど入って大丈夫ですか·····?」


「もちろんいいさ、いらっしゃいませどうぞコチラの席へ」


「「よしっ!」」



 私がフィーロ君に美味しい店の見分け方を教えていたら私たちの番が来たみたいで、お店の引き戸がガラガラッと開いて肝っ玉母ちゃんみたいな感じのオバチャンが出てきた。


 そんで私たちを見て一瞬ビックリして固まったけど、すぐに戻って店の中に案内してくれた。



 そして私は店員さん?を見て確信した。




 この店は超大当たりだと·····





「はいお水ね、注文が決まったら呼んでね」


「ありがとうございますっ!」


 私たちは店員のおばちゃんに案内されて席に座り、早速メニューを開いた。


 ふんふん·····

 定食セット系はご飯に焼き魚や煮付け、そして刺身が付いてくるのか·····


 そんでこっちの丼セットは·····


「あー·····生しらす&チェリーシュリンプ?·····桜エビか!うー·····これもいいなぁ、でもマグロ丼も魅力的だし·····うわっ!?鯛茶漬けなんてあんの!?」


「おおお、色々あるね····· どれがいいんだろ、でもこのガーリックシュリンプ丼っていうの僕気になる·····けど今日はやめとこっと」


「なんで?」


「いや、せっかくのデー····· 散策なのに口が臭くなっちゃったら·····ね?」


「あー確かに····· フィーロ君後で私が作ってあげるから落ち込まないで?」


「えっ!?あぁうん、ありがと」


「ん?·····んんんっ」



 マジで今ド天然でプロポーズみたいなセリフが出て来たわ·····

 ご飯作ってあげるって一種のプロポーズじゃん·····


 ·····まぁいつも私が作ってるけどさ。



 それよりめっちゃお腹空いたわ。


 何食べよっかな·····

 どうせなら丼物を食べたいんだけど、煮付け定食も食べたいし焼き魚も刺身も食べたい·····


 でも全部食べると夜ご飯が入らなくなるし·····


「ううううん····· 悩む·····」


「だね、全部魅力的過ぎて·····」


 メニューと格闘すること5分、私たちは結論を出した。



「「すいません丼物のオススメってどれですか?」」


「ん?あぁこの時期なら····· 生しらす丼がオススメだよ、ただチェリーシュリンプは旬じゃないからちょっと美味しくないかもしれないけどね」


「んー·····とりあえず生しらす丼は確定·····」


「生以外だと釜揚げと沖漬けがあるよ」


「よし!それ全部盛ったトリプル丼で!」


 桜エビも食べたかったけど旬じゃないなら仕方ない、その代わり今が旬らしいシラスを堪能しよう。


 ·····でもこれだけじゃ足りない。


 成長期の私はこれだけだとカロリーが足りなくてすぐにお腹ペコペコになってしまうのだ。



「あと····· この刺身盛り合わせ(中)1つと金目鯛の煮付けも1つ、鯖の塩焼きもお願いします」


「ちょっ!?流石に多いよ!」


「2人で分けたら丁度いいと思うよ?」


「たしかにそうかも·····」


「注文は以上かい?じゃあちょっとまっててね」


「「はーい」」



 注文が終わった私たちは周囲の迷惑にならない程度の声量でお喋りをして料理が出来上がるのを待った。





「はいよお待たせ、調味料には醤油を使ってね」


「ありがとうございますっ!じゃあ早速·····」


「「いただきますっ!」」


 おばちゃんが注文した料理を運んできて、テーブルの上に置いた瞬間腹ぺこだった私たちは丼を手に取り、箸を器用に使って食べ始めた。


 まず最初に食べるのは、当然の如く楽しみにしていた丼の生しらすエリアだ。



 生しらすに生姜醤油を掛けて卵黄を切ってトロッとした所を·····

 『なんで異世界で卵黄を生で食べる文化があるんだ?』とか『衛生面的に大丈夫なのか?』とけメタいことも何もかも気にせずに掻き込む!

 そこら辺は『泡沫ムゲンの眠り姫』でなんとでもなるから気にしないっ!!



「もぐもぐモグモグ····· んんんんっ!!!」


「はむっ·····ふんふん····· 美味しい·····」



 やはり大当たりだ。


 生シラスって時間が経つと苦くなってしまうのだけど、この生しらすはぜんっぜん苦くないし小さい魚体なのにピチッとしていて箸でつまんでもへにゃっとしないでピンッとしていて、プチプチとした食感がするほどハリがあった。


 多分今朝とれたばかりの超絶新鮮なシラスなのだろう。


 ちなみに味はしらすの旨みに絶妙な塩気がマッチして、醤油の香りと卵黄の濃厚さが旨味を引き立て、僅かにある先の臭みを生姜が消してくれて最っ高に美味しい。


「んふふ·····次は·····釜揚げだっ!」


 今度は釜揚げしらすのエリアに手を出した。


 揚げたてらしいシラスはまだまだホカホカしていて、ちょっとだけ箸でつまんで口に入れるとそのフワフワだけど食感もあり、しらすの強い旨味が口いっぱいに広がって幸福感が炸裂した。


 もう我慢ならないと私はサービスで付いてきていた大根おろし&しらすの『しらすおろし』から大根おろしを拝借して、醤油をチョロっと掛けて口にぶち込んだ。


 すると大根のサッパリ瑞々しい感じと、強いしらすの旨味、醤油の旨味と塩分が口の中で爆裂して蹂躙し始めた。


 さっきの生しらすも美味しかったけど、この釜揚げもやはり絶品、しかも出来たてホヤホヤの釜揚げしらすだから美味しさが倍増なんてもんじゃ済まないくらい上がっている。



「これは····· 沖漬けも期待できる·····」



 私は残っていた卵黄と焦げ茶色になっている沖漬けにされたしらすを混ぜ合わせ、生姜をちょいと乗っけて、これまた口に掻き込んだ。


「んはっ、美味しっ!!」


 沖漬けはなんて言えばいいんだろうか。


 さっきの生しらすに醤油を掛けたのが『聖剣を持った一般人』とすると、沖漬けは『まぁまぁいい剣を持った剣聖』って感じだ。


 アレだ、長く浸かってたから醤油との相性が良いなんてもんじゃない、一心同体ってレベルでしっかり味が付いていて風味もよく苦味も全くない、思わずグルメ漫画のように服が弾け飛んでしまいそうになる美味しさだった。


 だがやはり生しらす丼も負けてないというか拮抗している。

 そこにマシンガンを持った釜揚げしらすが現れた三竦みがこの丼の中で発生して膠着状態になってしまったのだ。



 この状況を解決する方法はただ1つしかないが、私は一旦箸休めする事にした。



「味噌汁美味しぃ····· ワカメ·····?あぁ温まる····· んじゃ次はしらすおろしでも····· はむっ」


 続いて箸休めとして私はしらすおろしにポン酢を掛けて、下敷きになっていたワカメ·····これ魔物なの!?なんかワカメの魔物(?)の一部が乗ったソレを口に入れた。

 味はもう予想通りで、シラス&大根おろし&ワカメというさっぱりさの権現をポン酢という将軍が纏めたしらすおろし幕府がここに完成してしまった。


 だが幕府は即座に私の胃の中へ大政奉還してしまい、儚く散ってしまった。



「美味しかった····· んじゃお次はお刺身っと」



 続いて箸休めの続き、マグロと金目鯛の炙りと·····サモーンとかいう召喚術を使うサーモンのバケモノな魔物の刺身に青魚系の刺身が乗った盛り合わせから、早速脂ノリノリなサモーンの刺身を醤油に付けてパクッと食べっ·····


「oilyッ!」


「うわビックリした」


 私の方こそビックリしたわ、このサモーンとかいう魔物やっばいくらい美味しいわ。

 養殖サーモンかってくらい脂が乗ってるわ。

 でもちょっとサーモンの風味は少ないから、やっぱり本物の天然物には敵わないかなぁ·····


 でもめっちゃ美味しいわ。


 あと他の刺身も·····



「うっっまあぁぁああっ!」


「ほんとだすっごく美味しい·····」



 さてと、私はこの三竦みに和解条約を提示しに行きますかね。


 和解条約はごく単純だ。



 喧嘩するなら全部まとめてしまえばいい。



 これぞ究極の贅沢、生しらす、釜揚げしらす、沖漬けしらすの3種を混ぜ合わせてしまった罪悪感さえ覚えてしまう悪魔的な丼の完成だ。


 私ははしたないと自覚しつつも、丼の縁に口を付けて、箸でその和解済み三竦みを口にぶち込んだ。



 ·····はい、もう美味しすぎて私の脳ミソの処理能力が限界に達しました。


 はいもう美味い美味しい激ウマ、美味しさで殴られるってこの事だろう。


「はひぃ·····美味しい·····」


「僕もやろっと····· あっ····· これヤバい」


「だよね!あっご飯足りない····· すいませーん!ご飯小を2つお願いしますー!」


『はいよー』


 私はもう三竦み丼を完全に跡形もなく食べきってしまったので、残す金目鯛の煮付けを食べるために追加て白米を頼んでおいた。


 小にしたのは、この後も食べ歩きをしたいからだ。



「お待たせ····· もしかしてアレやるつもりかい?学生さんなのにお目が高いねぇ」


「やっぱり!これをご飯なしで食べろなんて拷問ですよ拷問、ご飯必須ですよ!!ご飯にタレ掛けて食べたいし·····!!」

「ソフィちゃん頼んでくれてありがと、じゃあ半身ずつ食べよっか」


「うん!」


 金目鯛の煮付けといっても、安い物を選んだのでそんなに大きくない。

 どれくらいの大きさなのかというと、比較的小柄な少女である私の手のひらくらいの大きさしかない。



 だけど、その身はフワッフワなんてもんじゃない、雲でもつまんでるんじゃないのかってくらい柔らかいが、雲にしてはやたら茶色い。


 そう、甘辛い煮汁でしっかり煮込まれて中まで味が染み込んでいるのだ。


 そして金目鯛特有の脂の多さが伺えるポイントとして、煮汁の表面に脂が浮いてキラキラしている。



 これは期待できるなんてもんじゃない、もう美味しいの確定だ。


「いただきま〜す·····」


 私は解れたフワッフワの身をタレに付け、白米に1回バウンドさせてから口に運んだ。




「旨味の大爆発っ!!!」

「おいしっ!!?」



 私たちは思わず小声で叫んでしまった。


 金目鯛の煮付けは前世でもあったけど、普通のサラリーマン程度が食べられる物じゃなかったから、こんな美味しい物だったなんて知らなかった。


 身は淡白だけどフワッフワで旨味も強くて、特に脂が溜まりまくってプルップルな皮目と一緒に食べるともう美味しさがご都合主義異世界チートハーレム物だ。


 いや違う、これはハーレムモノじゃない、ご飯と金目鯛の煮付けの純愛小説だっ!!!



 推理小説の探偵が如き推理力で最適解を見出した私は、金目鯛の煮付けとご飯を一緒に食べて·····






「·····はっ!?記憶がトんでた·····」


「僕も·····」



 もう言葉に出来ないわ。


 日本人の醤油好きは遺伝子どころか魂に刻み込まれていたようだ。


 そりゃ舌の肥えた漁師さん達もこぞってこの店に来るわけだよ·····



「「ご馳走様でした·····」」



 私たちはこの世の全ての魚介に感謝を込めてお礼をして、1片も残さず綺麗に完食したことを報告した。



名前:ソフィ・シュテイン

年齢:14歳

ひと言コメント

「あぁヤバい、この店で修行したい·····私の作った素人料理じゃ太刀打ちできない····· かも?さてこれからどうしよっかな、まだ腹5分目くらいだからまだまだ食べられるかなっ☆」


名前:フィーロ

年齢:15歳

ひと言コメント

「·····ホントのことを言うと、ソフィちゃんの作った料理の方がエコヒイキ無しでも美味しいと思うな、でもこっちの料理も凄く美味しかったから大満足かな·····あっ、僕は腹4分くらいだよ」

(ソフィちゃんの作るご飯が美味しすぎて沢山食べてたら沢山入るようになったなんて言えない·····)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ